第56話
「龍花迎えに来たぞー」
王花ちゃんのの声が玄関からする。王花ちゃんたちは従姉妹なので私達の家の合鍵を持っている。当然私たちもだ
「はーい♪じゃあおにーちゃん行って来ますね」
鞄を背負っておにーちゃんに手を振ると
「気をつけてな」
勉強しながらそう声を掛けてくれるおにーちゃんにうんっと返事を返してから玄関に向かい
「お待たせしました♪」
「うむ、行くぞ龍花」
玄関で待っていてくれた王花ちゃんに連れられて、私は隣町のデパートに出かけていきました。なんでも今日は服のセールとかで良い服が安売りになっているそうなので、王花ちゃんに服を選んでもらおうと思って。私の服は子供っぽいっていつも怒られるから王花ちゃんに選んでもらえば、大丈夫だよねと思いながら陽花ちゃんと手を繋いでバス停まで歩いて。そこで隣町へのバスに乗って雷花ちゃんや王花ちゃんと少しおしゃべりしながら短いバスでの短い移動を楽しみ、デパートの前で王花ちゃんと星花ちゃんに
「龍花と陽花は2人だけで移動しないこと良いな。あとアホの子の後をついて歩かないこと」
「僕はアホの子じゃないよ!」
雷花ちゃんのいつもの言葉は、軽くスルーされてうるうると目に涙を溜めている雷花ちゃんの頭を背伸びして撫でていると
「では行きましょうか。龍花、陽花、あと雷花」
「僕おまけ!?僕おまけなの!?」
「泣かないで雷花ちゃん」」
よしよしと私と陽花ちゃんで雷花ちゃんの頭撫でてから2人で雷花ちゃんの右手と左手を握って皆でデパートの中に入っていきました
夏休みだから少し寝坊しても良いやと思っていたらマドカに肘うちを喰らい強引に起床。その後は朝食を作らせれ半分拉致気味にバス乗り込み気がついたら俺はデパートの中にいた
「俺荷物持ちかよ」
「当然だ愚兄」
「がんばれ~オリム~」
「これとコレも頼むぞ」
しかも途中で箒や鈴とまで会い、なし崩し的に荷物もちになり(本国に1回帰っているセシリアたちに会わなかったのは幸運かもしれない)だがそれでもなお休みが潰れた事に心の中で泣いていると
「むにゃー♪ぬいぐるみ買ってもいいですか?」
「お前は自分の部屋をどうするつもりだ?龍花」
ん?聞き覚えのある声だなと思い振り返ると
(なにあれ)
でかいぬいぐるみを抱えている少女らしき影とそんな少女に呆れたように声を掛けている目付きの鋭い少女がいた
「あーおーちゃんだ~」
「む?本音か?久しぶりだな」
のほほんさんの知り合いなのかと思っているとぬいぐるみを棚に戻した少女の姿が見えた
「あれ?龍花じゃない、久しぶりね」
「こんなところで会うなんて奇遇だな」
それは前に迷子で俺達の学校に迷い込んできた龍花だった。俺達に気づいた龍花は
「こんにちわ。お久しぶりですね,鈴さん。箒さん。マドカさん。一夏さん」
にこにこと笑う龍花さんにのほほんさんが
「りゅ~ちゃ~ん」
のほほんさんが嬉しそうに笑って龍花さんとその隣のぽわぽわした雰囲気の女子に嬉しそうに抱きつく。なんかそこだけ-イオンが出ているじゃと思うほどそこだけ空気が変わっていた
「箒に鈴か。龍花に話は聞いている。私は王花。こっちは星花に陽花。あとアホの子だ」
「僕アホの子じゃない!!!!ちゃんと雷花って名前があるもん!」
青い髪の女子。雷花さんが半泣きでそう叫ぶ。なんかいじられキャラなのかもしれないと思っていると
「雷花もセール狙いなの?」
「無論だ。それまでは龍花の買い物に付き合っているつもりだったんだが、コレを見ろ」
王花さんの視線の先には袋から溢れんばかりのぬいぐるみの数々が鎮座してしていた
「全部龍花?」
「そうだ。全部龍花だ」
マドカが信じられないという感じで呟く、高校生にもなってこれほどぬいぐるみを集める女子がいるとは驚きだ
「かわい~」
「そうですよね~」
のほほんさんと買ってきたぬいぐるみを見てニコニコ笑う龍花さん。なんかのんびりした子だな~って思ってたけど休日に会うとそれが一段階上に上がっているような気がする、何か癒されると思っていると
「ふんっ!」
ガン×2
「あいだ!!!」
マドカと王花さんに脛を蹴り上げられしゃがみこみたいがしゃがむ事も出来ず悶絶している。ふんっと腕を組んでいるマドカと王花さん、さしずめ龍花さんたちを見ていると言う事だろう
「今のは一夏が悪いぞ。女子を凝視するな失礼だ」
「そうよ。まったく腕の一本でもへし折らないと判らないのかしら」
龍花さんがいるから攻撃に出てきていないがいなければ攻撃されていただろうと考えていると。ベンチに腰掛けぬいぐるみをもふもふしていたのほほんさん達が
「そろそろ~時間だよ~」
「服のセールは10半からでしたよね?」
そう言われて時計を見ると10時20分、そろそろ4階に向かわないと出遅れるだろう。今日のセールは近くの高校生限定セールで生徒手帳の提示が条件になっている。少し早めに来て並んでいる女子がいるはずだ
「それもそうだな、行くか。ではまた後でな」
「じゃーねーおりむ~」
のほほんさんは龍花さん達について行ってしまったちゃんと荷物は持って行ってくれたからいいけど。俺はそんなことを考えながら箒達の荷物持ちをするために4階へと向かって行ったのだった
「白野。これはどうだろうか?」
「白野~これはどうですか?」
玉藻とネロに同時にそう尋ねれる。さっきからずっとこのやりとり。すこしタイミングをずらしてくれたらいいのに。周りの視線が少し痛いなあと思いながら
「玉藻はクロより白がいいんじゃないかなあ?ネロはもう少し丈の長いスカートの方がいいと思う」
主に僕の精神衛生上のためにと内心思いながら言うと玉藻は白い服を探しに行き、ネロは丈の長いスカートを見ている。ふうっと溜息を吐く。朝からネロに起こされて買い物に行くぞと言われ、玉藻の奇襲を受けて喧嘩になる2人を必死に止めて何とか2人に納得してもらって買い物に来たんだけど2人とも何かと張り合うから疲れるなあと思い店内に備え付けられているベンチに腰掛ける。僕だけじゃなくて他にも何人かの男の人の姿が見える。多分僕と同じだろうと思って居ると
「龍花。これはどうだ?」
「んー良く判りません♪」
「私もわかんなーい」
「うむ。やはり龍花と陽花の服を選ぶのは大変だな」
店内から聞こえてくる声には聞き覚えがあった。確か前に駅前で迷子になっていた龍花さんだったかな?とかと思っていると
「はー疲れた」
僕の隣に座った男子も同じように買い物袋を下げて溜息を吐いている。その数を見る限りこの店だけではなく別のセールも見ていたのだろう。大変だなって思ってみていると
「愚兄。これはどうだ?」
「たまには普通にお兄ちゃんって呼んでくれないかなあ?マドカ」
その男子の前に立つ女子は切れ長の目に鋭い視線をしていて、大人になれば美人になるだろうなあと思うタイプの女の子だった。ラニとかに似てる気がしなくもない。
「考えておこう。それで……これはどうだ?」
白いワンピースを身体に当てているマドカさん?を見たお兄さんは
「いいんじゃないか?黒髪に良く映えると思う」
その言葉にぱあっと花の咲くような笑みを見せたマドカさんはそれを抱えてレジへ。その仕草を見て判るのは強烈なブラコンなんだぁって言う感想だった。僕がそんなことを考えていると
「白野。私はコレにしましたよ~」
「わわ!?」
着替え終わったと言いたげに飛びついてくる玉藻。着込んでいるのは白いワンピースで飛びついてきた玉藻を何とか自分の隣に座らせると
「さぁ!さぁさぁ!似合っていると褒めてくださいまし!」
これさえなければ玉藻はいい子なんだけどなあ。料理も裁縫も掃除もどれをとっても良妻となのるだけの能力はある。だけどこの行け行けの性格とあざとさがどうも苦手だ。今だって両手を組み合わせて胸の谷間を強調しつつ上目目線。可愛い、確かに可愛いけど
なんか苦手……
「さあ!ささささ!さあ!「何をして居るか馬鹿狐」な、なにをするのですかー!脳筋!」
ネロが溜息を吐きながら玉藻の頭に拳骨を落とす。ネロは
「あれ?スカートはやめたんだ?」
「うむ。偶にジーンズというのも良いと思ってな」
動きやすそうなジャケットにジーンズ。それでもしっかり身体のラインが出ているからボーイッシュに見える。ネロは片手で三つ編みにしている髪を肩の後ろに回しながら
「本当に似合っているのなら要求などせずとも白野は褒めてくれるだろう。余のように!」
腰に手を当ててえっへんと胸を張るネロ。うん、いつもと同じすぎて何か安心する
「むむむ!判りましたぁ!もっといいのを選んでくるので今度はちゃんと褒めてくださいまし!」
言うが早く服を探しにいく玉藻。回り居る同年代を蹴散らして進み目当ての服を手に入れようと必死だ
「では余ももう少し見てくるか。白野がドキドキしてしまいそうなものをな」
悪戯っぽく笑い。ゆっくりと歩いていくネロの背中を見ていると隣の男子のほうも同じようなことになっていた。人数は向こうの方が1人多いがやってるやり取りは似たような者だ。あ、ポニーテールの髪の女子とマドカさんが同時に拳を繰り出した。ごつっ!と重い音を立てて命中した正拳に悶絶している男子を見て僕が思ったのは
(僕と似てる)
周りの人間関係とかそう言うのが似てると思った。なんかシンパシーを感じてしまい
「大丈夫?」
「え?ああ。大丈夫だ、打撃には慣れてるから」
打撃になれるってどういう環境で暮らしているんだろう?僕はそんなことを思わず思ってしまった
「織斑一夏。藍越学園2年だ」
そう名乗ってくる一夏に僕は
「岸波白野。月海原学園の2年だよ」
何かシンパシーを感じていたのは一夏も同じようであっさりと自己紹介をし僕はネロと玉藻。一夏は妹さんと幼馴染2人が戻るまでの間たわいも無い世間話をして、気がつけば電話番号とメールアドレスを交換していた。それから偶にメールや電話で話す位中のいい友人になるのだった。なお僕と一夏が世間話をしていころ
「うにゃー♪これにします」
「「「絶対駄目!」」」
「え~可愛いのに、ねえ?」
「そうだよね~可愛いよね~」
「もふもふ♪」
天然トリオが着ぐるみ系の服を着てご満悦。そんな幸せ一杯と言う感じの三人に王花たちは当然のことだが。それに加えていつの間にか合流した鈴やマドカ、それにネロと玉藻も両手で×を作り着替えなさいと声を揃えて言ったのだった
今日は楽しかったな~途中で藍越学園の箒さんやアルトリアさんのお姉さんのネロさんまでいっしょに服を選んでくれたし、でも玉藻さんだけは
「な?なんというヒロイン力、どんどんあがっていく!?どういうキャラをしてるんですか!?」
とかわけの判らない事を言ってたけどヒロイン力ってなんだろう?と首を傾げてしまったのだが
「ああ、いやいやこっちのことですよ。龍花さん、どうも玉藻とよんでくださいな♪」
にこにこと笑う玉藻さん。こういう服が可愛いとかこういう小物も可愛いんですよ?と色々と教えてくれたし楽しかったというと
「うーんでもな~僕なんか玉藻苦手」
雷花ちゃんが難しい顔をしながらそう言う。それに続いて星花ちゃんも
「確かに何か裏表のありそうなタイプでしたね。私も少々苦手です」
口をそろえて難しい顔をしている。裏表のあるってどういうことだろう?と陽花ちゃんと首をかしげていると
「龍花が知らなくても良い事だ」
王花ちゃんがそう言う。ならそんなに気にしなくてもいいかと思いながら
「明日はお勉強会だね~雷花ちゃん勉強した?」
バスから降りて家に向かって歩きながら尋ねると
「ぴゅ~♪」
明後日の方向を向いて口笛を吹いている雷花ちゃんに代わって陽花ちゃんが
「雷花ちゃんは勉強してないよ?TVとゲームばっかり」
「もう。仕方ないですね。雷花ちゃんは、じゃあ明日の勉強会はちゃんとしてくださいよ?」
えへへっと笑う雷花ちゃんにそう言ってのんびりと家への帰路に着き
「今日は泊まって行きますか?私の部屋でよければ泊まれますよ?」
小さいときは雷花ちゃん達もこの家で暮らしていたのでそう尋ねると
「いや。いい夕食の仕込みもしてあるしな。ではな龍花。また明日」
そう笑って手を振る王花ちゃん達を見送り
「ただいまー。いまご飯の用意をするからね~」
玄関からそう声を掛けてから家の中にと入っていった。するとリビングからヴィータ兄が顔を出して
「少し休んでからでもいいぞ龍花。はやてと俺で準備してるから」
そういうヴィータ兄に
「じゃあ私もお手伝いするから、ちょっと待っててね」
おにーちゃんとヴィータ兄と料理をする機会なんてめったにないし。一緒にやりたいと思い階段を上がり、自分の部屋にぬいぐるみと買った服を置いてからキッチンに向かったのだった
第57話に続く
今回はのんびりとした話にして見ましたがどうでしたでしょうか?面白かったのならいいのですが。次回はギルガメッシュやイリヤ・クロエを交えた勉強会の予定です。まぁ色々と騒動を起こそうと思っているので楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします