第59話
藍越学園の生徒、話しかけたいと思ったが駄目だった
夏休みと言うことで隣町の海鳴に来て、映画とかでも見ようと話をして集まったのが
「見事なまでにむさくるしいな」
「うっさい!」
「……仕方ないことだと思う」
僕と弥生とヴィクトリア。見事に男性メンバーだけである
「一夏はあれだったな。拉致されてたな。あんなので良ければ一夏も呼んだが?」
「やめてくれ。そんな修羅場な雰囲気で映画なんか見たくねぇ」
弥生の意見には僕も賛成だ。一夏を呼べば必然的に+αがついてくるのだが、その+αが問題だ。どれもこれも我が強く、そして嫉妬深い。そんなのを連れてきて映画?とても画面に集中など出来るわけが無い
「そうだろう?もし一緒に来るのならおしとやかで可憐な少女が良い」
「はいはい。龍花って言いたいんだろ?」
前に迷って藍越学園まで来て一日だけ一緒に授業を受けた八神龍花さん
「確かに可愛い子だった」
「ん?クリス龍花に会ったのか?」
「図書室で少し」
ラウラに誤解で刺されかけたという所は伏せて図書室であったというと
「あーなんかうろうろしてたもんな。迷い込んできたのか?」
「そんな所だと思う」
同じ歳の筈なのに妙に幼いという印象を受けた龍花の事は妙に頭に残っていた
「誘えたら楽しいのだが、残念ながら電話番号を知らない」
「だなー鈴とか箒はアドレスを交換してたみたいだけど、俺が携帯出したら凄い感じで睨まれたもんな。全員に」
全員に!?どういう状況だったのだろう?あの庇護欲の塊のような龍花に箒とかも絆されてしまったのだろうか?そんなことを考えていると
「あ、あれ?」
見覚えのある銀髪を見つけて立ち止まる。僕が立ち止まったので弥生とヴィクトリアも立ち止まり僕が見かけた物を見て呆然としていた
「りゅーちゃーん♪」
「のほほんさん、こんにちわ♪」
「わーい。のほほん~待ってたよ~♪」
龍花と本音。更に見知らぬほんわかオーラを身に纏った女子がきゃっきゃっ♪と楽しそうに話をしていた。いいなあとは思うし、本音は同じ学校だから話し掛けるという手もあったが
(((無理だな)))
何と言うかそこだけ空気が違う。もうそこだけ切り取られて孤立しているかのような印象を受ける
「話しかけないのか?」
「無理を言うな無理を」
弥生とヴィクトリアがそんな話をしているなか。龍花達は
「ほっ。良かった。どこにも行ってないようですね」
「あー安心したぜ。お嬢ちゃん達をほっておくとどこに行くか不安だったからなあ」
紫のスーツを着た女性とアロハシャツの男性が来て龍花達を連れて行く。聞こえてくる会話が
「ランサーさん。今日は魚は釣れますか?」
「どうだろなー潮は良いが絶対に釣れるって言えないのが魚釣りなんだよ。とはいえはやて達めドタキャンしやがって、俺だけで全員分の面倒なんか見れねぇよ」
「頑張ってくださいランサー。はやて達も悪気があった訳ではないのですから」
「わーてるって。まぁ何とかなるだろうよ。虫餌じゃねえしな、しっかし誰かいないもんかねぇ?お嬢ちゃん達の知り合いわよお……」
どうやら魚釣りに行くようだがどういう知り合いなんだろうか?僕がそんなことを考えている間に龍花達はランサーと呼ばれた男性がぶつぶつと1人で大変だ大変だと呟きながらワゴンカーに乗った。そしてワゴンカーはゆっくりと安全運転で埠頭の方に走り出したのだった。走り去るワゴンカーを見ながらヴィクトリアが
「映画いくか?」
「……なんか気分じゃねえな。ボウリングにしねえ?」
「いいね。なんか身体を動かしたい気分だから」
こう何か形容しがたい感情を感じる。あの時話し掛けることが出来たらまた違う結果があったのでは?そんなことを思ってしまったせいだ、僕達は何か惜しいことをしたような気分になりながらボウリングに向かった。その日僕達がハイスコアを大きく更新できていたりする。なお後日
「あ。こんにちわ。クリスさん奇遇ですねぇ」
「え。うん。奇遇だね」
再び街で偶然龍花とあい電話番号を交換するのに成功していたりするクリスだった……
天然×3と病んでる妹と紅い悪魔
料理の本を探して隣町の本屋に向かっていると
「あ、マドカさんだーこんにちわー♪」
「やっほー♪まどか~♪」
「あいたっ!!!」
本音と龍花がにこにこと手を振っているのが見える。良く見ると2人の後ろで転んでいる女子の姿も見える
「こんにちわ。何をしているんだ?」
夏休みだから会うこともあるだろうが、まさか本音とも会うとも思っておらずそう尋ねると
「お買い物なのです♪」
「料理の本を買いにきたんだよ~よーちゃんは編みぐるみの本だよ~」
よーちゃん?誰だそれ?もしかして転んでいるあの金髪の女子か?
「よいしょっえへへ、またこけちゃった♪」
「ああ、もう!陽花、待ちなさい。こことここに泥がついてるわよ」
えへへっと笑う陽花と言う名前らしい女子の服についた泥を払っている赤いシャツに黒のミニスカートにツインテールをかなり目立つ格好をしている
「あの2人は?」
龍花と本音に尋ねると2人はにこーっと笑いながら
「遠坂凜さんです。途中であったので一緒にお買い物をしたんです」
「りんりんはいい人~ジュースを買ってくれたんだよ~♪」
前者は多分この3人をほって置く事への不安、後者は同姓であれ萌えてしまうこの3人の小動物臭のせいだろう
「急に走り出してどうし……こんにちわ」
「こんにちわ」
私に気づき頭を下げてくる遠坂凜。名前は龍花達から聞いているが急に名前言うのは失礼と言うものだろう
「藍越学園でお友達になった織斑マドカさんです、凜さん」
「藍越学園……ああ。龍花が迷子になったときに1日授業を受けた隣町の学校だったわね。こんにちわ織斑さん?「マドカで良い。私も凜と呼ぶ」
年上なんだけど……まぁ良いかっと笑った凜は私を見て
「買い物?」
「料理の本を買いに来た。愚兄にいつも料理をさせるのもなんなのでな」
愚兄だなんだとつい言ってしまうが、私は結構一夏が好きだ。いっつも朝ごはんにお弁当も作ってくれるし、それに顔もいいし全然嫌いではないむしろ好きである
「ふーん。あたし達も買い物なんだけど本を買いに行くなら一緒に来る?と言うか一緒に来てくれない?」
正直言ってあたしだけじゃ面倒見切れないのよ。凜の言葉を聞いて龍花たちを見ると
「色々と見たいですよね~」
「うん~私はね~お菓子の本が見たいよ~」
「私はあみぐるみが良いなあ~」
そんな話をしながら本屋への道案内が出ているのにもかかわらず明後日の方向に向かって歩き出していた
「筋金入りの方向音痴が3人なのよ。ちょっと手伝ってくれない?お昼は奢るから」
「別にいいのだが、ここであったのも何かの縁だ。手伝おう」
あのトリオをほっておくということは私にも出来そうに無かった。見ていて不安になるのとあの自由気ままな所は
(なにか猫に似ているな)
猫が好きだ、猫が好きだと話をしている龍花達だが、恐らく自分達の方がよっぽど猫に似ているはずだ。あの自由気ままな感じで周囲を引っ掻き回す素振りは猫に似ていると思う
「ありがと、じゃあ早速捕まえに行くわよ。どっかに行く前にね!」
そう笑って龍花達を追いかけていく凜の背中を見て、買い物に来たはずなのにと思う反面。こういうのも楽しいかもしてないと思う自分がいた。鈴や箒は喧嘩こそするが友達と言う感じではない。あの2人は私から一夏を取ろうとしているので嫌いだ、だから友達とは言いがたい。簪は……微妙なので保留。だから学校で気が許せる友人と言うのは本音くらいだった。そしてその本音と似ている龍花と陽花は良い友人になれるかもしれない
「っとと「たっくマドカも結構運動音痴なの?」
そんなことを考えていたせいで転びかけた私の腕を掴んでくれた凜。あの貧乳とは比べるまでも無く社交性に富んだ人物だ
「あ、意やそんなことは無い少しバランスを崩しただけだ」
「そ、それなら良いわ。さっさと龍花達を捕まえて本を買いに行くわよ」
そう笑って私の手を引く凜。少し強引だがその感じは嫌いではない。私は凜と一緒に龍花達を捕まえ本屋に向かった。行きや帰りに龍花たちに振り回され大変だったのだが、その感じは普段の鈴や箒と喧嘩しているときの物と違いとても穏やかで楽しいものだった……
お母様出撃準備完了
日本から遠く離れたイギリスでは
「よしっとこれで準備完了ですね」
アルトリア達の母「リリィ・セイバー」が旅行の準備を終えて満足げに笑っていた。その理由はアルトリアとモードレッドから貰った手紙に書いてあった「士郎」と「龍花」に会うという目的のためだ
「ウーサーには置手紙を書いておけば良いですね」
なんでもドイツでキリツグさん(私の幼馴染のアイリスフィールの旦那さん)と和解するために出かけている。キリツグさんとの結婚はかなり反対されたから駆け落ちしたんですよね
「私は普通に結婚でしたからね」
名家同士でお見合いして、何回かデートして。それから結婚して3人の子宝にも恵まれたけど
「そう言う結婚もロマンチックだと思いますね」
好きなもの同士で誰も知らない土地に逃げて人知れず式を挙げる……友人や親族に祝ってもらう結婚もいいけどそう言う結婚もいいと思う
「まぁ今が幸せだからいいですけどね」
ネロにアルトリアにモードレッド3人の子供が全員日本に行ってしまっていて直ぐに会えないのは寂しいけど、手紙で元気で居るということを伝えてくれているのでいいけど。やっぱり顔を見て話をしたいという気持ちがあるそれに
「シロウ君にリューカちゃんだったわね。どんな子なのかしら?」
アルトリアにしてもモードレッドにしてもそうですが。顔つきは私に瓜二つですが、性格はウーサーにそっくりで武人って言う感じ
だ。モードレッドはそれでも構わないんだけど、アルトリアはもう少し女子のらしいほうがいいと思う。ネロは手紙で夫が出来たと送ってきた。最初は驚いたけど手紙を読み進めると、なんでも婚約を前提に付き合って居るそうらしい。写真を見ると温和そうでいい子だと思う。それにシロウ君はキリツグさんの養子とのこと、料理が上手で一緒にいて楽しいと良くかいてある。リューカちゃんだけはお姫さま?っていう感じだと書いてあった。それを見てから会って話をしてみたいと思っていた
「今日の夜の飛行機に乗れば昼前には着くはず」
突然言って驚かしてみようと思う。一応ランスロットには連絡してあるから寝る場所とかは大丈夫なはず
「さてと時差ぼけするときついから今日は早めに寝ておきましょう」
折角会いに行くのに時差ぼけした顔で会うのは母としていい物とは思えないからだ。私はそんなことを考えながら纏め終えた荷物を机の上においてからベッドにもぐりこんだ。久しぶりに会う娘と息子がどんな顔をするのか?喜んでくれるのか?それとも驚くのか?その事を考えながら眠りに落ちたのだった……
リリィが眠りに落ちた頃。日本では
「姉貴。なんか妙な予感がする」
「モードレッドもですか?私も何か嫌なというか……なにか起きそうな気がするんですよね」
「む?アルトリアたちもか?実は余もなのだ」
夏休みと言うことでアルトリアの家に遊びに来ていたネロもしきりに首を傾げていた。ネロ達が両親から引き継いだのはリリィからその容姿を、ウーサーからは超人的とも言える直感を引き継いでいた。その直感は連絡無しで奇襲をしようとしている母の存在をしっかりと感知していたりする……
第60話に続く
次回はリリィ強襲の話をしたいと思っています。龍花とかも勿論出すつもりです、留学中に両親が来るというのは普通にあるはずですしね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします