第60話
今日はおにーちゃんもイリヤちゃんも王花ちゃんも用事があるので1人で散歩をしながら。渡されたメモを見る、それには地図が書かれていてこの道だと書いてある。それと今自分がいるところを見て
「うーんとここをこっちだね」
今日のお散歩のコースはおにーちゃんが書いてくれた地図の通りを歩いている
「龍花ちゃん。おはよう!お散歩かい?」
同じように散歩をしていたおばさんにそう声を掛けられて
「はい!良い天気なので」
「そうかい。迷子にならないように気をつけてね」
「はーい」
そう返事を返しゆっくりと歩き出す。この道は私を知っている人が多いので迷子になっても大丈夫だろうと書いてくれた通路だ。それに脇道とかも少なくて猫を追いかけて言っても大丈夫な道だ
「今日も暑くなりそうですね~」
夏真っ盛りだから暑くなってくるのはこれからだろうなあと思いながらゆっくりと歩く。おにーちゃんやイリヤちゃん達と散歩をするほうが楽しいけど、1人でこうして散歩をするのも楽しいと思う
「あ、こんな所に小物やさんがあるんですね。今度イリヤちゃんと一緒に来てみようかな~」
新しい発見があることがあって面白い。前に見つけた狐屋と言うメロンパン屋さんもこんな感じのところにあった。意外とこういう所に珍しい店とか新発見があって面白いと思う
「それに今度は狐屋におにーちゃんとかも案内したいなあ」
あそこのメロンパンは凄く美味しいからお土産にしてもいいし、食べて帰る事も出来るからお散歩の途中によると良いなと思いながら歩いていると
「うーん。道を間違えてしまったようですね」
聞き覚えのあると言うか。アルトリアさんやモードレッドさんに似た声が聞こえてきて振りかえるとそこには
「ランスロットやガウェインに連絡しておけば良かったのでしょうか?」
アルトリアさん達より落ち着いているという印象を受ける、金髪の女性が大きな旅行鞄の隣で首を傾げていた。
(あ、可愛いリボンです)
黒いリボンで髪をポニーテールのように結わえていてそれがとても目に付いた。それにアルトリアさんに似ているので知り合いかと思い
「こんにちわ、どうかされたんですか?」
私はその女性にそう声を掛けたのだった……
アルトリア達の家を向かっていたはずなんですけど、途中で道を間違えたのか地図に書いてある場所に出なくて首を傾げていると
「こんにちわ、どうかされたんですか?」
その声に顔を上げるとそこには白い日傘に帽子と言う目立つ容姿の銀髪の女の子が私を見ていた。その子は
(リューカちゃんでしたね)
モードレッドの手紙に添付されていた女の子に間違いなかった。小柄でぽわぽわした雰囲気を写真からも感じていたけど、こうしてみるとふわふわと綿菓子のような印象を受ける子だ
「道に迷ってしまったんです。ヤガミ・リューカさんですよね?」
私がそう尋ねるとリューカちゃんは首を傾げながら。そう言う仕草の一つ一つも小動物のように可愛いと思える。リューカちゃんは
「どうして私の名前を知ってるんですか?」
不思議そうに尋ねてくるリューカちゃんに私は
「初めまして。私はリリィ、リリィ・セイバー。アルトリアとモードレッド、それにネロの母親です。いつも手紙で貴女の事を聞いていたのでつい」
私がそう言うとリューカちゃんはわあって笑って
「アルトリアさんとモードレッドさんのお母さんですか。こんにちわ、八神龍花です!」
お互いに自己紹介を終えた所で私はリューカちゃんなら知っているかもしれないと思い
「リューカちゃん。アルトリアとかの家判りますか?」
「はい!判りますよ。一緒に行きましょうか」
リューカちゃんの問い掛けに私は頷き。私とリューカちゃんは2人で並んで歩き出したのだった
「そっか、リューカちゃんはモードレッドと同じクラスなんだ?」
何も無いところで転んだりするので手をつないで歩きながら、そう尋ねると
「はい!私はよく迷子になるのでモードレッドさんに良く助けてもらってます、モードレッドさんは良い人です♪アルトリアさんも優しくて大好きです♪」
リューカちゃんとこうして話してみると判るけど、なんかこう……護りたくなる系の女の子なんですよね
(モードレッドもアルトリアもこの感じに参ってしまったのでしょうか?)
ウーサー良く似ているから騎士道精神に溢れる子供に育った。自分に厳しく他人にも厳しい。そう言う性格のアルトリアとモードレッドがこうして気を許しているのはリューカのこの雰囲気のおかげだろう
「リリィさんも良い人ですね♪こうして私の話を聞いてくれますから」
にこにこと笑うリューカちゃんは凄く嬉しそうだ。私はリューカちゃんと手を繋ぎながらゆっくりと海鳴の街を歩いた。この街でリューカちゃんは有名なのか途中であったおばさんやおじさんに声を掛けられていた。そんなリューカちゃんを見ているとリューカちゃんは恥ずかしそうに
「よく迷子になってしまうんで気を掛けてくれるんです」
確かにこんなに可愛い子がきょろきょろ歩いていたら気にもなるだろう。それに迷子になって悪い人に悪戯でもされたらと心配になってしまうのも当然といえる
「あんまり出歩いたことがないですか?」
「はい。少し前まで入退院を繰り返していたので、道をあんまり覚えてないです」
そうなんだ……だから道がうろ覚えなんだ。多分良く行く学校や友達の家は覚えてるんだろうけどそれ以外が駄目ってことなのね
「だからおにーちゃんやアルトリアさんと遊ぶのは凄く楽しいので大好きです、アルトリアさんもモードレッドさんも凄く優しい良い人だから♪」
前向きな性格とこの小動物のような気配。そしてこの華の咲くような笑み、これはもしかすると自分のみを護るための愛らしさなのかもしれませんね
「リリィさん。こっちですよ」
私の手を引いてニコニコ笑うリューカちゃんに案内され、私はアルトリア達の家の前に辿り着いたのだった
「それでは私はこれで」
来た道を引き返そうとしているリューカちゃんに
「待って。ここまで案内してもらったのにこのまま帰すなんて悪いです、お茶でも飲んで休んでいってください」
少しだけ速い呼吸が聞こえる。ここまで案内してくれるのに疲れているようだし。そう言うとリューカちゃんは
「良いんですか?」
「勿論です。一緒に行きましょう」
今度は私がリューカちゃんの手を引いて屋敷の門をくぐったのだった
リビングで課題をやっているモードレッドとアルトリアを見ながら
「なんだ?まだ課題も終わってないのか?学生の本分は勉強だぞ?」
余は既に白野とバカンスを楽しむために課題など夏休みの初日に終わらせた。白野も勿論一緒だ、とは言え今日は白野が用事でおじさんとおばさんに会いに行かないといけないという事で、こうしてアルトリア達の勉強を見ているのだ
「姉さん。俺馬鹿なんだよ」
「モードレッド。当たり前のことを言うのを止めなさい」
アルトリアのきつい一言でうっと呻いて俯いているモードレッド。昔からなのだがモードレッドは自分の興味のあることしか、その能力を発揮できないと言う面があった、参考書とにらめっこしながら課題をしているモードレッドを見て
(少しは教えてやるとするかな?)
あんまり最初から教えてしまうと依存心が出来てしまう。人間誰しも楽なほうが良いからだ、だから見ていたが課題の進行スピードがアルトリアの半分以下だと流石に可愛そうに見えてくる。得意らしい英語と社会の歴史、それに科学は良いスピードで終わらせていたんだが。これが数学・国語になると一気に失速した。日本で暮らして長いのだからそろそろ漢字の読み書きももう少しできるようにならないかと呆れながら立ち上がり。教えに行こうとすると
ピンポーン
「む?客人のようだな。余が出てこよう」
ランスは買い物。ガウェインは休日だから屋敷にはいない、と来れば必然的に余が出るしかあるまい。そんなことを考えながら玄関を開けると
「こんにちわ。ネロさん」
「龍花?遊びに来たのか?」
いつも通りの白いワンピースに日傘と帽子姿の龍花が玄関の前で手を軽く振っていた。アルトリアもモードレッドも龍花が遊びに来るなんて言ってなかったと思いながらそう尋ねると
「途中でここに来たいと言う人がいたから案内してきたんですよ」
龍花が案内してきたと言うことに少しだけ驚いた。迷子になってぐずっていたときの印象が強すぎるからだ、多分これがモードレッドやアルトリアならもっと驚くのだろうなと思っていると
「ネロ。久しぶりね」
扉の影から姿を見せたのはイギリスにいるはずの母上の姿だった。驚き思わず大きな声を出しかけたとき
「シー。静かに」
母上がさっと余の口を塞ぐ。龍花もシーっと言いたげに口に指を当てている
「母上。急にどうしたのですか?」
「ネロとかモードレッドに会いたいと思いまして。それにリューカちゃんとシロウ君。それにハクノ君を見て起きたいと思いまして」
ああ、なるほど母親として余達の想い人が気になったのか、母上らしいと思い苦笑しながら
「父上は?」
「ドイツ。アインツベルンに行ってます。キリツグさんと和解の為に」
……和解できるのか?余は激しく不安に思った。父上は衛宮の人間が大嫌いだ、今までSPとして依頼は全部こなしてきたのにそれを失敗させたのが衛宮の現当主。いがみ合いになるような気がしてならない
「まぁそれはおいておいて、アルトリアとモードレッドの所に行きましょう。最初はリューカちゃんと一緒に部屋に行ってくれますか?」
母上は久しぶりの再会なので驚かせたいらしい。母上らしいと思いながら
「では龍花行こうか?」
「はい♪」
日傘を傘立てに立てて余と一緒にリビングに向かう龍花。
「アルトリアさんたち驚きますかね?」
「驚くと思うぞ」
まず龍花が来て母上と来たら間違いなく驚く。奇襲もいいところだ、そんなことを考えながらリビングに入る。母上はリビングの入り口の所で待機している
「ネロ。お客さんは誰だったのですか?」
「うむ。龍花だ」
「こんにちわ。アルトリアさん。モードレッドさん」
世の後ろから顔を出して手を振る龍花に2人は
「リューカ、遊びに来たのですか?それならそうと言ってくれれば良かったのに、迷子にはなりませんでしたか?」
「迷子にならなかったか?」
龍花=迷子の図式。あんまりな図式だと思うが、この天然ぽわぽわの龍花を見ているとその反応が当然に思えてくるから不思議だと思っているとガチャリと音を立ててリビングの扉が開く
「「え?」」
そこから来た人物の顔を見て目を丸くするアルトリアとモードレッド。それは普段と全く違う顔で思わず龍花と一緒に噴出してしまう
「アルトリア。モードレッド久しぶりですね。お母さんが来ましたよ」
物凄く楽しそうに笑う母上を見た。アルトリアとモードレッドはフリーズ状態から回復すると同時に
「母さん!?」
「お母様!?」
「「どうして日本に!?」」
アルトリアとモードレッドの声がハモッた。父上がいないので全員集合とは言わないが家族のほとんどが揃った、それが少しだけ嬉しかった。いまなら多分父上と如何して余が家を出たのか?その話も出来るような気がしていた……龍花はにこにこと笑いながら
「お母さんにあえて嬉しいんですね。アルトリアさん、モードレッドさん」
物凄く嬉しそうにそう笑っていたのだった。母上はそんな龍花の頭を撫でて
「久しぶりにゆっくり話をしましょう。アルトリア、モードレッド。そのためにお茶を用意しないといけないわね、アルトリア手伝ってくれる?」
キッチンに向かっていく母上とアルトリアを見ながら余は
「モードレッド課題を片付けておこう。お菓子とお茶が来るはずだからな」
「え。ああ……判った」
「あ、じゃあ私もお手伝いします」
余とモードレッドと龍花で机の上に広がっている参考書とアルトリアとモードレッドの筆記用具を片付けるのだった……
第61話に続く
お母様来日です。……と言うかあれなんですけどね。本来同一人物の口調を変えただけなんですけどね。リリィも出したかったんですよ。そして考えた結果お母さんになりました。なんでだよ!?っと言う突っ込みは無でお願いします。次回は当然リリィさんがメインになる話です。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします