第61話
突然母さんが日本に来て家に来たことにも驚きなのに、更ににリューカを連れてきた……空港からここまでに一体何があったんだ??俺はそんなことを考えながらリューカと母さんを見る
「リューカちゃん。お砂糖は?」
「2つでお願いします」
リューカの紅茶のカップに砂糖を2つ入れて手渡している。何でだろう?凄く仲良しって言う感じがするぞ……もう何年も前から知り合いって言う感じに見える。それが不思議だと思っていると
(モードレッド。随分とお母様とリューカが仲良くなっているようですが、手紙にはなんと書いたのですか?)
ジト目で尋ねてくる姉貴。俺がリューカの事を彼女とでも書いたのだろうと疑っているようだ、俺は正直に
(仲の良いクラスメイトでよく話す程度しか書いてない。多分ガウェインの馬鹿が送った体育祭の写真のせいだ)
体育祭のコスプレをしたリューカをお姫さま抱っこで運んだあれのせいだと言うと姉貴は
(……そう言えば私もシロウを抱き上げている写真をお母様に送られましたね)
暫く2人で黙り込む。その間に姉さんと母さんそれにリューカは
「あ、美味しいですね、この紅茶」
「そうでしょう?いい茶葉なんですよ」
「うむ。確かに香りも味わいも抜群にいい。それに母上の土産のパウンドケーキも実に美味い」
普通にケーキを食べてお茶をしていた、実に平和な光景に見えた……リューカが俺と姉貴を見て
「モードレッドさん、アルトリアさん。美味しいですよ。一緒に食べましょうよ」
にこにこと笑って俺と姉貴に向かって手招きするリューカ。ガウェインの処刑は後回しにしてとりあえずケーキを食べることにしよう……その頃ガウェインは
「なんでしょうね?戻ったら殺されそうな気がします」
休日と言うことで街中を歩いていたのだが、敏感に己の身に迫っていることを感じ取っていたりする……
アルトリアもモードレッドも随分と大人しいなあ。余はそんなことを考えながら幸せそうにケーキを頬張っている龍花に
「もっと食べるか?」
「良いんですか♪」
キラキラと目を輝かせている龍花の皿に母上に許可を取ってからショートケーキを載せてやると
「おいしー♪」
はむはむっと言う擬音が似合う顔でもくもくと食べている。幸せ一杯と言う顔をしていて本当に愛らしい
「リューカちゃんはケーキが好きなのですか?」
「はい♪甘いものは大好きです♪食べてもあんまり太りませんし」
太らない……いや、余の予想で悪いのだが食べた分は全部その背丈に相応しくない胸に全部行っているのだと思う。余よりも頭一個分は小さいが、胸は余よりも大きく自己主張している。多分龍花がワンピースを着ているのが多いのはゆったりとした服で胸元をあまり強調させないためだろう
「リューカちゃんは時間はありますか?もしあるのならお昼を食べて行きませんか?」
母上の言葉に龍花はにこにことケーキを食べていたはその手を止めてソファーの上の鞄から携帯を取り出して
「ほっ……連絡は来てないです」
龍花といえば方向音痴。友人や家族から連絡が来てない事にほっとしているような素振りを見せる龍花だったが
♪~♪~♪
「うひゃっ!?」
突然鳴り出した携帯の着メロに驚いて背筋をピンと伸ばす。その動きが余りに大きかったのか龍花の胸がぶるんと揺れる。それを真向かいにいたモードレッドはその動きを目の前にして頬を赤くしていたアルトリアは多分母上がいなかったらモードレッドを殴っていたかもしれない状況だ。龍花は両手で携帯を持って通話ボタンを押して
「もしもし?」
『龍花か?まだ散歩しているのか?今どこら辺だ?迎えに行く』
携帯から聞こえてくる声は同年代の少年の声だった。アルトリアやモードレッドから聞いたが多分龍花の兄が電話の主だろう
「えーと、今アルトリアさんの家の近くに居るから。近くの十字路で待ってるね?」
そう言って携帯をきった龍花は残っていたケーキの欠片をぱくんっと一口で頬張り。紅茶を飲んで
「リリィさん、誘っていただけてとても嬉しいのですが、おにーちゃんが心配しているようなので帰ります。また今度誘ってください」
鞄を肩に下げ日よけの帽子を被りながら言う龍花に母上は
「無理強いは出来ませんからお気になさらずに、ではまた今度時間があれば」
にこにこと笑い返しながら言う母上にありがとうございますと言いながら深く頭を下げた龍花は余達を見て
「それではまた今度お話しましょうね♪」
にっこりとそう笑い龍花はリビングを出て行った、暫くするとバタンっと扉が閉まる音がした。多分家の外に出た音だろう
「仕方ないですね。リューカちゃんとの食事は別の機会にしましょう」
笑いながら立ち上がった母上は余達を見てそうだと手を鳴らして
「折角日本にいるのですから、シロウ君とハクノ君に会ってみたいので今度連れてきてくださいね。ネロ・アルトリア」
楽しそうにそう笑ってキッチンに向かう母上。残された余達は
「だ。そうだ。余は白野を明日にでも連れてくるつもりだが、アルトリアは大丈夫なのか?」
一応婚約前提と言うのは白野も認めている。だから母上がいると言えば直ぐに来てくれるから心配は無いと思うが、問題はアルトリアだ。士郎は色々と気の強い同級生に義妹に好かれているとロビンが報告してくれた……その事は流石に離せないのでそう尋ねると
「頼んできてもらいます。シロウも私が頼めば何とか……」
呼ばないと母上が何をするか判らない。温和で優しいのだが基本的には我が道を行く性格の上、アルトリアと同じくアホ毛を掴まれると性格が変わるのでそれを危惧しているようだ
「まぁなんにせよ。余は母上にあえて嬉しいがな」
イギリスに帰る気はなかったので母上が来てくれて嬉しいと言うとアルトリアとモードレッドも
「俺も嬉しいかな……1年ぶりだし」
「ええ、確かに嬉しいですね」
久しぶりに揃った3姉弟でそんな話をしているとキッチンから
「おおおお奥様ぁ!?何ゆえキッチンに!?」
「ランス。今日は私は昼食を用意しましょう。貴方も偶には休むと良い」
「そんな滅相もございません」
「構いません。久しぶりに会った子供達の為に料理をしたいのです、どうしてもと言うのなら手伝ってはくれませんか?」
テンパッテいるランスの声と穏やかな母上の声が聞こえてくる。実家にいた時は度々このやり取りがあったなあと思わず苦笑してしまうのだった
用事を終えて帰ってくると龍花がいないので迷子になったのか!?と思い慌てて電話するとセイバーの家の近くにいるというので迎えに行って2人で歩きながら
「セイバーの母親と一緒だったのか?」
「はい♪リリィさんって言ってとっても優しかったです」
口にクリームの跡があったのでセイバーの家に行っていたのか?と尋ねると龍花はニコニコと笑いながらそう言った。確かセイバーの実家はイギリスのはず。それなのに母親がいるということは
(夏休みだから顔を見に来たのか)
留学中の子供が心配になって見に来た。多分そんな所だろう
「モードレッドさんやアルトリアさんとそっくりなのです、そして凄く綺麗でした」
セイバーの一族は顔が似るのだろうか?母親とまでそっくりってある意味驚きだ。セイバーの家の前の通りを歩き繁華街に出ると
「あ、おにーちゃん。近くに凄く美味しいメロンパンの店があるので行きましょう♪こっちです」
「龍花?道を覚えているのか?」
大丈夫です!と言う龍花に手を引かれ近くの路地裏を入り進むと直ぐに甘い匂いが漂ってきた
「ここです♪」
少し進むと開けた場所に出て「メロンパン専門店 狐屋」と言う看板を掲げたパン屋が姿を見せた。メロンパン専門店なんて珍しい者があるんだなあと思いながら龍花と一緒に店の中に入ると
「いらっしゃいませ。また来てくれたのですか?」
「はい♪ここのメロンパンは美味しいので今日はおにーちゃんも一緒に来ました」
どうも龍花は良くこの店に来るらしく店員と顔見知りのようだった、店内を見ると様々な形のメロンパンが所狭しと並んでいる
(これはまた凄いな)
ロードローラーの形をしたメロンパンになぜか瓶詰めのメロンパン、その下には「凶戦士の魂」と銘打たれていた。中々独創的なセンスの持ち主らしい。それに一際目立っているのが
(なんだこの神メロンパンは)
机を1つ占領しているとんでもなくでかいメロンパンだ。値札には800円と書かれているがそれで成算はあうのだろうか?明らかに材料費の方が掛かっていると思う
「んーとおにーちゃんも何か買う?」
龍花の手の中のトレイにはメロンパンが乗っている。数が10個近いので多分ヴィータ達へのお土産なんだろうなと思いながら
「じゃあ私はこれを買うとしよう」
蜂蜜入り特性メロンパン「無問題メロンパン」と書かれたパンをトレイの上に載せ、龍花の手の中からトレイを取り上げて
「支払いを済ませて帰ろう。昼食の準備もしないといけないからな」
「はい♪」
時間は11時15分。そろそろ家に帰って昼食の準備をしないと不味い、シグナムとヴィータは今日は正午までの部活なので1時には帰ってくるからだ。そんな話をしながらレジに向かう
「12点で2400円になります。ポイントカードが貯まってるんで200円引いておくね?」
「はーい♪ありがとうございます」
財布からポイントカードを取り出す龍花。チラッと見ただけだがかなり貯まっているのが見えた、龍花は結構この店に来ているのかもしれない。そんなことを考えながら私も財布を取り出して
「支払いは私がするから龍花は商品を受け取ってくれ」
私がいるのに龍花に会計をさせるのはおかしい自分の財布から1000円札を2枚と100円玉を2枚取り出して店員に渡す
「はい。ありがとうございました、スタンプカード新しいのを出しておくね?」
店員は龍花にメロンパンの袋とスタンプカードを手渡す。龍花はそれをニコニコと笑いながら受け取り
「はい。また来ますね!おにーちゃん帰ろう♪」
また私の手を引いて歩き出す龍花の小さな背中に苦笑しながら私は狐屋を後にしたのだった……なおこのとき買ったメロンパンは今日のおやつに出したのだが余りの美味さに驚き、後日私もあの店のスタンプカードを作りに行くのだった……
「「「ご馳走様でした」」」
手を合わせて言うアルトリア達。モードレッドとネロは食べる量は普通だけどアルトリアは食べる量が多い。久しぶりに料理をしてあげたけどランスに手伝って貰って良かったと思いながら食後の紅茶を入れて
「アルトリア。シロウ君のお母さんはアイリスフィールではありませんか?」
「え?あ、はいそうですか……手紙に書きましたか?」
首を傾げるアルトリアに私は笑いながら
「アイリスフィール、いえアイリは私の幼馴染なのですよ。アイリがまだアインツベルンにいるときは良く話をしました。キリツグさんと駆け落ちするまでは」
駆け落ちをするという日の前日私にだけ教えてくれたんですよと付け加えると
「教えなかったんですか?父さんとかアインツベルンの人に?」
モードレッドの問い掛けに私ははいっと頷き
「アイリがこの人が良いって言って自分で決めた方です。今まではアインツベルンの仕来たりにずっと従って生きてきたアイリが始めて自分の意見を出したんです。それを止めるのは友人としてふさわしくありません。その背を押すべきだと思ったのですよ」
どうしようキリツグさんが嫌って言うかもしれないというアイリに大丈夫と励まし、絶対逃げれると応援したのは私だ。雪の降る夜
黒いコートを翻しアイリの手を引いて走るキリツグさんとアイリを私はアインツベルンの城の窓越しに見つめていた。ウーサーが追っ手に出たみたいだったけどキリツグさんは私の婚約者から見事に逃げきり日本まで逃げてきた。やはりキリツグさんもアイリが好きだったんだと思ったんですと言うとアルトリア達は知らなかったと絶句していた。まさか自分達の母親が駆け落ちを手伝っているなんて思っても見なかったのだろう
「久しぶりにアイリに会いたいですね」
偶に手紙でのやり取りはしていたけど、もう10年近く顔を合わせてない。折角日本にいるのだから会いに行ってもいいかもしれない。でもそれよりも
「リューカちゃんには会ったので、あとシロウ君とハクノ君に会いたいので近い内に連れてきてくださいね」
さてと荷物を片付けないとと思いながら立ち上がり。アルトリアに
「空いてる部屋はありますか?」
「え。あ、はい!2階にランスロットが部屋を用意してくれているそうなのでランスロットに聞いてください」
ありがとうと返事を返しリビングを出ようとして、そうだと振り返る
「母さん何?」
鞄から課題を取り出しているモードレッドを見る。男だけど私に似てしまって女顔だけど芯がある性格をしている、アルトリアとかがきつく当たるのはきっとモードレッドに強くなってほしいと思っているからだと思う
「リューカちゃんは良い子ですね。女の子を見る目が合って母さんは一安心です」
「な、なあ!?」
絶句しているモードレッドに背を向けて2階に向かって歩き出した。リューカちゃんもモードレッドを嫌っているわけではなさそうだからもしかするという可能性を捨てきれない。
「早くシロウ君とハクノ君に会ってみたいですね」
アルトリアとネロが選んだ男の子に会ってみたいなと呟きながら私は階段を上り始めた。リビングから聞こえてきたモードレッドの悲鳴はまぁイギリスではいつもの事なので対して気にせず、荷解きをすることにしたのだった
第62話に続く
次回は日常をメインにした話にしようと思っています。誰が出てくるかはまだ未定ですけど、ほのぼのをメインにした話にしたいと思っています。リリィさんはまぁそのうちオルタ化するかも?ですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします