第65話
お姫様。旅行に心躍る
「旅行ですかぁ。楽しみですね~♪」
にこにこと笑いながら、自分の旅行鞄を抱えている龍花。いつもの4割り増しでほんわかオーラが出ている、愛らしさ+40%と言った所だろうか
「ヴィータ兄。旅行って何がいりますか♪」
「あ、ああ。そうだな。歯磨きセットとかパジャマとかだな」
龍花にとっては初めての旅行だ。テンションが上がるのも納得だ、ヴィータや私に必要な物を聞いて手帳にメモをしている龍花
「んーそういえばアイリさん。海が近いってメールをくれましたね、水着も用意しないと駄目ですね」
教えなかったのに……アイリさん。龍花は今まで1回もプールや海に行ったことが無い、だから海があることを教えなかったのに
「準備を終えたら、水着を買いに行きたいので。一緒にお買い物に来てくれますか?」
にこにこと笑いながら、一緒に買い物に行こうという。龍花に嫌だと言える勇者は我が家には存在しなかったのだった。必要な物をメモした龍花が階段を登っていく音を聞きながら、私とヴィータ達は深く溜息を吐いた
「旅行が随分と楽しみなようだな」
「そりゃなあ、今まで旅行なんて行ったことは無いからな。楽しみなのは無理もないよな」
ふうっと溜息を吐くヴィータとシグナムに私は気になっていたことを尋ねてみた
「アイリさんは色々と誘うと言ってたよな。金ぴかも来ると思うか?」
アイリさんは士郎の携帯に乗っている面子には全員連絡したといっていた。その事がどうしても気になっているのだ
「うーむ。金ぴかの連絡先は入ってないだろう?多分」
士郎の携帯にギルガメッシュの連絡先が入っている可能性は低い。だが
「エルキドゥの連絡先は入っていてもおかしくないよな」
士郎はヴィータ・エルキドゥとよく行動を共にしている。アイリさんから連絡がなかったとしても、エルキドゥから聞いてしれっとした顔で着いて来てそうだ。奴が来るならば龍花に近づかないように徹底した警備が必要になる。
「まぁ取りあえず荷物を纏めようぜ。出発は明日だしな」
突然来たのが昨日。準備の時間は1日しかないのでこうして大慌てで準備しているのだ
(今度何かお礼をしないとな)
アイリさんは旅行の費用は自分とリリィさん(セイバーのお母さん)で出すから気にしないで良いと言っていた。お金持ちなのは知っているがまさか私達を招待してくれるとは思ってなかった。私はそんな事を考えながら荷物を纏め始めた。2泊3日だから着替えとかもそこそこいるなと思いながら、準備を終えて龍花を連れてデパートに向かっていると、龍花が思い出したように
「ギー君に旅行に行くって話をしたんですよ。そしたら我も行くって言ってました」
どうも金ぴかが来るのはアイリさん達のせいではなく、龍花のせいだったようだ……なお龍花が選んだ水着はと言うと
「これがかわいーです♪」
着ぐるみだか水着だか訳の判らない物だったが、龍花の歳不相応に成長した胸回りを完全に隠すタイプ。水着の上に着込んでいるようで、これ自体も水着としての効果がある。肌を見せたくない女性用らしい
「判ったそれを買おう」
「わーい♪嬉しいなあ」
にこにこと水着を抱える龍花。だが私達はこの時気付くべきだったのだ、ちゃんとPOPには書かれていたのだ
『着ぐるみタイプの水着とビキニタイプのセット。店内に飾られているのは着ぐるみタイプのほうです』
これを見逃してしまったことでのちに大騒動が起きることになるのだった
ブラウニーの決断
「うーむ。ここか」
遠坂が送って来てくれた。泊まりで出かける場所のホテルのページをインターネットで見ていると
「あら。士郎くんもそのホテルに興味を持ってくれたの?今イリヤとクロちゃんにも同じ話をしていたのよ」
俺の部屋に入ってきて嬉しそうに笑うアイリさん。一体何のことだろうか?俺がこのサイトを見ている事と何か関係があるのだろうか?
「龍花ちゃんのお友達を誘ってね。明日そこのホテルに泊まりに行くのよ、シロウ君も来るから見てるんでしょう?」
む……そうだったのか、何と言う偶然なのだろうか。遠坂が行こうと言って誘ってくれた場所とアイリさんが行こうとしている場所が同じなんて……
「どうしたの?もしかして行きたくない?」
心配そうな顔をして尋ねてくるアイリさん。イリヤやクロなら怖くて話せないがアイリさんならと思い
「実は同級生の遠坂にこのホテルに泊まりに行こうって誘われてるんです」
それに泊まりで行くのなら保護者に話をするのは当然の事だしなと思いながら言うと、アイリさんは俺を見て
「凜ちゃんから誘ってくれたの?」
「はい。なんかクジ引きで旅行券が当たったらしいんです」
俺がそう言うとアイリさんは思案顔になり。ぽんっと手を叩いて
「シロウ君。女の子が誘ってくれたのよ?断るなんて失礼だわ。行くって返事を返しなさい」
それだとイリヤとクロが怒るんじゃと言う不安を感じていると、アイリさんは
「男の子が誘うのは判るわ。だけど女の子から誘うってことは相当勇気が要るのよ?だから……ね?凜ちゃんに行くって返事を返してあげなさい。イリヤとクロちゃんにはちゃんと私が言っておくから」
おお。アイリさんが上手く誤魔化してくれるのか、それなら安心だ。直ぐに返事を返しますと言うとアイリさんは頑張ってね、と笑って俺の部屋を出て行った。俺は携帯を取り出してOKと返事を返して、旅行の準備を始めたのだった
赤い悪魔喜ぶ
「うーん。いきなり泊まりで出かけたいって言うのは失敗だったかな」
商店街のクジ引きで当てた旅行の招待券。最初は興味がなかったのだが、雑誌でそこのホテルの特集が組まれていて良い感じだったので士郎を誘ったのだ
(やっぱ嫌な感じに思われちゃったかな?)
泊まりで旅行に誘う女子と言うのはどういう風に受け取られるだろうか?と考える。自分係に男だと考えるとあんまりいい気はしない
「もっと考えてから行動すればよかったかな」
招待券の有効期限があるので慌ててメールを送ったが、それが失敗だったかもしれないと思い後悔していると、士郎からの返信が来る
「断りかな?OKの返事かな?」
メールをあけるのが怖い。あたしの感じだと、断られるのが7割。了承が3割って感じだ。
「ふー大丈夫ちゃんと説明したんだしいける!」
自分を励ますようにそう言ってからメールを確認すると
『誘ってくれてありがとう。アイリさんのOKが出たから行くよ、明日バス停の所で待ってる』
「よしっ!」
思わずガッツポーズを作ってしまった。ってこんな事をやってる場合じゃない!
「荷物を纏めて。水着も出して私服も選ばないと」
断られるかもしれないと思って荷造りは途中でやめてしまっていた。早く準備しないと慌てて準備をしながらも自然に笑みがこぼれる。
「ふっふっ……セイバーも桜も、イリヤもクロエも出し抜いてやったわよ」
この旅行で少しでも士郎の関心を惹きつける事が出来れば、他の連中よりも有利に立てる。
「絶対にこの旅行は成功させるんだから」
誰に聞かせるでもなく自分に言い聞かせるようにそう呟き。あたしは旅行の準備を進めたのだった……
だがホテルについて海に繰り出した所であたしは絶望することになるのだが、当然今のあたしはそんな未来を知るよしもなかったのだった……
不幸な弟脅される
「モードレッド正座」
姉貴にそう言われて。姉貴の前で正座する、俺は一体何をしたのだろうか?正座をさせられる時は何か酷いミスをしただけだと思うだけど
「モードレッド。お母様とアイリさんの計画で旅行に誘われているのは知ってますね」
「うん。と言うか今準備しているところだけど?」
着替えとか水着とかを準備している所だったと言うと
「そんなことはどうでも良いんです」
どうでもいいことじゃないと思うんだが、下手に反論すると姉貴の鉄拳が唸るので黙っていると
「リューカと一緒に旅行と言う所が重要なのです。愚弟」
あーはいはい、判りました。俺がリューカになにかちょっかいを掛けることを危惧しているわけか
「いや、あの過保護な兄貴も一緒なんだぞ?俺は命は惜しい」
「違います。私が言いたいのはお母様が何を考えているかを先読みしなさいという事です」
そう言われて少し考える。母さんはリューカを偉く気に入っている、そして馬鹿の手紙と写真のせいで俺が少なからずリューカに惹かれていると思っている。事実俺も少しはリューカが気になっているのだが
「何か仕掛けてくるとは思いませんか?」
「……思う」
無理やり俺とリューカをくっつけるような事を考えてそうな気がする。母さんは優しいが突拍子もないことを仕掛けてくることもあるからだ
「ですので、お母様の言動には最大限の注意を払うように。万が一……いえ、億が一ですが。リューカが貴方に惹かれるような自体になれば。私はシグナム達と結託してお仕置きをしようと思います」
「それならもう死刑って言えよ!もうどう考えても俺殺される未来しか見えねえよ!」
シグナム主将に、ヴィータさんとハヤテさんに姉貴。どう考えても俺の助かる未来が想像できない
「では早く荷物を纏めて置くように」
言うだけ行って部屋を出て行く姉貴の背中を見ながら、俺は深く溜息を吐き
(何で旅行に行くのにこんなに暗い気持ちで準備しないといけないんだよ)
もっと穏やかな気持ちで準備をしたいなと考えながら、荷物を纏め始めたのだった
金ぴか出陣&お目付け役出陣準備
夕食を終えてTVを見ていると、ギルが荷物を抱えてリビングにやって来て僕を見るなり、良い笑顔で
「では友よ。向こうで会おう」
「待て。君はどこに行くきだい?」
バイクに荷物を積み込みライダースーツを着込んでいる。ギルにそう尋ねると
「お前達が旅行に行くホテルで待っている」
何故旅行に行く事を知っているのだろうと思い首を傾げていると
「リューカが教えてくれたのだ。このホテルに行くとな!」
スマホを僕に突き出してくるギル。しっかりとここからホテルまでの地図を呼び出しているあたり、本気具合がわかる。しかしそれよりも僕が気にしていたのは
(リューカ。言ってしまったんだね)
多分旅行が楽しみすぎてメールか、電話かは判らないけどギルに教えてしまったんだね。僕は一応誘われていたけど、友が誘われたいことを知り断ろうと思ってたけど
(友が暴走しないように監視するのは僕の仕事だし、着いて行くしかないね)
取りあえず急いで準備をしないと……出発は明日の朝らしいから早く準備をしないと不味い。それに海辺のホテルだから、ギルがリューカを見て暴走する危険性を考えると僕が居ないと、折角の旅行が大惨事になりかねない
「ではな!我は先に行くぞ!ホテルで会おう!」
止める間もなくリビングを出て行く。暫くするとバイクのエンジン音が聞こえてくる
「夜なのに……大丈夫なのかな?」
夜にバイクで長距離運転。ギルは感とかバイクの運転技術は高いから大丈夫だとは思うけど……まぁ多分そのうち無謀だと判断して引き返してくるだろうから態々連絡するまでもないね。そんな事を考えていると
「友よ。夜道でバイクの長距離運転は危険のようだ」
危ない所だったと疲れた様子で呟く友。多分トラックとか車にぶつかりかけたのだと容易に想像できる
「だろうね。気付いてくれてよかったよ」
ふうっと溜息を吐いてヘルメットをリビングにおいて階段を上って行くギルの背中を見ながら
「考える前に行動。確かにギルらしいんだけど、危ないことはしないで欲しいなあ」
僕はそう呟きながら旅行の準備進めたのだった……そして翌朝ギルは朝食を食べるなり、出発していった。どうもリューカをホテルで出迎えて驚かせたいと言っていた。僕は少し足りない愛用のシャンプーとちょっとしたお菓子を買い足して、リューカたちが来るのを待っていた
パッパー!
外から聞こえてきたクラクションの音。どうやら来た様だね、僕は用意した荷物を肩に下げて家を出ると2台のマイクロバスが見えた
「エンちゃん~♪」
リューカがマイクロバスの窓から顔を出して笑っているのが見える。どうも見たところ女子と男子で別れているようだ、僕はリューカが顔を出しているマイクロバスへと乗り込んだのだった……
そして龍花やはやて達を乗せたバスはゆっくりとホテルに向かって走り出した。丁度同じ時刻
「じゃあ行きましょうか。士郎」
「おう」
士郎と凜も同じホテルに向かうバスへと乗り込んだのだった……海で遭遇する龍花達と士郎と凜。その時大波乱の幕が上がることになるのだった……
第66話に続く
次回は移動中の車内での話と到着までの話をしようと思います。男子のバス・女子のバスと交互にやって行きたいと思います。
もしかすると士郎やギルガメッシュの視点も入るかもしれませんね。まぁ書き出してみるまではどうなるとかは言えないですけどね
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします