第6話
「良いか?クラスメイトの男子に心を開くな。良いな龍花」
「私、お兄ちゃんが何を言いたいのか良く判りません」
お兄ちゃん達が何を言いたいのか全然判らない。
「……ヴィータ。何故私は1年じゃないんだろう?」
「はやて、落ち着こう。大丈夫大丈夫だ。あいつらが居るだろう?」
あいつらって誰?私の知り合い?
「だが彼女達は私達を嫌っているぞ?」
「過保護すぎるからなー俺達」
???何の話なんだろう?
「って。お兄ちゃん達遅れるよ?」
生徒会長に男子剣道部主将に野球部キャプテンと色々やってる、お兄ちゃん達は私より早く行かないといけない筈だ
「う……くうう。あの金ぴかに生徒会長をやらせておけば」
「……龍花。気をつけて来るんだ。良いな?他人は信用するな」
「お前ら頭の沸いてんじゃねぇか?まぁ良いけどよ。じゃな龍花。学校でな」
「はーい」
先に行くお兄ちゃんたちを見送り自分の準備をし
「良し!準備完了!」
時間も丁度良いそろそろ学校に行こう。でもその前に
「アインスの朝ご飯を用意しないとね」
何時もは帰ってきてから準備するが今日からは無理だ。だけど準備だけはしてあげたい。布巾を掛けて手紙に自分で温めてねっと。
「良し!行こう!!!」
数年ぶりの学校に胸を弾ませて私は家を後にした
「話は聞いている。八神龍花だな」
職員室で担任の先生になる人の話を聞く
「転入初日に遅れるとは恐れ入る」
「すいません……道間違えちゃって」
浮かれすぎて道を間違えるなんて……恥かしい
「いやいや。待ち合わせには遅れたがHRの時間にはまだ時間がある。そう気にする事は無い、さて遅れたが自己紹介をさせてもらおう、私は佐々木、佐々木小次郎だ」
「えーと……ジョーダンですか?」
「ふふ、よく言われるが本名だ。私の生家は江戸時代から続く剣道場でな。かの有名な佐々木小次郎の様な剣士になれと言われこの名をつけられたが、教師と言う道を選んだ私は親不孝者かもな」
ふふふと笑う佐々木先生に
「だから着物なんですか?」
「うむ。スーツは落ち着かないのだ」
うむうむと頷く佐々木先生は、着物に髪をポニーテール風に縛りTVとかで見る流浪人みたいな格好をしていた
「では、行くとしよう」
「はい!」
「良い返事だ」
私は佐々木先生に連れられ教室に向かった……そこで私は懐かしい幼馴染と再会する事になる
「珍しいなー佐々木先生がまだ来てないなんて」
「あの人も人間だ、たまには遅れるだろう?」
ティアナがそう言うがこれはかなり珍しい。佐々木先生はかならずHRの10分前には教室に来て、生徒からの悩み相談とかに乗ってくれる人なんだけどな
「どけ。間抜け面」
「行き成りそれはないだろ?王花」
このクラスで1番の美少女でありながら。その絶対零度の視線と他人を見下した態度で人を寄せ付けない。八神王花にそう言うと
「我の名を呼ぶな塵芥、分不相応だぞ」
こいつは……本当腹立つ!
「ふん」
俺を一瞥して一番奥の席に腰掛ける王花。
「見た目最高。性格最悪だな」
「同意しよう、だが2組の星花もかなりきつい性格だぞ?まぁ3組の雷花はアホの子だがそれでも下心とかには機敏に反応するぞ?」
確かに……八神の名から勘違いしがちだが、生徒会長の八神はやての妹と言うわけではなく。従兄妹のこの3人はとにかく顔もスタイルも抜群だが、それ以上に癖が強い……何人もの男子が告白し玉砕している。まぁ俺のタイプではないので何の問題も無いが
「王花~眠い」
「しっかりしろ。夜更かしするからだ、陽花……」
ぽわぽわした雰囲気の金髪の少女の世話をする王花、我が道を行く性格の王花が世話をするのはただ1人、八神陽花だけだ。天然どじっこ属性の1組のマスコット的存在だ。
「HRを始める」
佐々木先生が入ってきてHRを始める。
「うむ。今日も欠席者は無し良い事だ。それと今日は転入生の紹介をしよう。入ってきてくれ」
「はい」
ん?この声聞き覚えが?俺が首を傾げていると戸が開き女生徒が姿を見せる。海のような青い目と流れるような銀髪……昨日あった龍花だった
(同級生だったのか?)
小柄なので中学生かと思っていたがどうやら俺と同じ高校生だったようだ
「今日からお世話になる。「龍花!龍花ではないか!!」王花ちゃん!それに陽花ちゃん!」
不機嫌そうに窓際の席に陣取っていた王花が驚いた表情で龍花を呼ぶ
「あー龍花ちゃん、退院したんだ。良かったね~」
にこにこと龍花を見て笑う陽花。え?なにこの3人知り合い?
「王花。知り合いなのは判るが、自己紹介を邪魔するのは良くない。静かにするように」
「は、はい」
珍しく自らの非を認め席に着く王花
「さて、では改めて自己紹介を」
「はい!八神龍花です!宜しくお願いします!」
八神?……え?姉妹?皆が驚いた表情で王花達と龍花を見比べる。言い難いが全く似ていない
「彼女はつい先日まで入院していたので、暫くは学校行事などには参加しないが。同じクラスメイトとして仲良くするように。それと席は……そうだな。王花の近くが空いてるそこにすると良い。判らない事は王花に聞くといい」
佐々木先生は龍花の席を指示して。出席簿を閉じ
「では、今日も勉学に励むように」
龍花は王花達の所に行く途中で俺とティアナに気付き
「同じクラスですね。スバルさん、ティアナさんこれから宜しくお願いしますね」
ぺこりと頭を下げる龍花に王花が
「龍花?この塵芥どもを知ってるのか?」
「王花ちゃん?塵芥なんか言ったら駄目だよ?ちゃんと名前があるんだから」
龍花に窘められた王花。あーやば、王花になんか言おうものなら倍返しで……
「むっ、そうかすまん。気をつける」
「うん!それが良いよ。それでね、スバルさんとティアナさんは昨日しつこいナンパ男に困ってる時に助けてくれたとっても良い人なんだよ?」
「ほー?なるほどなるほど。だが信用するには早いだろう?」
「そうかな?」
「そうだ、お前は人が良すぎる。もう少し警戒する事覚えるんだ」
王花は俺達から龍花を遠ざけ、陽花の方に向けて背中を押す
「陽花と話してると良い。我はこの2人に少し言うことがある」
「うん?判ったよ」
不思議そうな顔をして陽花の方に向かう龍花を見ていると
「下賎な視線で龍花を見るな、戯け」
さっと自分の身体で龍花の姿を隠し
「龍花に馴れ馴れしくするなよ?塵芥」
俺とティアナを睨み自分の席に戻っていく王花
「ねぇ!星花ちゃんと雷花ちゃんは?」
龍花にそう尋ねられた王花は、クラスメイトの俺達が見たことも無い優しい表情をして
「2人は違うクラスだ、だが龍花が居ると知れば直ぐに来る」
「そうか~2人とも元気?」
「ああ、元気だとも。2人もお前に会いたいと言っていたぞ」
そっかそっかと嬉しそうに頷く龍花に
「ねえ?何で退院したの教えてくれなかったの?」
「んーおにーちゃんがまだ早いんじゃないかって言うから。同じクラスなら早く言えばよかった」
にこにこと笑う龍花と陽花、なんだあの雰囲気、天然の2乗って見てるだけこんなに和むものなのか?
「ちっ!あのシスコンどもめ、我達に黙って居たな」
「?怖い顔をしてどうしたの?」
「いや。どうもしない、さっ1時間目は数学だが、大丈夫か?」
「うん!一応一通りにはおにーちゃんとかに教えてもらったから大丈夫だよ」
なんだ?王花って二重人格だったのか?俺達と龍花への対応が違いすぎるんだけど?
「授業を始めるぞ」
数学の教師が入ってきたので考え事は中断となった……
「ん?携帯が」
3時間目の授業が終り、何時もの様に本を読んでいると携帯にメールが入っている。
「差出人は……王花?珍しい」
従姉妹同士で殆ど姉妹同然に過ごしてきたからわかるが、王花は滅多に自分から連絡をするような人間ではない
「何かあったんでしょうかね?また身の程知らずにも陽花にラブレターを出した人間が居るとか?」
私達の中で1番性格的に幼い陽花の事かなと思いながら携帯を見ると
「龍花が転入してきた。シスコンどもが連絡をさせなかったようだ。会いたいと言っているので至急1組に来い」
私は即座に携帯をしまい読んでいた本もしまい。1組に向かおうと廊下に出た瞬間
「わああああッ!どいて!どいて!!星花!」
ドドドッ!!
凄まじい走る音と慌てた声、私は避ける事も出来ず雷花の全力ダッシュの突撃を背中に喰らった
「イタタ……!!なにやってるんですか!このアホの子!!」
「僕はアホの子じゃないよ!!」
そうは言うが雷花はアホの子としか言いようが無いほどのアホだ。その分運動が得意なんだが……アホはアホだ
「何回もアホ言うなーッ!!」
しまった声に出ていたようです。まぁ事実なので認めてもらいましょう
「1組に龍花が居るようですね。早く行きましょう」
「なんか上手く話題をすりかえられた気がするけど。行こう」
「ええ、早く行きましょう」
5年ぶりの再会だ、実に楽しみだ。私は珍しく上機嫌で1組に向かった
「龍花、あんまり背伸びてないね?」
「言わないで、陽花気にしてるから」
5年前と殆ど身長が変わっていない龍花がしょぼーんとしていた……
「その胸に栄養が行ってるんじゃないのか?」
「そう……かな?」
身長は殆ど変化が無いが胸だけは凄く大きくなっていた
「運動しなかったのが原因かも……」
「まぁ良いではないか。その内背も伸びるさ……多分」
王花もなんといえば良いのか判らないのだろう。凄く言いにくそうにそう言った
「龍花ーッ!!!」
「うわあッ!!!」
雷花が椅子に座っていた龍花を抱き上げ
「久しぶりだね~元気だった?」
「はい、元気でしたよ雷花」
「そっか!そっか良かった良かった」
くるくると回る雷花に
「危ないから降ろし……」
「あっ」
雷花のしまったと言う感じの「あっ」と言う発言に猛烈に嫌な予感がした
「わわっ!!」
龍花のその小柄な体が宙に浮いていた
「なにやってるんですか!このアホの子!!」
「全くだ!このアホッ!!」
雷花は私達の中では最も体格に優れ腕力もある。あれだけ回転してれば龍花の小柄な体は浮いてしまう
「うーす、龍花……おおっ!?危ねええッ!!!」
赤い髪の男子……ヴィータが龍花を抱き止めた
「あっ、ヴィータ兄どうしたの?」
「お前マイペース過ぎねえか?龍花」
呆れたように言うヴィータ、あっちはあっちで任せればいい。私達は
「何か言い分は?」
「嬉しくてちょっとはしゃぎ過ぎました。反省してるんで許してください」
「王花、判決を」
「今日の夕食無しとデザート無しの刑だ」
「酷い!?」
「文句を言うのなら昼食も無しだ」
「温情感謝します。王花」
判決を受けた雷花、まあ怪我もないので妥当な判決だろう
「うん、うん判ったよ。ヴィータ兄」
「じゃな。ちゃんと伝えたからな」
私達がもめて居る間になにやら龍花とヴィータは話し終えたようでヴィータはさっさと帰ってしまった
「一体何の話を……」
キーンコーンカーンコーン
「むっ!時間切れですか。アホの子のせいでロクに話も出来ませんでしたね。また昼休みにでも来ます」
「僕はアホの子じゃ」
「龍花を怪我させかけたのに?」
「アホの子で……良いです」
しょんぼりした雷花を連れ私達は自分の教室に戻った。そして昼休みに再度1組に訪れると
「王花?龍花は?」
「お兄ちゃん達と弁当を食いたいんだと。悪いけど一緒にご飯食べれないってさ」
それは残念。5年間の空白を埋めたかったのだが……お兄ちゃん子の龍花がそう言ったのなら邪魔をするのはよくない
「仕方ないな。で?雷花は」
「悪い事したから昼食は良いって意地張ってます」
「ふん、あいつは両極端なんだよ。行くぞ雷花の分も弁当があるんだ、それを無駄にするわけには行かない」
「はいはい、素直じゃないですね。王花は」
「うるさい!」
赤面する王花、いじっぱりで我がままかと思いきや誰よりも優しい家族思いの王花に苦笑しながら私達は3組へと向かった。勿論雷花を迎えに行く為に……丁度その頃3年のはやてのクラスでは
「ギー君?」
「リューカ?」
新しい騒動の種が芽を出し始めていた……
第7話に続く
結構難しいですね、学園編と言うのもこれは用修行ですね。