第68話
海に来たのは久しぶりだな。龍花が入院しているのに海に行くなんてことは出来ず、本当に久しぶりの海だ。そんな事を考えながら
「モードレッド手伝え。パラソルとかを用意するぞ」
「はい。ちょっと待ってください」
モードレッドが肩に担いでいたクーラーを2つ下ろす、さっきホテルの店で買ったジュース類だ。人数が多いのでこれでも足りるかどうかは不安だ
「シグナム。そこを押さえろ」
「判った。何を作っているんだ?」
鉄杭を持たされたシグナムがアーチャーにそう尋ねる。アーチャーは水着に着替えず半ズボンにジャケットと動きやすい服装をしている。執事としての職務を果たすといっていた、泳ぐ気はないということだろうか?
「日除けだ。龍花達の事を考えると必須だろう?柱を三本立てて、それに布を縛るだったか?まぁ良い。説明するのは苦手だ」
アーチャーはそう言うとハンマーでどんどん杭を打ち込んでいく。肉体は執事と言うのも珍しいな
「はやて。パラソルを差し終わったよ」
「結構手が早くて助かったぞ」
白野とヴィータがふーと汗を拭いながら言う。私も最後のパラソルを立てて
「これで良いか……」
パラソルが8本と椅子が10脚。ブルーシートが3枚。日除けが3箇所……多少大袈裟かとも思うが
「女子が多いですからこれくらいで丁度いいですよね?」
確認と言う感じで尋ねてくるモードレッドに頷きながら
「ああ。身体の弱い子も多いからな」
アルビノのイリヤ。そしてつい最近まで入退院を繰り返していた龍花。面子的に考えると日除けや休む場所は当然多めに用意すべきだろう
「よし、次はバーベーキューの用意だな。ホテルで借りてくる」
活き活きとした顔で準備をしているアーチャー。やはり外でこうしてるほうが性に合っているのかも知れないな、とそんな事を考えていると
「うーみーッ!!!」
雷花の声が聞こえたと思った瞬間。ダダダっと駆け抜けていく足音とバッシャーンっと言う音がする
「すずしーあはは!!!」
物凄く楽しそうに泳ぎだす雷花。ツインテールは解いてストレートにしているから海に浮いているのが見える。私がそんな事を考えていると続いて
「いきなり海に飛び込む。ライカらしいわね」
「危ないから我はやめて欲しいのだがな」
やれやれという感じの声に振り返るとパーカーを着込んだイリヤ達が見える。まぁ当然といえば当然と思っていると
「海ー♪」
「うーみー♪」
龍花と陽花がイリヤと王花の脇から顔を出す。2人が着ている水着を見て
((着ぐるみ……))
龍花は猫。陽花は狐耳の着ぐるみのような水着を着込んでいる、しかもダボダボ。愛らしさ+50と言うところだろうか?それ以前の見たことの無い水着に驚いているモードレッドと白野。だがその反応は正しい、私も正直驚いているからだ
「パラソルとかを用意してくれたのね。ありがとう。はやて君」
さすがにアイリさんとリリィさんは水着には着替えず、半袖とスカート姿で私達が用意したパラソルの下に座り
「泳いでくるといいですよ。荷物は私とアイリで見てますので」
「そうよ、折角海に着たんだから泳いで来ても良いのよ?リューカちゃん達は私達が見てるから」
アイリさんの視線の先を見ると龍花と陽花は海に入る気配は無く。海を見てはしゃいでいる、初海でテンションが上がっているのだろう。かという私も少し泳ぎたいと思い
「それじゃあお願いします」
「はいはい。たまには遊んでらっしゃい」
パーカーを脱いで海へと飛び込んだ。日本とは思えない澄んだ海中はゴーグル無しでも十分見ることが出来る……久しぶりの海を楽しみ。海面に顔を出した所で砂浜のほうから
「あれ?ギー君?こんにちわー」
「ふっははは!リューカ我が来たぞ!」
金ぴかの声がして砂浜のほうを見ると。バミューダにパーカースタイルの金ぴかが龍花に手を伸ばしていた
「「「死ねえ!金ぴか!!」」」
私とヴィータとシグナムは海底に沈んでいた石を拾って、全力で金ぴかに投げつけたのだった
ギルが予想とおり海に来たね。そして僕達を無視してリューカの方へ向かう、らしいといえばらしいが
(はやて達が気付いたね。あ、石を持っているね)
拳大の石が3つギルの背中に命中した
「ふぐおおおお!?貴様ああ!「「ふんっ!」」ごがあ!?」
振り返ったギルの顔面に更に石がめり込む。それを見たリューカは
「ああ!?ギー君!?」
驚いて駆け寄ろうとしたが。それよりも早くギルは
「雑種ううううう!!!」
着ていたパーカーを脱ぎ捨て海に飛び込み。はやて達を追いかけ始めた
「おにーちゃんと遊びたかったのかな?」
きょとんと首を傾げるリューカ。相変わらずの斜め上の答えを導き出してくれるね。
「所でリューカは泳がないのかい?」
僕もパーカーを着こんでパラソルの下にいるが、興味心旺盛なリューカが海に行かないのが以外でそう尋ねると
「泳げるか判らないので」
あ。そうかリューカは入退院の繰り返しだったね。人生初海でそして初泳ぎ慎重になるのは当然だろう、さっきまで一緒だった陽花は着ぐるみの上を脱いで【中身はフリルの付いた可愛らしい水着だった】海に入って行き
「ふにゅー」
浮き輪でぷかぷか浮いていた。一応本人は泳いでいるつもりらしく、申し訳ない程度の水しぶきが見えた。勿論
「ふー。たまにこういうのも悪くない」
「そうですね」
オーカ達がフロートの上で陽花を見ていた。万が一に備えているのだろう、あのうっかりは何をしでかすか判らないから。そんな事を考えながら浮き輪を指差しリューカも浮き輪を使って泳がないのかい?と尋ねると
「ん。んーそれなら大丈夫かな?」
着ていた着ぐるみのジッパーを少し降ろすリューカ。そして中身を見た僕は慌ててその手を掴んで
「止めておいたほうがいいね。こうして僕といっしょに海を見ていようか?浮き輪もライカが使っているようだしね」
リューカが使う予定だった浮き輪はライカが使っている。普段ならなんてことをと思うが、今回はGJだと言える。なぜならリューカの着ぐるみの下は
(白のビキニとは驚きだ)
布面積が少ないビキニ。しかも白だった、ギルやモードレッドには目にどくだろう。そして
(イリヤ達には精神的ダメージが大きすぎる)
僕はトランクスタイプに上から羽織る水着だ、イリヤ達はワンピースタイプの水着。オーカ達は控えめなビキニ。だがリューカのは正直かなりきわどい
(サイズがなかったんだね)
リューカといえばふわふわとした雰囲気が第一だが、次に歳不相応な胸が目立つ。多分サイズがなかったんだろうと判断していると
「雑種共め。3対1とは卑怯な」
ぶつぶつと呟きながらギルが海から上がってきて僕に
「ジュース」
「はい」
クーラーからジュースを取り出し軽く投げる。勿論炭酸ではない
「すまんな」
首からタオルを提げて座ったギルはリューカを見て
「リューカは泳がないのか?」
「泳げるか判らないのです」
そう言うとギルは飲んでいた缶ジュースを飲み干し、何を言おうとしているか判った僕はギルに
(着ぐるみの下はビキニだよ?直視できるのかい?)
僕がそう呟くとギルはビクンと肩を竦めた。色々と考えたのだろう、ギルは無理だと小さく呟き
「それならば仕方ないな。無理は良くないからな」
「はい。おにーちゃんに心配を掛けるのも良くないのでこうしています」
にこにこと笑うリューカは海を見て楽しそうにしている。
(あとでビーチボールとかスイカ割りとかもやろうかな?)
アーチャーとアインスさんは昼食の準備だといって、さっきから海岸とホテルを行ったり着たりしているし、リリィさんとアイリさんは
「いい天気ねえ」
「そうね。こうして海の風に当たっているだけでも気分が良いですね」
パラソルのしたのリクライニングチェアに腰掛け本を読んでいる。皆思い思いに楽しんでいるようだね。特にネロと白野は
「あぶないい!もっとスピードを落としてエエエ」
「ふっははは!余が運転しているのだ!心配する必要はないぞ!白野」
水上バイクを楽しんでいるようだし、アルトリア達は
「そう、そうですよ、クロエ。ゆっくりとバタ足をしてください」
「こ、こう?」
クロエも海に来たのは初めて。ドイツのアインツベルンは雪が多い土地だから無理もないだろう。アルトリアに泳ぎ方を教わっている。何と言うかとてもほのぼのした光景だ、リューカがあの一言を口にするまでは
「あ、シロ君と凜さんです」
why?一瞬なにを言われたか理解できなかった。そして海の中にいたはずのアルトリア達がいつの間にかリューカの前にいた
(瞬間移動!?)
さっきまで泳いでいたのに!?僕が驚いているとギルも
「ば、馬鹿な。我が見切れなかっただと?」
どうも驚異的な動体視力を持つギルでも見ることが出来ないほどに早かったらしい
「リューカ。シロウとリンがいるのはどこですか!?」
鬼気迫った顔で尋ねられたリューカはいつもと同じほんわかとした笑みを浮かべて
「あっちですよ」
リューカの指先を見る。確かにそこにはリンとシロウの姿があった。砂煙を上げて走っていくアルトリア達を見て少し胃痛を覚えていると
「ん」
「ありがと、ギル」
ギルに差し出された胃薬の蓋を開けていると
「なんでさ!?」
シロウのいつも声と同時にばっちゃーんと言う大きな水の音が辺りに響いた。それをやったのは言うまでも無く拳を振り切った体勢のアルトリアだった……
士郎といっしょに部屋にチェックインし、そのまま海に出てきたけど
(綺麗な海ね)
青い海に白い砂浜。高級ホテルと名乗るだけのプライベートビーチだ、それにホテルの部屋も普通に泊まったら2万はする部屋で。TVもお風呂もベッドもある。これだけでも大満足だ
(っとと。いけないいけない。これで満足したら駄目よね)
折角セイバー達を出し抜いたのだからこの程度で満足しては駄目だ。水着は赤いビキニにした、肌の白さを武器にすることを考えたのだが
「……あーうん、それいいな」
「ありがと」
士郎も意識してくれいるみたいだし。良かった……士郎はホテルから借りたパラソルとシートを引いて
「しかし良い所だな。態々招待してくれてありがとな。遠坂」
「いいのよ。クジ引きだしね」
自分でもあったたらいいなあと思いながら引いて当たった時は驚いた。無心で引くことが幸運を呼び寄せたのかもしれない
「昼食もホテルで食べれるからそれまで泳ぎましょうか?」
「そうだな。海に来て泳がないわけには行かないよな」
荷物はないからそのまま2人で波打ち際に行く。そして海に入ろうとした瞬間
「シローウッ!!!!!」
物凄く聞き覚えのある声がした、そして次の瞬間士郎は
「なんでさ!?」
海へと殴り飛ばされていた。驚いて振り返るとそこには白いワンピース姿で拳を振り切ったセイバーと
「ふふーん。まさか私達と同じホテルに来てるとはね」
「出し抜き失敗ね。遠坂凜」
イリヤとクロエが居た。ふふんと勝ち誇った笑みをしているイリヤとクロエにいらっとしていると気付いた
(龍花もいる!?それに陽花と金ぴかも!?)
おーいと手を振っている龍花と陽花。それにはやて達も姿も見れる。軽く混乱していると
「ふー死ぬかと思った。いきなり殴るなんて酷くないか?」
「知りません。私が誘ったのに断るシロウが全て悪いんです」
ふんっとソッポを向くセイバー。そのまま帰れと思っていると士郎が不思議そうな顔をして
「おかしいな?アイリさんとリリィさんに行けって言われたから来たんだぞ?」
はい?その言葉にあたし達の目が点になっていると士郎は
「同じホテルに行くし、バラバラになってもホテルで会えるから良いわよって。聞いてないのか?」
ほほーなるほどなるほど、あたしのぬか喜びだったわけね。あたしはセイバーに目配せする。セイバーは頷き拳を握り締める
「士郎?」
「ん?なん「「この唐変木」」ぐはああ!?」
あたしの平手打ちとセイバーの鉄拳で再度海に沈んだ士郎を見ながら。
「もう良いわ。あたしの望む展開はなさそうだし、あたしもいっしょにそっちに行って良い?」
「ええ、どうぞ。リューカたちも喜ぶと思います」
折角友達がいるんだ。そっちに行こうと思い。セイバーの後をついて歩きながら
「後でこっちに来なさいよ!士郎!」
海面に水死体のように浮かび上がった士郎にそう怒鳴り。龍花達の方に向かって歩き出した
(まぁこれで良かったのかな?)
士郎と2人きりでなかったことは残念だが、それでもあたしにはセイバー達には無いメリットがある
(同じ部屋と言うのをフルに使うだけよ)
昼は一緒に遊んでも良いが。夜は士郎とあたしは2人きりだ、ここで一気に差をつければ良い。あたしはそんな事を考えながらパラソルの下においてあったビーチボールを拾って
「龍花。遊びましょうよ」
「はーい、エンちゃんも行きましょう♪」
「そうだね。僕も行くよ」
龍花に手を引かれ歩いていくエルキドゥを見て
「3対3ね。龍花とイリヤをこっちが貰うわ。アルトリアはクロエとエルキドゥね」
「判りました。クロエ頑張りましょう」
折角だから勝負しようと声を掛け、あたしとイリヤは即席のコートを書いてビーチバレーの準備を始めたのだった……
なおそのころ昼食の準備をしているアーチャーとアインスは
「焼きそばだ」
「いや。浜焼きだ」
焼きそばをメインにするのか、浜焼きをメインにするのでもめていたりしたのだが
「何を馬鹿をやっている。ロリコン。シスコン」
そこにギルガメッシュが入りる。ロリコンと呼ばれたアーチャーとシスコンと呼ばれたアインスが嫌そうな顔をするなか、ギルガメシュはホテルの従業員に
「この場所にバーベーキューセットと食材を届けよ。代金はこれで足りるな」
1万円札を5枚手渡す、従業員をおつりを取ってまいります。と言ってフロントのほうに駆け足で向かった。その背中を見ながら、ギルガメッシュはアーチャーとアインスのほうを向いて
「そんな小さいことでもめるな。どうせならどーんと両方準備すれば良いではないか」
ふふんと笑うギルガメッシュにそれもそうかと頷き、2人も借りる道具を書き出し従業員に手渡したのだった……
第69話に続く
次回はビーチバレーを観戦しているはやてとかの話と食事の話をしようと思います。ホテル変はいろいろとイベントをやろうと思っているので楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします