第69話
凜とアルトリアにボコボコにされ瀕死の状態で海から上がってきた士郎は
「ていっ!」
「士郎兄様お覚悟を」
「なんでさ!?」
イリヤの足払いで転ばされ、クロエとイリヤの連携攻撃でボコボコに蹴られて瀕死の状態にされた上に海の中に放り込まれ、水死体の様に浮かび上がり、波際に打ち上げられ白目を向いている士郎は誰にも心配される事なくその場に放置されていたが、数分で復活しふらふらと歩いてきていた。
「不幸だ」
ぼそりとそんな事を呟いている士郎は無視して、料理の準備をする者。ビーチボールをする者と色々いた。私は料理の下拵えをしながら龍花達のバレーボールを見ているのだが、明らかに不利な者が2人いた。それは言うまでもなく
「わぷ!?」
「きゃうっ!」
着ぐるみの水着を着ている。龍花と陽花だ、ボールを追いかければフードで視界を覆われ転倒、ボールを打とうとすれば袖に当たり明後日の方向へ
(全くらしいと言えばらしいな)
アインスと苦笑しながら昼食の用意をしながらそんなことを考える。はやて達も微笑ましい物を見るような顔をしている、これが普通の水着だった揺れる胸とかでそんな余裕はないだろうなあと思い。更に苦笑しバーベーキューセットの準備をしていると
「む……むうううう」
小さく可愛らしい声だが、龍花が苛々しているのが判る。苛々している理由は勿論自分が来ている水着に対してだろう、折角遊んでいるのにこれは無いと思ったのだろう
「そんなにむくれる事ないじゃない?遊びなのよ?」
「そうだよ、リューカ」
凜とエルキドゥがそう言う。遊びなのだからムキになる事は無い、楽しめばいいのだから
「ん、魚の下ごしらえが終わったぞ」
「そこにおいてくれ」
着実に昼食の準備を進めていると、龍花が
「これじゃあ駄目です!」
そう言うと着ぐるみのジッパーを下ろし、腰に巻きつける。そして
「「「がふっ!?」」」
丁度ジュースを飲んでいた。モードレッド、ギルガメ、ヴィータがむせ
ドフ
砂浜に何かが落ちる音がする。落ちたのはお盆で下拵えを終えた食材を運ぶための物だ。落としたのははやてと士郎
「よしっ!これで行けます」
パンパンと手を叩いて気合を表現する龍花。その上半身は白のビキニで、結構きわどい
(これは高校生には刺激がありすぎるか)
龍花の健康的な白い肌と歳不相応とも言える胸。その衝撃は男女共に計り知れない
「「「……」」」
自分の胸と龍花の胸を見比べて、悲壮そうな顔をしている凜とイリヤとクロエ、聞き間違いでなければ今ぼそりと
(((神様は何を基準にして、持つ者と持たざる人を区別しているの!?私達に何が足りないって言うの!?)))
ドイツ語でそう言っていた。女子には女子の悩みがあるんだな、と思いつつ放心状態のアインスとはやての頭を叩き、正気に戻させ
「放心している暇があるなら手伝ってくれ。アルトリア達がいるんだ、この程度では足りん」
気絶したギルガメは無視。戦力として役に立たないし、バレーボールを観戦していて、視覚のダメージを受けたモードレッドたちが再起動するにはまだ時間が掛かりそうだ。となればアインスとはやてしかいない
「はっ!?ああ、そうだな。余りに衝撃的過ぎて我を見失っていた」
「……見ないようにしよう。目に毒だ」
こいつらは龍花が妹……ああ。義妹だったな、そのせいで兄妹愛なのか、異性としての愛なのか。で悩んでいる
(好きなら好きと言えばいい物を)
まぁどうせ私もおにーちゃんが好きですで精神的ダメージを受けるだけだろうがな。龍花は
「えーい」
動きやすくなったのか飛び跳ねてる。そして胸も跳ねている、その度にイリヤ達とモードレッド達がダメージを受けている。
(無意識もここまで来ると天晴れだな)
龍花は純粋にバレーボールと海を楽しんでいるだけ、イリヤたちに精神的ダメージを与えようなんて微塵も思ってない。ただ遊んでいるだけなのだ。私はそんな事を考えながら、度々揺れる胸に停止する。アインスとはやての頭にチョップを叩き込みながら、昼食の準備を進めたのだった……
「面白い光景ですね。アイリ」
「そうねえ」
リューカちゃんが跳ねるたびに赤面するモードレッド君やハヤテ君。純情って感じがしていいわね
「しかしアイリ。リューカはハヤテ達の妹なのでしょう?近親はどうかと思いますよ」
「ああ、違うのよ。リューカちゃんは養子なの、だから法律的には大丈夫なのよ」
私とキリツグが一応身元引受人になっているから知ってるんだけどね?と言うと
「それはまた複雑ですね」
「そう。複雑なのよ」
良いお兄ちゃんで居たいと思ってるから、余計に動けなくなっているのよね
(リューカちゃんはどう思ってるのかしらね)
おにーちゃんが好きと言うリューカちゃん。その真意がどうなのかで大分変わると思う、それに
(リューカちゃんも自分が養子だって知ってるしねえ)
彼女がハヤテ君達の妹になったのは確か6歳くらいだったときのはず、だから十分に自分が養子だと理解している。それで考えるとリューカちゃんの好きはどっちのすきなのか?と思ってしまう
(余計なお世話なのかしらねえ)
こんな事を考えること時代が余計なお世話なのかもしれないけど、出来るならリューカちゃんにもハヤテ君達にも笑っていられる未来があるといいなあと思ってしまう。
「そうですか。色々と事情があるのですね」
納得と言う感じで頷くリリィはバレーボールのほうを見る
「てえーい」
元気よくジャンプしているが、ボールには全然届いておらず、リンちゃんがフォローしているのだが
「……悲しい」
ぼそりとそう呟いているのが見える。後ろからでも判るほどにリューカちゃんの胸が揺れている。それで精神的のダメージを受けているんのだろう。イリヤとクロエもなんか複雑そうな顔をしている
「楽しそうですが、モードレッド達が大変ですね」
「そうね。男の子だもんね」
揺れる胸と楽しそうな笑顔。リューカちゃんほどの美少女なら自分に向けられたものではないと判っていても赤面してしまうだろう
(シロウ君は……無心ね)
弓道をやっているシロウ君は調理に集中し、リューカちゃんを見ていない。見ると赤面してしまうとわかっているからの防御だ
「「青春って感じね」」
思わずリリィと同じ事を呟いてしまう。もしかすると歳なのかなあ?と思うけど、この光景をもしキリツグが見ていたら同じ事を呟くだろうと思いながら
「それでリリィは何を考えているのかしら?」
「そう言うアイリこそ」
ふふふと互いに笑い合う。母親としては恋愛成就を願うのは当然だ。息子や娘には幸せになってもらいたいからだ、そのために少しだけ手伝いをする。それはおかしいことではない筈だ
「秘密ですよ。ええ、秘密です」
「それは残念ね。何を考えているのか聞きたかったのに」
お互いにくすくす笑い合っているとアーチャーが
「昼食が出来たぞ。集まれー」
その声にバレーボールを止めるリューカちゃん。だけど暑いのか着ぐるみの上は腰に巻いたままだ。それを気まずそうに見ているモードレッド君達
(うふふ、面白いわね)
意識しないように気をつけているのに、余計意識してしまっているモードレッド君達が面白くて思わず笑ってしまう。私とりリィだった……
龍花の着ぐるみの下はまさかまさかのビキニだった。跳ねる。屈むで圧倒的な戦力差を見せ付けられたような気がして何か切なくなった……昼食の時は龍花から席を離して座ったモードレッド達が特徴的だった。近くだと胸を見てしまいそうで、それが嫌だったのだとわかる。ちなみに龍花はあたしと王花の間に座り、もそもそと食べていた。肉・野菜・果物・魚それらをバランスよく食べているから胸が育つのだろうか?もしそうならあたしも食生活の改善を考えたい
「はふー」
龍花は着ぐるみパジャマを来てごろごろしている。また猫のようなオーラが全開になっている
ちなみに昼食を終えた後。龍花は昼寝をするといってパラソルの下に寝転がったのだが、その姿は猫にしか見えなかったことを追記する。そして現在は
「ザッフィー」
馬鹿でかい犬のぬいぐるみを鞄から出して、自分のベッドに配置していた。家で何回か見たが、まさか持ってくるとは思ってなかったので正直驚いた。そしてパジャマも着ぐるみで更に驚いた、幸せそうにぬいぐるみをモフモフしている龍花に
「パジャマってそれなの?」
「ん?普段は違いますよ?おにーちゃんのYシャツを改造したパジャマとホットパンツです」
「「「それは金輪際きたら駄目よ」」」
「?」
不思議そうな顔をしている龍花。だがその格好は色々とアウトだ、何時はやて達の理性の鎖が弾けとぶか判らないので早急に止めさせたほうがいい。ちなみにネロと言うセイバーのお姉さんは、夕日の当たる砂浜を白野と散歩中で、窓の外を見ると並んで歩いているのが見えてなんか面白くなかった
「所でリンはどうしてここにいるんだい?」
「暇だからよ。士郎は士郎でなんかアーチャーに連れて行かれてたし」
なんか用事があったらしく連れて行かれてしまった士郎。1人でいるのも暇なので電話で龍花に聞いて、こうして遊びに来たのだ
「ふーん。なんなんだろうね?」
「さぁ?あたしじゃあ判らないわよ」
はやてとかも連れて行かれてみたいだし、何かを考えているというのは判るのだが、それ以上は判らない
「むにー」
「すぴー」
そして気がつけばぬいぐるみをモフモフしていた。龍花と陽花は眠っている
「あー静かにしてたほうがいいわね。あたし下のゲームセンター行くけどどうする?」
さっき見つけたのだが、UFOキャッチャーやホッケーがあるゲームセンターがあったからどうする?と尋ねると
「いいわね。行くわ」
「我はここにいる、ギルガメとかが来るかも知れんからな」
着いてくると言うイリヤとクロエ。それにセイバー。王花は部屋に残り龍花達の面倒を見るというので
「じゃあよろしくね。後でお菓子とか買って来るわ」
「じゃあ僕アイスー」
手を振りながら言う雷花に判ったわよと返事を返し、あたし達は部屋を後にした
「しかし、龍花たちにイリヤ達までいるとは思わなかったわよ」
「私もよ。お母様は何にも教えてくれなかったしね」
2人きりと思っていたのに気がつけばいつもの展開。アイリさんの手の上で踊っていた間がどうしても消えない。あたしとイリヤがそんな話をしているとクロエがはっとした表情で
「伯母様は色々と企むのが大好きなの。この旅行ただでは終わらない気がする」
考えすぎと笑おうとしたのだが、セイバーが青い顔で震えながら
「お母様が起きると大体、怖くなっているのですが、今回は大丈夫でしょうか!?」
その言葉に全員の脳裏に過ぎったのは、暴君セイバーのあの姿
(((いやいや、それはないだろう)))
背筋に冷たい汗が流れるのを感じながら、あたし達はゲームセンターに向かったのだが、まさか明日畏れていた事態になるとは誰も想像していなかったのである……
なお。アイリさん達に連れて行かれたはやて達は
「それでモードレッド君はリューカちゃんのどこが好きなのかなあ?」
「シロウ君はアルトリアのことをどう思っているのか、ぜひ教えて欲しいですね」
にこにこと笑うお母さんズの前に座らされ、そして1人ずつそんな事を聞かれていた。逃亡は竹刀を装備したアーチャーによって封じられている。そして
「俺は俺はアア……」
「……シクシク」
苛められた後の面子は泣いて蹲っていた。精神的に追い詰められ自己嫌悪とかで精神的なダメージが半端じゃないようだ。特にヴィータは龍花のことで色々と質問され、自覚したくない何かを自覚しそうになり、柱に頭を打ちつけて自我をたもうと必死だ。そして残っているはやて達は
「「「逃げたい……」」」
この状況から逃げることを考えていたのだが、シグナムでさえ撃沈したアーチャーからどうやって素手で逃げるのか?と言う問題があり、逃げるに逃げれない状況に追い込まれていた。そしてモードレッドと士郎は笑顔のアイリとリリィにじっと見つめられ、冷や汗を流していたのだった……そして覚悟を決めて暴露したモードレッドがはやて達に敵として認識されたのはいうまでもない……
そして知りたい情報を得たお母さんズは悪巧みを始めたのだった、計画実行まであと2時間15分……
第70話に続く
次回はお母さんズの悪巧みから始めようと思います。夏と夜がキーワードです。最後まで言わなくても判りますよね?
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします