第75話
人間誰しも思い出したくないと思うことは色々あるとおもう。それは悪夢であったり、嫌な思いであったりそれは色々だ。そして私は最近出来たトラウマを思い返しながら
「貴様は如何してそんなにへたれなんだ?モードレッド?」
「いひゃい!いひゃいですううう」
モードレッドの頬をつねり上げているのは、かつて私達を恐怖のどん底に落とした、黒いセイバーと全く同じ表情をしているリリィさんだった。私達は川原に正座したまま、モードレッドの処刑を見てどうか自分に来ませんようにと祈りながら近くのネロに
(あれはどういうことだ?)
(アルトリアも母上も二重人格でアホ毛を掴むと駄目なんだ)
遺伝!?二重人格を遺伝したのか!?
(厳しいし、怒りっぽいから下手に逆らわないで流れが終わるのを待つしかない)
それは前のセイバーのときにも理解している。逆らったら駄目なのだ。ちなみにランサーとバゼットさん。そしてアーチャーとアイリさんは
「なんか怖いな。おい」
「本能的な恐怖を感じますね」
「喋るな。ランサー。飛び火する、黙々と調理を進めろ」
「……リリィはああなると怖いのよねえ」
黙々と昼食の準備をしながらそんな話をしている。私も出来るならそっちの方が良い
(それで何故リューカ達だけあっちなんだ?)
ギルガメがネロにそう呟く、視線の先ではイリヤやクロエ、それに王花達に龍花と陽花達がレジャーシートの上に座っている。龍花は頬をつねられているモードレッドを心配そうに見つめているが、イリヤ達は見る価値もないわよ?と話しかけている。
(母上は小動物が好きだから)
妹を小動物として扱われるのはどうかとおもう半面。私達と同じように石の上に正座させられてないだけ良いと思わないといけないだろう
「役立たず。無能、臆病者。昨日のあれはなんだ?女子に護られるとは恥ずかしくないのか?ハヤテ達の怒りも最もだ」
リリィさんの罵倒は更にヒートアップし、モードレッドは頬をつねり上げられ往復ビンタを叩き込まれぐったりしている。優しそうな人だと思ってたいたが……恐ろしい人だったようだ
「それにアルトリア!」
「は、はい!お母様なんでしょうか!」
頬を引っ張られ続け。最終的に往復ビンタで撃沈したモードレッドをごみのように投げ捨て、セイバーを呼ぶ。セイバーは背筋をピンと伸ばしリリィさんを見ている。投げ捨てられたモードレッドはと言うと
「モードレッド君?大丈夫?」
白野に手当てを受けていた。そういえば白野も何故か龍花達と同じ対応されてるな、何故だ。解せぬ……
「何故お前はそんな性格になってしまった。私は蝶よ花よと育てたはずだ」
そうなのか?セイバーはどう考えても、そんな感じに育てられたと想像出来ないんだが……
「い、いや……それは多分お父様のせいでは?」
しどろもどろに返事を返すセイバー。困っているのが良く判る
「何度も育て方については話し合った。その結果がこれか……今からでもリューカのようになるだろうか?」
「?」
急に話を振られた龍花が小首を傾げる。しかしセイバーがあんな素振りをしているのはどうしても想像できない、セイバーは凛々しいほうがセイバーらしいとおもう
(それで我達はいつまでこのままなんだ?)
(しらねえ。俺に聞くな)
(ふー。何でこうなるんだろうな)
遠坂やエルキドウもシートの上に座っているが、私達は石の上に正座している、段々感覚のなくなってきた足に眉を顰めながら、リリィさんのセイバーに対する説教が終わるのを待つのだった……
(モードレッドさん大丈夫かなあ)
私はリリィさんに座っているように言われているレジャーシートの上で川原に倒れこんで動かないモードレッドさんを見て心配になった。白野さんが手当てしてくれているけど動く気配がぜんぜんない
「リューカ。大丈夫だってそんなに心配しなくてもいいわよ」
「だな。モードレッドはああ見えて頑丈だ。心配することはないだろう」
イリヤちゃんと王花ちゃんがそう言う。私はじゃあと呟き
「アルトリアさんは?」
私の呟きに一緒に居た陽花ちゃんが
「確かに可哀想だよね」
うん。私もそう思う、今のアルトリアさんは
「もう少ししおらしく出来ないのか?」
「い、いやその……すいません」
リリィさんにもう少し可愛らしくできないのか?と言って責められているアルトリアさんが可哀想でしかたない、私のせいだし何とかできないだろうか?
「んー確かに難しい問題よね、何とかする方法を考えましょう」
「そうだね、それにあのままだとギル達も可哀想だ。何とかする方法を考えよう」
凜さんとエンちゃんならきっと良いアイデアを思いついてくれるはず。私は川原で正座しているおにーちゃん達にごめんねと呟き、2人が良いアイデアを出してくれるのを待った
~10分後~
「うん。これしかないわね」
「だね。これ以外の方法は無いね」
凜さんとエンちゃんが出した結論は1つ。そしてその方法を聞いた私と陽花ちゃんは早速行動にでることにしたのだった……
「それにお前達もだ。ハヤテ!」
「「「は、はいッ!!!」」」
おにーちゃん達が背筋をピーンと伸ばす。その顔には怯えが見える。だけどその理由はわかっている
「……」
さっき正座に耐えかねたギー君が立ち上がった瞬間。リリィさんが踏み込んで何かするとギー君は泡を噴いて動かなくなってしまった。何をされたかは判らないけど、おにーちゃん達は自分達も危ないと判断して警戒しているのだろう
「お前達もお前達だ。義妹に対してだな……」
「なんで耳を塞ぐの?」
「聞かないほうが良いとおもうから」
陽花ちゃんに耳をふさがれたままゆっくりとリリィさんに近づく、何の話をしているか私には聞こえないけど、おにーちゃんとかが慌てている素振りを見る限り、アルトリアさんが言われてた事と同じような内容なんだろうなと思いながら、ゆっくりと近づく
「いいか?判ったな」
「「「……はい」」」
丁度話し終えたリリィさんの服の裾を引く。リリィさんはゆっくりと振り返り、私と陽花ちゃんを見て
「む?どうした?リューカ、ヨーカ。遊んでいて良いのだぞ?」
さっきまでの怖い顔と違って優しい顔で尋ねてくる。私と陽花ちゃんは大きく深呼吸してから
「折角遊びに来てるのに、怒られてる人は見たくないです」
「リリィさん。もう直ぐお昼も出来ますし、その話は1回終わりにしませんか?」
凜さんとエンちゃんの出したアイデアは、私と陽花ちゃんでリリィさんでリリィさんの警戒を解き、最終手段にでる事。リリィさんは私と陽花ちゃんの言葉を聞いて顎の下に手を置いて考える素振りを見せる……
「確かにリューカとヨーカの言う通りだな。はい全員立つ!食事の用意を」
手をパンッと叩くリリィさん。その音と同時に川原に崩れ落ちるおにーちゃん達を見て私は
(二度とリリィさんのアホ毛を掴まないようにしよう)
私は固く心にそう誓ったのだった……そしてポケットの中から財布(エンちゃん命名リューカハンマー)を取り出す。前より小銭が増えてて結構重い。だけどこれしか方法がないから仕方ないと自分に言い聞かせながら大きく振りかぶる。おにーちゃんとかがまさか?と言う顔をしているがそれは無視する
「リリィさん」
「ん?なん……ふぎゃっ!?」
斜め45度の角度から財布をリリィさんの頭に振り下ろしたのだった……
龍花の財布ハンマーで気絶したリリィを見ながら、ランサーとバゼットは調理を一時中断し
「お嬢ちゃん。パネエな」
「まさか龍花さんがあんなことをするとは」
驚きに目を見開いているランサーとバゼットに私は
「龍花は結構実力行使に出るぞ?私も良く殴られる」
財布とかポーチでな。と付け加えるとアーチャーもうんうんと頷きながら
「ああ、良くあるな。勘違いとかをするとその確率は倍以上になる」
なるなるとアーチャーと頷き会っていると、ランサーが
「いや。そりゃお前らが過保護すぎるからだろ?」
そんな意見は断じて認めない。龍花をほっておいたらどうなるかなんて考えるだけでも恐ろしい
「ねーそろそろ食べれる?」
雷花がそう尋ねてくる。私は止まっていた作業を再開しながら
「もう少しだ。もうちょっとだけ待っててくれ」
釣り上げた魚とランサーとバゼットが持っていた野菜。それに私達が持って来ていた焼きそばの麺。昼食ならそんなもので良いだろう。
「魚を今度こそ!」
「きゃあ!ちょっ!ちょっと!私のズボンに引っかかってるんだけど!」
陽花が竿を振り、隣のイリヤのズボンに引っ掛けてイリヤに怒られている。星花達は
「冷たくて気持ち良いですね」
「そうね。やっぱ夏だしね」
「スイカを入れておこうか?」
川に足を入れて涼んでいる。私も料理が終わったら少し位川に入っていると良いかも知れないな
「ギルガメ。何匹だ」
「17匹だ。そう言うお前は?」
「8匹だ……」
「ふふん!我の勝ちだな!このまま我が勝ち続ける!!」
はやて達は金ぴかと魚の数つり勝負。セイバーがいるから多くて困る事はないから問題ないな
「魚ばっか釣っても仕方ないし、すこし散歩しない?」
「それもそうだな。行くか」
士郎と凜は散歩か。凜の奴は本当にこういう所は抜け目ないな、イリヤもクロエも自分と士郎に注意を向けてない時に実に上手く士郎をつれて行動している。これはもう1つの才能だな
「腹を割いて味噌を入れて焼くか?」
「いいな。それで行こう」
塩焼きもいいが一手間加えた物もいい。味噌のほかに醤油ダレモいいかもしれない。タレの準備をしながらふと視線を逸らすと
「よいしょ」
「リューカ。助かりました、母上はああなると中々止まらなくて」
「うむ。普段は優しくてこうなりたいとおもうのだが。ああなるとな……」
セイバーとネロが気絶したリリィさんをブルーシートの上に運び。そこで龍花と白野。そしてアイリさんがリリィさんの手当てをしている。確かに気絶させてそのままとも行かないからな。あの3人で手当てをすれば、目覚めた後もそのままなし崩しになかったことになるだろう
「うーし。良い焼き加減だ、こいつは骨酒が楽しみだ♪」
「では日本酒も温めておきますか」
「お、いいねえ。やっぱり酒だよな!」
料理もそこそこに酒の準備をしている。ランサーとバゼットに溜息を吐きながら
「アーチャー。ソース」
「ほれ」
私とアーチャーは黙々と調理を進めるのだった……途中で
「うーす。手伝いに来たぞ。こいつもな」
「……どうも」
ヴィータとモードレットが手伝いに来てくれたことで何とか、食べる量がとんでもないセイバーの分を用意できると安心し、4人で料理の下拵えを勧めるのだった……
なお関係の無い話だが。ドイツ。アインツベルンの城の会議室では
「久しぶりだな。キリツグッ!!!」
「ああ。まったくだな!ウーサーッ!!!」
互いに自分の経歴に傷をつけたもの同士、和解という名目でこうして顔を見合わせているが、妙な所で子供っぽいウーサーもキリツグもはいそうですか。と納得できず、互いに相手の手の骨を砕いてやるという顔をして全力で互いの手を握り合っていた。そんな2人を見てユーブスは
「やれやれ。和解できるのかのう……」
ユーブスとしてはここでウーサーとキリツグに和解して貰おうとこうして話し合いの場を設けたのだが、当のウーサーとキリツグは
「どうした?顔が青いんじゃないのかぁ?」
「それはこっちの台詞だ!」
口元こそ笑っているがその目は殺意にギラギラと輝き、全然和解しようとする気が感じられない。
「うーむ。リリィとアイリもいたほうが良かったのう……」
旅行に行っているリリィとアイリも連れてきたほうが良かったと呟き。その手にしていた杖を持ち
「いい加減にせんか!!!」
子供のような喧嘩をしているウーサーとキリツグの頭に杖を叩き込み、蹲っている2人を見て再度深く溜息を吐き
(ワシも付いて行けばよかったのう……)
子煩悩なおじいちゃんであるユーブスは殺伐としたこの雰囲気に深く溜息を吐き、日本に居る愛娘と、可愛がっている孫のことを思い、再度深く溜息を吐き
「いつまでも子供のような喧嘩をしているんじゃない!」
互いににらみ合っているウーサーとキリツグに再度そう怒鳴るのだった……
次回は食事回で行きたいですね。あと出来たらですけどランサーとかが飲んでいる骨酒を飲んで酔う龍花とかも出来たらナーとは思いますが、自信が無いので出来たらで行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします