第78話
窓から差し込む光で目を覚ます。直ぐに身体を起こして大きく背伸びをする。
(今日も良い天気そうで何よりですね)
旅行のときに良い天気と言うのはうれしい。折角の旅行で雨なんて降っていたら、旅行に来た意味もなくなってしまいますしね。そんな事を考えながらベッドを出ようとして
「むにー」
猫のような奇妙な声が聞こえてくる。多分リューカだと思い振り返り絶句した……
「!?!?」
リューカがずりずりと布団の上を這いながら、そのふちの方に向かっていた。あのままでは落ちてしまう
(やっとリューカの部屋の布団の下にぬいぐるみがある意味が判りました!)
リューカの部屋にぬいぐるみが多いのはきっと、リューカ自身がぬいぐるみが好きなのとこの寝相の悪さを考慮して、ハヤテたちが設置したのに違いない!私はそんな事を考えながら自分の使っていた枕をリューカのほうに投げた。すると同時に2方向から枕が飛ぶ、飛んできた方向を見るとオウカとネロだった。どうやら私と同じように起きて慌てて枕を投げたようだ
「もにゅー」
3つの枕がクッションになり床に叩きつけられることがなかったリューカだが、空いてる手で布団を掴んで。また包まってしまった
「リューカは寝起きが悪いのですか?」
私と同じように枕を投げたオウカにそう尋ねると、オウカは額の汗を拭う素振りを見せながら
「……かなり悪いな。血圧も低いからな」
そうなんですか。私の知るリューカは天然でぽわぽわこそしているが、しっかりしていると思ったんですけど……
「まぁなんにせよ、間に合って良かったではないか?では余は顔を洗って白野と散歩に行くのでな!また朝食の時に合おう」
言うだけ言ってさっさと顔を洗って部屋を出て行ってしまうネロ。その素早さに若干呆れつつも、ネロらしいと思った
「それでは我達も顔を洗うか?」
「ですね。髪も整えないといけないですしね」
少し跳ねてしまっている髪を見ながら、そう苦笑するのだった。
「んーん?おはようございます。王花、セイバー」
「はい。おはようございます。セイカ」
目を擦りながら起きたセイカの髪は寝る前と対して変わってない。こういう時短い髪と言うのは便利だなと思わず思ってしまうのだった。それに対してライカは
「うあー」
「ゾンビのような声を出してないで、さっさと顔を洗って来い」
「うあー」
べしっとオウカに頭を叩かれ、ふらふらと歩き出すライカ。あの様子を見る限りライカは相当朝に弱いらしい
「ふみゃー」
「にゃー」
「はううう」
「うー」
次々と亡者のような声を上げて起き出す。リューカ達だったがそれぞれがふらふらと歩き。その声と合わさって思わず私は
「ゾンビですか?」
「言うな。笑ってしまう」
オウカとそんな話をしていると後ろのほうから
「あ、エルキドゥ……おは……よう?」
歯切れの良いセイカにしては珍しく、聞き取りにくかった。一体何が?と振り返り私は絶句した
「なに?」
長い髪で顔を隠しているのだが、見ているだけでもわかる不機嫌オーラ。髪が跳ねていることもプラスして何と言うか異様な迫力に満ちていた……
「エルキドゥですよね?」
確認と言う感じで尋ねるセイカにエルキドゥ?は頷きながら大きく欠伸をして
「そーだよ。朝は凄く弱いんだ。静かに……」
ふらふらと歩くエルキドゥ。先日は私が起きたら既におきていていつも通りでしたが、もしかすると早起きして身だしなみを整えていたのかもしれない
(昨日の弊害ですね。何と言うかすさまじいですね)
(そ、そうだな。まるで別人だな)
温和で優しいエルキドゥだがこうして見ると、何故か知らないが鬼か悪魔と言った気がしてならない……思わずそんな事を考えていると
「ふにー」
「うみゃー」
貧血気味なので起き上がることが出来なかった。リューカとヨーカがふらふらと立ち上がる、その手には布団
「あ?」
そしてその布団に丁度足をかけていたエルキドゥ。あっと思った瞬間にはもう遅い、リューカもヨーカもそしてエルキドゥが同時にバランスを崩し
ごちん!
聞いてるだけでも痛そうな音が聞こえてきたと思った瞬間
「「「ふぃみゃああああああ!?!?」」」
とても奇妙な鳴声が三重に重なるのだった。それはまるで猫が尾を踏まれたときの鳴声に似ていると私は思ったのだった……
「あいたたた。もう頭痛いなあ」
エンちゃんが頭を摩りながら言う。私と陽花ちゃんはそんなエンちゃんと比べると全然痛くない
「ごめんなさい。私石頭だったみたいです」
「私も」
自分でも知らなかったが、私と陽花ちゃんは相当な石頭だったようだ。大概のことは我慢できるエンちゃんが痛いと言っているのだから、相当硬かったようだ。エンちゃんは良いよと言って手を振りながら
「少ししたら治まると思うからそんなに気にしなくて良いよ」
「エルキドゥ。冷蔵庫に氷が入っていたのでどうぞ」
「ありがと」
アルトリアさんに氷の入った袋を受け取り、たんこぶを冷やしているエンちゃんを見ながら、自分の鞄から櫛を取り出して梳いているとイリヤちゃんが
「梳くの上手いわね。長い髪は大変じゃない?」
私と同じくらいの髪の長さをしているイリヤちゃんはちょっと苦戦しているようだった。確かに長い髪は梳きにくいかな
「んー今度髪を切りに行きましょうか?星花ちゃんと同じくらいの長さにしてみます」
星花ちゃんはショートカットで見ているだけでも涼しそうだ。まだまだ夏は続くんだし、1度髪を切りに行っても良いかもしれないと思い、そう言うと星花ちゃんは慌てた様子で手を振りながら
「止めたほうが良いですよ?龍花はその長さがとても良く似合っていますから」
「んーでも夏だしね?ここまで長いと少し暑いよ」
似合っているといわれるのは嬉しいけど、あんまり長いと夏場は暑いんですよね?と言うと
「それなら僕みたいにツインテールにする?縛ってあげようか?}
既に着替え終えて髪を縛り終えた、雷花ちゃんがそう尋ねてくる……ツインテールですか。それも可愛いかもしれないですね。でもどうせなら
「私アルトリアさんみたいな頭が良いです」
あんまり見ない髪形だし。可愛いと思いながら言うと鏡の前で髪を編みこんでいたアルトリアさんが
「別にかまいませんが。これは時間が掛かりますよ?」
1度髪を編むのをやめてそう言うアルトリアさん。時間が掛かるってどれくらいだろうと思い首を傾げていると
「私もう30分くらい編んでるんですよ?それでもですか?」
「それでもです♪」
時間はいくら掛かってもいい。1度アルトリアさんと同じ髪型にして見たかった。ツインテールとかポニーテールはしたことがあるけど、シニョンは1回も無いからやって見たいと思っていた
「判りました。では私の隣へ」
「はーい♪」
私はアルトリアさんの隣に座って、アルトリアさんに教わりながら髪を編み始めるのだった……視界の隅では顔を洗って戻ってきた。イリヤちゃんやエンちゃんが身だしなみを整えているのが見える。
(今日の朝ご飯は何かなー)
そんな事を考えながら、アルトリアさんの真似をして髪を編み上げるのだった……
「ここをこうやってですね。こうするのです」
「あ。こうですね?」
「そうそう。その感じです、後はゆっくり編み上げて行って下さい」
姿見の前で並んで髪を編んでいるリューカとセイバーをみながら、自分の髪を梳いていると
「エルキドゥは朝は弱いのか?」
「見ての通りだよ。低血圧だからね、朝は駄目なんだよ」
起きてから暫くはまともに動けない。だから普段は少し早めに起きているんだけど……昨日の酔ったリューカの暴走で疲れ切ってしまって、自分でも思うよりも寝てしまった
「凄い顔だった……怖かったよ」
「言わないで、貧血の人は大体こうなんだよ」
僕がそう言うとまだ貧血のせいで動きが鈍い、イリヤとクロエがのろのろした動きで髪を整えながら
「うん……それ凄く判る。私も朝は全然駄目」
「士郎兄様に起こしてもらえれば直ぐ起きれるんですけどね」
それは貧血よりもシロウに起こしてもらったというのが嬉しいからではないだろうか?
「陽花。そろそろ起きれるか?」
「むにいー」
「駄目そうだな。星花タオルを頼む」
「判りました」
ヨーカはまだ布団の上で伸びている。僕よりも相当寝起きが悪いね、あれは……そんな事を考えながら髪を梳き終え、髪留めを付け、着替えを用意しているとタオルをお湯で濡らしてきたセイカが戻ってくる
「どうぞ」
「ありがとう。陽花?行くぞー?」
オウカはそう声を掛けるとタオルでヨウカの顔をごしごしと拭き始めた
「むにーうみゃー」
「喋らないでいい。じっとしていろ」
慣れた手つきでヨウカの顔を拭き終え。タオルを机の上におき、今度は櫛を取り
「じっとしていろよ?」
「はーい」
ヨウカの後ろに回って、そのふわふわな金髪を梳き始めるオウカ。更にライカとセイカはヨウカの鞄から
「えーと。今日は暑くなるって言ってたからこれ?」
「却下ですね、露出が多すぎます」
あーじゃない、こーじゃないとヨウカの服を用意していた。僕は驚いた顔をして見ているイリヤとクロエに小声で
(オウカ達も相当だけど思うんだけど?)
(う、うん私もそう思うよ)
ハヤテとかのことを過保護だ。なんだと言っているのに自分達もヨウカに対しては相当な過保護だ。あれではとてもではないが、ハヤテ達の事を言うことなんて出来ないだろう
(でも心配になるからね。ヨウカもリューカも)
クロエノ言うことも判る。リューカもヨウカも見ていると心配になる性格をしているから……だけどある程度は離れてみるのも大事なんじゃないかな?
「で、出来ましたー!」
「初めてにしては上手ですよ。少し編みこみ不足ですけどね」
リューカの嬉しそうな声に振り返ると、確かにリューカの髪はセイバーのシニョンに良く似た形になっている。だけど初めてだから、少し編みこみ不足のようだけど、十分に可愛く出来ている。しかし
(あれ?シニョンって結構時間が掛かるよね?)
時計を見ると既に7時30分を指そうとしていた。既におきてから1時間以上経っている。それを見て僕は慌てて
「皆ー!急いでー!ハヤテとかもうレストランで待ってるよ!!!」
7時にレストランで待っていてくれているはずのハヤテ達の事を思い出し、僕は慌てて着替えながら、まだ貧血で動きの鈍いイリヤとクロエの着替えを手伝うのだった。女子部屋が騒然となっている頃はやて達は
「遅いな」
「仕方ない。女子は準備に手間取る物だ」
「こういう時に待つのが男の甲斐性と言うものだな」
はやてやシグナム。そして漸くハートブレイクから回復したアーチャーがコーヒーを片手にそんな話をしているのに対して
「あー腹減った……」
「調子に乗って少し走りすぎた」
ヴィータとモードレッドは早朝ランニングに出ていたので、空腹のせいで机に突っ伏している。時々腹が鳴っているのが悲哀を誘う
「さーて、今日は何をしましょうか?やっぱり海上レジャーが良いかしら?」
「む?そうだな。この近くにはボート遊びが出来るところがあるぞ、あと海上釣堀」
「へーそうなのですか。それも良いですね。面白そうです」
「しかし船酔いの事を考えると全員それで良いものか……」
ギルガメッシュとアインスを交え、今日の予定を考えるアイリさんとリリィさん。そして最後に
「士郎はもう少しアルトリアさんとかの気持ちを考えると良いんじゃないかな?」
「んーやっぱりそう思うか?むー難しいだよなあ」
唯一の彼女持ちの白野に自身の近況を相談し、これから自分はどうすれば良いのか?と言うのを聞いていたのだった……ネロだけは我関せずと言いたげに白野にもたれるようにして目を閉じて、寝息を立てていた。やはり姉妹だけあってネロも朝に弱かったようだ……
第79話に続く
次回は海でのイベントを書きたいですね。そろそろ本当にねたがなくなるので、1話ずつ、どんな話にするのか?と言うので頭を抱えている混沌の魔法使いです。ですので感想をもらえると凄く嬉しいですね!それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします