第81話
リリィと一緒にアハト翁の家に行くと、そこにはアハト翁とは別の人物がいた
「暑いですね、冷たいお茶を用意しましょうか?」
僕やアルトリア達とは違う、ふわふわとした銀髪に蒼銀と変わった目をした少女だ。
「ふむ。お願いしようかのう?リューカ」
縁側でアハト翁と並んで座っている銀髪の少女の姿が見える。あの少女の姿は見たことがあった、ガウェインが送ってきた写真で見た少女だ。
「リリィ、あの子はもしかしてヤガミ・リューカさんでは?」
名前と写真でしか知らないが、多分当たっているであろうと思いながら尋ねると
「ええ。ガウェインが送ってきた写真の女の子ですよ。何回かお話しましたが、良い子ですよ」
やはり……1度話をして見たいと思っていた、しかし何故アハト翁と一緒にいるのでしょうか?
「む?ウーサー」
「ウーサーさん。こんにちわ。お久しぶりですね」
僕とキリツグがにらみ合っていると縁側にいたリューカさんが
「リリィさん。アイリさん。キリツグさん、こんにちわー」
嬉しそうに手を振るリューカさんは僕を見て首を傾げながらアハト翁に
「誰ですか?」
「ウーサーじゃ、リリィの夫だ」
なるほどなるほどと何回か頷いたリューカさんは僕を見て、手を振りながら。
「ウーサーさんもどうぞー。暑いから冷たいお茶が美味しいですよ」
にこにこと笑うリューカさんとその隣のアハト翁を見て僕は思わず
(孫とお爺ちゃんと言う感じがしますね)
アハト翁には確かちゃんと孫がいるはずだが、それ以上にリューカさんとアハト翁は孫と祖父と言う感じがするのだった……
お義父さんのところに何故龍花ちゃんが……
「切嗣さん、ウーサーさんもどうぞ。冷たくて美味しいですよ」
龍花ちゃんがニコニコと笑いながら麦茶の入ったコップを差し出してくる
「ウーサーさんはミルクティーの方がいいですよね?どうぞ」
「ありがとうございます」
にこにこと笑う龍花ちゃんがウーサーにミルクティーを差し出す。
「リューカちゃんありがとう。冷たくて美味しいわ」
「いえいえ、どういたしまして」
にこにこと笑う龍花ちゃんだったが、全員の飲み物を回すとは僕とウーサーを見て
「ユーブスさんに聞きました。お2人がずっと喧嘩をしていると」
お義父さん!?なんて卑劣なことをするんですか!?お義父さんは龍花ちゃんの頭を撫でながら
「そうなんじゃよ、ずっと喧嘩をしているんだ。子供みたいにな」
「もう!駄目ですよ!ユーブスさんに迷惑をかけたら!」
怒った様子で僕とウーサーを見る龍花ちゃん。あ、これは駄目な流れだ、この後龍花ちゃんが何を言うか判る
「仲直りです。今ここで!」
「「ええ!?」」
僕とウーサーが互いの顔をにらみ合い。アイリとリリィは
「やっぱりリューカちゃんが居ると良いわね
「ええ。2人を仲直りさせるために力を借りようと思ってましたからね」
ぐるになってたのか!?僕とウーサーを仲直りさせるために!?
「いつまでも過ぎた事で揉めて如何する?仲直りすればいいではないか?」
お義父さんの言葉とキラキラとしている龍花ちゃんの瞳を前に。僕は小声で
(僕は……正直お前が嫌いだが、お前がいることでアイリと結婚できたし、お義父さんとも和解できた。そろそろお前とも和解しても良いと思える)
(それは僕も言えます。貴方に出し抜かれたことで不敗と言うのもなくなり、普通のボデイガードに戻れましたし)
互い同士で話をしててはどうしても話がこじれてしまう。互いに互いが意地っ張りと言うのは良く判っている、だからこそ2人だけだとどうしても意地を張り合ってしまうと判っていた……だがこうしてアイリとリリィが居て落ち着ける状況で話を出来ると自分でも驚く位すんなりと納得できた
「それにウーサーさんもキリツグにも言いたいんだけど、シロウ君もアルトリアちゃんも凄く仲がいいのよ?親同士が喧嘩をするのはどうかと思うわよ?」
「私もそう思います、若い2人の恋路を邪魔するような親では良くないと思いますよ?」
2人にそう言われ、僕とウーサーは
「長い事すまなかった。随分と遅れたが……許してくれ」
「それは僕も言いたいです。キリツグ。いつまでも子供のように意地を張っていてどうもすいませんでした」
互いに握手をしていると龍花ちゃんがうんうんと嬉しそうに笑いながら
「ユーブスさん。スイカ切ってきましょうか?」
「ふむ。頼むぞ。リューカ」
はーいっと言ってキッチンに向かっていく龍花ちゃん。ウーサーは龍花ちゃんの背中を見ながら
「明るくて良い子ですね。リューカさんは」
「そうですよ。ウーサー。彼女は誰にも優しく接します。私も彼女の人柄はとても好ましいですよ」
それは間違いない、龍花ちゃんの明るさと優しさはこう心に染み入ってくるのだ
「すんなり仲直りできたのも彼女のおかげかもしれませんね。どうですか?日本に居る間に釣りを教えてくれないですか?」
「うーん。僕もあんまり得意じゃないんだけどねえ……士郎とかを誘おうか?」
今までの険悪な感じはどこにやら、笑顔で会話が出来ている事に驚きながら日本に居る間どうするかの話を始めるのだった……
仲良く話をしているウーサーとキリツグを見ているとアイリが
(変なところで意地っ張りなのよね。ウーサーさんも、キリツグも)
呆れたように言うアイリにええと小声で返事を返す。2人とも元はボデイガード同士であり、互いに交友も会った。だが駆け落ちのせいで互いの子供っぽい対抗心を刺激してしまったのだ、多少強引な手段でしたが、リューカちゃんが一緒にいてくれたのはよかったとおもう。
「スイカ切れましたよー?冷たくて美味しいですよ」
お盆の上にスイカを載せて歩いてくるリューカさん。何か嫌な予感が……
「はわわ!?」
やっぱり!?何もないところで足を滑らせるリューカちゃんの手からお盆が零れ落ちる。
「よいしょっ!」
「リューカらしい」
ウーサーとユーブスさんが零れ落ちたスイカを両手でキャッチし、私も手の届く範囲だったので手を伸ばしスイカを受け止める
「とっとと!大丈夫かい?龍花ちゃん」
そして倒れたリューカちゃんはキリツグが受け止める。リューカちゃんは
「皆さん凄いですね!そんなの初めて見ました♪」
私達がスイカを受け止めるのを見て、目を輝かせていた。それを見て私達が苦笑していると
「何か変なことを言いましたか?」
「いいや、龍花ちゃんらしいなあと思っただけだよ。気をつけてね」
キリツグが手を貸してリューカちゃんを立ち上がらせる。
「えへへ。滑っちゃいましたどうもすいません」
ぺこりと頭を下げてえへへと笑ったリューカちゃんはユーブスさんの隣に座って、スイカを手にする。私達も同じようにスイカを手にして
「夏はやっぱりこれですね」
「うむ。そうじゃな」
ユーブスさんと並んでスイカを齧っているその姿はどこからどう見ても、祖父と孫の姿でそれを見たキリツグとアイリは
(イリヤとかよりも孫って感じがするね。アイリ)
(そうね。何でかしら?)
自分達の娘や息子よりも孫と言う雰囲気を持っているリューカちゃんにしきりに首を傾げていた。その仕草が余りにおかしくて微笑みながら
(良い子でしょう?ウーサー)
(ええ。こうしてみているだけでも判りますよ。リューカさんがどんな人物かと言う事は、モードレッドが女性を見る目が合って安心しましたよ)
そう笑うウーサー。だけどリューカちゃんには鉄壁とも言える義兄と従姉妹が居るので、モードレッドの恋路は茨所か地獄への直行便なのだと……
(もう少し後で教えますかね)
リューカちゃんを微笑ましい顔で見ているウーサーに今言うのはよくないと判断し、私はスイカをかじるのだった……
ちょうどその頃海鳴の外れでは
「何か言いたい事はあるか?」
長い銀髪と黒いコートと目立つ様子の青年がそう尋ねる
「「……ごめんなさい」」
正座をしながら謝る2人に青年ははぁっと溜息を吐きながら
「魔法をそうぽんぽんぶっ放すな、オーバーランク……平行世界に弾き飛ばされてしまっただろうが」
街外れの林の中で長い銀髪と黒いコートの青年の前に正座する。茶髪と桃色の髪の美女は
「狸が悪いのです」
「ストーカーが悪い」
もう直ぐにでも殴り合いを始めてやると言う顔をしている2人に
「いい加減にしろ。たわけ」
ごつんッ!!
頭を押さえてごろごろ転がっている2人を見て、銀髪の青年は深く溜息を吐き
「魔力はない。デバイスも壊れた……んでしかも並行世界……どうしろって言うんだ」
余りの痛みに悶絶している2人を見て、もう1度溜息を吐いた青年はどうとでもなれと呟き、近くの切り株に腰掛けたのだった……
第82話に続く
お姫様に夜天メンバーが入りますよー。ネタ切れに困りこれしかないと判断したのです。これなたネタは増えるからパーフェクトです!何でだよ!?と言う突っ込みは聞かないのであしからず、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします