第89話
龍花からの連絡で双子館の龍也さんに会って、昼食に誘われたので士郎と待っているとの連絡に私とヴィータそれにシグナムは双子館に向かいながら
「しかし迷惑じゃないのか?かなりの人数だぞ?」
ヴィータがぼそりと呟く。それは私も感じていた、私とヴィータとシグナムと龍花。それに王花・陽花・雷花・星花。そして士郎に凜。後で合流してくるセイバー・モードレッドに来るかもしれないエルキドゥに金ぴか。合計14人……普通に考えれば迷惑とも取れる人数だ
「私もそう思う。少し何かを買っていくか?」
シグナムの言葉に少し考える。手持ちは充分にあるので問題は無いが
「ジュースで良いだろうか?」
「成人してるからなあ」
あのはやてさんとセッテさんは歳は教えてはくれなかったが成人しているとの事。龍也さんが24歳らしいので20~21歳と予想される。そんな人達にジュースでいいのだろうか?しかし未成年なので酒は買えない
「酒くらい自分達で買ってるだろう?なにか摘みでも買っていこう」
「だな。柿ピーか?」
「ジャーキーだろう?」
「どっちでも良い、適当に買っていこう」
多分気に入ってもらえるであろう摘みをコンビニで買い。双子館に向かっていると
「あ、姉きい……死ぬ。俺……死ぬぅ……」
「死ぬといってるうちは死にません、早く歩きなさい」
背中にリュック。両手に酒瓶が入っている袋、そして滝のような涙を流しているモードレッドと涼しい顔をして歩いているセイバーを見かけて
「セイバー達も招待されたのか?」
そう尋ねるとセイバーはええっと返事を返してから
「シロウと出かける約束をしていたのでシロウの家で昼食を頂く予定だったのですが、まぁこういうのも楽しいのではと」
「た、たぁすけてえ」
地獄のそこから呻くようなモードレッドが余りに哀れで手にしている酒の入った袋を受け取っていると
「私そんなの聞いて無い。お兄ちゃんは今日用事があるって言ってた」
いつの間にか現れたイリヤが無表情かつ恐ろしい表情で告げる。その後ろのクロエも
「士郎兄様……信じてた、信じてたのに……ふふふふふふふ」
越えてはいけない一線を越えてしまいそうになっていた。龍花がイリヤとクロエ見たいにならなくてよかったと心底安堵していると
「その用事が私と出かけることだったんですよ」
セイバーがドヤ顔で油を注ぐ。そしてイリヤとクロエのオーラが更にやばいことになる
(はやて、俺は先に行きたいと思っているのに足が動かねえ)
(私もだヴィータ)
イリヤとクロエそしてセイバー。3人の出す異常なオーラに足が竦んでいると
「なにしとるん?」
ぽわっとした感じの京都弁に似た大阪弁、この声は……振り返るとそこには明るい色調の茶色のジャケットに黒のスカート姿のはやてさんがいて呆れたような顔をして私達を見ていた。同じ名前と言う事もあるのだが、何かこの人には逆らってはいけないという意識が私にはある。ヴィータとシグナムも同じように感じたと言っていた。これはもしかすると一種のカリスマ性なのかもしれない。なおはやて達は知る由も無いが、はやてに逆らえないのはある意味遺伝子とかそう言うものに刻まれた……恐怖からであるのは言うまでも無い
「全く。道中で喧嘩なんてしたらあかんやろ?喧嘩するなら双子館で士郎を相手にしい?」
さりげなく士郎を生贄に持っていく辺り恐ろしさを感じる、そして
「まぁはやての言う通りかな?お兄ちゃんが悪い」
「そうですね。士郎兄様が悪いんです」
士郎への怒りにシフトするイリヤとクロエ。士郎の末路を考え私達が顔を青褪めていると
「行くで、兄ちゃんが待ってるでな」
そう笑って歩いていくはやてさんの背中を見ながら、双子館へと歩き出し
「見つけたああ!双子館どこーーッ!!!」
半泣きで突撃してきた雷花に呆れながらも苦笑して、迷子になっていた雷花の面倒をイリヤ達に押し付けて、双子館に向かうのだった……
凄まじい食欲だな。招待したのは正解だったのかも知れない、六課のときの癖で作りすぎた料理の数々は
「もっきゅもっきゅもっきゅ。これは実に素晴らしいです」
「ああ。お褒めに預かり光栄だ。お代わりは?」
「ぜひ!」
笑顔で皿を差し出してくるセイバーに切り分けたローストビーフを乗せながら
「箸が止まっているぞ?全く小食かね?情けない、がっつり食えんのか?」
高校生ならいくらでも食べれるだろうにちらほらとしか食べてないヴィータ達にそう尋ねると
「いや、無理やって。目の前のインパクト大きすぎやろ?と言うか兄ちゃん何してるんや?」
セイバー達が持って来てくれたワインを片手にローストビーフを食べているはやてに
「鰹を炙ろうとしている」
「やりすぎですよ?何事も限度を持ってくださいね?」
セッテの言葉に考えておくと返事を返し、買ってきた鰹の切り身をバーナーで炙っていると
「龍也さんはお料理が上手なんですね」
小さくきったローストビーフを齧っている龍花にそう尋ねられ
「まぁどっちかと言うとはやてのせいかな?あれ食べたい、これ食べたいってな?」
「あはは……色々食べたいやん?」
乾いた声で苦笑しているはやて。私の料理のバリエーションが増えた大半ははやてが原因だろうなと思いながら
「完了っと。鰹が苦手な子は?」
凜と星花と陽花そしてイリヤとクロエが手を上げる。以外にも龍花は大丈夫か……まぁ男連中が駄目とは思えないしな。男連中の更に鰹のタタキを乗せて
「それだと食べれない子がかわいそうだな。ちゃっちゃっとパスタでも茹でるか……セッテ。ベーコンとほうれん草を」
「判りました、すぐに持ってきますね」
そう笑って野菜を取りに行ってくれたセッテ。その間にいい感じに肉の味が落ち着いてきた鳥の丸焼きを見ていると
「それはまだ食べれないですか?」
「私もそれはすごく食べたいです」
目を輝かせているモードレッドとシグナム。丸焼きは蜂蜜を使って肉全体に照りを出しているので見た目からも食欲を誘う。だがこれではまだ完成ではないのだ
「それもしかして北京ダックの皮ではないか?」
「ほう、良いところに目をつけたな」
王花が陽花の口をナプキンで拭きながら尋ねてくる。そうこれは北京ダックの皮で鳥の身をくるみ、更に香味野菜を巻いて楽しむ物だ
「芸達者ねえ……ねえ士郎……?なにしてるのあんた?」」
呆れたように呟く凜。だが士郎は真剣な顔をして
「これは……ただのポン酢じゃない。なんだこの味の深みは」
鰹のたたきのポン酢の隠し味を探ろうとしている士郎。良く見ると龍花も
「うーむむ……醤油と出汁の元までは判るんですが、後はなんでしょうか?」
やはり料理好きはその味の正体を探ろうとするな、いやいやその向上心が料理の腕を上げるんだよなあと思っている
「おかわりー!もっと!もっと!!」
「恥ずかしいですよ雷花。もっと大人しくできないのですか」
おかわりと騒ぐ雷花とそんな雷花の首筋にチョップを叩き込んでいる星花。そのやりとりは六課で良くみる物に似ているし
「さてと、大分お腹もいっぱいになったし。お兄ちゃん……私お兄ちゃんに大事な話があるの」
「うえ!?イリヤ!?なんだ!?俺何かしたか!?」
どす黒いオーラをまとうイリヤ。おお……はやてに似てるなあ。
「龍也様。材料を持ってきましたが?」
「ああ、ありがとうセッテ」
セッテから材料を受け取り、パスタを茹でる。それと同時に温まった鳥の丸焼き用のタレと小麦粉を伸ばした生地をまだ食べたり無いと言っている。雷花や男子勢に回す
「おおお……美味ぁ……やっとゆっくり食べれる」
士郎とイリヤとクロエとセイバーと凜が何か修羅場を発生させ始めてたのでゆっくり食べれると呟くモードレッド、なんて不便な子なんだ。そう言えばさっきも大量の荷物を涙目で担いできていたことを思い出す
(この子はウェンディか。きっとそうに違いない)
真面目なのにどうしても不憫な扱いをされてしまうウェンディとモードレッドは凄く似ているんだ。
「もう少し食べるかね?」
「是非お願いします!」
楽しそうな顔で笑うモードレッドに皿に鳥肉とまだ残っていた鰹のタタキを乗せる
「へーあたしと出かける用事を断ってセイバーとねえ?」
「いやいや!ただ筆記用具とかを買いに行くのに付き合うだけだぞ。な!?セイバー」
「ついでに有名なパティスリーでお茶をする予定です
「セイバー!?」
味方だと思って期待していたセイバーにあっさり裏切られ、襟首を掴まれ引きずられて行く士郎。こんなとき私はどうすれば良いだろう?
「北館の地下なら汚れても大丈夫だから」
「見捨てられた!?俺龍也さんにも見捨てられたああ!!!誰でも良いから助けてええええ」
「「「ありがとうございます」」」
イイエガオで士郎を引きずって行く凜達を見送った所で
「良いんですか?助けなくて」
はやてがそう尋ねてくる。まぁ確かに知り合いを見捨てるのは心苦しいだろう
「助けたいなら行っても良いぞ?最悪の場合心臓マッサージをしてやろう」
「「「すいません。パスタもらえます?」」」
友達を見捨てて食事。それは人としてどうかと思うが、誰だって自分の命は惜しいのでその反応は正しいだろう
「陽花と龍花はどうする?」
「少しだけください」
「私も少しで良いですよ?」
女子としてはかなり量を食べてるからな。少しだけと言うのはわかる、体重とかの問題は死活問題らしいからな
「あの~はやてさん、この料理の作り方判ります?」
「ん~判るで~興味あるんか?」
「ああ。我もこれはとても気になる。教えてはもらえないだろうか?」
「かまわへんよ~~~教えたるわ~~」
よって上機嫌なはやての傍にいる王花達。教えるのは料理だけでしておいて欲しいと心から思う。
(なんだかんだで六課に近い雰囲気だなあ)
騒がしさは若干六課に劣るが全体的にはこの世界も六課の感じに似ている。なんだかんだでこの世界で暮らすのも悪くないと苦笑しながら私も鰹のたたきを頬張るのだった……
「またいつでもおいで」
そう笑う龍也さんに見送られて双子館を後にしたのは3時過ぎ。シロ君は完全に気絶したまま凜さん達に引きずられて行って、王花ちゃん達はお腹一杯でうつらうつらしている陽花ちゃんの手を引いて帰って行き、モードレッドさんが妙に晴れ晴れとした顔をして帰っていったのが印象的だったなあ……殆ど中身の入ってない鞄を振りながら
(今度料理を教えてもらえるかな?)
あの人の料理は和食の技を使い、中華の技を使い、そして洋食の技を使い。となんでもありだ、ぱっぱっと手早く作っているが丁寧に作られているので味わい深い。あの味はぜひとも覚えたい
「おにーちゃん。また遊びに行こうね?……おにーちゃん?シグ兄?ヴィータ兄?」
呼んでも返事の無いおにーちゃん達に若干の違和感を感じながら振り返ると
「「「……」」」
頭を押さえて難しい顔をしている。はやてさんに少し飲みいと言われて無理やり飲まされたお酒が聞いているのかもしれない
「大丈夫?」
「「「大丈夫だ……」」」
顔が真っ青だけど大丈夫っていえるから大丈夫なのかな?私はゆっくりと歩きながら
(今日の晩御飯はうどんとかにしようかな)
お昼は沢山お肉と魚を食べたし……それに
「「「うえ……」」」
アルコールを無理やり飲まされて青い顔をしているのでお肉とかは無理だとおもう。雑炊とかでも良いかなあと思いながら、思い出すのは人の良い笑みを浮かべる龍也さんの顔
(なんか不思議な感じがするのは何でだろう?)
初めて会う人なのに知ってる気がする。はやてさんとセッテさんも同じ……何でだろうなあ?私は小さな疑問を感じつつ、ふらふらと歩いているおにーちゃん達と家へと帰ったのだった……
なおその頃龍也は
「にゃーん♪」
「……龍也様?」
「兄ちゃん?」
「可愛いから飼っても良いだろう?」
捕まえてきた猫又を見て怖い顔をしているはやてとセッテを説得するのに一苦労する事になるのだが、それは余り関係ないので割愛する……結果論から言えばこの猫叉は無事リインたちにプレゼントされる事になるという事だけだ
第90話に続く
次回は真面目に学園編を書いていこうと思います。龍也さんは日常フェイズのみの活動にしておこうと思います。あんまりだすとキャラを動かすのが難しくなるので、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします