ちなみにTSクロノは千冬のイメージなので、あの感じでよろしくお願いします。それでは今回の更新もどうかよろしくお願いします
第93話
おかしい、私はフェイトのアルバイト先と学園を見てみるつもりだったのに……少し頭を振りながら振り返る
「?」
両手にクレープを持ってもくもくと食べている銀髪の少女。八神龍花と一緒に行動をしている
(16歳と言っていたが、本当に16歳か?)
あっちへふらふら、こっちへふらふら。見ているだけでも心配になり、家まで送る話になったのだが……とにかく落ち着きがないし、意外と素早い。私は軽い頭痛を覚えながら、本来予定していた事はもう無理だと判断し
(予定していた学園と本屋の視察はなし、代わりに彼女に聞いてみるか)
制服を見る限りフェイトと同じ学園の生徒のはずだ。学年こそ違えど何か知っているかもしれない、私はそう判断して
「チョコクレープ1つ」
「はいよー」
とりあえず私もクレープを頼もう。中々美味しそうだから……私はバンダナを巻いた店主からクレープを受け取り、笑顔で苺クレープを食べている八神龍花の隣に座り
「1つ2つ聞きたいことがあるんだが、いいかな?」
「いいですよ?クレープを買ってもらいましたし」
幸せそうにクレープを食べている八神龍花。餌付けしたつもりはないのだが、どうやら懐かれてしまったようだ。
「君の学校は市立聖祥大附属高等学校で間違いないかな?」
私がそう尋ねると八神龍花……いや、龍花で良いか。私も名乗った事だし、龍花は首を傾げながら私を見て
「お話しましたっけ?クロノさん?」
自分の学校の事を話しましたっけ?と尋ねてくる龍花に
「私の従姉弟も市立聖祥大附属高等学校に通っていますので」
本当は違うのだが、殆どそんな感じの付き合いをしているので従姉弟で良いだろうと思いながらそう言うと
「そうなんですか?もしかしたら知ってるかもしれないですね、誰さんですか?」
ニコニコと楽しそうに笑いながら尋ねてくる龍花に
「フェイト。フェイト・テスタロッサです」
私がそう言うと龍花はさらにその笑顔を深くさせる。む?この反応はもしかするとフェイトの知り合いなのか?
「フェイトさんですか!私のおにーちゃんのお友達の人です」
幸運なのだろうか?学園でのフェイトを知るチャンスだ、ペットボトルで頭を強打した事にも意味があったのかもしれない。鞄から手帳を取り出して
「それでは学園でのフェイトの事を聞いても良いですか?」
ペットボトルをぶつけてしまった女性はどうやらフェイトさんの従姉弟だったらしい、悪い事をしてしまったと思っていたので、黒クロノさんのお願いを聴くことにした
「学校のフェイトさんはちょっと浮いていますね」
ギー君とかおにーちゃんにお弁当を持っていくときに見ることが多いけど、直哉さんとおにーちゃん以外と一緒にいる所は殆ど見たことがない
「友達がいないのかな?」
「ん~?少なくともおにーちゃんと直哉さんは友達だと思いますよ」
良く話をしているし、たまに一緒にお弁当を食べる事もありますしと言うと、クロノさんは手帳に凄い勢いでメモしながらぶつぶつと
【ぼっちの可能性があるのか?社交性がないと言うのはないと思うんだけど……】
ぼっち?どういう意味だろう?だけどあんまり聞いて良い話ではないような気がして詳しくは聞かないことにする
「それで龍花とフェイトはどんな知り合いなのかな?」
クロノさんの質問に少し考える。私とフェイトさんがどんな知り合いか……んーと、おにーちゃんのお友達で……えーと私もあんまり話す機会はないけど……意外と接点はある
「私が良く迷子になるので助けてくれる優しい人です」
公園のベンチからクロノさんがずり落ちかける。おかしいな?私そんなに変なことを言ったかな?
「そ、そうなんだ。フェイトが通りかかってくれる事が多いのかな?」
その質問に更に考え込む……私がフェイトさんに会うのは……
「10回迷子になれば、3回くらいですかね?」
大体はシロ君とかイリヤちゃんとか雷花ちゃん達の可能性が高いんだけど、フェイトさんも結構遭遇するんですよねと思いながら呟く。エンちゃんとかも多いけど、ギー君は殆どあったことがないんだよねと思っていると
「かなり迷子になるんだね?」
汗を流しながら尋ねてくるクロノさん。うーん。これは恥ずかしい事なんだけど、事実だから仕方ない
「お恥ずかしい事ですけどね」
可愛い猫とか犬が出てくることが多いので、どうしてもそれに気を奪われてしまうから……
「まぁそれも個性といえば個性だから仕方ないとおもうよ。他にも幾つか質問してもいいかな?」
時計を見てみる。まだ時間はあるから、クロノさんの質問に答える時間はある。今日は昨日作ったカレーがあるから特に特別作る必要もないしね
「いいですよ?私の知ってる事でよければ」
「ありがとう。じゃあ色々と聞かせてもらうよ。その前に何か飲むかな?」
笑顔で尋ねてくれるクロノさん、クレープを食べたから少し喉が渇いている
「紅茶でお願いします」
「紅茶だね?いま買ってくるよ」
そう笑って自販機のほうに歩き出すクロノさんの背中を見ながら、私は小さく
「フェイトさんの従姉弟さんだけあってクロノさんも優しくて良い人ですね」
最近は優しくて良い人に会うことが多いなと思いながらそう呟いたのだった……
アルバイトをしている最中に急に寒気を感じて
「くっしゅん!」
くしゃみをする。おかしいな……ここはそんなに寒い場所ではない、むしろ力仕事で汗をかいているのだが
「む?どうかしたかね?」
一緒にアルバイトをしている青年「八神龍也」にそう声を掛けられる。はやて達と同じ苗字だが、別に家族とか従兄妹ではないこの青年も私と同じようにアルバイトを掛け持ちしているらしい
「少し埃でも吸い込んだかな?」
今やっている作業は入荷した本の整理と値札付け、夏場の時期と言うこともあり汗が流れる。身体が冷えたのかもしれないなと思っていると
「時期的には風邪を引きやすい時期だ、気をつけろよ」
サングラスと長い銀髪とかなり怖い外見をしているが、話してみると意外と気さくでそして優しい。八神さんは軽々と本の山を運んでいる
(あれ絶対100キロくらいあるはずなんだが……)
私は台車に乗せて運んでいるのに、素手で運んでいる。その力には正直驚く、細身だがかなり筋肉質のようだな……時間の都合上一緒になる事が多いのでそこそこ話をしている
(相談に乗ってくれるかな?)
姉さんの事を考えると憂鬱な気分になる。ここは相談してみると良いかもしれない、私よりも年上なのだからもしかすると良い解決案を出してくれるかもしれない。とりあえず休憩時間まで仕事して、そこから聞いてみようと思い。八神さんがドンドン運んできてくれる本に値札を付けるのだった
「すいません、手伝ってもらって」
結局私の作業が終わる前に八神さんの作業が終わり。手伝ってもらったのだが、これも早い。どんどん値札をつけていく、私も大分慣れたつもりだったが。それよりも数段早かった
「かまわないさ。作業は早く終わったほうがいいからな」
軽く首を鳴らしながら言う八神さん。深夜手当てと搬入のしんどさを考慮して1.25倍の時給が出る。この後は本を並べなおす作業があるが、八神さんが手伝ってくれるなら早く終わりそうだ。それでも2時3時くらいまではかかりそうだが……
「相談があるんですか、良いですか?」
「相談?話の内容によるな」
そう笑う八神さん、出会って数日の人間にこんな事を相談するのはなんなのだが
「母の友人の娘の人。私にすれば姉のような存在なのですが、今度私の生活を見に来ると言っているんです。いや、もしかするともうきているかもしれない」
私の言葉に八神さんは少しだけ真剣な顔をしたが、またすぐにいつもの柔和な笑顔になり
「ふむ。1人暮らしをしているのだから時折そう言うのがあるのは仕方ないかもしれないな」
そう笑う八神さんだが、私にとっては死活問題。笑っている余裕などない
「とても厳しい人で生活態度が悪いと転校させると言うのです」
「それはまた随分と横暴だな。歳はかなり離れているのか?」
そう尋ねてくる八神さん、姉さんと私の歳は確か……
「4つですね。4つ年上です」
私がそう言うと八神さんは酷く真剣な顔して、私の顔を見て
「多分あれだ。その人はお前を随分と意識しているのではないかね?」
まさかと言いたいが、妙に納得してしまう私がいる。
「私の妹もそんな感じだからなあ……」
物凄く遠い目をしている八神さん。相当悩んでいるのが一目で判る、とは言え纏う気配の憂鬱さが尋常じゃないので質問しようとは思えなかった。
「まぁそう言うわけだ、ちゃんと話をして見たらどうだ?やばいと思えばこれを使え」
八神さんに手渡されたのは長細い管のような物が5本。妙な重さがある
「これは?」
「閃光弾。叩きつければ目を焼くから確実に逃げれるぞ」
そう笑う八神さん。折角の好意なのでもらうことにしたのだが、できればこれを使うような機会がこない事を祈るのだった……
「それじゃあ搬入を続けるか」
「ですね」
とりあえず姉さんの事は後回し。今は仕事を終わらせる事を考えよう。私と八神さんは値札をつけ終えた本を店内に運び込み、陳列を始めるのだった……
海鳴から離れた某所では
「クロノ、本当に行っちゃったわね。アリシアちゃん」
「ですねー」
フェイトに良く似た顔つきの少女と緑色の髪をした女性が向かい合って座りながら話をしている。金髪の少女はフェイトの姉の「アリシア・テスタロッサ」で、緑の髪の女性は「リンディ・ハラオウン」クロノの母親だ。2人が話をしているのはクロノの事だ
「弟同然に育ったとは言え、本当の弟じゃないって言うのは判ってるはずなんだけどね」
「一人っ子がお兄ちゃんとか弟に憧れるのと同じ理由じゃないかな?」
クロノがフェイトに厳しいのは弟に向けるものとは少し違うと知っている2人は
「んーどうなるか不安だわ」
一見冷静だが、その実頭に血が上るのも早いし、思いついたら速行動。クロノが自覚してしまえば後は悪化する一方だろう
「まぁ血縁関係はないから最悪は結婚してもらえばいいんじゃないですか?」
「それが一番よねー」
クロノとフェイトが結婚すれば良いんだけどねーと楽しそうに笑う。アリシアとリンディ。クロノのフェイトへの厳しさが非常にわかりにくいフェイトへの好意だと知っている2人は
「「近くじゃないのが惜しいわ」」
自覚してしまったときのクロノと、クロノが来る事に恐怖するフェイトの顔を近くで見れないことを悔やんでいるのだった。そうフェイトが親元を離れて遠い海鳴の街へ行ったのは、クロノから逃げるためだったのだが、フェイトは知らない。
実は自分の味方だと思っている人物こそが、実は最狂の敵だという事実を……
「たまにフェイトに会いたいわね、私も海鳴の街へ行こうかしら?」
黒い笑みを浮かべているアリシアとリンデイの後ろでそう呟く女性。彼女がフェイトの母親の「プレシア・テスタロッサ」だ。彼女は特に厳しいや黒いというわけではない。ただ箱入りのお嬢様で育った為、若干天然が入っている。この母親がいるからこそ、フェイトは歳の割にはしっかりしているのかもしれない……もしくはフェイトが海鳴の街へ行ったのは
「海鳴に行くにはチャーターバスかしら?」
結婚して既に16年経っているのにも関わらず、未だにお嬢様としての暮らしのままで、知識が以上に偏っている母親から離れたいと思ったのが理由かもしれない……
第94話に続く
次回はフェイトとクロノのエンカウントとかを書いてみたいですね。龍花と知り合いとかでかなり混乱するとか面白いと思います
それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします