しかしその存在はポタラの制限時間、ブウの体内に存在する嫌な気によりいとも簡単に溶けてしまう。
もしもベジットがブウの体内に入った際にバリヤーを解かなかったら……。
もしもベジットのつけていたポタラが本当に一生解けない物だったら……。
そんな事で生まれたもしもの話。
「4……5……」
数字を数える声が響く。その数える声はその前に居る者、魔人ブウに対する命のカウントダウンである。それを出来るだけの力をベジットは持って居るのだ。
「6……7……」
命のカウントダウンとは言うものの、彼本人は全く殺す気はない。このまま殺してしまえば吸収された悟飯や悟天、トランクス、ピッコロといった仲間も一緒に殺してしまうからだ。
「8……9……」
皆を救うための案はブウにわざと吸収され内側から助けるといったものだった。飴玉になった際にわざわざブウの頭に付いている尻尾のようなやつを切り落としたのだ。
とはいえベジット自身この作戦が上手くいくか心配している部分もある。
「10!」
その瞬間ベジットの後ろからピンク色の物が覆い被さる。もちろんそれを予測していたベジットはバリヤーを張ってブウの体内への侵入を成功する。
ブウは吸収に成功をしたと高笑いをあげているが実のところは失敗をしている。無理もないだろう、一度も失敗をしたことがないのだから。寧ろ自分から吸収されようなんて考えるのはベジットだったからこそと言えるだろう。
そしてここが正しい話との分岐点となる場所。
「ヤツに吸収されずにすんだが……嫌な気が充満してやがるな。念のためにバリヤーをとかないでおくか」
そのままベジットはブウの体内の探索を始める。身体は小さくなっていたためか、探すのに時間を用いていたが見つかることに成功する。
「よし、誰も死んでないみたいだな。さて、見つけたはいいがどうやってこいつらを出すかだな」
そう言いながらベジットはみんな引き剥がしながら考える。その際に魔人ブウを発見する。ベジットが相手をしていたブウではなく、一番最初に見たブウの方である。興味本位で外した瞬間ブウの様子がおかしくなり始める。
その様子に焦ったベジットは皆を担ぎ脱出を急ぐ。
「デブの方はこっちにあるからガリガリの方に戻るのか?」
そうしてベジットは外の光を見つけ、そこから脱出をする。全員の身体は元の大きさに戻ったがベジットを除く他のみんなは気絶しているままであった。
それを確認し皆を岩陰へ隠しブウの様子を見に行く。先程から気が膨れ上がり始めていたからだ。
「ガリガリにはならない……か。気はずいぶん縮んでガキみたくなったな」
ブウの様子を見たベジットは焦りはなく、余裕そうな雰囲気をまとっていた。確かに気は膨れ上がっているが悟飯を吸収したあの時と比べれば弱く、あのブウすら圧倒していたのだ。それなのに今のブウに負ける事は一切ない。故にベジットには焦る要素はどこにもないのだ。
「別にあれぐらいなら放っておいても……」
「ウギャギャギャオーッ!!!」
唐突に叫ぶ魔人ブウ。あまりの声量にベジットは耳を塞ぎながらブウを見る。動きを静止させ、腕を斜め下へ向ける。そして地球に向けて一発の気弾を放つ。その威力は地球を破壊できるものである。
「ちっ!」
もちろんそれを見逃すベジットではない。素早く気弾を放ち、破壊を目的とした気弾を飲み込みながら宇宙へと消えていく。
「今のきさまには理性がないみたいだな」
それらの行動には迷いはなく、まるでやりたいようにやる子供のようであった。理性という理性はなく、破壊を撒き散らす姿は正しく魔人ブウであった。先ほどまでの言葉を撤回し、ベジットは一瞬でブウへと接近する。
「悪いが直ぐに消滅してもらうぜ、地球を破壊されるわけにはいかないからな」
「ギッ!?……ハァ〜〜〜っ」
一瞬で現れたベジットに驚く様子を見せるが直ぐに邪悪な笑みを浮かべる。面白い相手が現れたとでも思っているのだろうか。そうだとしても今のベジットには関係のないことだろう。
ベジットは手を伸ばし気を集中させる。
「はっ!」
ベジットの手から放たれる不可視の気による攻撃はブウに命中する。命中した部分を綺麗さっぱりと消滅し、ブウが完全に消滅するまで連続で浴びせ続ける。
「こんなもんか。生まれ変わるのなら良いやつになれよ」
「……終わったか」
長かった魔人ブウとの戦い。それには沢山の犠牲があった。ドラゴンボールがなければどうしようもないほどに。悟空とベジータ、2人のライバルが手を組み合体しなければならないほど強かったのだ。その戦いは今この時を持って終わりを告げた。
「とりあえずデンデに会うか」
これからやることへの方針を固めておくべきと考えたベジットはデンデとサタンのもとへと向かい、これまでの経緯を説明する。
「なるほど、ブウを倒すことが出来たんですね」
「ああ、合体してみれば一瞬だったがな」
「あ、あのー。本当にブウを……」
「心配するな、お前の知ってるデブの方は助けてきた」
ベジットには悟空とベジータの記憶がある。故にサタンによってブウが一時的に破壊活動をやめていたことも知っていた。
「ただ、このまま生かしておくには一つ条件がある」
「な、なんでしょう」
「お前がきっちり世話をするというならこのブウは生かしておいてやる。だが、無理なら今ここで消すことになる。どうする?」
「任せて下さい!このミスターサタン、しっかりと面倒をみますとも!」
「それならいい。さて、デンデ。これからどうする?」
「そうですね……」
數十分ほど話し合った結果、地球のドラゴンボールより先にナメック星のドラゴンボールを貸してもらうことに決まった。ベジットは瞬間移動が使え、悟空の時には新しくなったナメック星にも行ったのだ。行けないことはないだろう。
何よりナメック星のドラゴンボールは地球のよりも願いを叶えれる力が強いのだ。貸してもらえれば、の話だが。
ナメック星のドラゴンボールは思いの外簡単に貸してもらえ、地球を直し、人を蘇らせ、地球に住む人の記憶からブウを消去してもらった。
世界を揺るがしたブウとの戦いはこんな形で幕を閉じることとなる。しかし、ベジットにはブウよりも恐ろしく手も足も出ない、所謂弱点という存在がいた。
「う、うわぁー!?」
元々、ベジットは悟空とベジータが合体して生まれた存在である。そして悟空とベジータは既婚者であり、息子も存在していた。故にこうなることも予想出来ていたのではないだろうか。
「悟空さ!」
「ベジータ!」
2人の妻に説明を求められることを。
「魔人ブウを倒すにはこれしかなかったんだ!」
どうしてこうなってしまったのか詳しく説明している中でベジットは1つ思ったことがあった。
(合体してオレはここまで強くなった。だが、これからオレを本気にさせる相手はいるのか?)
悟空とベジータ、最強のライバルが合体して生まれた存在は圧倒的な力を持ち並大抵の力の持ち主では相手にならない。しかし心配することはない。なぜなら、ベジットはまだ知らぬ、または知っている強き存在がいることを。
それは1つの世界線。
宇宙の破壊と創造を調律する破壊側の絶対なる存在、破壊神。
世界を絶望に叩き落とした復活し、黄金に輝く恐怖の帝王。
愚かな存在を排除し、綺麗な世界に変えようとする絶対なる神。
宇宙の存亡を賭けた常に全力全開、問答無用の宇宙サバイバル。
これはまた別の世界線。
サイヤ人に恨みを持しツフル人の手により作られた復讐の兵器。
地獄と現世に存在せし人造人間が合体した究極の人造人間。
自ら願いによって生み出されたマイナスエネルギーの邪悪龍。
きっとそれはベジットを退屈させることのないものへとなるだろうさらにベジットを強くするだろう。
もしもで始まったIF世界は、闘いの話はまだ終わらない。
ふと続きを書きたくなったら多分書きます。
GTのボスも追記