もしもベジットの合体が続いていたら   作:龍帝2号

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アニメ版ではなく映画版をメインにしてます
また、設定を変更してたり独自解釈してたりするのでお気をつけて



超編
もしもベジット 超ルート ビルス編


「ビルス様、そろそろお時間ですよ」

「ん? もうそんな時期かい?」

「ええ、今日が丁度、予言の日です」

 

第七宇宙の破壊神ビルス、そのお方はとある星へ向けて出発をしようとしていた。それは予言魚にとある存在が現れると言われたからだ。さらにビルス自身も予知夢で見ているのだ。

 

「ですが本当にそんな存在が現れると思いますか?」

「予言魚に言われてるし、予知夢でも見た。といっても僕もそこは半信半疑なんだ」

「そうですよねぇ、まさか……」

 

予言された存在、それは普通であるならば有り得ない存在である。そんな存在が生まれても問題ないのかと言われても良い程に。いや、だからこそ予言されたのかもしれない。

 

好敵手(ライバル)が現れるなんて。それもサイヤ人だろ?」

「そうですね。フリーザによってほぼ死んだみたいですが数人生き残りがいた。珍しい非戦闘タイプというのも含めたら3人ですね」

「ふーん。で、そのどっちがフリーザを倒したんだっけ?」

「孫悟空というサイヤ人です」

「もう1人は?」

「ベジータです。こちらの方はご存知かと」

「あー、ベジータ王の息子か。そいつらは今どこで何してんの?」

「もういないみたいですよ」

「はぁっ!? 死んだのか?それなら行く意味ないじゃん!」

 

元々ビルスは地球に住むサイヤ人に超サイヤ人ゴッドとという存在を聞くために向かう予定だったのだ。その2人が居なくなったというならばもはや行く必要はない。ただしそれは居なくなった理由が死んでいたという場合だが。

 

「いえ、死んではいません。正確に言うとお二人は界王神のポタラを使って合体したご様子です」

「ん? ポタラによる合体は1時間の制限が今はあるんじゃなかったのか?」

「どうやら彼らが使ったポタラの持ち主が15代前の界王神。つまりビルス様が気に食わないから封印なされた界王神のものだったようです」

「あいつのか! なんだ封印が解けてたのか。ならポタラの合体が解けないのは仕方ないか。まだあの事件が無かったからな」

「それでいかがなさいますか、ビルス様」

「とりあえずその2人が合体したとは言えまだ生きているんだろ? そいつらのところに行って聞くしかないだろ」

「では行きましょうか」

 

そうしてビルスら二柱は移動を開始し、瞬く間に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台は地球。

話の中心であるベジットはというと……。

 

「それにしても兄さんが孫悟空という人と合体したなんて。何度見ても信じられないです」

「確かに合体するまでプライドが許さなかったがな。昔のオレ(ベジータ)に言っても信じることはないだろうな」

「ははっ、そうですね。そういえば今日は招待してくれてありがとうございます」

「そうかしこまる必要はないさ。今日はブルマの誕生日パーティーなんだからな」

 

そう、ベジットの片割れであるベジータの妻、ブルマの誕生日パーティーに参加していたのだった。ベジットの話し相手をしていたのがベジータの弟であるターブル。サイヤ人にしては珍しい非戦闘タイプであり、悪の心を持っていないサイヤ人なのだ。

彼はとある存在に追われて妻と一緒に助けを求め、地球へやってきたのだ。そのとある存在は今では大した敵ではなかった。いとも簡単に倒し、当時やっていたパーティーに参加するぐらいには改心していた。

それはさておき、ターブルが参加している理由は単純に断る理由がなく、参加する理由は沢山あるからである。兄の妻の誕生日パーティーに招待されるなど、いくら丸くなっていたとしても昔からしたら信じられないようなことであり、嬉しいことでもあったからだ。

 

「それじゃパーティーに戻りますね」

「そうか」

 

ターブルに向けていた視線を外し、空を見上げる。

ベジットは退屈な日々を過ごしている。修行はしているし、美味い飯も食べている。ブウと闘った時と比べると確かに強くなった。だが、その力を存分に発揮する事が出来る相手がいないのだ。互いに高め合う存在は合体した事で居なくなったからだ。

彼の相手を出来る者は殆どいないだろう。しかしこれは傲慢ではない。唯でさえ強かった戦士の2人が合体したが故の圧倒的な実力と戦闘のセンス。それは今までの強敵が束になっても叶わない。それがベジットを退屈にさせる原因であった。

 

「いたいた、ターブルの言ってたとおりね。もう、探したじゃない」

 

3人で話し合った際、呼び方をどうするのかという事になった。だが、彼女らにとって合体したとしても(彼ら)への愛は一切変わらず、孫悟空は孫悟空、ベジータはベジータという事で決まったのだった。

 

「少し考え事をしていただけだ。別にここからは離れたりはしない」

「わかってるけど……。はぁ、まあいいわ。次のイベントに移るから来てちょうだい」

「ああ」

 

皆のいる所へ戻っている最中、ブルマは口を開く。ベジットの考えている事がわかっていたからだ。

 

「どうせ強い奴がいない事を悩んでたんでしょ?」

「……まあな」

「やっぱり。そんな事考えててもまた強い奴がでてくるわよ。今までだってそうじゃない。セルとかブウとか。だから心配しなくても大丈夫よ」

 

ブルマにそう言われてベジットも気がつく。世の中には強い奴がゴロゴロいる事を。孫悟空の師匠、亀仙人も言っていたではないか。世の中、上には上がいると。そう考えるとベジットの悩みはまるで存在してなかったかのように霧散していった。

 

「すまねぇなブルマ。誕生日なのに気を利かせちまって」

「いいのいいの。夫を支えるのは妻の役目だからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ皆! そろそろ次のイベントに移るわよー!」

『イェーイ!』

 

飲み食いしながら段々と盛り上がっていくブルマの誕生日パーティー。楽しそうに美味いものを食べながら参加するベジットだったが空気が少し変わった事に気づく。

 

(なんだ?)

 

それは辛うじて気付けたものであり、具体的なものは一切わからない。寧ろ気付けたことの方がすごいだろう。この中に居る戦士の中でベジットだけが気付けたのだから。

 

「ふーん、ぼくたちに来た事に気付けるぐらいには強いんだね」

「なっ!」

 

空気が変わった事には気付いていた。だが後ろに誰かが立っている事には気付かなかったのだ。

振り向いた先にいたのはどこか記憶に引っかかる姿だった。

 

「その様子だと思い出せてないみたいだね。まあ、合体したことで記憶があやふやになっちゃったのかな。ぼくは破壊神ビルス、流石にここまで言えばわかるかな」

「破壊神……ビルス……。まさか!」

 

ベジータの記憶に存在している破壊神ビルス。それはまだ小さい頃の話ではあったが、その時にはその者が途轍もない存在だという事を本能的に理解していた。

 

「それで、なぜビルス様はここへ来たんだ?」

「超サイヤ人ゴッドを探しに来たのさ。だから生き残ってる君に聞きに来たんだ。それで知ってる?」

「超サイヤ人ゴッドだと? ……聞いたことがないな。ターブルにも聞いてみるか」

「ベジータの弟か。僕の気が変わらないうちに頼むよ」

「おい! ターブル、少し聞きたいことがあるがいいか?」

「はい、なんでしょうか兄さん」

 

ベジットの声に反応してこちらへ向かって来るターブルだったが、ビルスの存在が目に入りその顔が恐怖へと歪んでいく。

ターブルにはビルスがどういう存在がしっかりと記憶されていたようだった。

 

「ビルス様、ど、どうしてこちらに?」

「超サイヤ人ゴッドって奴が僕のライバルになるみたいでね。それでその存在を調べにきたんだ」

「悪いがオレの記憶には超サイヤ人ゴッドは聞いたことがなくてな。お前なら知ってるんじゃないかと思ってな」

 

説明を受けたターブルは納得の色を示し顎に手を添える。心当たりでもあるのか少し悩んだ顔付きへと変わる。

 

「超サイヤ人ゴッドという名は聞いたことがあります。かなり昔の話だったので確証はありませんが、大丈夫ですか?」

「ぼくは闘うことさえ出来れば気にしないよ」

「とりあえず話してくれ」

 

ターブルから話されたものはベジットの記憶には全く無いものだった。

正しい心を持った6人の古のサイヤ人。その中から生まれでた超サイヤ人ゴッドだったが何かがあったのか忽然と消えてしまう。詳細は不明だったが超サイヤ人ゴッドは確かに存在していたという事は明らかになった。

 

「でもこれだけじゃどこにいるのかわかりせんねぇ」

「…………少し時間をくれ」

 

ベジットはブルマの方へと歩き出す。何か策でもあるのか一瞬の迷いもなく進んで行く。

 

「ブルマ、ちょっといいか」

「どうかした?」

「ドラゴンボールを使わせてくれないか?」

 

瞬間、ブルマの顔つきが真面目なものへと変わる。ベジットの纏っている空気と発言の内容。それがただならぬものと理解したのだろう。

 

「何かあったのね。理由は?」

 

ベジットはこれまでにあったかを話す。ビルスが現れたこと。ビルスの素性。超サイヤ人ゴッドという存在を求めてここへとやってきたこと。そして超サイヤ人ゴッドの詳しい情報を知るために利用すること。

 

「……はぁ、しようがないわね。使いなさい」

「いいのか?」

「景品は別のに変えればいいしね。それとこのパーティを滅茶苦茶にされたくないもの」

 

ブルマによって取り出されたドラゴンボールを使い神龍を呼び出す。語られる超サイヤ人ゴッドの歴史。超サイヤ人ゴッドは自力で慣れる事はなく、力を注ぎ込まれることによって作られる力であると。しかし現実はそう簡単にはいかなかった。

 

「サイヤ人が足りない、か」

 

そう、今この場にいるサイヤ人は5人だ。ベジット、孫悟飯、孫悟天、トランクス、ターブル。元々は2人だったベジットだが合体している以上はどうしようもないのだ。いけるかもしれないと一度は試したもののベジットのパワーアップだけで終わり、何もなかったのだ。

 

「まって、実は」

 

上がった声はビーデルのもの。その声には意を決したといえるようなものを含まれていた。内容はお腹の中に新しい命が存在するということだった。

この状況では仕方のないことだろう。本来ならばもっと2人っきりの所で、ムードのあるタイミングでやりたかったのだろう。しかし彼女は優しい。彼らが困っているのを見過ごすような事はしたくなかったのだろう。

 

「それじゃ、やるぞ」

 

円を作るように手を繋ぎ、ベジットへと力を託していく。その際に何故だが感じる過去の記憶。それはこのままではいけないと感じた6人の正義の想いと共に闘ったもの。それはぼんやりとしていてすぐに忘れてしまいそうなものだった。そして青い光が彼らを包み始める。

先ほどまでとは全く違う状況にビルスを除いた皆んなが注目する。

 

青い光の筋がベジットへと吸収される。それと同時にベジットはふわりと浮き始め途中で静止する。やがて青い光はベジットを覆い隠す。まるで神の誕生を見てはいけぬというような。覆った光は丸い球体へと変わり数度ほど、脈を打つように波紋を放つ。全ての行程は終えたと言わんばかりに球体になった光は内側から溶け出すように形を崩していく。

中から出てきたベジットの姿は大きくは変わっていないものの、髪の色は赤く染まり、いつもより少し細い体つきになっていた。

 

「全然強そうになったとは思えないんだけど、これで大丈夫なのよね?」

「はい、問題ありません。確実に成功したといえるでしょう」

 

 

既にビルスはベジットの方を見ており、ベジットも同じくビルスを見ていた。

 

「どこからでも」

 

少しの間。それはベジットが隙を窺っている時間だが、隙などは一切無い。そこは流石破壊神といっても差し支えないだろう。

このままでは戦況が動く事は一切ない。ならば自ら動くしか方法はないだろう。

 

聞こえる風切り音と衝撃音、それはベジットが超高速でビルスの前は移動したものと、突き出した拳を受け止めた時に発生したものだ。その手を離した瞬間に距離を取るベジット。

 

「これが神の次元が」

「一切の偽りなく超サイヤ人ゴッドの力と言えるだろうね」

 

同時に空へと上がっていく2人。このまま地上で闘えばクレーターだらけのボコボコの土地になるだろう。ビルス自身は別にどうでも良いのだが、ベジットはあのまま続けていればパーティの続きを出来なくなりブルマに怒られるかもしれないと想像したからだ。神になったとしても怖いものは怖い。それが現実である。

 

「改めていかせてもらうぜ、ビルス様」

 

途轍もない速度で背後を取って蹴りを叩き込もうとするベジットだが、その速度を軽々と視界に収めていたビルスは振り返る事なく脚を受け止める。ベジットに次の行動させる間も無く掴んだ脚を水平に投げ飛ばす。

 

「ぐっ」

 

投げた速度以上の速さで追いついてくるビルスを察知し、身体が回転している勢いを利用してそのまま蹴りあげようとする。が、難なくビルスは体を捻り、回避を行ってベジットへ追撃の拳を腹部へ叩き込む。

 

「カハッ」

 

そのまま吹き飛ばされるそうになるが、後ろに軽くずらされる程度には耐える。ベジットはその一撃の重みを確かめるように腹部に手を置く。一息をつくように一度呼吸を繰り返す。

腹部に置いた手を戻し、ビルスとの距離を詰める。しかし、ベジットがそれからの行動するよりも先にビルスは蹴りを放つ。それを避け、後ろ側へと回り込む。

 

「見えてるよ」

 

そう言い、身体を捻ってそのまま回し蹴りへと移行して背後にいるベジットへ攻撃を仕掛ける。ベジットの移動速度はまだ遅く、ビルスは一切見逃していない。故に回し蹴りが空気を裂くだけで終わる事を予想していなかった。

 

「なに!?」

 

流石のビルスも驚きの感情を表は出してしまう。ベジットが背後から移動した気配を感じ取れなかったからだ。これまでにない速度。決して油断していたわけではないのだ。

 

「はあぁッ!」

 

声の響く方向へ向くよりも先に、ビルスは頭部へ衝撃を喰らう。その衝撃は受け止めきれず、そのまま地面へ叩きつけられる。叩きつけた場所は森林の中。生物がいるような場所に落とすわけがないの言うまでもない。

それを追うように地上へと降りるベジット。先ほどの攻撃に全く答えてない様子のビルス。そのお互いの顔には笑みが浮かんでいた。

 

「ようやくこの力にも慣れてきたかな。想像以上の力だぜ、神の力ってやつはよ」

「ぼくも想像以上だよ、ここまでやるなんてね。いつぶりかな、ここまで鋭い一撃をぼくに与えたのは」

 

その浮かんでいた笑みというのはこの闘いへの高揚感から生まれるものであった。それもそうだろう。お互いにここまで闘える相手がいなかったからだ。ビルスにはウイスという師匠はいるがそれはまた別のことなのだ。

 

同時に距離を詰め合い、拳と拳がぶつかり合う。生まれる衝撃波付近にある木々を根から吹き飛ばし、遠くにあった木すら横転する程。上空にあった雲は全て吹き飛んでいた。まるで隕石でも落ちてきたかのようなクレーターが生まれる。

 

その中心で固まっていた2人だが先にビルスが手足を使った素早く鋭い乱撃。それをベジットは最低限動きで避け、手で弾き、受け止める。ビルスの右手と左手を掴みそのまま反撃へと移る。右脚を使って蹴り上げるがビルスはそこにはいない。掴まれた手を利用し逆立ちをする要領で回避をしたのだ。

体勢を元に戻す勢いでベジットのアゴへと膝蹴りが直撃する。

 

「ぐっ!っらぁ!」

 

その強さに仰け反りつつもすぐさま脚を掴み地面へと叩きつける。その衝撃で跳ねたビルスの脇腹へ横蹴りを放ち、防がれることなく直撃する。

大地を削りながら吹き飛ばされるビルスに一瞬で追いつき拳を振り下ろすもそこには誰もいない。ただ地面を殴っただけである。

避けられたと認識する前に背中への衝撃。瞬く間にクレーターが小さくなっていく。いや、違う。ベジットがビルスによって吹き飛ばされ、地面から高速で空へと吹き飛ばされたからそう見えただけである。

 

「まだ速くなるか」

「まあね」

 

空中で体勢を立て直しこぼす様に呟く。もう背後を取られていることに気付いていたからだ。

 

「そろそろ本気を出してもいいんじゃないかい? 君も」

「ならビルス様も本気になってくれるのか?」

「それは君次第さ」

 

お互いが不敵に笑う。そしてさらに上へと移動する。

 

止まった場所は宇宙空間。2人の本気をぶつけ合えば地球とてただのクレーターでは済まないからこそ自由に広々と闘える場所を選んだ。それだけの事であり、それほどまでに強いのだ。

 

「さて、いくぜ」

 

瞬間、その場には数百にも及ぶ衝撃音。

 

先程までとはまるで違う速さ。この宇宙で2人の動きを捉えれるものはウイスを除いて誰1人として存在しない。

 

一瞬の攻防の中でベジットから赤い色が失われる。超サイヤ人ゴッドの力が失われたのだ。だが戦いは終わらない。戦いの終わりの合図はどちらかが降参するか倒れた時なのだから。

そして何よりもビルスはベジットから力の減少を感じなかったのだ。ならば戦い続ける他はないだろう。

 

一際大きな衝撃音とともに2人の速度はゼロとなる。前腕をぶつけ合ったままお互いを押し切ろうと力を込める。2人がぶつけ合っている力は増大し、宇宙を震わせる。

拮抗していた2人だったが、ベジットが一瞬力を緩めてビルスの態勢を崩そうとする。しかし、ビルスはそれ読んでいたのか、込めていた力の向きを変えてそのまま身体を縦に回転させる。

それに驚き距離を取ろうとするが、遅い。回転した勢いを乗せたビルスのかかと落としがベジットの肩へ刺さる。だが、ベジットはそれと同時に掌に気を集めビルスの胸元で爆発させていた。

 

互いの攻撃をモロに喰らい吹き飛ばされていく。吹き飛ばされながら体勢を直す。そして空間を突き破るかのようにビルスの方へ向かっていく。それはベジットだけではなくビルスも同様。拳に力を込めながら。

 

「はあああああぁぁあぁぁぁ!!!!」

「うおおおぉぉおおぉぉぉぉ!!!!」

 

互いのほぼ全力といっても差し支えないほどの一撃。それがぶつかり合う──

 

「そこまでです」

 

──事はなかった。

 

交差する刹那、ウイスが2人の間に現れて受け止めたからだ。

 

「それ以上おやりになると周りの惑星まで破壊してしまいます。たしかに、太陽系から離れて闘っているのは良いのですがねぇ。流石にその一撃はシャレになりません。ただでさえお2人が戦った後がこんなになっているのですよ?」

 

ウイスが視線を向けた方を見るとたくさんの惑星にヒビが入っていた。もし今の一撃がぶつかり、周囲は衝撃が走ってしまったら確実にとどめを刺していたことになるだろう。

それを見たビルスがため息をつく。

 

「ボクとした事がはしゃぎすぎたみたいだ」

「これで終わりみてえだな」

「破壊神として破壊するのは問題ないけど、ただの闘いの余波で破壊するのは問題だからね」

「ならこの勝負は引き分けってところかビルス様?」

 

ビルスは少し考えるそぶりを見せ、笑う。

 

「今回はそれでいいか」

「ではこれからどうしますか?ビルス様」

「うーん、あ! そういえば地球で何かやってたよね」

「あぁ、ブルマの誕生日パーティーのことか。それが何かあったか?」

 

ビルスはワクワクした様子でベジットに尋ねる。その様子に少し驚きを隠せないベジットだった。

 

「いや、あそこにいた時美味しそうな匂いがしてね。何よりウイスが今もこっそり美味そうに食べているのが我慢ならないんだ」

「あららバレていましたか」

「ボクの目は誤魔化せないぞ」

 

ビルスの言っている通りに先程からパフェを片手に美味しそうに食べていたのだ。その姿はベジットにも見えていたし、コソコソしている時点で何かをしているの明らかであった。

 

「暴れないと約束してくれるなら別に問題ない」

「なら早速食べにいくとしようかウイス!」

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば超サイヤ人ゴッドの力がなくなっている状態でボクと闘えていた事に気付いていたかい?」

「ん、そうだったのか?」

「やっぱり気付いてなかったみたいだね。殆ど変わらずボクと闘えていたなんて、稀に見る天才と言ってもいい。それも全ての宇宙から見ても君ほどの才能を持ってる奴はいないかもね」

「ほう、それならいつかビルス様を超えれるかもな」

「あまり調子に乗ってるよ破壊しちゃうよ」

 

会話しながら食べている姿を見ているウイスは嬉しそうな笑みを浮かべる。たしかにビルスとして本気を出したのは久しぶりに見たのだ。そしてあれ程の才を持つのならば破壊神としてのビルスとも良い感じに闘えるかもしれない。そう思ったのだ。

 

「最近ビルス様がつまらなさそうでしたからねぇ」

 

そう、ビルスは強い奴と闘うのが好きなのだ。だが強くなりすぎたが故に楽しんで闘うことがなくなってしまった。そんな時予知夢に超サイヤ人ゴッドなどというものが現れ、半信半疑のままここに来たのだ。それが本当に実在し、楽しそうに闘っていたのだ。

 

「それに……」

 

ウイスは視線を横にずらし、ブルマとチチを視界に写す。

 

「退屈していたのはビルス様だけではなかったみたいですね」

 

その2人はベジットの楽しそうな姿を見て安心していたのだ。

 

 

「あ! わさびをそのままは──」

 

寿司を食べていたベジットとビルス。その中でビルスがわさびについて聞いていたのだが、そのままでも美味しいと勘違いをしてわさびだけで口に入れてしまったのだ。

 

「え? ──っ⁉︎」

 

瞬間、鼻を真っ赤にしたビルスが真上へと飛んでいく。近くで見ていたウイスがすぐさま反応する。

 

「いけません!」

 

ビルスの首に手刀を落とす。それだけでビルスの勢いは急激に収まり、落下していく。その途中でビルスは落ちかけた意識を覚醒させ地面へ軽やかに着地する。

 

「このわさびってやつは恐ろしいね」

「それは寿司と一緒に食うもんだ。慣れないうちは少量を醤油に溶かして食べたりするんだ。間違ってもわさびだけで食うもんじゃない」

 

ベジットは少し呆れつつわさびの補足説明をする。それなら早く説明しろと怒るビルスだったが、言われた通りの食べた方をするとすぐに手のひらを返したかのようにわさびをほめていた。

 

「にしても驚いたぜ。あのウイスって奴があんなに強いなんてよ」

「ボクの付き人だけど師匠でもあるからね。実質この宇宙で1番強いのは……」

「オレも修行をつけてもらうってのもありかもな」

「それもありだと思うけどね。もちろんタダでってわけにはいかないよ?」

「それなら地球の美味しいものを持って来てやるよ」

「ウイスならそれで修行をつけそうだ」

 

ビルスの脳内に浮かぶのはベジットの持って来たもののうまさに一瞬でOKをだすウイスの姿だった。

現に今日のパーティーでやっている屋台の食べ物を8割方回っていた。更に帰ってからも楽しもうとしているのか、各屋台から包装してもらったものを謎の空間へ収納していた。

 

「アレなら一瞬だな」

「……地球ほど食べ物のレベルが高い星もないからな。それとあくまでもこの宇宙ではウイスが1番強いだけで、他の宇宙も含めたらわからないという事は覚えておけよ」

「他にたくさんの宇宙があるのか?」

「全部で12個の宇宙がある。それぞれを第1宇宙から第12宇宙といった風に数字で分けられている。この宇宙は第7宇宙」

「なるほど、他の宇宙にもたくさんの強い奴がゴロゴロしている可能性があるわけか」

「ワクワクするしてくるだろう? それぞれの宇宙に破壊神もいるし付き人もいる」

 

ベジットはまだ見ぬ強敵にワクワクを隠せなかった。それだけ多ければビルスと同等、もしくはそれ以上の実力を持った者がいるかもしれないだ。サイヤ人

の血が強いから仕方ないのだろう。

 

「そして足して13になるように宇宙は隣接していてね、ここは第7宇宙だから」

「隣は第6宇宙ってことか」

「ま、これはどうでもいい事なんだけど第6宇宙の破壊神はボクの兄弟でもあるんだ。付き人もウイスの姉だし」

「そんな事があるもんなんだな」

「普通はないよ」

 

 

 

 

 

 

 

「さてそろそろ帰るか」

「今度闘う時はオレが勝つぜ」

「フン、ボクの本当の実力と闘えるようになってから言うんだね。おい、ウイス!」

 

声をかけられたウイスはビルスの横へ一瞬で現れる。手に持っているものは帰ってからすぐ食べる用の物のようだ。

 

「はい、ビルス様」

「帰るぞ」

「畏まりました」

「さらばだ」

 

ウイスの後ろへと移動する。そしてウイスが杖を使い、その場から一瞬で消える。それを見送る一同だったが、しばらくしてまた楽しそうな空気へと変わる。

 

「久々にワクワクして来たぜ。まだまだオレも強く慣れそうだ」

 

自分を超える者は最早いないと考えていたが、間違っていたと考えを改めるベジット。もしかしたらこの宇宙にも強い奴がいるのかもしれないと。

 

「さぁて、パーティーが終わったら修行すっかな……ん?」

 

ベジットは不意に何かを忘れているような気がした。何か大切なことのような気がするそれを。何なのか考えを張り巡らせるがいまいちピンとこない。

ならばさっき言った言葉が引っかかったのか。もう一度確認をしようと反復した。

 

「パーティーが、終わったら、“修行”すっかな。…………修行、か。なるほど」

 

ベジットは額に手を置き、自分うっかりさに呆れる。ウイスに修行をつけてもらう予定だったのに彼らの住んでいる場所を知らないのだ。もう近くにビルス達の気は感じ取る事ができない。

 

「まあ何とかなるか」

 

いざという時は界王神にでも聞けばわかるだろと適当にあたりをつけパーティーへ戻っていく。

 

 

 

ベジットの物語はまだまだ続く。




ベジットの強さどれくらいにするかマジで悩みました

というか神と神でビルスを10としたら悟空は6って言われた映画だけどアニメじゃ全然そんな感じじゃない
寝起きだからあまり力を出せなかったとか全力を出す必要がなかったとかあるけどなんか言い訳っぽくなるし
ヤケクソ気味に考えたのが破壊神としてのビルスとただの闘いを楽しむビルスという感じで分けました
破壊神としての力は次元そのものが強すぎる、そしてビルス自身も強いから下手な相手じゃまともに闘う事ができない的な設定にしました
だから今回互角に闘えてたのは破壊神としての力を出してなかった的な感じで1つ
ジャンパ編の悟空ブルー界王拳以下程度が今のベジットゴッドにしています
修行すればもっと強くなります

ポタラの設定の方はザマス編の時に説明します
こっちにも少しテコ入れしてるので


まさか新しい映画で、調べようと思えばわかる超サイヤ人ゴッド。悩む必要はなかった。

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