ほとんど閑話みたいな話。
因みに復活のFのストーリーにテコ入れはしてるのでだいぶ展開が変わります。
「ここまでです」
その一言と同時にベジットは張っていた気を緩めて地面へ降り立つ。
「ふぅ、全く当たりやしねえや」
「まだまだスピードが足りませんからねぇ」
ベジットは今、ビルスの住んでいる星へ来ていた。もちろん遊びに来ているわけではなくウイスに修業をつけてもらいに来ているのだ。勿論、地球産の美味しいものを持ってきた上でだが。
流石にビルスの師匠なだけあり、先程の修業も一撃どころか擦りすらしなかった。それだけでベジットはウイスとの間に途轍もなく大きい壁が隔てているのを理解する。
「確かにベジットさんの闘い方はある程度洗練されています。ですが、その洗練された動きは考えるという過程があってのもの。これを駄目とは言いません。ただ、その闘い方が出来るのは自分よりそれなり強い相手まででしょう」
「つまり、頭で考えて闘うより身体が勝手に反応させて闘う方がいいってことか?」
「はい。それが出来るようになればどんな危機も回避できますし、自分より格段に強い相手とも闘う事が出来るでしょう。初見殺しと言われるような技も、回避不可能と思われる状況も無傷で切り抜けれるかもしれません」
「かもって何かあるのか?」
「それ以上は極めた後の経験次第でしょうねぇ。まあ、私ほどになればある程度は完璧と言えるでしょう」
「なるほどな」
思い返してみればウイスが幾度か花びらに気を取られていたり、目を瞑って微笑みながら避けていたりと簡単には出来ないことを軽々しくやっていたこと思い出していた。
ベジットからすればそんな風に闘えるなど考えられなかった。
実力差が大きいからやられていると考えれば簡単かもしれないが、そこまで単純な話ではないだろう。
「まあ、これに関しては一朝一夕で身につけれるものではありません。ビルス様もまだ未完成ですから。時間をかけて教えるものの1つです」
「ほう、ビルス様でもまだなのか。他の宇宙にその闘い方を極めている奴はいるのか?」
「まだ居ませんね。もしかしたら表に出てないだけでいるという可能性も否定は出来ませんが」
「いるのなら闘ってみたいもんだ」
少しの休憩を挟み、また修業を再開する。この流れを暫く続ける。ただ、ウイスには確信があった。この修業がいつになるかはわからないが、実を結ぶと言うことを。ビルスが先か、ベジットが先か。どちらが先にしてもお互いにいい刺激になり、これまで以上の修業成果が出る可能性に胸躍らせているウイスは思わず笑みを浮かべる。
(実力差はありますが、ベジットさんがいるというのはいい傾向になりそうですね。後はビルス様がどうなさるかにかかっていますが、まあそれは大丈夫でしょう)
その笑みにベジットは挑発と受け取り、修業の激しさは増していく。
「にしてもだいぶ気を上手く使えるようになって来たな」
「そちらに関しても殆ど言うことはありませんね」
もう少し手荒くやる必要があるかもと思っていたウイスだったが杞憂に終わった事に感心していた。神の気というのは普通の生物が利用している気と比べてクリアで繊細な気なのだ。そう簡単に扱えるものではないのだが、そこまで苦労せずに修得していたベジットだった。
「しっかりと神の気をコントロールしているので、今のベジットさんには神の気がメインで流れていますよ」
「超サイヤ人ゴッドのパワーを持ったサイヤ人ってところか、今のオレは」
「有り体に言えばその通りですが、全くサイヤ人というのはややこしいものですねぇ」
超サイヤ人ゴッドの神の気を直接体内に取り込んでいるために通常よりは疲れるものの、ベジットはこの状態に新たなる可能性を見出していた。己が更に強くなるための形を朧げながらだが見えていた。
「あら、ベジットさんには何か考えがあるみたいですね」
「やってないが試してみる価値はありそうなだけさ。まだ形には出来そうに無いがな」
「ならそれも交えての修業も始めるとしましょうか」
「おし、行くぜ!」
そうして、また修業が始まる。
「綺麗に完全復活ができたみたいですね、よくやりました」
「いえ、ドラゴンボールが3つも願いを叶えることができたので。それでフリーザ様、最後の願いは如何いたしますか?」
地球では神龍が呼び出され、最悪の願いが叶えられていた。バラバラになって殺されていたフリーザだったが1つ目の願いにより復活し、2つ目の願いで身体を修復してもらっていた。
「コルド大王様を……」
「いえ、それでしたら私が1つ」
「は、はい。どうぞ」
復活したフリーザは神龍の前に立ち、不敵な笑みを浮かべて一言。
「セルさんをこの場に復活させてください」
「……いいだろう」
その願いを承諾した神龍は眼を赤く光らせる。そしてフリーザの横にはセルが蘇って立っていた。少し困惑した顔をするがフリーザと神龍の存在を認知すると何があったのか理解をする。
「私を蘇らせるとはな」
「なに、非常に苛立たしいことですが孫悟空を殺すには修業相手が必要ですからねぇ」
「それで私と言うことか」
セルとフリーザ。その2人は生きていた頃は接点のかけらもないのだが、地獄で知り合っていたのだ。偶然か必然か、2人は仲良くなる。そして共通点があった。孫悟空という存在を倒すことに他ならない。まあ、死んでいる身である上に孫悟空が地獄までやって来るということもない為、強くなろうともしなかったが。
しかし、今は数奇な運命によりこの地球で再び蘇った。ならば今のまま戦うわけにはいかないだろう。
「さて、行きますよ」
「いいだろう」
そうして最悪の願いを叶えられた神龍はドラゴンボールへと戻り、散り散りになって飛んでいく。それを背にフリーザとセルは部下達を連れて地球を去る。
それは新たな地球の脅威になり得る存在が誕生しようとしている証拠だった。
まあ、ざっとこんな感じです。
フリーザだけじゃ確実に何も変わらないのでセルをぶっ込みました。だいぶ強引でしたけどね。
いやしかし神龍の願い事はどうなってんだあれ。出る度に願いの数変わってねえか? というわけで原作通り3つにしました。大量の人を蘇らせなければ3つだって話だった気がする。間違ってたら教えてください。
長い期間を空けて眺めの話を投稿するよりか短くなるけれど長い期間は開けないという形にしようかなと。とはいえ次はいつになるかは未定ですので気長にお付き合いください。ではまた。