ある晴れた冬の日。
俺たちはこの前の商品のことで聞きたいことがあるとバニルに呼ばれて来たのだが……
「見てください、カズマさん! これは絶対に便利な商品ですよ! なのでお一つだけでもいいので買っていただけませんか……?」
「遠慮す……いや、そもそもそれはなんなんだ?」
肝心の本人はどうやらまだ出掛けているらしく、ウィズと一緒に待っていると、ウィズに怪しげな商品を薦められていた。
「これですか? これは頭につけると寒さに強くなるという便利な魔道具なんです!」
ウィズの手には、西遊記の主人公が頭に付けているような金色の輪っかがあった。
「ふーん、それで? デメリットは何かあるの?」
ウィズの怪しげな商品説明にアクアがウィズに質問をする。
「デメリットというかなんというか……これは使っている人が寒いといったら頭を締め付けるアイテムでして、これをつけている人はいつの間にか寒いと言わなくなる、魔法のようなアイテムなんです!」
「ただの嫌がらせのアイテムじゃねーか! 何の解決にもなってないぞ……」
「その通りだ、さっきから残念店主の胸をチラチラ見てる小僧よ。いったいこの店主はどこからこんな産廃を見つけてきたのか……」
俺がアイテムにケチをつけていると、約束をしていたバニルが大きな荷物を抱えながら帰ってきた。
「べ、べつに見てねーし! というか急に呼び出したくせにどこへ行ってたんだよ。 というかその持っている荷物は何なんだ?」
バニルがため息を吐きながら荷物を置くと。
「これか? これは残念店主が無駄に仕入れてきた商品でな、先ほど返品しようと思って返品しにいったのだが、あいにくいなくてな……ちなみに中身は、汝がさっき持っていた魔道具や他にもあった何の役に立つか分からない魔道具ばかりだ」
「そ、そうかお前も大変なんだな……」
仮にも地獄の公爵と言われているやつが返品作業って……。
バニルの苦労に同情を覚えていると、アクアがわざとらしく嫌な顔をした。
「なんだあんた帰ってきたの? はーやだやだ、せっかくの空気が美味しくなくなっちゃうわ」
「別に貴様は呼んでないのだが……今から貴様の保護者と商談をするのだから、速やかにあっちへいって適当な商品を見てくるが吉」
うざそうに絡んできたアクアをバニルがしっしと追い払う。
そうするとアクアはあっかんべーをしながら、商品が並んでいる戸棚の方へ行った。
あっかんべーってあいつ、ほんと子供っぽいな……
子供の対応しかしないアクアに呆れていると、バニルが荷物を置きながら、今回の商談の話をし始めた。
「今回汝に来てもらったのは、この前の火をつける魔道具の話だ。子供たちが勝手に使うこともあって、もう少し安全性を上げてほしいという声があってな。構造を少し見直したいのだ」
別になんてことのない俺が前に作ったライターの話だった。
すでにこのライターのお金は、知的財産権として貰っている。
しかしさっきも返品作業やらなんやらで大変だったしな……と思ったのでいくつかの改良案を出してあげることにした。
「ほう、ほう、汝の世界では子供に使わせないように、押すところを重くしたりするのか。他にも貴重な意見があってとても参考になったぞ。どうだ? 我輩は要らないのだが、この前とある店で割引券とやらをもらったのだ。これをお礼として汝に差し上げようではないか」
「ありがとうございます。大事に使います。あっ、あとその商品に出せる案はもうそれぐらいしかないからな。他にもなんか用事はあるのか?」
「いやいや今日はこれだけだ。また困った時があったらまた汝を呼ばせてもらおう」
そうするとバニルは手にしたライターを奥の倉庫へと直しに行った。
商談が終わると、アクアが俺の話が終わるのを待っていたのだろうか、何かを手に持ちながら近づいてきた。
「カズマ、カズマ! 見てみて! こんな魔道具しか売ってない店で、ほら! おしゃれな指輪よ! しかも私たちやめぐみん、ダクネスの色も揃ってるわよ! みんなでいっしょにつけましょうよ!」
アクアが手に持っていたのは赤・青・黄・緑の色とりどりの指輪だった。
そう言えば俺たちはこういう仲間としての証みたいなお揃いの道具とかを持っていたりしなかったな。
こうやって皆との共通装備というのはなかなか憧れるシチュエーションだ。
「この店も探せばいいものはあるんだなあ……アクアー! 俺にその緑のやつを貸してくれないか?」
アクアに緑の指輪をもらい右手につけてみる。
ほほう、なかなかこれはこれは……。
付けてみると思ってたよりもおしゃれな感じになるな。
そうしてアクアも俺に見習って左手に指輪を付けると…………
『ドンッ!』
急に指輪が輝き出して、アクアと俺の体がくっついた。
性格に言うと俺の右手とアクアの左手がいわゆる『恋人繋ぎ』とやらになっている。
え? え、なんで? いったい何が起こってるんだ!?
「おいアクア、そんな急に手を握ってくるのはどうかと思うぞ、びっくりするだろ」
「なんで私があんたとなんかと手を繋がなきゃいけないのよ! カズマが手を繋いできたんでしょ! カズマもこの麗しい私と手を繋ぎたいのはわかるけど離してくれないかしら?」
お互いの意見がすれ違う。
「いやいや! いきなり握ってきたのはお前だろ! だって俺なんもしてねーし!」
「はあ!? 手を繋ぎたくて握ってきたのはあんたじゃない! 手を繋いだのはいいけれど恥ずかしくなってきたからって私に責任を押し付けないでもらえますかー」
一向にすれ違う俺とアクアの意見。
お互いに離そうと思っても、接着剤をつけたようにまったく離すことができない。
というか俺がアクアと手を繋ぎたいから急に手を繋いだということになってるのが腹立つ。
アクアが繋いできたんじゃなければじゃあなんでなんだと考えていると、倉庫整理をしていたウィズが、戻ってきたやいなや大声をあげて……
「ああっー!!! も、もしかしてカズマさんとアクア様ってば、その魔道具を指にはめちゃったんですか!?」
ウィズがやってしまったというような顔で俺たちの手を見る。
俺でもなくアクアでもなくということは何となくそんなことだろうなとは思っていた。
絶対これ、ウィズの店のろくでもない商品だろ。
「やっぱりこれってウィズの店の魔道具なのか? 勝手に付けちゃってごめんな。ちなみにこの手を繋いでる状態はいつまで続くんだ……?」
「それはカップルがより仲良くなるために作られた魔道具でして……その、あの……」
「その手を繋いだ状態は付けた時から12時間は続くことになるぞ。12時間たったら自然と切れるがな。いやー返品作業でイライラしてたらこんなとこに思っても見なかった羞恥の悪感情が!」
言いづらそうにしているウィズに代わって、倉庫から帰ってきたバニルが説明する。
嘘だろ……。
ということはトラブルメーカーを体現するようなあのアクアと手を繋いだ状態が12時間も続くということか!?
「はあ!? どういうこと!? 誰が好き好んでカズマと一日中手を繋がなきゃいけないのよ! そんなのラブラブなカップルでもやらないわよ!? それにこんなものは……『ブレイクスペル』! あ、あれ……?」
アクアの魔法で俺たちの手が光に包まれる。
だが離そうと思ってもやっぱり離すことが出来ない。
「別に呪いでもなんでもないのに効くわけなかろう。 それのくっついている力は自然の特殊な力をもつ磁石からできたものだ。おやおやどうしたのだ、いつもろくなことをしない女神よ。今の汝はまるで手を繋いでいる『ラブラブカップル』のように見えるのだが」
「うっさいわね!! あったまきた! いいわ! 二度とその口が開けないように、ありったけの浄化魔法を……ふぎゃっ!」
バニルに魔法をかけるために勢いよく近づくと、手を繋いでいたせいで、アクアは前のめりな体制になった。
「痛っい! ちょっとカズマ! なんであんたはボーッと立ってるだけなのよ!」
「なんで俺が怒られてんだよ! てか急に動こうとするなよ! 俺の手も痛いんだぞ! はぁ……つかこの状態でどうすんだよ……今日はもう早く家に帰ろうぜ……」
このままここにいたらバニルがアクアをからかい続けて、ろくな目に合わないような気がする。早く屋敷に帰らなければ……。
「す、すみません! 私が仕入れた魔道具のせいで、カズマさんたちに迷惑をかけることになってしまって……」
「ーーフハッ! フハハハハ!!! 問題ごとばかり起こす厄介女神よ、今日はせいぜいその男と『ラブラブデート』とやらをしてくるがよい。ッッ! フワーッッッッッ!」
声にならない笑いをあげるバニルとわなわなと体を震えさせるアクア。
そんな二人の間に入ると、俺はめんどくさいことになる前ににいち早く屋敷に帰ることにした。
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ウィズのお店から出たあと、俺たちはなんとか手を離すことはできないかと試行錯誤していたのだが……
「うーーーーッ! はぁ、なんでこんなに固いのよこの魔道具は」
「ーーーっ! ハァ……ハァ……ほんと離れる気がしねえなこれ。やっぱり一日がたつまで待たなきゃいけないのか……」
お互いが全力で逆方向に手を引っ張ってもびくともしない。
というかさっきからアクアと手を繋いでいるからか、アクアの体温が感じられてドキドキする。
落ち着け……相手はあのアクアだ……乱暴でやる気がなくて俺と同じぐらいのダメ人間で……あっ、なんかアクアの手が思っていたよりもやわらかくてスベスベす……おかしい! そうじゃなくて!!
そんな俺の気持ちに気づいたのか、アクアが俺のことを不審がる。
「ねぇ、カズマさん。さっきから私と手を繋いでいるからって手をニギニギしたりするのやめてくれないかしら。気になるんですけど。まあ、女の子と手を繋いだカズマには仕方のないことなのかもしれないけど」
「お、俺だって女の子と手を繋いだことぐらいあるわ! てか別に握り返してなんかいねーし!」
そう、別にこれはなんでもない。今の俺はあのアクアと手を繋いでいるだけだ。
そう、別になにも問題はない。駄々をこねているアクアを引っ張っていくときとかもたまにある。
たとえ恋人繋ぎをしているからといって相手はあのアクアだ。なにも緊張することは……あっ、なんか手に汗がかいてきたような……!
落ち着け、サトウカズマ。このままではアクアに手から粘液を出すカエルニートだなんだってバカにされてしまうぞ
いやけど、なんか俺一人だけにしては汗の量が多いような……
そんなことを考えていると前からお頭、ではなくクリスが歩いているのが見えた。
「お、おいアクア! 前からクリスが歩いてきてるぞ! どこかに隠れなきゃ俺とお前がヤバい!」
「えっ、クリスが! はや、早くどこかへ隠れないと……ふぎゃっ!」
あわててお互い反対の道へ行こうすると転んでしまった。
マズイ! このままではアクアと俺が恋人繋ぎをしているというのがクリスに知られてしまう!
早く立って隠れなければと思っていると、クリスが無邪気な笑顔を浮かべながら転んでいる俺たちに話しかけてきた。
「やあ、二人とも。どうして二人とも仲良く同じ場所で転んでいるんだい?」
見つかってしまった。
笑顔で立ちながら、怪しまれないようにクリスに話しかける。
「いや、たまたまだよたまたま。俺たちはもう屋敷に帰るところでな。そういうクリスは何をしているんだ?」
「自分はちょっとギルドの方へ用事があって、……あれ? なんか今日の君たち、距離が近いような……というかどうしてお互いに片方の手を隠してるの?」
「べ、べつにー! な、なんでもないわよ」
アクアがぎこちない笑顔を浮かべながらクリスと会話をする。
こいつ、もしかして誤魔化すのが下手なんじゃないか。
「そうなの、それにしてはなんか……あっ!」
おい! 何があっ! なんだ!? 何に気づいたんだ!?
「い、いやーまさかカズマ君とアクアさんがそ、そういう関係だったとはねえ……! これは予想外だったよ……いや、ほんと驚いちゃった!」
たははーと顔を少し赤くしながら、笑みを浮かべるクリス。
「い、いや、だからこれはちょっと事情があってだな……」
なにやら間違った方向に感づいてしまったクリスにあわてて繋いだ俺たちの手を見せる。
あっ! 手を見せる前に先に事情を話しておけばよかった! これはもしかすると……
「ええっ! な、なに!? ただ手を繋いでるだけじゃなくて二人とも恋人繋ぎなんかしてたの!? そこまでラブラブだったとは意外なんだけど…… 助手君ってばいつの間に先輩とそんな仲を深めてたの!?」
やっぱり!! 状況を説明するために繋いだ手を見せたら余計ややこしくなってしまった!
クリスもアクアのことを先輩って言うほど慌ててるし。
というかさっきからなんでアクアは照れて下を向いてんだ!? なんだかより本当のカップルぽく見えてしまうじゃないか!
「いやっ、だから俺とアクアはそういう関係じゃなくて……」
「大丈夫、分かってるよ! 二人ともまだ恥ずかしくて付き合っていることを隠してたんだね。いやーまさか先輩が助手君と……ごめんね! お二人の邪魔をしちゃって! それじゃデートでも楽しんでね!」
そういうと恥ずかしくなったのか、クリスはギルドの方へ一目散に走っていった。
あれ絶対アクアと俺が付き合ってるって勘違いしたままだろ。
後で誤解を解かないと、どこで広められるか心配だ。
というか妙にさっきからアクアが静かだ。
こういうときのこいつは勘違いされてたまるかと真っ先に否定しにいきそうな感じがするのだが……
そうやってアクアの方を見るとアクアが俺に対して少し顔を赤くして……
「あ、あのカズマさん、さっきからちょっと私の手を強く握り過ぎじゃない……?そんなに強くされると少し恥ずかしいんですけど……」
アクアの様子が変だったのは俺のせいだったらしい。
そう言えばクリスとしゃべっているときに、けっこう手に力を入れていたような感じがする。
「お、おう、ごめんな……ええっと、早く屋敷に帰って明日になったらクリスの誤解を解きに行こうか」
クリスの勘違いとアクアの態度も相まって、自分達にどことなく恥ずかしい雰囲気が漂う。
さっさと屋敷へ帰るために俺はアクアの手を引っ張ってなるべく早く歩くようにした。
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「いいかアクア。まず屋敷に入ったら二人がいないかどうか確認をする。そしていなかったらすぐに俺の部屋へ行って明日までとりあえず隠れておく、わかったな?」
屋敷についた俺たちはめぐみんたちにバレないようにと作戦会議をしていた。
「分かったわ! めぐみんやダクネスたちにバレちゃったら恥ずかしいしね! カズマといっしょに寝るのは怖いけれど耐えて見せるわ! 変なことしないでね」
「めぐみんやダクネスならともかくお前にはしないよ。よしっ! いくぞ!」
めぐみんとダクネスがまだ晩ごはんの買い物から帰ってきてないことを祈りながら、屋敷のドアを開けるとーー
「おや帰ってきたのですか二人とも。 もう商談は終わったのですか?」
リビングからめぐみんの声が聞こえてきた。
あかん、これはダメだ! めぐみんにバレたら、絶対ややこしいことになる予感がする。
「お、おう無事になー ただの商品の開発の話だったからすぐに終わったぞ。じゃ、じゃあ、俺はちょっと上に上がるから……」
「わ、私もちょっと自分の部屋に行くわねー」
咄嗟に予定を変更しめぐみんにお互いの部屋に戻ると伝えることが出来た。
しかし俺たちの反応を怪しく思っためぐみんがリビングから俺たちのところへ歩いてきて少し怒りながら……
「家に帰るなり部屋に行くっていったいどうしたんですか。もうそろそろ夜ですしダクネスが晩ご飯を作ってくれていますから、せめて食べてから…………なんで二人とも手を片方だけ後ろにしてるのですか。また面倒なものでも持って帰ってきたのですか。…………というかいつも以上に二人の距離が近いような感じがするんですが」
ヤバい、めぐみんに感づかれそうだ!
確かに手を繋いでいるせいか、アクアと俺の距離はいつもより結構近いし、なんなら腕同士が密着してもいる。
めぐみんが不審がるのも無理がないだろう。
めぐみんに感づかれる前になんとか誤魔化して上にいかなければ……!
「べ、べつにいつもアクアと俺はこんなもんだよ、なぁ! アクア!」
「えぇ……そうね! 今近いのはカズマと手を繋いでいるからであって、別に仲がいいからとかじゃないから! あっ……!」
このバカ! なんでこいつは口をうっかり滑らすんだ!
「手を繋いで……? あっ! なんでカズマとアクアが仲よく手を繋いでいるのですか! あれっ!? なんで二人とも恋人繋ぎなんですか!」
めぐみんが信じられないようなものを見たような視線で俺たちの繋いでいる手を見る。
「違うってめぐみん、これには訳があってだな……」
「違う!? これのどこが違うのですかカズマ!? さすがにこれは言い逃れられませんよ! あなたはどこまで浮気性なのですか! というかアクアもアクアでいったいいつからカズマのことを好きになってたんですか! ダクネスならまだしもアクアはさすがに予想外ですよ!」
「待ってめぐみん! どうして私がこのヒキニートのことを好きにならなきゃいけないのよ! カズマが私に惚れることはあっても、私がカズマに惚れることなんてあり得るわけないじゃない!」
「俺もお前に惚れるなんてあり得ねーよ! とにかく説明するから事情を聞け!」
こうして事前に考えた作戦も水の泡となってしまった。
バレたら恥ずかしいからなるべく話したくなかったののだが……
結局めぐみんに魔道具のことを話すことにした。
というかクリスの時もそうだが、最初から事情を話したら良かった。
「な、なるほどウィズの店の商品のせいだったのですか……早とちりしてすみませんでした。」
「おう、別に俺たちの意志じゃないって分かってくれればそれでいいんだ」
「そうよめぐみん! だいたい私たちがいっしょに『恋人繋ぎで』手を繋ぐような仲だと思うの?」
そうだ、俺とアクアがそういう仲になるなんてほんと想像もつかない。
こいつと付き合うとしたらよほど付き合いの長いやつじゃないと無理だろう。
「い、いや、そういう訳ではなく……しかし最近のアクアの態度をみてたらもしかしてと思って焦ってしまって……」
もしかして? 何を言っているんだ?
少し考えていると、めぐみんが何かを思い出したかのように俺たちの方を見てー
「そう言えばこの前ダクネスとカズマがそんなことになっていましたが、アクアの魔法も効かないとなるとトイレやお風呂はどうするのですか? 二人とも今日はずっと一緒なのでしょう?」
そう言えばそういうことはすっかり考えてなかった!
「カ、カズマさん! ど、どうするの!? さすがに今日ぐらいはあんたもお風呂は我慢出来るわよね!?」
「いやに決まってたんだろ! 今日出掛けてからめっちゃ汗をかいてんだ! 何と言われようが俺はお風呂に入るぞ!」
汗をかいたのは移動したからというのもあるが何よりーアクアであってもー女の子と手を繋いでいたからか、初めの時に手を繋いだ時の背中の汗がまだ残っている。
このままお風呂に入らないのはいくらなんでも嫌だ。
駄々をこねる俺にめぐみんが仕方がないというような顔で
「まあ、ダクネスや私の時でも何ともなかったのですから、カズマとアクアならなおさらでしょう。後でダクネスに事情を話しておきますから、早くお風呂にでも入ってきたらどうですか?」
「ええっ! ちょっと諦めないでよめぐみん! お願い! カズマを説得してよー このままだと私の美しい身体がセクハラニートに見られちゃ……っ!痛い! 痛い! カズマってば無理に動こうとしないでー!」
いち早く風呂に入って汗を流したかった俺は、いつまでも文句をたれているアクアを無理やり引っ張って、服をとりに自分の部屋に向かった。
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「ええと、どうしましょうか……? ね、ねぇ、やっぱり考え直さない……? ほら手を繋いだままだと服も脱ぐことができないし……」
アクアが困ったような顔で俺の顔を見る。
「却下だ。めっちゃ汗かいてるからなんとしてでも俺は風呂に入るぞ。服はお互いの腕のところで濡れないように持っておこうぜ。というわけで俺は脱ぐから」
「あんたってば躊躇ないわね……女の子の前でよくもそんなどうどうと服を脱ぐことが出来るわね……」
だってアクアだしな。
始めは手を繋いでいることにドキドキしてたが、ここまで時間が経つとだんだんと慣れてきた。
そうしてアクアと背中合わせになりながら服を脱ぎタオルを巻いていると、後ろからアクアがしゅるしゅると服を脱ぐ音がして……
あっ、慣れただなんて嘘を言ってごめんなさい。
これはちょっとダメかもしれない。
なんかめぐみんと入った時よりも断然距離が近いからめっちゃ服を脱いでいる音が聞こえる……
ほらっ! 今アクアがスカートを脱いだ! パサッって音がしたし!
背中合わせでアクアが服を脱いでいるという事実が、思っていたよりも俺を緊張させる。
いや、ちょっとこのままでは俺のマイサンが戦闘態勢に入りそうでヤバい! ……というかちょっと入りかけているが。
こんな状態を見られたらアクアに後でどれだけ笑われるか。
そうして荒ぶりそうな俺の息子をなんとか抑えようとしていると……
…………カチャ……
アクアのブラジャーを外している音が聞こえた。
あいつそんなものしてたのか……てっきりずぼらなアクアのことだからしてないと思っていた。
だからあんなにプロポーションだけはしっかりしてるのか……
いや! 違う違う! なんてことを考えているんだ俺! さすがにこれはヤバいぞ!
いくらなんでもアクア相手に興奮するのは理性の俺がダメだと言っている。
そうしてアクアの脱衣実況をしていると、アクアが俺に困ったような声で話しかけてきた。
「ねぇカズマー ちょっとパンツを脱ぎたいから手伝って。 片手じゃちょっと脱ぎづらくて……」
…………あれっ!? こいつ今日はパンツ穿いてたのか!
あくまで俺の予想だが、アクアは日によって絶対にノーパンの時がある。
ここまで付き合いが長いと、何回かスカートの中身が見えそうになったことはある。
アクアも見られてることが分かってないのか、パンツを穿いている時よりもノーパンの方が頻度が多いんじゃないかっていうぐらいアクアの尻が見える。
めぐみんやダクネスに負けず劣らずなアクアの尻はついつい眼を奪われてしまう。
しかしまさかアクアにこんなことを頼まれるとは思ってもみ見なかった。
「お、おう、それで、どうするんだ?」
「私が手を動かしてパンツのところまでカズマの指を持っていくからそこから指をかけて下ろすだけでいいわ」
なんだ、そういうことか……さすがにアクアのパンツといえども、俺が脱がせるのはイケないことをしてるみたいで恥ずかしい。
そうしてアクアの指示通りにアクアのパンツに指をかけると……
「…………ひゃう! いったいどこ触ってんのよ! このセクハラニート!」
「ちっ、ちげえ! 今のはたまたま当たっただけだろ! てか触ったといっても今のは太ももだろ! ノーカンだ! ノーカン!」
アクアが変な声を出すからこっちも驚いてしまった。
お尻ではなく太ももだったことが少し惜しまれるがまあ仕方がない。
「次やったらゴッドブローをくらわせるわよ……じゃ、じゃあいくわよ! 3.2.1で下ろすからね!」
そうしてアクアの掛け声に合わせていっしょにアクアのパンツを脱がす。
しゅるしゅるーとアクアのパンツが離れていくのが少し艶かしくも楽しい感覚だ。
そうしてようやくアクアのパンツを脱がせることが出来ると、アクアがちょっと恥ずかしかったわね……とかぶつぶつ言っていた。
今のはなかなか良い経験だった。
アクアが服を脱ぎ終わりタオルをなんとか巻くと、今のでどっとかいた汗を流すために、俺たちはお風呂へと向かった。
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「カズマーそこにある私のシャンプーをとってー」
「はいはい、ほらよ」
俺の方にあったアクアのシャンプーをアクアに渡す。
風呂は良いものだ……
身体を洗っているときはお互いがそこまで相手のことを気にしなくなるのでそこまで気にはならない。
いや、お互い背中合わせで身体を洗っているから、緊張するといえばするのだが。
そんなことを考えながら頭を洗っているとアクアが話しかけてきて……
「まさかカズマといっしょにお風呂に入るとは思ってもなかったわ。今日は仕方がないけど我慢しようと思ってたのに……」
「まだ言うか……でもほら、アクアも汗かいてたからお風呂入ってよかっただろ」
「そう言われてみるとそうね、あっ、カズマ、そこの石鹸をちょっととってくれる?」
「ハイハイ、石鹸な。ほら。」
ありがとねーといいながらアクアが石鹸を泡立てようとする。
あっ、てか今石鹸を渡す時にアクアのおっぱいがちらっと見えた。
なかなか良いおっぱいだったなと思いながら頭の泡を洗い流すと、アクアが俺に話しかけてきて……
「ね、ねぇカズマ、石鹸を泡立てたいからちょっと目をつぶりながらこっちを向いてくれない?」
そうか、片方の手が使えないから石鹸を泡立てさせることができないのか。
そういうことでアクアの方へ身体を向けるとアクアが急に慌て始めてーー
「カズマさんっ!? ちょっと待って! な、なんでカズマさんのそこのタオルが持ち上がってるの!? そ、それって……」
まずい、さっきアクアのおっぱいを見たことで俺の息子が戦闘態勢になってしまったようだ。まあいいや。
「気にすんなってアクア、ただの俺の新しい宴会芸だよ」
「ふざけないで! 全部の宴会芸を覚えている私でも聞いたことがないわよ、そんな芸! ちょ、ちょっとそれ、おさえてよ……」
たぶん顔が赤くなっているであろうアクアが俺にそんな無茶なことを言ってくる。
「おさえろって言ったって生理現象なんだから仕方がないだろ。それかアクアが目をつぶって、俺がアクアの身体を洗ってやろうか?」
「いやに決まってんでしょ! カズマが洗うところなんて決まってるじゃない! いやよ!」
ちっ、バレたか。
「だ、だからカズマさん、それがおさまらないのだったら、む、向こうを向いていいから……も、もう石鹸はそのまま使うから……」
「お、そうか。じゃあ俺もそうしようかな」
アクアが体を洗い終わると、俺はアクアから石鹸を受け取り体を洗い始める。
その間にもアクアがぶつぶつと『なんでこんなことに……』とか『さすがにその状態のは見ちゃまずかったんじゃ……』とか言ってたが、これ以上いじったらガチギレするかもしれないからやめておこう。
たまにはアクアにセクハラするのもいいかもしれない。
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湯船に浸かって身体も十分に暖まることが出来た。
やっぱり一日の終わりはお風呂に入らないとな。
後は着替えてご飯食べて寝るだけだなと思いながら着替えていると、アクアがまた困ったような声を出してーー
「カ、カズマさんーちょっとパンツを穿くのを手伝ってくれないかしら……」
なんだかアクアが変なお願いをしてきた。
「手伝うといっても……脚を使ってなんとか穿けないのか?」
「だから穿けたらわざわざカズマに頼まないわよ……分かってる!? 絶対変なところを触ったりしないでね!?」
「分かってる、分かってる。フリだろ?」
「フリじゃないからっ! 真面目にやらないとグーで殴るわよ!」
チッ! 間違えたーとか言ってアクアのお尻を触れるチャンスだったのに。
諦めた俺はアクアのパンツを穿かせようとアクアのパンツに手を触れた。
これしゃがまないと出来ないな……
するとアクアも同じことを思ったのか同時にしゃがもうとするとーー
「あぅ!」
アクアのお尻と俺のお尻が当たってしまった。
なんだ今の!? めっちゃ柔らかかったんですけど! なにあれ良い!
「ちょっと当たらないでよ……ほら早くやって……」
アクアが恥ずかしかったのだろうか、さっきよりも小さな声で俺に催促する。
もう一回当たらないかなと思い、アクアのお尻の感触を思い出しながらアクアのパンツを穿かせた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
湯船から出て無事に晩ごはんを食べ終わった。
食べている間右手が塞がっているから食べづらいと駄々をこねていたらめぐみんやダクネスが食べさせてくれた。
案外この状態で生活をするのもいいのかもしれない。
今の俺たちはもう二人にバレたのだから仕方がないということでリビングでのんびりと食後のお茶を飲みながらボーッとしていた。
一人以外は。
「……っ! はぁ……はぁ……ほんとに力業では離れそうにもありませんね」
「何回やっても無理だったのよ。もう私は諦めたわ……」
何とかして俺たちの手を離そうとするめぐみんにアクアがどうしようもないといった顔をする。
「なんだかアクアとカズマがずっと『恋人繋ぎ』をしているからかイチャイチャしてるように見えて仕方がないんですよ……」
「離そうとしてもどうしようもないからなあ……さっきダクネスにやってもらったがびくともしなかったし」
少し落ち着かない様子のめぐみんをなだめるように言い訳をする。
「本当にこの私の力でもまったく離れなかったからなあ……というよりはカズマとアクアの手が元とは違う感じに取れそうだったのだが」
ダクネスにもやってもらったが、途中からあまりにも痛すぎるのでやめてもらった。
もし四人でウィズの店に来てて四人でこの指輪をはめたらどんな恐ろしいことになったんだろうか。
「はぁ……分かりました。…………そう言えば二人とも寝るときはどちらの部屋で寝るのですか? どちらのベッドの大きさも変わらないのでどっちでもいいとは思いますが」
そう言えばまだ決めてなかったな……
「あっ! すっかり忘れてたわ! ねぇ、お願いよぉー今日はダクネスとめぐみんも一緒に寝ましょうよー! さっきカズマにセクハラされたから二人で寝るのが怖いのよ!」
「さっきのはセクハラじゃなくてお前が頼んできたことだろ。俺は別に何にも悪くない。 まあ、馬小屋の時みたいに四人で一緒に寝るか?」
そうするとめぐみんが俺に対していぶかしげな目で俺を見て
「別に四人で寝るのはいいですけど、この家にはそんな四人で寝るベッドなんかありませんよ。私がこのパーティーに入る前には二人とも一緒に馬小屋で寝てたんでしょう? ならたぶん大丈夫ですよ。というより私としてはカズマはいったいどんなセクハラをしたのかそっちの方が気になるのですが」
ごもっともだ。
この屋敷にはそんな大きなベッドがあるわけでもないし、ベッドを移動させるといってもなかなか重労働になる。
「だって、だって! 私ったらさっきカズマさんにパンツを脱がされたりカズマさんのカズマを見せつけられたりしてたのよ! もう私はカズマさんに汚されちゃったわ……」
「なっ! カズマってばいつからダクネスにするようなセクハラをアクアにするようになったんですか! 見損ないましたよ!」
「ちょっ、ちょっと待て、めぐみん! 私は別にカズマにセクハラされる担当じゃないのだが……」
憤るめぐみんにダクネスが反論を試みる。
別にさっきのは少し魔がさしただけだ。やるならめぐみんのいう通りアクアではなくてダクネスにする。
それに……
「今日はもうしねえよ……というか疲れたから早く寝たい」
なんか今日はいろんなことでドタバタして本当に眠い。
「ね、ねぇ、カズマさん……『今日は』ってどういうこと……? まあ、私も眠たいから寝ることには賛成なんですけど……」
アクアも眠いならちょうどいい。今日はもうぐっすり寝て早く明日になって欲しい。
「というわけで、俺たちは寝ることにするわ。おやすみ、二人とも」
「なぁ、めぐみん、カズマとアクアが一緒に寝ると聞いて、これが寝とられなのかと興奮している私はおかしいのだろうか?」
「ダクネスは元からおかしいですよ。 あのアクアとカズマですよ。 別にこの二人が一緒に寝ようがたぶん何にも起こりませんよ。カズマが何もしない限り……」
なぜだかダクネスは興奮して、めぐみんは俺のことを疑っているが、今日は早くベッドでゴロンとしたい。
そうして二人におやすみを告げるとアクアを引っ張って俺の部屋へと向かった。
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「さて……どういう感じで寝るか決めないとな」
「私がベッドでカズマさんは床でいいんじゃない?」
何にも良くない。
腕を上げたまま寝てるとか、絶対に腕が痛くなりそうだから嫌だ。
「却下だ。俺は絶対にベッドで寝る。お前が諦めて床で寝るかベッドで寝るかどっちかだ」
「ええー! 別にカズマと寝るのはいいけど、さっきのカズマのセクハラを見てたらちょっと嫌なんですけど……はぁ……仕方がないわ、私もベッドで寝たいから諦めて一緒に寝ましょ」
俺もアクアといっしょに寝るのは馬小屋の時に何度も経験したからなんてことはない。
たぶんアクアも同じことを考えているからこそ床で寝るのはやめたのだろう。
ただ手を繋いでいるから少し距離が近いというだけで……
つかなんか今日のアクアの胸元が変な感じが……
あれっ!? そう言えばこいつお風呂から出たあとパンツは俺が穿かせたがブラジャーはホックを止めるのが難しいからつけてなかったんじゃ……
え、なに、ということは今のこいつはノーブラなの!?
まったく考えてなかった事実に少し戸惑う。
「ねぇ、近いからって私に見とれるのは仕方がないと思うけれど、私の胸をそんなに見るのはどうかと思うの。後でめぐみんとダクネスに言いつけるわよ」
「べ、べつに見てねーし! ほ、ほら早くもう寝よーぜ!」
アクアと手を繋ぎながらベッドで背中合わせになって横になる。
「起きててもセクハラセクハラって言われそうだからもう寝るぞ、おやすみ」
「実際今日のカズマはセクハラばかりしてたんですけど……おやすみ、カズマ」
そうして俺たちは今日の疲れもあってか深い眠りに誘われて……
いや、寝れるわけないだろ。
確かにさっきは眠たかったが、アクアと喋ってたら眠気が無くなってしまった。
そして馬小屋の時アクアと寝るのは慣れているといったが、こんなにも背中をくっつけてまで寝たことはない。
繋がれた手と背中ごしにアクアの温度を感じてしまう。
姿勢を変えないといつまで経っても寝れる気がしない。
「……よいしょっと……」
「ひゃう……」
アクアとまたお尻が当たった。
お尻が当たるたびにアクアがなぜか甘い声を出す。
なんだかアクアとイケないことをしているようだが違う。
ただ俺は眠りやすいように姿勢を変えてたまたまお尻が当たっただけだ。
というかこの状態でもまだ当たるからもう一度姿勢を変えなければ……
「……っん……」
だからアクアはなんでこんな変な声を出すんだ!
しかもお互いのお尻が当たるたびにアクアが手をギュッと握ってくるからなんだか俺もドキドキしてくる。
「カズマさん……さっきから私のお尻にわざと当たるのはやめてくれないかしら……気になるんですけど……」
「そうじゃねえよ! ただ背中がくっついているから寝れないだろうなと思ったからであって……」
「…………別に気にしないから……ね? 早く寝ましょう」
まあ、アクアが気にしないのなら俺も気にしないでいいのかもなと思っていたらだんだんウトウトしてきた……
ようやく寝れそうだと思うと、疲れもたまってきてたのか、だんだんとまぶたが閉じてきてーー
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「……っん? ふぁぁ…… あれ…………?」
どこかしらここ……? なんだか自分の部屋じゃないみたいだけど。
というかここってカズマの部屋だったような……
そうして周りを見渡してみるとすぐ横には手を繋いだカズマの姿が。
!?!?!?!?!?!?
「えっ、えっ、なによこれ……どうしてカズマと手を繋ぎながら……」
もしかして朝チュンというものだろうか。
いや、カズマとそんなことが起こるなんてあり得ない。
慎重に昨日の記憶を思い出してみるとーー
「そう言えばウィズのお店の指輪のせいでこんなことになっていたんだったわね……」
カズマと一緒のベッドで寝てることで記憶が混乱してしまった。
というかもうそろそろ指輪の時間も過ぎたんじゃないかしら。
そう思って手を離そうとするとやっぱり離れた。
私の左手についているキラキラと輝く青色の指輪。
昨日はこの指輪のせいでなんだかろくな目にあった気がしないわ……
クリスには勘違いされるし、めぐみんやダクネスにも誤解されるし……なんだか昨日はカズマのセクハラも多かったように思う。
カズマと一緒にお風呂に入ったり一緒に寝たりして、ここ最近でほんと恥ずかしい経験だったわ。
まあ、こうやってカズマと一緒にいることは嫌ではないのだけど。
カズマと一緒にいるとやっぱり楽しい経験の方が多い。
最近はカズマと一緒にいたいと思うことが多くなってきたように思える。
そんな他愛のないことを考えながらカズマの方をふと見ると、さっきまでずっと繋いでいたカズマの右手に気がついた。
別にこれは私がしたいからじゃなくてカズマがかわいそうだからーーそんなへんてこな言い訳を考えながらカズマの手をもう一回握ってあげた。
カズマが起きて私の手が繋がれてないことに泣いちゃったらいけないから握っててあげよう。
カズマの手の温もりを感じながら横を見るとカズマが幸せそうな顔で眠っているのが見える。
カズマの幸せそうな顔を見つつ、そのあとカズマが起きるまでずっとカズマの手を握っててあげた。
たまにはこんな穏やかな日もーー