この素晴らしい駄女神に祝福を!   作:イチセ

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この仲の良い四人に祝福を!

 時系列は魔王討伐後です。

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「ねえねえ、そこのあなた。ちょっと暇かしら?」

 町を歩いてたら、水色でショートカットの可愛い女の子に話しかけられた。

 なんだろう。高い美術品でも売られるのだろうか。

 「別に暇ですけど……。あの、今の俺あんまりお金ないんで、すいません」

 「違うわよ! 別に怪しい人とかじゃないわよ! ……えぇ、おほんっ、あなたって、もしかしてあの高名な冒険者のサトウカズマよね」

 初対面で俺のことを褒めてくれる目の前の可愛い女の子。

 もしかして俺の活躍を聞き付けて、遠い町からやって来たファンなのだろうか?

 「そうだよ。俺が数々の強敵を打ち倒し、世界にもその実力を認められたサトウカズマだよ」

 何しろ最近は魔王を討伐したこともあり俺の顔は瞬く間に広がった。有名人はつらいものだ。

 「やっぱり! 実は私はこの町に来たばかりの初心者プリーストなんだけど、奢っ……んん! ちょっと道に迷っちゃってね。そして町を歩いていたらあなたを見つけたの! ねえねえ、これも何かの縁だと思ってどこかで一緒に食事をしない?」

 なんか今奢ってって言おうとしてなかったか?

 どうやらこの町に来たばかりの冒険者だったらしい。

 それにしても、これはいわゆるナンパと言うやつだろうか?

 こんな経験は初めてなので、いまいちどういう対応をしたらいいのかが分からない。

 というかこの娘はなんでいきなり俺のことを……。

 最近モテ期が来ていると噂のカズマさんに、この娘も一目惚れしたのだろうか。

 まあ、予想ではお金が無くて困ってたところに、ちょうど金の持ってそうなやつがいたからギルドで食事を奢ってもらおうとかそういうことだろうな。

 こういう娘を見ると、ふと土木工事に追われるあの時を思い出す。まぁ、昼御飯ぐらいは奢ってやってもいいかな。

 それにこういう可愛い子にナンパされるというのもなかなか無い経験だ。

 「俺も町をブラブラしてるだけで暇だったしな。ギルドにいって昼御飯でも食べるか? おっと、そういえばあんたの名前はなんなんだ?」

 「私? そうねぇ……。私の名前はアリア、アリアよ! よろしくカズマ!」

 元気いっぱいに自分の名前を呼んでくれるアリア。

 冒険者を始めたころの俺だったら、今のですぐに恋に落ちてたかもしれない。

 アリアの服装は冒険者というよりは、どこの村にもいそうな素朴な村娘みたいな格好だ。

 プリーストといっていたがあんまりそういう風には見えないのだが……。

 もしかしてただのアクセルの住人とかじゃないよな?

 ギルドまでアリアと一緒に歩きながら、ふと思ったことを尋ねてみる。

 「なあ、アリアってプリーストなんだろ? パーティーとか組んでたりするのか? それともギルドで冒険者カードを登録してきたばっかなのか?」

 「さっき登録してきたばっかりよ。やっぱり冒険者はパーティーを組んだりするものなの?」

 「そうだなあ、ソロでやってる特殊な魔法使いとかもいるが、基本はお互いの得意不得意を埋め会うために、パーティーを組むことが多い」

 俺たちもパーティーを組んでいるし、俺たち以外にも、ダストたちやミツルギたちもパーティーを組んでいる。

 そういえばダクネスも出会う前はクリスとパーティーを組んでたっけ。

 「さすがにプリースト一人じゃ戦闘はキツイからなあ。他にもクルセイダーや魔法使いとかがいたら便利なんだけど」

 「へぇ、そうなの? それじゃ、カズマのパーティーにはそういう人たちがいるの?」

 アリアが興味津々な、そして何か企んでいるかのような顔で、聞いてくる。

 「俺か? 俺のパーティーの一人は魔法使い職のアークウィザードがいる。が、そいつは爆裂魔法だけしか覚えてなくてな。何回か他の魔法を覚えるように勧めたんだけど、まったく聞く耳を持たなかった」

 「上級職のアークウィザードがいるの? しかも爆裂魔法も覚えているの? それってすごいじゃない!」

 アリアはそう言うが、めぐみんは俺たちの攻撃の要なので、もう一発撃てるようになったら俺としては楽なのだが。

 まあ大方のモンスターはめぐみんの爆裂魔法で一発だから問題が無いと言えば無い。

 おそらくこの世界にめぐみん以上の破壊力のある攻撃手段を持っているアークウィザードはいないだろう。

 最初は一発だけしか撃てない魔法使いとかなんなんだよ……と思っていたが、今の俺たちはめぐみん無しでは成り立たない。

 それぐらい大切なやつだ。

「爆裂魔法しか覚えてないといっても、こいつがいなかったらクリアできないクエストなんか山ほどあったからな。会えて良かったと思ってるよ、楽しいやつだし」

そう言うと、アリアは顔をほころばせて、俺の方を見てニヤニヤしてる。なんだよ恥ずかしくなるからその顔止めろって。

 「うんうん、やっぱり素直じゃないわね。他はどんな人たちがいるの? カズマのパーティーはカズマとアークウィザードだけじゃないでしょ?」

 「ああ、それと他にはクルセイダーがいる」

 「クルセイダーの人がいるの? アークウィザードにクルセイダーにカズマのパーティーは上級職ばかりね」

 ずいぶん前にダストに言われたセリフみたいだ。

 「あのな、上級職ばかりだというが大変なんだぞ。そのクルセイダーは防御力はあるんだが、攻撃がまったく当たらなくてな……。しかもモンスターがいたらすぐに飛び込みに行く。おまけにドMだ。」

 「そ、そうなのね。でもクルセイダーというからには防御力はすごいんでしょ?」

 「まあ、そうだなあ……」

 確かに。めぐみんが攻撃の天才だとしたら、ダクネスは守りの天才だ。

 それぐらいあいつの防御力と言うものはスゴい。

 「俺たちも何回かあの防御力に救われてきたよ。ドラゴンゾンビのブレスを守ってくれたり、魔王軍幹部の攻撃も防げるやつだよ」

 ダクネスが不在で、アダマンマイマイを狩りに行ったときにもそれは痛感していた。

 クーロンズヒュドラの時も、あいつの堅さがなければ、エリス様に会う回数がもう一度増えていただろう。

 やっぱり、めぐみんと同じくダクネスもこのパーティーには不可欠な存在だ。

 あいつらの前でいったら、絶対に顔をニヤニヤして俺をいじってくるから絶対に言わないが。

 今さらあいつらにありがとうとか言うのは少し恥ずかしいし。

 ギルドまでもうすぐと言うところでアリアが何か期待したような目で俺の方を見てきた。

 「それで、それで! カズマのパーティーには他にはいないのかしら? そう! もう1人ぐらい優秀な娘とか!」

 「ああ、あともう一人アリアのプリーストの上級職であるアークプリーストがいる」

 「アークプリーストなの!? ほんとカズマのパーティーは上級職ばかりねぇ……」

アリアがしみじみと言う。

 「だから上級職だからといって、良いとかそういうもんじゃないんだって。 そのアークプリーストも問題ばっかり引き起こすやつでなあ……何度俺が尻拭いしたことか……」

 だいたい今までに起こした問題の半分以上はアクアが関わっているような気がする。

 「そ、そうなのね……でもっ! その娘もアークプリーストなんだからさっきの二人みたいに良いところが有るんじゃないの?」

 「良いところか……。さっき言った通り、俺たちのパーティーはだいたいのモンスターはアークウィザードの魔法で一撃で終わるか、そうでなかったらクルセイダーが守ってくれるからな……。あんまり怪我をすることがないから回復魔法の出番が無いんだよな……。後はなぜか宴会芸スキルを持っている」

 ほんとどうしてあいつは宴会芸スキルを覚えているのか。 

 俺が思うに、アクアは絶対水と借金と宴会芸の神様だと思う。

 俺がしみじみとアクアのことを思い出していると、アリアがプルプル震えながら、

「やっ、やっぱりそんな風に……カズマのパーティーにはその娘は要らないの……?」

 「いや、そんなことはない。そいつも俺たちのパーティーに必要なやつだよ。何だってそいつは蘇生魔法を覚えてるしな。優秀なアークプリーストであることは確かだ」

 「へ、へえ……ほ、他には?」

 アリアの不安そうな顔が安堵に変わる。

 「他か? そいつはアクシズ教の女神を名乗ってるやつなんだが、とにかく人を楽しませようとしていて、一緒にいて楽しいやつだよ。最初のころからの付き合いだがあいつといると毎日が楽しいし安心するよ」

 問題ごとばっかり起こすやつだが、あいつがいないと落ち着かなくて不安になる。

 「あぅ……そこまで言われるのはさすがに予想外なんですけど……」

 アリアがボソボソと何か独り言を言っている。

 声が小さすぎて何を言っているか分からん。

 「まぁ、俺の仲間はこんなやつらで助けてあげることも多いが、助けてもらうことも多いからな……。長い間一緒にいたら良いところも分かるし、喧嘩もしたりする。でも、このパーティー以外はもう俺には考えられないからな。アリアもそういう仲間を見つけろよ。」

 なんか柄にもないことを言っているような気がして顔が赤くなってくる。

 するとアリアが満面の笑顔でーー

 「そうね、私もそんな素敵な仲間を作りたいわ。カズマのパーティーの人たちはきっとお互いが好きで大切なんでしょうね。カズマったらいい仲間を見つけたじゃない!」

 そんなことを誇らしげに言ってくる。

 その笑顔はどこかで見たことのあるような、俺の好きな笑顔。

 「なあ、アリアって俺とどこかで出会ったことあるか?」

 「なあに? 君に運命を感じたとかそういう口説きかたなの? そうねぇ、あったことがあると言えばあるけど、無いと言えば無いわね。カズマには秘密よ」

 あるのか無いのかどっちなんだ。

 意味深なことを言うアリアとしゃべっていると、いつの間にかギルドについた。

 「あっ、ごめんなさい! 私ったら急用を思い出したわ! それじゃ! 連れてきてもらったのにごめんね! また会えたら一緒にお酒でも飲みましょ!」

 慌てた様子でここまで来た道を走っていくアリア。

 ていうか俺を誘っときながら、急用って……。なんか肩透かしをくらった気分だ。

 特に何もやることのなかった俺はギルドに入ることにした。

 いつかまたあの娘に会えたらいいなと思いつつーー

 

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 ダストたちとギルドで一緒にしゃべっていたら、すっかり夕方になってしまった。

 もっと残らないのかとダストたちに聞かれたが、帰りが遅くなることをあいつらに伝えていないので、晩ごはんの時間になる前に帰ることにした。

 「ただまー。帰ったぞー」

 「「「おかえり、カズマ!」」」

 帰ってきたと同時に三人がリビングからやってきた。

 「お、おう、なんだよ。珍しいな、というか別にわざわざ玄関まで迎えにこなくていいんだぞ」

 「たまにはいいじゃないか。そういえば今日カズマには王都から取り寄せた絶品のお酒があるぞ。今日はみんなで飲もうか?」

 「いいわね、それ! 今日は気分も良いことだしみんなでパーっと飲みましょ!」

 珍しくダクネスからの宴会の誘いにおおはしゃぎするアクア。

 「なんだよ? 何か良いことでもあったのか?」

 「良いことと言えば良いことですね。まさかあれだけカズマが私たちのことを大切にしてくれているとは……。前から知ってはいましたが」

 「そうねぇ。カズマったらツンデレだものね!」

 めぐみんとアクアがニヤニヤしながら、俺の顔を覗きこんでくる。 

 いったいなんのことを言っているんだ?

 「まぁまぁ、その事はあとでお酒でも飲みながら一緒に話そうじゃないか。カズマは手洗いでもしてきたらどうだ?」

 「お、おう分かった。風邪引いちゃいけないもんな」

 ダクネスに言われるがままうがいをし、リビングに戻るともう晩ごはんの用意が出来ていた。

 「あれっ? 今日の晩ごはんの担当は俺だったような……」

 「いいんですよ、これは私たち三人で作った晩ごはんなのですから」

 「そうよ! めぐみんたちだけじゃなく私も作ったのよ! どうどう? 偉いでしょ?」

 俺の目の前にあったのは、色とりどりの具材の入った美味しそうな鍋が。

 それにしてもめぐみんやダクネスがこういうのをするのは分かるが、アクアもするだなんて珍しいな。

 「今日は腕に手を奮った鍋だ! しかも、さっき言ってた王都からのお酒もあるぞ! ほらほらカズマも早くグラスを出せ!」

 皆がやたらと俺に優しくしてくれる。

 何かこのあととてつもないお願いでもされるんじゃないか?

 「お前ら何か今日は変だぞ……まあ、美味しそうだから食べるけど。……っ! うっまいなあ、これ! おおっ! このお酒もなかなか!」

 「そうか、そうか気に入ってくれたようで何よりだ。私たちはいつもカズマには頼ってばかりだからな、今日はカズマをもてなそうとしているだけだ。」  

 「まあね、カズマには何だかんだで私も感謝してるわよ、ほらほら、もっと飲みなさいよ!」

「そうですねぇ、私ももしカズマがいなかったことを考えると、今ごろはこんなみんなで楽しく晩ごはんを食べるということもなかったでしょうね」

 皆が感謝の言葉をめいめいに言う。

 別に今日は俺の誕生日とかじゃないんですけど……。

 けどこうやって皆に褒められるというのは素直に嬉しい。

 「おいおい、急にどうしたんだよ。ようやく俺の大切さが分かってきたのか? お前らは気づくのが遅いなあ!」

 「カズマってば、すぐに調子に乗るんだから……。でも私たちがカズマに感謝してるのはほんとよ?」

 俺の眼を見ながらアクアが優しい笑みを浮かべる。

 えっ、何? もしかしてこいつ変なもんでも食ったんじゃないか。

 「カズマは私たちのパーティーに無くてはならない存在ですよ。私の攻撃を扱えることが出来るのは、カズマしかいませんからね。」

 「そうだな、私の堅さを扱えるのもカズマしかいないからな。これからも頼りにしてるぞ」

 「あ、ありがとうございます……」

 アクアに続いてめぐみんとダクネスも俺に微笑んでくる。

 何これっ! 恥ずかしいっ! こんな雰囲気の時はどうしたらいいんですか!? 教えてエリス様!

「なあーに、カズマったら照れちゃったのー? しょうがないわねー! 今日は特別に膝枕でもなんでもしてあげるわよ。ほら、おいでおいで」

「やめ、やめろって! 急に優しくなんなよお前ら! とりあえずアクアは膝枕に誘うのをやめろ!!」

何とか頑張って抵抗したが、そのあとめちゃめちゃ優しくされた。

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