雲一つない青空の下に、草原が広がっている。ときどき吹く風が、草むらを揺らす。そこに白衣を着た男が、目を瞑って立っていた。彼の名は花家大我。職業は闇医者だ。
「どこだここは?」
まぶたを開く大我。周りはすべて始めての景色。彼の最後の記憶は、自宅のベッドで眠りについたこと。つまり一切の心当たりがなかった。
すると彼を取り囲むように、三匹のポケモンが現れた。彼の正面にはピカチュウ、右にはフシギバナ、左にカメックスが位置している。
「新種のバグスターか?」
襲いかかる三匹のポケモン達。大我は彼らの攻撃を避けつつ、ゲーマドライバーを腰に巻いた。
それからバンバンシューティングを、白衣のポケットから取り出そうとする。
しかしガシャットは何一つ入っていなかった。三方向から迫ってくるポケモン。彼はそれらを防ぐ術を持たない。
カメックスには殴られ、ピカチュウから十万ボルトを受け、フシギバナに踏みつけられた。
そのとき少女の声が、彼の耳に届く。
「大我さん! しっかりしてください!」
彼女は、右手にガシャットを持っていた。そしてそれを、大我に投げつける。
「どうして奴が持っている? いや、まずはこいつらをぶっ潰すのが先か」
バンバンシューティング!
ガシャットのトリガーを引き、ゲームエリアを展開させる大我。
ドラム缶型のアイテムボックスが、多数現れる。
「第二戦術、変身」
ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ! ババンバン! バンババン! イェイ! バンバンシューティング!
スナイプが起き上がると、フシギバナは横転させられる。彼は次にガシャコンマグナムを召喚。それをピカチュウに向かって発砲。弾を脳天に受け、ピカチュウは倒れた。
肩の二門の砲台から、大量の水流"ハイドロポンプ"を繰り出すカメックス。彼はそれを、左に回転しながら避ける。カメックスにとっての死角に入り込んだスナイプ。
彼はマグナムを連射。まだ放水のやめないカメックスの、腹を傷つけていく。
フシギバナが起き上がる。するとそれは、花から二本の太いツルを伸ばす。スナイプの足にそれが巻き付けられる。彼は宙吊りにされてしまった。
「これで勝ったつもりか?」
彼はドライバーからガシャットを抜く。次にそれを得物のホルダーに挿す。
ガシャット! キメワザ! バンバン! クリティカルフィニッシュ!
放たれた光弾は、フシギバナを吹き飛ばす。ツルの力が抜けたことで、自由を取り戻すスナイプ。
迫ってきたカメックスが、右手を握ってパンチ。彼はマントをはためかせつつ、左の方向に身を翻した。
それからガシャットを、右腰のホルダーに挿す。
バンバン! クリティカルストライク!
スナイプのライダーキック。受けたカメックスは爆発した。
「ミッションコンプリート......」
ゲットオン ガッシューン
ドライバーのレバーが閉じられ、ガシャットが抜かれる。変身を解いた大我。すると彼のもとへ、先程の少女がやって来る。
「流石ですね。私に力を貸してください!」
「断る、俺には他にやるべきことがある。早くここから出せ!」
「あなたを連れてきたのは私です。つまりあなたをここから出せるのも私だけです」
「てめぇに協力しないと元の世界に帰れねえってことか」
「はい! 一緒に頑張りましょうね!」
「てめぇは何者だ?」
「私はリーリエ。よろしくお願いいたします」
この世界で起こっていることを、話し始めるリーリエ。彼女によると、元々この世界では、ポケモンと呼ばれる生き物と人間が平和に暮らしていたらしい。しかし別世界からの来訪者の出現によって事態は一転。
リーリエ以外のすべての生物は、来訪者によって洗脳されてしまう。
そこで彼女は敵を倒すため、別世界から味方を連れてくることを計画。そして送り込まれたのが、仮面ライダースナイプ・花家大我だった。
「奴等の居場所を教えろ。さっさとぶっ潰す」
「ダメです。敵を倒すにはすべてのガシャットを集めなければなりません」
「なぜだ?」
「敵は皆、特定のガシャットでないと倒せないのです。逆に言えば特定のガシャットさえ手に入れば、簡単に倒せます」
「バンバンシューティングはお前が見つけたのか?」
「はい......なんとか奪い取りました」
「どこにガシャットがあるんだ?」
「これにすべてのっています」
そういうと、彼女は鞄から地図を取り出した。ガシャットの名前が、手書きで書き込まれている。
彼が入手しなければならないのは
マイティアクションX
タドルクエスト
爆走バイク
激突ロボッツ
ドレミファビート
ジェットコンバット
ギリギリチャンバラ
シャカリキスポーツ
ドラゴナイトハンターZ
の合計九本だ。
「まずはここだな」
大我がある場所を指差す。そこにあるとされるのはジェットコンバットのガシャット。
その地点は、現在地からもっとも離れている。そのため、リーリエは他のガシャットから狙うように提案。けれども大我に、意見を変える気はなかった。
今ここに、彼らの冒険が始まる。
────────────
「この先か......」
長い長い道程を、やっとの思いで踏破した二人。彼らの前には、そびえ立つ大きな山が。
リーリエの体力はもう限界。見かねた大我は、リーリエを背中に担ぐ。そして少しずつ登り始めた。
「絶対に離すなよ」
「はい!」
────────────
敵のアジトはこの世界の中央に位置している。かつては宮殿であったが、今では来訪者達に支配されている。
そこにやって来たアロハシャツ姿の男。門の警備に当たっていた者が、彼の応対をする。
「この世界に仮面ライダーが現れたぜ」
「誰だお前は?」
「自分九条貴利矢。あんたらに危機を伝えるためにやって来た」
「何が目的なのだ?」
「侵入者を倒す代わりに、ライダーガシャットをいくつか渡しな。具体的には......そうだな、爆走バイクとギリギリチャンバラとドラゴナイトハンターZで頼むわ!」
「わかった、管理者達にその事を伝えておく。地図を渡すから受け取ってこい」
「りょーかい、じゃあな」
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大我はその頃、ゴツゴツした岩肌をよじ登っていた。手をかける位置を一回間違えるだけで、彼らは真っ逆さまに落ちてしまうだろう。少しのミスが命取りとなるのは山登りも治療も同じだ。
しかしそんな苦行もあと少し。気が付くと彼は、頂上まで手をのばしていた。最後の力を振り絞り、体を乗り出す大我。
「着いたぞ......はぁはぁ......」
「お疲れさまです、大我さん」
「アイツが......ジェットコンバットの管理者か?」
「はい!」
山の頂上にいたのはボーマンダ。そしてその奥にあるのはガラス製のケース。中にはオレンジ色のライダーガシャットが見られる。
間違いない。あれは確かにジェットコンバットだ。
「第二戦術 変身」
ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ! バンバンシューティング!
スナイプはガシャコンマグナムを召喚。Bボタンを三回押して、マシンガンのように連射。ボーマンダがそれを、飛行して避ける。
ズッキューン!
彼はマグナムのAボタンをタッチ。すると砲身が展開され、ライフルモードに変形された。サイトを覗きつつ、狙いを定めようとするスナイプ。
するとボーマンダは動きを止め、雄叫びを挙げた。彼は敵の行動の意図が読めずに不審がる。
一瞬後、青空から大量の隕石が降り注ぐ。
「大我さん!」
屈指の威力を誇るドラゴンタイプの技"流星群"
それは辺りを瞬く間に、焦土と化させる。土煙が舞い、リーリエの視界が閉ざされる。
地上に降り立つボーマンダ。その際、翼のはためきによって砂塵が払われる。地面には大小様々な穴が、無数に空いていた。スナイプの姿はどこにもいない。
「嘘......そんな......」
ボーマンダが、次なる獲物を決める。ポケモンは彼女に、牙を向けて威嚇。彼女は恐怖から、足をガクガクと震えさせられた。
「まだ終わっちゃいねぇよ」
どこからか、大我の声が聞こえる。彼がどこにいるのか、リーリエには知るよしもない。一方でボーマンダは、声の主が何処にいるのかを瞬時に悟った。
しかしもう手遅れ。既にボーマンダは、彼の射程圏内にしっかりと収まっていたからだ。
キメワザ! バンバン! クリティカルフィニッシュ!
地中から噴き上げた怒濤の光線。ボーマンダは打ち上げられた後に爆発。多くの肉片が、一帯に散らばった。
「流星群によって作られた穴を利用して、地中に潜んでいたのですね。そしてボーマンダの真下から、必殺技を撃ち込んだと」
「あぁ、何はともあれ、これで一つ目のガシャットは俺のものだ」
二人が奥へ進む。彼はそこにあったガラス製のケースを、マグナムで破壊。
その中に入っていたジェットコンバットを、見事獲得した。
ゲームクリア!
「早速使うか。第三戦術」
ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ! ババンバン! バンババン! イェイ! バンバンシューティング! アガッチャ! ジェット!ジェット!インザスカイ! ジェット!ジェット!ジェット! ジェットコンバット!
「これでこのあとは目的地まで、ひとっ飛びで駆けつけることが出来る。戦力アップにも繋がったしな」
「流石です! 大我さん」
「次はドラゴナイトハンターZが眠っているとされる洞窟に向かう。しっかりと掴まっておけ」
「はい!」
圧倒的な機動力を得たスナイプ。これにより、どこへでも短時間で行けるようになった。
彼らがひとっ飛びで、洞窟の入り口まで辿り着く。
「ここから先は歩きだな」
「待て」
少年が後ろから、二人を呼び止める。彼らが振り向くと、彼はゲーマドライバーとライダーガシャットを取り出した。
「兄様......!」
少年の名はグラジオ。リーリエの兄に当たる人物だ。戦いの果てに出来たものなのか、多少の傷が見受けられる。彼も来訪者による洗脳を受けているようだ。
ところで彼の持っていたガシャットは、なんとガシャットギアデュアルβ。
「変身!」
グラジオはダイヤルを回して、タドルファンタジーを選択。それをゲーマドライバーに差し込む。
ガシャット! ガッチャーン! デュアルアップ! タドルメグル RPG タドルファンタジー
一度ブレイブクエストゲーマーになるグラジオ。そこにファンタジーゲーマが飛来し、アーマーとして装着される。
「兄様が変身!?」
「レベル50だと......」
スナイプのレベルは現在3。一方、ブレイブファンタジーゲーマーのレベルは50。正攻法で挑めば、どちらが勝つかは明白だ。
「実戦は初めてとはいえ、俺はこれまで厳しい訓練を積んできた。お前なんかには負けない」
実戦は初めて。スナイプはこの言葉に、一筋の光を見いだす。経験の差というのはなかなかバカに出来るものではないからだ。
それにレベル差があっても勝てるということは、永夢や飛彩が過去に実証してきたこと。
キメワザ! ジェット! クリティカルストライク!
いきなり必殺技を放つスナイプ。弾丸やミサイルが、四方八方から撃ち出される。
「そんな攻撃、とても効かん」
「狙いはてめぇじゃない」
バンバンシューティングは起動させると、ドラム缶のようなものがゲームエリア内に配置される。
中に入っているのはエナジーアイテム。自分が取れば、戦いを有利に進めることが出来る。しかし中身を知るには、実際に壊してみるしかない。
今回のスナイプの攻撃の意図はドラム缶の破壊。これにより、中に仕舞われていたエナジーアイテムの種類を、瞬時に見切られるようになる。
コウソクカ!
彼は使用したアイテムの効果で機動力を強化。洞窟とはいえそこはだだっ広い場所。従って彼は思う存分、飛行というアドバンテージが使える。
ブレイブの周りを素早く移動しつつ、バルカン砲の攻撃を浴びせるスナイプ。
「......これでいくか」
ブレイブを倒すための作戦を、思い付いたスナイプ。彼が、辺りをよく見回す。すると彼の探していたアイテムが、すぐに目についた。
「ならば俺もアイテムを使わせてもらおう」
コウテツカ!
エナジーアイテム・鋼鉄化の効果は身体を頑丈にすること。防御力が上がり、応用すれば攻撃にも利用できる。
彼は漆黒のマントを右腕に巻き付ける。するとそれがドリルのように回転。彼はそれを、スナイプに伸ばした。
硬化したマントが、スナイプの胸をえぐる。そして彼は地に落とされる。
「とどめだ」
ドライバーのレバーを一度閉め、再び開けるブレイブ。
キメワザ! タドル! クリティカルスラッシュ!
召喚されたガシャコンソード。その刀身に、紫色のエネルギーが蓄積。
彼が剣を二回払う。X字状と化した斬撃が、スナイプに襲いかかる。
「それを待ってたぜ」
ハンシャ!
アイテムをバルカン砲で撃つことで、それの効果をゲットしたスナイプ。そのエナジーアイテムは、彼が事前に置場所をマークしていた物だった。
跳ね返された攻撃が、一直線にブレイブを襲う。意外な攻撃に対応できないブレイブ。
攻撃をまともに受け、彼の変身が解かれた。
「ガシャットギアデュアルβは俺がいただく」
グラジオのドライバーから、ガシャットを奪い取ったスナイプ。
これは敵アジトで繰り広げられる戦闘では役に立たない。だが管理者達を倒すには、これ以上無いくらいの強力なガシャットだ。彼とリーリエは先に進む。
「実の兄が死んだというのに、随分と冷静だな」
「どういうことですか?」
「悲しいとかないのか? まぁ言われたところで、俺からしたらどうでもいいことだけどな」
「彼は洗脳されていたのですよ。所詮兄様の姿を模しているに過ぎません」
やがて二人は、最奥地まで辿り着いた。しかしそこにポケモンの姿はない。代わりにいたのは、スナイプにとって見覚えのある人物。
「レーザー......てめぇは死んだはずじゃ......」
「久し振りだな、大我」
「ここで何をしている?」
「自分はガシャットを集めているんでね。悪いことは言わない、早く帰れ」
「あいにくだが俺もガシャットを集めている。持っているならよこせ」
「どうせ自分は一度死んだ身だ。いいから早く帰れ」
そう言うと貴利矢は、アロハシャツのポケットに手を突っ込む。取り出されたのはガシャットではなく、三つのモンスターボール。それらが投げられた。
「いけ、アギルダー、キリキザン、ガブリアス!」
ボールより繰り出された三頭のモンスター。それらが一斉に、スナイプに襲いかかってくる。
彼はバルカン砲をぶっぱなす。だがアギルダーとガシャットにはかわされ、キリキザンには弾かれてしまった。
「だったらこれだ。第伍拾戦術!」
彼はギアデュアルβのダイヤルを回し、バンバンシミュレーションを選択。それからそれを、ドライバーに差し込む。
ガシャット! ガッチャーン! デュアルアップ! スクランブルダ! シュツゲキハッシン バンバンシミュレーション ハッシン!
戦艦を身に纏い、強化されたスナイプ。レベルは先程のグラジオと同じく50だ。
彼はまず、両手の大砲を発射して、キリキザンを吹き飛ばした。
ガブリアスが地中に潜る。彼が意識を地下に集中していると、やかましい音が鳴り響いた。それはアギルダーの技"虫のさざめき"
発声源を止めるため、左肩横の砲台を、アギルダーに発射するスナイプ。しかしその虫は"先取り"を発動。光弾は、撃った本人に直撃。
地中のガブリアスが、彼の両足首を掴む。身動きの取れなくなった彼に、キリキザンの"アイアンヘッド"が繰り出された。
最後に、ガブリアスが地上に勢いよく飛び出す。もちろんスナイプを掴んだまま。
彼は洞窟の一番上に叩きつけられた後、地面に投げ飛ばされた。
「早くここからログアウトしろ」
貴利矢がこう伝えるが、スナイプには届かない。しかしその原因はダメージではない。事態を打開するための策を思い付いたからだ。
勢いよく降下するガブリアス。必殺の一撃"ドラゴンダイブ"を繰り出そうとする。