キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!
スナイプは両腕をくっつけ、戦艦のようにする。それから、ガブリアス目掛けて全砲門で一斉放火。
ガブリアスは打ち上げられ、終いには洞窟の天井を突き破った。
その際に作られた破片が降り注ぐ。
「大我さん! このままだと生き埋めになってしまいますよ!」
「逃げるぞ」
割れ目が広がり次々と、連鎖的に崩壊していく洞窟。スナイプはリーリエを脇に抱えると、全速力で逃げ出す。
その間、彼は貴利矢のことについてずっと考えていた。なぜここにいるのか、なぜガシャットを狙うのか、なぜポケモンを使役できるのか、などなど。
間一髪で逃げ切ることができた二人。リーリエが振り向くと、既に洞窟は塞がっていた。
「危なかったですね......」
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その後大我は激突ロボッツ、ドレミファビート、シャカリキスポーツ、マイティアクションXを獲得した。
現在二人は、タドルクエストが眠っているとされる森に来ている。
次々と襲いかかってくる野生ポケモンの群れ。スナイプシミュレーションゲーマーは、それらをひたすら砲撃していく。
森を抜けるとそこには大きな滝が。そして最後の管理者であるラグラージが潜んでいた。
マッドショットを口から、マシンガンのように吐き出すラグラージ。スナイプはそれを正確に撃ち落としつつ、間合いを詰める。
ラグラージが、地面を拳で殴る。すると地震が発生。揺れにより、標準の合わなくなるスナイプ。
その隙に放たれた"ハイドロポンプ"。彼は強烈な一撃を受けて転がされた。
「俺達は......遊びでやってんじゃねぇんだよ!」
立ち上がるスナイプ。水流を纏ったラグラージが、彼に突進を仕掛ける。
「あれは滝登り! 気を付けてください!」
リーリエの助言を無視し、微動打にしないスナイプ。彼はラグラージの攻撃を、両腕を体の前に突き出すことで受けきる。
それから、素早くドライバーのレバーを操作。
キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!
零距離から放たれた高出力なビーム。まともに喰らったラグラージは、粉々に砕け散った。
彼らはタドルクエストを無事に回収。貴利矢が持っているものを除けば、大我達は全種類のガシャットを集めきった。最後に向かうのは敵のアジトと化した宮殿。リーリエの実家だ。
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宮殿に入るためには、門を潜る必要がある。そこには門番が一人、配置されている。
大我とリーリエは今、その近くまで足を踏み入れていた。彼の作戦は、物陰から門番を狙撃して安全に浸入すること。
彼はガシャコンマグナムを召喚。ライフルモードに変えて、標準器を覗きこむ。
しかし見えたのは貴利矢。二人は予定を変更し、彼のもとに近づいた。
「ガシャットを集めきったみたいだな。自分に渡しな」
「どうしてお前がここにいる?」
「自分、ここに所属してるんで。あんたと自分は敵通しなわけ」
「俺はもうお前には乗せられねえ。レーザー、この世界は......ゲームの世界。違うか?」
大我がこう考えた根拠としては、何日間歩こうと空腹にならなかったことが第一に挙げられる。
他にはリーリエの兄に対する無頓着さ、地図があまりにも簡単すぎることなどがある。
「その通り。これは檀黎斗が万が一死んだとき、自分を甦らせるために作ったゲーム。ランダムで送り込まれたライダーが死んだ瞬間、代わりに奴がバグスターとして復活する仕組みなのさ」
「当然ゲンムは不死身。マキシマムマイティXもない。つまりこのゲームは、絶対にクリア出来ない無理ゲーってこと」
「なんだと!?」
「自分に出来ることは、送られてくるライダーにこの事を伝えることだけ。だけど自分だって、いつシステムにバグとして処理されるかもわからない」
「お前が未来を託した男なら、こんなとき何て言うだろうな」
「永夢のことか? あいつなら絶対に諦めな......そうか!」
「自分に乗れ、ウィニングランを決めるのは自分達だ」
宮殿に乗り込んだ三人。中には九体のバグスターが、敵を待ち受けていた。
大我はここで始めて来訪者=バグスターだということを理解。もちろん、同じ姿をしているだけだが。
「どういうことだ? 九条貴利矢! 裏切ったのか!?」
騙されたことに気付いていなかったバグスター達。彼らの非難を、貴利矢が一言で一蹴する。
「あれ? 乗せられちゃった?」
「おのれ! かかれ!」
襲いかかってくる九体のバグスター達。もしこれが現実世界での戦いならば、大我達はあっという間に打ち負かされるだろう。
しかしここでは、そんなことは起こらない。
「ここは自分が引き受ける」
バクソウバイク! ギリギリチャンバラ!
「3速 変身!」
ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ! バクソウドクソウゲキソウボウソウ! バクソウバイク! アガッチャ! ギリギリギリギリチャンバラ!
貴利矢が仮面ライダーレーザーチャンバラバイクゲーマーレベル3に変身。
彼はギリギリチャンバラを、ガシャコンスパローに差し込む。
キメワザ! ギリギリ! クリティカルフィニッシュ!
大量の小さい矢が、カイデンに放たれる。敵は堪らず爆発。
キメワザ! バクソウ! クリティカルストライク!
ライダーキックがモータスに決まる。これも爆破させる。
「そして、俺がゲンムをぶっ潰す」
その隙に大我が、奥に駆け出した。彼を襲おうとするバグスターを、身を呈して防ぎきるレーザー。
彼の活躍もあり、大我は無事に突破した。
「ノリに乗ってるぜ!」
レーザーが敵に取り囲まれる。彼はガシャコンスパローを分割。鎌を両手に持って戦う。
ガシャット! キメワザ! ゲキトツ! クリティカルフィニッシュ!
ガットンの右パンチ。それを、上体を後ろに屈むことで、避けきる。
そして彼は、敵の腹部に重い一撃を与えた。
次に彼は、ガシャコンブレイカーとガシャコンソードを召喚。それに二本のガシャットを挿入。
キメワザ! マイティ! タドル! クリティカルフィニッシュ!
レーザーの二刀流での攻撃。ソルティとアランブラが斬り落とされた。
「少し気が引けるが、お前は姿が同じだけの別物。容赦はしねえぜ!」
キメワザ! ドレミファ! クリティカルフィニッシュ!
ガシャコンソードに、ドレミファビートを差し込むレーザー。遠心力をつけての一撃は、ポッピーピポパポを倒すにはオーバーキル。
その後も彼はバーニア、チャーリーを立て続けに惨殺。その場にいたバグスターはすべて切除された。
「隠れてないで出てこいよ。ドラゴナイトハンターZの龍戦士さんよ!」
すると、とある扉が開いた。レーザーがその中に入る。そこにいたのはグラファイト。
「お前は俺への挑戦権を得た。どこからでもかかってこい」
「そうさせてもらうぜ、5速!」
ギリギリチャンバラとドラゴナイトハンターZを交換。初のフルドラゴンでの戦闘に挑む。
ガシャット! ガッチャーン! バクソウバイク! アガッチャ! ドドドラゴナナナナイト! ドラドラドラゴナイトハンター! ゼット!
「培養」
グラファイトが、ガシャコンバグヴァイザーのAボタンを押す。そしてそれを、右手のグリップパーツにはめ込む。
インフェクション! レッツゲーム! バッドゲーム! デッドゲーム! ワッチャネーム? ザ・バグスター!
グラファイトが怪物に変わる。その体色は体の中心が黒、四肢の末端と首から上は赤い。ダークグラファイトとグレングラファイトの中間形態のような感じだ。
「超絶進化を遂げた今の俺のレベルは50」
「自分には荷が重いかもしれないな。とはいえお前もバグスター。ゲームシステムからは逃れられないぜ?」
レベルで上回るグラファイトは、レーザーを一撃で倒せるだろう。一方でレーザーも、敵に対する特攻持ちだ。つまり先に攻撃が当たった方が勝利し得る戦い。
「ドドドドド紅蓮黒龍剣!」
キメワザ! ドラゴナイト! クリティカルストライク!
グラファイトファングを天高く掲げ、雷のようなオーラを現すダークグラファイト。
レーザーは四肢のドラゴンクローに、橙色のエネルギーを纏う。
駆け出す両者。しかしグラファイトの方が素早い。彼の双刃が、圧倒的スピードで振り落とされた。
両腕を頭の上で交差させ、敵の攻撃を受け止めるレーザー。
「しまった!」
「これでもくらえ!」
がら空きになるみぞおち。そこに、彼の貫くようにキックが炸裂した。
「レーザー......貴様も我が敵として記憶に留めておこう......」
グラファイトファングが、音をたてて落下。彼は力尽き、仰向けに倒れた。そして爆発。
「そんじゃ始めるか、大我がやられる前にな」
彼はリーリエに、マイティアクションXとタドルクエストを渡す。
そしてとあることを願った。
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一方で大我はその頃、ラスボスまで辿り着いていた。彼がここまで来るとは思っていなかった檀黎斗。だが不測の事態というほどではないようだ。
「てめぇを復活させるわけにはいかない。俺がぶっ潰す!」
「九条貴利矢から聞いていないのか? このゲームは攻略不可能だと。君を殺して私はコンティニューしてみせる」
バンバンシミュレーション! アユレディ! フォーザバトルシップ!
「第伍拾戦術」
デンジャラスゾンビ!
「「変身!」」
ガシャットをそれぞれのドライバーに差し込む両者。
ガシャット! バンバンシミュレーション! ハッシン!
ガシャット! バグルアップ! デンジャ! デンジャ! ジェノサイド! デスザクライシス! デンジャラスゾンビ! フー
変身が済むや否や、すべての砲門から攻撃を加えるスナイプ。
ゲンムはそれをかわさない。何故なら不死身だから。致死量のダメージを受けて倒れようとも、すぐに立ち上がってしまう。
「これでわかっただろ? 唯一私を攻略できるリプログラミングもこの世界にはない。君に勝ち目はない」
「ないなら作ればいい! あいにくそのための布石はすべて揃っている」
「ハッタリを......」
スナイプが再度発砲。それをものともせずに近づくゲンム。スナイプは彼の回し蹴りを、左砲台で受け止める。
ゲンムの素早い連打。徐々に防御が追い付かなくなるスナイプ。
ゲンムの右ストレートパンチによって、吹き飛ばされたスナイプ。間合いが空いた隙に、すかさずゲンムがドライバーのボタンを押す。
クリティカルエンド
「俺は......倒れるわけにはいかねぇんだよ!」
キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!
黒いオーラを纏って宙へと浮かぶゲンム。彼は縦に高速回転しながら、スナイプに迫る。
迎撃体制を整えたスナイプが一斉放火。二つの攻撃が真っ向からぶつかった。
なんとか踏ん張るスナイプだが、威力はゲンムの方が上。このままではいつか押しきられてしまう。
だが運命は、とある音声によって、変えられた。
マキシマムマイティ! クリティカルフィニッシュ!
突如放たれた光線。それがゲンムに当たり、彼を吹き飛ばす。すると彼のライダーゲージが回復した。
「......間に合ったか」
「大丈夫か? スナイプ!」
「皆さん! どうですか?」
そう言いながら、駆け寄ってくるエグゼイド。後ろにはブレイブ、レーザー、リーリエの姿もある。
状況の理解が追い付かないゲンム。彼がスナイプに尋ねる。
「なぜだ? マキシマムマイティXはこの世界に存在しないはず!」
「バンバンシューティングを集めたことで俺が呼び出されるのなら、マイティアクションXがあればエグゼイドを呼び出せるはず」
「加えてここにはレーザーもいる。あいつらがいればマキシマムマイティXを複製することが出来る」
「花家大我......! だが私が一人でも君達を消滅させれば、コンティニュー出来ることに代わりはない!」
ゲンムがドライバーを操作。
クリティカルデッド!
増殖した大量のゾンビゲーマーが襲いかかる。エグゼイドが、スナイプの前に立つ。ゾンビは彼に触れた瞬間、一斉に爆発。しかしエグゼイドは無傷。
「レーザーから事情は全部聞いた! お前の運命は、俺達が変える!」
「永夢、久し振りに四人協力プレイで行かねえか?」
こう呼び掛けるレーザー。彼がドラゴナイトハンターZのガシャットを、ドライバーから取り出す。
するとそれが四つに分裂。エグゼイド、ブレイブ、スナイプのもとに送られる。
リーリエから渡されていたマイティアクションXを使い、エグゼイドはレベル2に変身。これで準備が整った。
「術式レベル5」
「第五戦術」
「5速!」
「大大大大大」
「「「「変身!」」」」
ガシャット! レベルアップ! ドドドラゴナナナナイト! ドラドラドラゴナイトハンター!
レーザーからドラゴンファングが分離。それがエグゼイドに装着される。
エグゼイド!
ドラゴンブレードとドラゴンガンが分裂し、二人のライダーに送られる。
ブレイブ!
スナイプ!
レーザー!
スナイプはジャンプして、左腕のドラゴンガンを放つ。ドラゴンファングから炎を吹き出すエグゼイド。
ブレイブが近づきつつ、右腕のドラゴンブレードで斬り上げる。
同時攻撃は、ゲンムに反撃の隙を与えない。さらに畳み掛けるように、右足で回し蹴るレーザー。
「不死身ではなくなったとはいえ、レベル5ごときに......」
「それは俺達が最強の医療チームだからだ!」
エグゼイドが尻尾を伸ばして、ゲンムの胸を突く。動きを止められた彼に対し、スナイプの砲撃が炸裂。
横に斬り払うブレイブ。レーザーが両腕のドラゴンクローを大きく振り上げ、素早く下げて叩きつけた。
「フィニッシュは必殺技で決まりだ!」
ガシャットをキメワザスロットホルダーに挿入する四人。
キメワザ! ドラゴナイト! クリティカルストライク!
「私は......不滅だ!」
四人の必殺キックが、ゲンムに決まる。彼は絶叫とともに爆発した。
「何も起こらない?」
疑問に思う永夢。彼は日頃ゲームに興じているが、クリア条件を満たしてもなんのギミックもないものなど、これまで見たことが無かったからだ。
「言っただろ? このゲームは攻略不可能。つまり檀黎斗を倒したあとのデータなんて存在しないのさ」
「僕たちはどうなるんですか?」
「お前達はこの世界からしてみれば異物だ。勝手に放り出され、精神は元の肉体に戻るはずだぜ」
「貴利矢さんは?」
「自分は謂わばバグ。巻き添えは避けれないかもな」
「そんな......せっかくまた会えたのに......」
「永夢、世界の......人類の運命は任せたぜ」
永夢達三人の身体が、末期のゲーム病患者のように透けていく。それを笑顔で見送る貴利矢。
永夢の叫び声は、もはや貴利矢に届かない。それだけ透明化しているということ。
貴利矢が最後に、右腕を前に突き出して銃を撃つように手を動かした。それは大我が変身するときの、パネル選択の仕方に酷似。
唯一真意を悟った大我。そして彼らは、ゲームフィールドをあとにした。
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目を覚ます大我。時計は七時を指している。いつものベッドに戻ってきていた。
ゲーム世界では何日間か過ごしたが、現実ではわずか数時間でしかなかったようだ。
今彼の知らないところで、とある計画が着々と進んでいる。その名は仮面ライダークロニクル。バグスター達が人類を攻略し、人類を滅ぼすゲームだ。
さらに彼の宿敵の復活も、刻一刻と迫っていた......
お読みいただきありがとうございました。
ちなみに最後の方にリーリエの台詞がまったく無いのは、彼女にもデータが無いからです