仮面ライダーエグゼイド 大我の大冒険   作:ぽかんむ

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後編

キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!

 

 

 スナイプは両腕をくっつけ、戦艦のようにする。それから、ガブリアス目掛けて全砲門で一斉放火。

 ガブリアスは打ち上げられ、終いには洞窟の天井を突き破った。

 その際に作られた破片が降り注ぐ。

 

 

「大我さん! このままだと生き埋めになってしまいますよ!」

 

「逃げるぞ」

 

 

 割れ目が広がり次々と、連鎖的に崩壊していく洞窟。スナイプはリーリエを脇に抱えると、全速力で逃げ出す。

 その間、彼は貴利矢のことについてずっと考えていた。なぜここにいるのか、なぜガシャットを狙うのか、なぜポケモンを使役できるのか、などなど。

 間一髪で逃げ切ることができた二人。リーリエが振り向くと、既に洞窟は塞がっていた。

 

 

「危なかったですね......」

 

 

────────────

 

 

 その後大我は激突ロボッツ、ドレミファビート、シャカリキスポーツ、マイティアクションXを獲得した。

 現在二人は、タドルクエストが眠っているとされる森に来ている。

 次々と襲いかかってくる野生ポケモンの群れ。スナイプシミュレーションゲーマーは、それらをひたすら砲撃していく。

 森を抜けるとそこには大きな滝が。そして最後の管理者であるラグラージが潜んでいた。

 マッドショットを口から、マシンガンのように吐き出すラグラージ。スナイプはそれを正確に撃ち落としつつ、間合いを詰める。

 ラグラージが、地面を拳で殴る。すると地震が発生。揺れにより、標準の合わなくなるスナイプ。

 その隙に放たれた"ハイドロポンプ"。彼は強烈な一撃を受けて転がされた。

 

 

「俺達は......遊びでやってんじゃねぇんだよ!」

 

 

 立ち上がるスナイプ。水流を纏ったラグラージが、彼に突進を仕掛ける。

 

 

「あれは滝登り! 気を付けてください!」

 

 

 リーリエの助言を無視し、微動打にしないスナイプ。彼はラグラージの攻撃を、両腕を体の前に突き出すことで受けきる。

 それから、素早くドライバーのレバーを操作。

 

 

キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!

 

 

 零距離から放たれた高出力なビーム。まともに喰らったラグラージは、粉々に砕け散った。

 彼らはタドルクエストを無事に回収。貴利矢が持っているものを除けば、大我達は全種類のガシャットを集めきった。最後に向かうのは敵のアジトと化した宮殿。リーリエの実家だ。

 

 

────────────

 

 

 宮殿に入るためには、門を潜る必要がある。そこには門番が一人、配置されている。

 大我とリーリエは今、その近くまで足を踏み入れていた。彼の作戦は、物陰から門番を狙撃して安全に浸入すること。

 彼はガシャコンマグナムを召喚。ライフルモードに変えて、標準器を覗きこむ。

 しかし見えたのは貴利矢。二人は予定を変更し、彼のもとに近づいた。

 

 

「ガシャットを集めきったみたいだな。自分に渡しな」

 

「どうしてお前がここにいる?」

 

「自分、ここに所属してるんで。あんたと自分は敵通しなわけ」

 

「俺はもうお前には乗せられねえ。レーザー、この世界は......ゲームの世界。違うか?」

 

 

 大我がこう考えた根拠としては、何日間歩こうと空腹にならなかったことが第一に挙げられる。

 他にはリーリエの兄に対する無頓着さ、地図があまりにも簡単すぎることなどがある。

 

 

「その通り。これは檀黎斗が万が一死んだとき、自分を甦らせるために作ったゲーム。ランダムで送り込まれたライダーが死んだ瞬間、代わりに奴がバグスターとして復活する仕組みなのさ」

 

「当然ゲンムは不死身。マキシマムマイティXもない。つまりこのゲームは、絶対にクリア出来ない無理ゲーってこと」

 

「なんだと!?」

 

「自分に出来ることは、送られてくるライダーにこの事を伝えることだけ。だけど自分だって、いつシステムにバグとして処理されるかもわからない」

 

「お前が未来を託した男なら、こんなとき何て言うだろうな」

 

「永夢のことか? あいつなら絶対に諦めな......そうか!」

 

「自分に乗れ、ウィニングランを決めるのは自分達だ」

 

 

 宮殿に乗り込んだ三人。中には九体のバグスターが、敵を待ち受けていた。

 大我はここで始めて来訪者=バグスターだということを理解。もちろん、同じ姿をしているだけだが。

 

 

「どういうことだ? 九条貴利矢! 裏切ったのか!?」

 

 

 騙されたことに気付いていなかったバグスター達。彼らの非難を、貴利矢が一言で一蹴する。

 

 

「あれ? 乗せられちゃった?」

 

「おのれ! かかれ!」

 

 

 襲いかかってくる九体のバグスター達。もしこれが現実世界での戦いならば、大我達はあっという間に打ち負かされるだろう。

 しかしここでは、そんなことは起こらない。

 

 

「ここは自分が引き受ける」

 

 

バクソウバイク! ギリギリチャンバラ!

 

 

「3速 変身!」

 

 

ガシャット! ガッチャーン! レベルアップ! バクソウドクソウゲキソウボウソウ! バクソウバイク! アガッチャ! ギリギリギリギリチャンバラ!

 

 

 貴利矢が仮面ライダーレーザーチャンバラバイクゲーマーレベル3に変身。

 彼はギリギリチャンバラを、ガシャコンスパローに差し込む。

 

 

キメワザ! ギリギリ! クリティカルフィニッシュ!

 

 

 大量の小さい矢が、カイデンに放たれる。敵は堪らず爆発。

 

 

キメワザ! バクソウ! クリティカルストライク!

 

 

 ライダーキックがモータスに決まる。これも爆破させる。

 

 

「そして、俺がゲンムをぶっ潰す」

 

 

 その隙に大我が、奥に駆け出した。彼を襲おうとするバグスターを、身を呈して防ぎきるレーザー。

 彼の活躍もあり、大我は無事に突破した。

 

 

「ノリに乗ってるぜ!」

 

 

 レーザーが敵に取り囲まれる。彼はガシャコンスパローを分割。鎌を両手に持って戦う。

 

 

ガシャット! キメワザ! ゲキトツ! クリティカルフィニッシュ!

 

 

 ガットンの右パンチ。それを、上体を後ろに屈むことで、避けきる。

 そして彼は、敵の腹部に重い一撃を与えた。

 

 

 次に彼は、ガシャコンブレイカーとガシャコンソードを召喚。それに二本のガシャットを挿入。

 

 

キメワザ! マイティ! タドル! クリティカルフィニッシュ!

 

 

 レーザーの二刀流での攻撃。ソルティとアランブラが斬り落とされた。

 

 

「少し気が引けるが、お前は姿が同じだけの別物。容赦はしねえぜ!」

 

 

キメワザ! ドレミファ! クリティカルフィニッシュ!

 

 

 ガシャコンソードに、ドレミファビートを差し込むレーザー。遠心力をつけての一撃は、ポッピーピポパポを倒すにはオーバーキル。

 その後も彼はバーニア、チャーリーを立て続けに惨殺。その場にいたバグスターはすべて切除された。

 

 

「隠れてないで出てこいよ。ドラゴナイトハンターZの龍戦士さんよ!」

 

 

 すると、とある扉が開いた。レーザーがその中に入る。そこにいたのはグラファイト。

 

 

「お前は俺への挑戦権を得た。どこからでもかかってこい」

 

「そうさせてもらうぜ、5速!」

 

 

 ギリギリチャンバラとドラゴナイトハンターZを交換。初のフルドラゴンでの戦闘に挑む。

 

 

ガシャット! ガッチャーン! バクソウバイク! アガッチャ! ドドドラゴナナナナイト! ドラドラドラゴナイトハンター! ゼット!

 

 

「培養」

 

 

 グラファイトが、ガシャコンバグヴァイザーのAボタンを押す。そしてそれを、右手のグリップパーツにはめ込む。

 

 

インフェクション! レッツゲーム! バッドゲーム! デッドゲーム! ワッチャネーム? ザ・バグスター!

 

 

 グラファイトが怪物に変わる。その体色は体の中心が黒、四肢の末端と首から上は赤い。ダークグラファイトとグレングラファイトの中間形態のような感じだ。 

 

 

「超絶進化を遂げた今の俺のレベルは50」

 

「自分には荷が重いかもしれないな。とはいえお前もバグスター。ゲームシステムからは逃れられないぜ?」

 

 

 レベルで上回るグラファイトは、レーザーを一撃で倒せるだろう。一方でレーザーも、敵に対する特攻持ちだ。つまり先に攻撃が当たった方が勝利し得る戦い。

 

 

「ドドドドド紅蓮黒龍剣!」

 

 

キメワザ! ドラゴナイト! クリティカルストライク!

 

 

 グラファイトファングを天高く掲げ、雷のようなオーラを現すダークグラファイト。

 レーザーは四肢のドラゴンクローに、橙色のエネルギーを纏う。

 駆け出す両者。しかしグラファイトの方が素早い。彼の双刃が、圧倒的スピードで振り落とされた。

 両腕を頭の上で交差させ、敵の攻撃を受け止めるレーザー。

 

 

「しまった!」

 

「これでもくらえ!」

 

 

 がら空きになるみぞおち。そこに、彼の貫くようにキックが炸裂した。

 

 

「レーザー......貴様も我が敵として記憶に留めておこう......」

 

 

 グラファイトファングが、音をたてて落下。彼は力尽き、仰向けに倒れた。そして爆発。

 

 

「そんじゃ始めるか、大我がやられる前にな」

 

 

 彼はリーリエに、マイティアクションXとタドルクエストを渡す。

 そしてとあることを願った。

 

 

────────────

 

 

 一方で大我はその頃、ラスボスまで辿り着いていた。彼がここまで来るとは思っていなかった檀黎斗。だが不測の事態というほどではないようだ。

 

 

「てめぇを復活させるわけにはいかない。俺がぶっ潰す!」

 

「九条貴利矢から聞いていないのか? このゲームは攻略不可能だと。君を殺して私はコンティニューしてみせる」

 

 

バンバンシミュレーション! アユレディ! フォーザバトルシップ!

 

 

「第伍拾戦術」

 

 

デンジャラスゾンビ!

 

 

「「変身!」」

 

 

 ガシャットをそれぞれのドライバーに差し込む両者。

 

 

ガシャット! バンバンシミュレーション! ハッシン!

 

ガシャット! バグルアップ! デンジャ! デンジャ! ジェノサイド! デスザクライシス! デンジャラスゾンビ! フー

 

 

 変身が済むや否や、すべての砲門から攻撃を加えるスナイプ。

 ゲンムはそれをかわさない。何故なら不死身だから。致死量のダメージを受けて倒れようとも、すぐに立ち上がってしまう。

 

 

「これでわかっただろ? 唯一私を攻略できるリプログラミングもこの世界にはない。君に勝ち目はない」

 

「ないなら作ればいい! あいにくそのための布石はすべて揃っている」

 

「ハッタリを......」

 

 

 スナイプが再度発砲。それをものともせずに近づくゲンム。スナイプは彼の回し蹴りを、左砲台で受け止める。

 ゲンムの素早い連打。徐々に防御が追い付かなくなるスナイプ。

 ゲンムの右ストレートパンチによって、吹き飛ばされたスナイプ。間合いが空いた隙に、すかさずゲンムがドライバーのボタンを押す。

 

 

クリティカルエンド

 

 

「俺は......倒れるわけにはいかねぇんだよ!」

 

 

キメワザ! バンバン! クリティカルファイア!

 

 

 黒いオーラを纏って宙へと浮かぶゲンム。彼は縦に高速回転しながら、スナイプに迫る。

 迎撃体制を整えたスナイプが一斉放火。二つの攻撃が真っ向からぶつかった。

 なんとか踏ん張るスナイプだが、威力はゲンムの方が上。このままではいつか押しきられてしまう。

 だが運命は、とある音声によって、変えられた。

 

 

マキシマムマイティ! クリティカルフィニッシュ!

 

 

 突如放たれた光線。それがゲンムに当たり、彼を吹き飛ばす。すると彼のライダーゲージが回復した。

 

 

「......間に合ったか」

 

「大丈夫か? スナイプ!」

 

「皆さん! どうですか?」

 

 

 そう言いながら、駆け寄ってくるエグゼイド。後ろにはブレイブ、レーザー、リーリエの姿もある。

 状況の理解が追い付かないゲンム。彼がスナイプに尋ねる。

 

 

「なぜだ? マキシマムマイティXはこの世界に存在しないはず!」

 

「バンバンシューティングを集めたことで俺が呼び出されるのなら、マイティアクションXがあればエグゼイドを呼び出せるはず」

 

「加えてここにはレーザーもいる。あいつらがいればマキシマムマイティXを複製することが出来る」

 

「花家大我......! だが私が一人でも君達を消滅させれば、コンティニュー出来ることに代わりはない!」

 

 

 ゲンムがドライバーを操作。

 

 

クリティカルデッド!

 

 

 増殖した大量のゾンビゲーマーが襲いかかる。エグゼイドが、スナイプの前に立つ。ゾンビは彼に触れた瞬間、一斉に爆発。しかしエグゼイドは無傷。

 

 

「レーザーから事情は全部聞いた! お前の運命は、俺達が変える!」

 

「永夢、久し振りに四人協力プレイで行かねえか?」

 

 

 こう呼び掛けるレーザー。彼がドラゴナイトハンターZのガシャットを、ドライバーから取り出す。

 するとそれが四つに分裂。エグゼイド、ブレイブ、スナイプのもとに送られる。

 リーリエから渡されていたマイティアクションXを使い、エグゼイドはレベル2に変身。これで準備が整った。

 

 

「術式レベル5」

 

「第五戦術」

 

「5速!」

 

「大大大大大」

 

「「「「変身!」」」」

 

 

ガシャット! レベルアップ! ドドドラゴナナナナイト! ドラドラドラゴナイトハンター!

 

 

 レーザーからドラゴンファングが分離。それがエグゼイドに装着される。

 

 

エグゼイド!

 

 

 ドラゴンブレードとドラゴンガンが分裂し、二人のライダーに送られる。

 

 

ブレイブ!

 

スナイプ!

 

レーザー!

 

【挿絵表示】

 

 スナイプはジャンプして、左腕のドラゴンガンを放つ。ドラゴンファングから炎を吹き出すエグゼイド。

 

【挿絵表示】

 

 ブレイブが近づきつつ、右腕のドラゴンブレードで斬り上げる。

 同時攻撃は、ゲンムに反撃の隙を与えない。さらに畳み掛けるように、右足で回し蹴るレーザー。

 

 

「不死身ではなくなったとはいえ、レベル5ごときに......」

 

「それは俺達が最強の医療チームだからだ!」

 

 

 エグゼイドが尻尾を伸ばして、ゲンムの胸を突く。動きを止められた彼に対し、スナイプの砲撃が炸裂。

 横に斬り払うブレイブ。レーザーが両腕のドラゴンクローを大きく振り上げ、素早く下げて叩きつけた。

 

 

「フィニッシュは必殺技で決まりだ!」

 

 

 ガシャットをキメワザスロットホルダーに挿入する四人。

 

 

キメワザ! ドラゴナイト! クリティカルストライク!

 

 

「私は......不滅だ!」

 

【挿絵表示】

 

 四人の必殺キックが、ゲンムに決まる。彼は絶叫とともに爆発した。

 

 

「何も起こらない?」

 

 

 疑問に思う永夢。彼は日頃ゲームに興じているが、クリア条件を満たしてもなんのギミックもないものなど、これまで見たことが無かったからだ。

 

 

「言っただろ? このゲームは攻略不可能。つまり檀黎斗を倒したあとのデータなんて存在しないのさ」

 

「僕たちはどうなるんですか?」

 

「お前達はこの世界からしてみれば異物だ。勝手に放り出され、精神は元の肉体に戻るはずだぜ」

 

「貴利矢さんは?」

 

「自分は謂わばバグ。巻き添えは避けれないかもな」

 

「そんな......せっかくまた会えたのに......」

 

「永夢、世界の......人類の運命は任せたぜ」

 

 

 永夢達三人の身体が、末期のゲーム病患者のように透けていく。それを笑顔で見送る貴利矢。

 永夢の叫び声は、もはや貴利矢に届かない。それだけ透明化しているということ。

 貴利矢が最後に、右腕を前に突き出して銃を撃つように手を動かした。それは大我が変身するときの、パネル選択の仕方に酷似。

 唯一真意を悟った大我。そして彼らは、ゲームフィールドをあとにした。

 

 

────────────

 

 

 目を覚ます大我。時計は七時を指している。いつものベッドに戻ってきていた。

 ゲーム世界では何日間か過ごしたが、現実ではわずか数時間でしかなかったようだ。

 

 今彼の知らないところで、とある計画が着々と進んでいる。その名は仮面ライダークロニクル。バグスター達が人類を攻略し、人類を滅ぼすゲームだ。

 さらに彼の宿敵の復活も、刻一刻と迫っていた......




お読みいただきありがとうございました。
 ちなみに最後の方にリーリエの台詞がまったく無いのは、彼女にもデータが無いからです

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