閃光、そして爆発。
サザビーが破壊され、フィールド内には静寂のみが残った。
〈……〉
数々の機体の残骸の中で漂うその機体は、一言で言えば黒いフリーダムガンダム。
だがその機体は連戦の影響か、原型を留めてはいるものの何も問題なく動くことが不思議なほど損傷していた。
しかし、損傷具合におかまいなく次の相手機が生成される。
現れた機体はガンダムだった。
【100戦目、開始します】
機械的な音声が鳴り、ガンダムが動き始める。
ガンダムは早々にビームライフルを投げ捨てるやビームサーベルを構えて突撃を敢行した。
〈……馬鹿なAIだ。これはハズレだな〉
フリーダムはガンダムの一振りを難なく避けると、自身のビームサーベルを抜き隙だらけの胴体を薙いだ。
上半身と下半身に別れたガンダムが爆発し、フィールドに再び静寂が訪れる。
そんな機体をモニター越しに眺める人物が1人。
「100連戦終了、機動性や武装に問題はなし。テストはクリアかしら」
彼女はモニターから目を離すと、タブレットのような物を取り出しそこに何かを記入し、それが終わると通信窓を開きフリーダムへと通信を送った。
「お疲れ様、調子はどう?」
《……》
《……良好ね》
一間を置いてから、返答が来る。
「テストは終了。今日はもう戻ってもいいわ」
彼女はそれを聞いてから指示を出した。
今度は返答は無かったが、フリーダムはそのシルエットを徐々に薄れさせ、そしてそのまま消えていった。
機体が完全にエリアから消えたことを確認すると、今度は別の通信を開く。
数回のコールの後、現れたのは眼鏡をかけた男の姿だった。
『クレイか。どうだね結果は』
「資料を送ってあります。ご覧ください」
眼鏡の男が画面から視線を外す。
すぐにカメラが切り替わり、男のいる部屋が映った。そこは小さな会議室のような場所であり、暗闇の中丸い机を囲むように数人の男達が座っている。
彼等は皆手元の画面を注視しており彼女…クレイのまとめたデータを見ていた。
『…ふむ、悪くないデータだ』
まず口を開いたのは、眼鏡の男の隣に座っている煙草を咥えた男だ。
『今まで収集したデータはちゃんと効果が出ているな。これなら奴の本格的な運用も可能だろう』
煙草の男は吸っていた煙草をふかしながら言う。
他の男達も賛成らしく、異議はあがらなかった。
『では、運用開始だ』
「わかりました。それでは」
通信が切れ、男達の姿が消える。
クレイは通信窓を消し、彼女はログアウトの準備に入った。
「あと少し…あと少しで…」
誰にも聞こえぬ独り言を呟き、彼女はそのまま仮想世界を後にした。