森で見つけた女に、俺は驚いていた。
俺が……俺が好きだったリンに似ていた。
「………リン?」
俺は思わず名前を呼んでしまった。
しかし、女は……
「えっ……!?何で私の名前を知っているのですか…?」
……。間違いない、リンだ。
写輪眼でわかる。本人だ。
だけど、俺のことがわからないのも当然か……。
「いや、すまない。昔知っていた女にそっくりだったからつい。
というより、名前も似ているのか」
「あ、申し送れました。私、のはらリンと言います。
あなたのお名前は?」
…………。本当のことを言って良いのか、少し迷う。
だけど、偽りを言うのはやめにしよう。
「うちはオビトだ」
「オビトさん、ですね。助けてくれて、ありがとうございます。
よろしければ、近くに私の住んでいるところがありますので、そこで休まれては?」
「すまないな。お言葉に甘えさせてもらおう」
俺の名前を言っても気づかない。驚きもしなかった。
何故だ?チャクラは本物のリンと一致している。
まぁ、考えるのは、休んでからにしよう……。
しばらく案内をしてもらい、森を出て渓谷に入った。
しかし、霧は渓谷まで続いていた。
「この霧はいったい?」
「この霧は、自然に流れているのですよ。
ですが、道を究めていなければ永遠に迷子のままです。
よかったですね。これも巡り合わせでしょうか?」
「そうだな……。俺は運がいい…」
リンに連れてこられたところは、石造りの質素な小屋。
「法師様。ただいま戻りました。
途中で人が迷っていまして。連れてきました」
「ご苦労様。ではお部屋に戻っていてください」
男性がリンにそう言い、リンは小屋の奥に行った。
「初めまして、私は玄奘三蔵。三蔵でかまいません」
「うちはオビトだ。それにしても、よく人を入れられるな。
警戒をしないのか?」
「ふふ。私にはなんとなくわかるのですよ。あなたに邪の心が見られません。
でしたら、受け入れてもかまいません」
不思議な奴だ。だが、いくつか教えてもらうことだけが今の目的だからな。
「入れてもらってなんだが、ここはどこなんだ?」
「ここは――――――」
俺は三蔵にここの場所を教えてもらった。
この世界は通常の世界と妖怪仙人が住む隠れ里の狭間。
いわば、異世界。
俺の知らないことだらけ。
携帯やらパソコンやら、見たことの無い者を三蔵は教えてくれる。
俺のいた世界とはまた別の世界だ
三蔵に俺のことを話した。
三蔵は少し疑ったが、了承してくれた。
「そうですか……。そういえば噂で聞きましたが、異世界のものが活動していると…。
あくまでも噂ですが」
「そういえば、あの女は?」
「リンのことですね?実はあの子は記憶喪失なんです。
気がついたら、森の中にいた。それまでの記憶が無いというのです。
仕方が無いので、私が保護しているのです。
時々、練習しに森に行きますけど」
俺は、とてもショックを受けた。
記憶喪失。恐らく、この世界に来るのに何か会ったんだろうな。
カカシの術で、自ら自害したばかりに。
俺は言葉を失った。
「とてもいい子ですよ。動物たちの面倒見も良いですし。
私にマッサージをしてくれたり。薬の調合を手伝ってくれたり。
助かります。あの子がいてくれて」
そうか。ここで役に立っていて少し安心した。
「少し、あの女と話をしていいか?」
「どうぞ。ごゆっくりと……」
俺は小屋の奥に入った
「あら、どうかしましたか?」
「いやなに。ゆっくりしたものだから、お茶でも貰おうかと」
「そうですか。少し待ってください。今入れますから」
ふたを開けて、急須に茶葉とお湯を入れて数分。
緑茶ができ、湯のみに入れてくれた。
「どうぞ」
「すまない。いただこう」
こうして会話ができるが、本物のリンがいて俺は嬉しかった。
カカシに惚れていたがな……。
「三蔵から君の事を聞いた。
君は、森に言って練習をしていると聞いたが、何を練習しているんだ?」
「実は、記憶が無いのですが何か思い出しそうなのです。
ですがそれがなんなのかわからず、つい外に行ってトレーニングをしているのです。
自分は、何か大事なことを忘れている、そんな気がするのです。
記憶喪失ですけどね、体が疼いてしょうがなかったので」
「まぁ、いいことじゃないのか。俺はおすすめするぞ、その療法は。
何もしなければ、事は始まらないからな」
俺はリンと長くお話しをした。
正直、この時間は俺にとってはすごく幸せの時間だと思う。
大好きだったリンと、こうしてしゃべれるし。
記憶が無いのは少し残念だが、俺の私情をわざわざぶつけなくても良いだろう。
しかしなんだ……。心の奥から、感情が煮えぎる。
ははは、俺は相変わらずだなぁ。
カカシが好きだって言うのはわかっているのに。
とんだことを思うのだな。だけど……。
この思いは、本当だ。好きって言う気持ちは。
この後、リンと一緒に夕食の準備をし、三蔵と三人で仲良く話しながら食事をし。
俺はしばらく、ここに住むことを決意した。
三蔵とリンは了承してくれた。
俺の新しい道は、始まったばかりだ。
とりあえず、番外編はここでストップします。
次回からちゃんと5章を書きます。