俺は今、外にいてる。
夜の風が気分を良くしてくれている。
黒歌が仲間になってから数日経って、
今リアスの姉ちゃんたちはレーティングゲームの試合をしている。
俺たち《忍》やイリナは別室で観戦している。
リアスの姉ちゃんたちは力が強い。
だけど、ソーナ会長は持ち前の知性で姉ちゃんたちを攻略してくるだろうな。
黒歌の件はこうだ。
まず、会場に戻ってサーゼクスの兄ちゃんに事を説明。
ていうか、会場内はボロボロになっていた。
ゲジマユとサイラオーグの兄ちゃんが戦った後だったて聞いたけど、
壁も割れているし、テーブルとか料理とかもぐちゃぐちゃになっていたし。
唯一、チョウジは料理に夢中で食べていたけどな。
黒歌のことを聞いたサーゼクスの兄ちゃんは、すぐに彼女の指名手配を撤回。
問題も起きずに黒歌は仲間になった。
ただ、会場の悪魔の皆様方は驚いていたけど。
あ、テロリストのことは伏せて置いといた。
サーゼクスの兄ちゃんと、グレイフィアの姉ちゃんにだけ教えておいた。
もし、他の悪魔に聞かれていたら《忍》の信用性が心配になるしな。
悪魔の皆さん方にも、不安を過ぎらせたくなかったし。
まぁ、無事に解決できてよかった。
小猫ちゃんと黒歌はまだぎこちないけど、会話はできるようになった。
そして、小猫ちゃんは自分の力を受け入れることを宣言した。
黒歌は、それのサポートをすると言った。
仙術を極めさせるため、妹のためにと。
で、俺は気分的に風に当たっていた。
レーティングゲームはリアスの姉ちゃんが優勢。
小猫ちゃんの力、猫又モードが見事に炸裂。
ていうか、可愛かった。正直な感想で。
と、外でうろうろしていると、空から一人降りてきた。
女の子だ。
降りてきて、俺をじっと見つめている。
幼女だけどゴスロリ姿。
ファッションはわからないが、こういうのもやっているのかな?
というよりも、気配が悪魔とは違う。
また別の大きな力を感じる。
「我、オーフィス」
ッ!?
その言葉聞いた瞬間、俺は冷や汗をかいた。
おいドライグ、オーフィスって……。
『……ああ。俺も正直驚いた。
この力、この気迫。間違いなく、
相棒、絶対に戦おうとするな。
いくら規格外のお前でも、オーフィスに勝てるかどうかは俺には予測不可能だ』
テロリストの大将が何でこんなところに!?
というよりも、この厳重な守りからどうやって入ってきたんだ…?
『奴には、気配を消す術も持っている。
並みの強者でも、気づかれずに現れることができたんだろうな』
「お前、赤龍帝?」
「……ああ。俺の名は兵藤一誠。現赤龍帝だ」
「ドライグ、久しい」
腕からドライグが声を放った。
『久しぶりだな、オーフィス。
こうして話すのも、いつの話だろうな…。
お前、何を目的で禍の団を作った?』
ドライグの質問にオーフィスは軽く言った。
「グレートレッド、倒す」
グレートレッド?何だそれは?
『……お前、本気でやるつもりなのか…?』
「我、元の場所に戻る」
ドライグが声色を変えて言った。
どうしたんだ?そんなにやばい奴なのか、そのグレートレッドていうのは?
『相棒、やばいとかそういう次元ではない。
オーフィスと同じぐらいの強さを持っているドラゴンだ』
……おいおい。えらい奴と戦おうとしているな……。
「で、俺の前に現れたのは何でだ…?」
今度は俺がオーフィスに訊く。
「赤龍帝、我と一緒にグレートレッドを倒す」
!!!!?
その言葉に、俺は驚愕した。
おいおい、冗談じゃない!!そんなの、協力できるか!!
こいつの仲間になるということは、みんなを裏切ると同等、いやそれ以上の最低な行為。
「悪いが、俺はその誘いには乗らないぜ。
折角の勧誘だが、俺には大事な仲間がいるんだ。
仲間を裏切ることは、俺の理念に反する」
「我の目的、グレートレッドを倒すこと。赤龍帝、仲間とは?」
……?奴の言っていることに少し疑いを持った。
「俺は《忍》のリーダーだ。そう簡単に、裏切ってたまるか」
「《忍》?」
オーフィスはそう言い、首を横にした。
「《忍》はお前の組織でも知っている、新しい勢力だぞ。
人間、悪魔、天使、堕天使、その他の異能を持つ人々が仲良く集まり、
共に歩んで、共に協力し合い、共に笑う」
「我、知らない」
……知らない?テロリストのトップなのに、知らないのはおかしいぞ……?
ドライグ。あいつの言っている元の場所ってなんだ?
『オーフィスは元々、次元の狭間というところで生きていた。
次元の狭間は何も存在しない、ただ無の場所だ。
そこにグレートレッドが住み込むようになって、
オーフィスは邪魔なグレートレッドを退かそうとしている』
……。俺はまた訊きたいことが浮かんだ。
「……なぁ。お前に協力してる奴ら、お前はどうやってあいつ等を仲間にした?」
「我、誘った。素直に、仲間になった。
『あなたの力に成れるのなら』とか『すばらしい夢に是非協力する』とか色々。
自ら来た奴もいた」
………なるほどな。
「我、赤龍帝の勧誘に失敗。
今の我の目的、それだけ。今は、襲わない」
そう言って、オーフィスは空に飛んだ。
そのまま静かに、去っていった。
夜の月は明るい。
そこに、一つの影が映りこんだ。