僕の考えるA/Z (旧タイトル: A/Z  イナホに憑依)   作:ロベルトジョー

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12話

「今は作戦中だ。思考を切り替えろ」

僕はユキに知らされた事実を一旦、頭の隅に置き、降下を開始した。

雲を抜けた僕の目には揚陸城からは弾幕が降下中のカタフラクト隊を襲っていた。

揚陸城から放たれた誘導弾はデコイが破壊された時に発生するチャフやフレア、煙幕に撹乱されているが、それ以外の機関砲や無誘導ミサイルにより、先に飛び降りていた十機近いカタフラクトが既に餌食になっている。

「当たらないで、当たらないで、神様お願い!!」

インコの必死の願いが無線機を僕に通じて聞こえてきた。

「想像以上の弾幕で、このまま落下するだけじゃ揚陸城にたどり着く前に撃墜されそうだ」

弾幕を前に僕が呟いた時、揚陸城の外壁で爆発が起きたのが見えた。

「こちらマリトだ、揚陸城に着陸した。これから敵の対空砲の破壊を行う。他に揚陸城に到着した機体は対空砲の破壊を第一優先に考えて各自行動しろ」

「さすがマリト大尉!!それに側にいるのユキさんだよね、あの弾幕の中を避けて揚陸城に到着できるなんて凄い」

インコは先に到着したマリト達の無事が分かり、若干落ち着きを取り戻した。

そして、マリトに敵の注意が向いたためか、降下中の僕達への弾幕が薄くなった。

「インコ、僕の後についてきて」

「ち、ちょっと早いよイナホ!」

僕は追加装備のブースターユニットを用いて落下速度を上げて敵の対空砲を躱す。

幾つか装甲に弾が当たったが軽微であり、その勢いを保ったまま衝突するように外壁に着陸した。

「こちら界塚イナホ。揚陸城に着陸に成功したため、これより誘導ミサイルを発射します。今、対空砲の近くにいる人は直ぐに離れて下さい。」

今回の僕のカタフラクトにはブースターユニットの他に、攻城戦用の小型ミサイルを多数積んでいる兵器運搬用のコンフォーマルパワーアシストを装備している。

僕は無線機を通じて警告した後に、腕や脚部からミサイルを多数発射させて次々と対空砲を破壊していった。

「目算で三割程度の対空砲を破壊した。よし、今だ降りてこいプリンセス」

「了解、今から揚陸城への降下を行う」

無線機からライエの声が聞こえ、これらから揚陸城無力化作戦が開始される。

「ここまでして、どうして火星騎士は現れない…」

僕は違和感に気づいたが、作戦を進めるしかなかった。

そうしていると、セラムさんが載っているデューカリオンが外壁に

「こちらプリンセス、揚陸城に到着したわ。これより、内部に入って揚陸城の制御室に向かう」

 

 

デューカリオンに乗り、揚陸城に侵入したライエとアセイラムは、敵と出会わずに制御室への通路を進んでいた。

「ねぇ、あんた。揚陸城ってこんなに警備が薄いものなの?」

「確かに違和感を感じます。もしかしたら、地球軍本部へ総攻撃をかけていて、殆どの人が基地の方に行っているかもしれませんが...あ、ここが制御室です」

「分かった。ドアをぶち破るわ」

デューカリオンに装備させているライフルから発射されたグレネードで、制御室の扉を吹き飛ばすと、広い空間に眩しいほど光り輝く宝石があった。

アセイラムはコックピットを空けて外に機体の外出て、宝石に近づき手を触れた。

「アセイラム・ヴァ―ス・アリューシアの名において命ず、揚陸城よ活動を停止しなさい」

アセイラムの命令に応答したように揚陸城は動きを止めた。

 

揚陸城の対空砲や、機関砲などが僕達への攻撃を止めて動かなくなった。

「俺たち、勝ったんだよな...なんか想像よりあっさりし過ぎて実感が湧かないんだが」

マリトの口から皆思っている言葉が漏れた。

その時、僕の視界に落下する戦艦の姿が見えた。

「!?こちらイナホです!…応答をお願いします、マグバレッジ艦長!」

僕が無線機に呼びかけても反応は無かった。

すると直ぐに、レーザー無線でユキからの通信が届いた。

「ユキ姉、これは」

「ジャミングよ。しかも、今までより強力なやつ。それで、戦艦が襲撃を受けていたことに気が付かなかったわ。今、マリト大尉から命令があって、戦艦の落下後に中の人の救助または避難の援護を行うことになったわ」

「この揚陸城自体が罠か!セラムさんをおびき寄せて仕留めるための…」

戦艦は真っ直ぐ揚陸城へ向かって落ちていき、外壁に突き刺さって止まった。

 

 

外観が真っ黒で頭部が兜のような火星カタフラクト・ディオスクリアに乗っているザーツバルムは、自分が落とした戦艦が自分の揚陸城に衝突したのを見て笑みを浮かべた。

「まんまと、我が策にハマりよったな地球人。奴らが我が城を停止させるには姫様を直接乗り込ませるしか方法はない。そして、姫様をカタフラクトから制御室に連れ出して我が城を止めた時こそが、姫様を救助する最大の機会。姫様をデューカリオンから離すことで力を使わせることを封じ、アルドノアを持たない脆弱な地球人を容易く討ち取ることができる」

ザーツバルムは自分の城をアセイラムを捕まえる檻のように呼び出して中に閉じ込める作戦を立てていた。

自分の揚陸城は無くなるが、それ以上にアセイラムの力を危険視した上での策は成功した。

「檻に閉じ込められた姫を救うため、姫の召使いに過ぎなかった少年は愛する姫を救うため剣を持ち戦いに。まるでおとぎ話のようであるな、スレイン」

「作戦の成功、お見事でした。僕はこれより目の前のデューカリオンを倒し、姫を救出いたします」

「うむ。姫の救助を任せたぞ、スレイン」

ザーツバルムはスレインとの通信を切り、自分のそばにいるカタフラクトに乗った火星騎士達へと通信を繋いだ。

「さて、これより我らは掃討戦を行う。さきほど、我が話していたスレイン及び我らがアセイラム姫も対象だ。スレインが姫の力を封じている間に、我が城の外壁にいる地球人共を倒し、最後にスレイン共々姫を狩る。地球を手にするために行くぞ、騎士達よ」

ディオスクリアを先頭に複数の火星カタフラクトが揚陸城の下から姿を現し、推進機を使って揚陸城を登り始めた。

 

 

騎士の鎧のような姿で両腕に巨大な盾をつけている外観をした火星カタフラクトのタルシスが、天井を突き破って現れ、盾に収納されていたブレードでデューカリオンに切りかかった。

「愛しのアセイラム姫、スレインです、助けに来ました。僕がこいつを倒すまで、そこから動かないで下さい!」

強襲にライエは勢い良く後ろに下がるように推進機使って回避しようとするが、タルシスのブレードの先が持っていたライフルに接触しキレイに切断した。

「くっ…ちょっと、あんたの元カレ何とかしなさいよ!!」

「え、ち、違います、元カレではありません!それより、その機体に乗っているのはスレインですか!?直ちに、攻撃を止めなさい!!」

突然の現れた敵カタフラクトからスレインの声が聞こえたため、驚きに思考を停止していたアセイラムはライエの言葉で気を取り戻しスレインに呼びかけた。

しかし、戦闘中であるためかスレインには届かずに、徐々にライエを追い詰められていった。

 

 

僕達は突如現れた複数の火星カタフラクトに威圧されていた。

「ザーツバルム参上。さぁ、地球人共。我がディオスクリアの前で塵と化すが良い、抜刀!」

先陣を切ってきたディオスクリアは過去に戦ったアルギュレのようなレーザーブレードを右手に持ち、猛スピードで僕達に接近してきた。

「打て、打ち続けるんだ」

マリトが慌てて攻撃を指示して、他の隊員がカタフラクトが迫ってくるディオスクリアに銃弾を浴びせた。

しかし、放たれた銃弾はディオスクリアに当たる前に消えた。

「何で当たらないんだ!!」

そのまま打ち続けた隊員に向かってディオスクリアが突進し、ディオスクリアが隊員のカタフラクトに衝突した瞬間に、カタフラクトはキレイに消えていった。

僕はその現象はまるで、新芦原市で見たニロケラスのように。

その後、ディオスクリアは大きくレーザーブレードを一振りし、隊員のカタフラクトを両断して破壊した。

「皆さん、僕が殿を努めます。あれにはセラムさん無しでは勝てません、直ぐに逃げて下さい」

「おい!何言っている界塚弟!」

「新芦原で僕達を襲った敵が使ったバリアをアイツも持っています。あれには僕達の攻撃は届きません、早く逃げてください!!」

僕は残っていた小型ミサイルをディオスクリア以外のカタフラクト目標に設定し発射した。

「無駄だ」

小型ミサイルは吸い込まれるように、ディオスクリアへと軌道を変えて機体に当たる手前で消えていった。

そして、吸い込みの対象はミサイルだけでなく、ディオスクリアに近い隊員のカタフラクトもまたディオスクリアに吸い込まれて消えていった。

「おい、アイツ複数の能力を持ってるのかよ!!」

マリト叫びに僕達はいよいよ、絶望を感じていた。

 




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