僕の考えるA/Z (旧タイトル: A/Z  イナホに憑依)   作:ロベルトジョー

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このSSではアセイラム姫は戦います。強キャラです。


15話

大広間の王座に座りレイレガリアは車椅子に座るレムリナを見下ろしていた。

「アセイラムが地球人の手に落ちてから数ヶ月。地球人との激しい戦いが続く中、我の命は長くは持たんかもしれん。レムリナ、お前には迷惑をかけるがヴァース帝国の王族としての責務を果たしていくのだぞ」

「もちろんです。御祖父様」

「うむ」

レイレガリアはレムリナの返事を聞いた後で王座から消えた。

「...」

レイレガリアが消えた後、王座を睨むレムリナの目の奥には憎しみの炎が渦巻いていた。

 

 

月面基地の広い応接間でザーツバルムはレムリナに対して状況報告を行っていた。

「北米、南米大陸は既に統治が進んでおります。しかし、ユーラシア大陸は揚陸城の陥落により、連合軍の反撃が続いております」

「そうですか。連合軍にいるお姉さまは?」

「アセイラム姫殿下は現在、地球を飛び立ち地球軍の宇宙基地であるトライデント基地に到着したとの報告が上がっています。近々、サテライトベルトに浮かぶトライデント基地と我らのマリネロス基地が近づき、大規模な戦闘が行われ、その時にはアセイラム姫殿下も姿を現すと予想されます」

「あら、でしたら盛大にご挨拶しなければ」

レムリナは口元を少し釣り上げ、応接間の窓から見える地球に視線を向けた。

「もちろんでございます。そこで、レムリナ姫殿下には少しお力添えをお願いしたく思っております」

「かまわないわ。その時になったら呼びなさい」

ザーツバルムはレムリナの返事を聞いて一礼をする。

「そういえば、私の即位式はいつになりそう?」

「既に皇帝陛下の体は著しく弱っており、もう間もなくと思われます。もちろん、レムリナ姫殿下が望むのでしたらいつでも」

「御祖父様にはもう少し病で苦しんで頂きたいのですが...そうですね、考えておきます」

「報告の方は以上でございます。では、また後ほど」

 

 

トライデント基地に着いたアセイラム達は戦艦内で休憩を取っていた。

アセイラムはレムリナのプロパガンダの映像を注視している。

「セラムさんとは違って妹さんは随分と好戦的よね」

「彼女は姫様とは母親が異なるため、冷遇されて軟禁生活を送っていたと噂で聞いたことがあります」

エデルリッゾはインコに答えた。

「それは僕も聞いたことがあります。僕の覚えが確かなら、護衛の騎士は...ザーツバルム伯爵だったと思います」

「なるほどね。ザーツバルムはセラムを殺してレムリナを使うことで実質的な王権を握るつもりだったのよ」

スレインの言葉に付け加えたライエは腕を組む。

「ザーツバルム…私が生きている限りアナタの好きにはさせません。そして、イナホくんを絶対に助け出してみせます」

アセイラムは自分の胸にある、スレインから貰った銃弾の跡があるネックレスを握った。

 

 

トライデント基地の会議室でマグバレッジは地球軍幹部と次の大規模戦闘について話し合っていた。

「知っての通り72時間後に火星のマリネロス基地と、我々のトライデントが最接近する。そこで大規模宇宙戦闘が予想されるため、地上から諸君らを招集させてもらった。君たちの健闘を期待する」

「私達にとって初めての大規模な宇宙戦闘。不安ですね」

「不見咲くん、それは敵も同じですよ。ただ、敵にとって宇宙での活動は慣れているかもしれませんね。決して油断ができるものではありません。それに、我々はここ数ヶ月で色々な火星カタフラクトや火星騎士達の情報も得ました。防戦一方の戦いにはならないハズです」

マグバレッジはディスプレイに表示されているトライデント基地とマリネロス基地が映る地図を見る。

 

 

 

月面基地の発艦口ではレムリナによって目覚めさせられた量産型火星カタフラクト・ステイギスが、火星のカタフラクト輸送船に積まれていた。

そこに、ザーツバルムとハークライト、そして、黒髪の少年が現れる。

「準備はどうだ?」

「既にステイギスのメンテナンス及び積載を完了しています」

「よろしい。ステイギス隊出撃せよ」

「は」

数十人の火星騎士がザーツバルムに敬礼をして輸送船に向かった。

「お前にはこの隊の指揮を任せる、健闘を祈っているぞ」

「はい、父さん」

少年はザーツバルムから離れて、ディオスクリアのコックピットに入った。

「あれ、起動しない」

火星カタフラクトの起動には操縦者のアルドノアが必要である。

しかし、ここには火星の遺産を直接制御する力を持つ者がいた。

「…もしかして、レム?」

少年はディオスクリアから飛び出して、周囲を探した。

すると、少し離れた壁に寄りかかってこちらを見ているレムリナがいた。

「レム、ディオスクリアを起動させて」

「あら、なんのことかしら?」

レムリナは少年に背を向けて離れようとするが、それを見越した少年はすぐさま、レムリナの手を掴んだ。

「今ここでカタフラクトを起動すら不可能にするのは、火星の遺産を制御できるのは皇帝陛下から権利の貸与を受けているレムしかいないよ」

「そうだとしたら?」

「僕は父より出撃の命を受けて、直ぐにディオスクリアを動かす必要があるんだ。レム、頼むよ」

「嫌よ、出撃したらしばらく会えなくなるじゃない...あなたは、いつもそう。父親の命令にいつも従って、自分の意思がまるで入っていないわ…私みたいにね」

少年はレムリナを引き寄せて抱きしめる。

「ねぇ、お姉さまに似てるから本当は嫌いだけど、アナタの好みに合わせて髪を伸ばしてるのに気がついてる?いつも、アナタと話す時間を楽しみに待ってるの知ってる?あなたが任務に出かけている間に、私がどれだけ寂しい思いをしているか考えたことある?」

「レム…」

レムリナは少し涙目になりながら、少年の胸に顔を押し付ける。

少年は何も言わずに、レムリナの言葉に答えるように抱きしめる力を強める。

「…ごめんなさい。あなたは何も悪くないわね。直ぐに動くようにするわ」

「ありがとう、レ…っむ!?」

レムリナは少年の唇に自分の唇を重ねる。

「っ…はぁ…っ」

レムリナは深く、そしてネットリと数十秒ほどキスをして離れた。

「はぁ...これで…はぁ...ディオスクリアの制御ができるわ」

レムリナの頬は真っ赤に染まり、息を荒げていた。

「レ、レム…」

「いい?私がアナタを待っている間の埋め合わせは、次合った時に、必ずすること!」

そう言い放って、レムリナは少年の元から急いで離れていった。

 

 

 

トライデント基地に警報が鳴り響いた。

「敵飛行物体がトライデント基地の側を通り過ぎ、マリネロス基地へ向かう軌道を取っています」

それを聞いたマグバレッジ達は既に戦艦に宇宙服を着用して待機していた。

「迎撃命令が発令されました」

「カタフラクト隊は全機出撃」

すぐさま、戦艦から幾つものカタフラクトがトライデント基地を出て、無数に浮いている月のかけらに張り付き身を隠した。

「ヴァルキリー小隊、配置よし。敵は一瞬ですれ違うわ」

「攻撃の瞬間はわずかってことね」

「スレイン、アナタの力で落とせますか?」

「可能です。既に敵数機の軌道は把握済みです」

カタフラクトに乗ったライエ、インコ、アセイラム、スレインは既に敵を待ち構えていた。

「本当にアナタの数十秒先の未来予知って、セラム並に反則よね」

「え、えぇと、僕の力が役立てて良かったです」

ライエに褒められたスレインは若干照れるが、迫る敵に気持ちを切り替える。

スレインの乗るタルシスは銃を構え、虚空に向かって撃った。

その時、高速で通り過ぎようとしたステイギスの中心に命中し爆発する。

さらに、スレインは銃を連射し、次々と迫りくるステイギスを落としていった。

「僕が動き回る敵カタフラクトを落とします。他の皆さんは敵の宇宙船を攻撃してください」

「「「了解」」」

スレインの無線を聞いた他のカタフラクト隊はすぐさま攻撃対象を敵宇宙船に変更し、銃を放った。

そうして、敵のステイギスを幾つか落として、さらに敵の宇宙船を1つ落とした時、残った宇宙船から黒のカタフラクトが飛び出してきた。

「敵宇宙船から別の種類のカタフラクトが出撃しました…あれは、ディオスクリア!」

「あ、待ちなさい!セラム」

ディオスクリアの名前を聞いたアセイラムは、ライエの警告を無視してディオスクリアに向かって速度を上げた。

アセイラムの翡翠の瞳が赤く染まる。

「我がアルドノアに命ず、デューカリオンに触れし固体を溶解せよ」

アセイラムの乗るデューカリオンに衝突した月の破片は装甲に触れた瞬間に溶けて液体になった。

デューカリオンはそのまま、月の破片を無視して真っ直ぐにディオスクリアへ進む。

ディオスクリアはその様子を見ると、減速してデューカリオンを待ち受ける体勢に入った。

「ザーツバルム!!」

デューカリオンは持っていた大剣を振りかぶり、ディオスクリアへと接近した。

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