「2人目の男操縦者かー…」
「まさか、一夏以外にもいたとは」
黒髪の少年、織斑一夏とポニーテールの少女である篠ノ之箒は食堂の片隅にある机で、向かい合わせに食事をしていた。
一夏は豪快に茶碗にある米を頬張り、箒はは丁寧に焼き魚の骨を取り除く。
2人は生粋の日本生まれである為、同じ焼き魚定食を食べていた。
「んぐ…明日入学するらしいけど、どんな奴なんだろうな!」
「食べ物を口に含んだまま喋るな!行儀が悪いぞ」
彼が女子校であるIS学園に入学して3日が経ったのだが、好奇な視線に晒される生活はとても心苦しい限りであった。その中で、同じ境遇の人間が入学して来る事は彼にとっては朗報だ。
その喜びの余りに一夏は幼馴染である箒にその事を話したい衝動に駆られるが、食事の作法に拘っている箒はそれを良しとせず、眉を顰めて注意をする。
「早く仲良くなれるといいなぁ…」
一気に食べ終わった一夏はゆったりと椅子に腰掛け、しみじみと真っ白な天井を見上げる。そんな姿を見て、箒は長い溜息をつく。
「…そんなに楽しみなのか?」
「あったり前だろ!逆に聞くけども、箒は男が群がった所で唯一同性である女の子がいたら安心するだろ?それだよ」
「…あまり想像できないのだが」
「駄目だなぁ箒。想像力が足りないよ」
今の世の中は女尊男卑。もしそのような状況があれば、蔓延しているフェミニストが訴訟を起こす。箒には目に見えてわかる為、一夏の例えにどうしても同感し切れなかった。
それよりも箒は…
「早く明日にならねぇかなぁ」
幼馴染である自分と再会した時よりも、ウキウキとしている一夏の様子に不満を抱いていた。
箒は一夏に好意を抱いており、それは昔から想いは変わっていない。そんな長い想いを秘め続けてきた為、一夏が嬉しそうに待っている顔も知らない男に嫉妬の感情を覚えてしまう。
「全く、どのような転校生かもわからないのに親しくなれる自信がよくあるな」
「絶対悪い奴じゃないさ、なにせ俺と同じ境遇に陥るからなぁ。滅茶苦茶気が合うと思うぞ」
「…ふん」
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「え、えーと…新しいお友達が来てくれました」
静寂に満ちた教室。そしてまだ寒さが残る春であるのに、顔に汗を大量に流す1年1組の副担任、山田真弥。
転校生の紹介という、極めて珍しくもない時間であるのにも関わらず、このような異常な雰囲気を作り出した原因は
「私はクダル・カデル!!よろしく頼むよぉ」
高校生とは思えないガタイの良さ、そして顔のありとあらゆるピアスを付けており、大きく裂けた口から長い舌を這わせている男。
まさに世紀末的な個性を持ち合わせたクダル・カデルであった。
1番左前の席にいた箒は、冷や汗をかきながら真ん中の最前列に座っている一夏をチラリと目にする。
「……」
そこにはセミの抜け殻のように、白目を剥いた一夏がいた。
クダルさんの舌って分かれていますよね?あれ自分で切ったんでしょうか。