パルスィ「ふぅ... スッキリしたわ。ありがとう九郎」ギュッ
「お互い様だ。ありがとうパルスィ」ギュッ
しばらく泣いていた二人は泣き止み、いつしか川のせせらぎが耳に入ってくる。
「そろそろ、行かないと不味いかもな、地上に戻らないと紫に怒られちまう」パッ
パルスィ「もうちょっと、こうしてちゃ駄目?」ギュッ
パルスィは顔を胸に押し当てたまま見せてはくれないが、抱きしめる強さを強めながら言ってくる
「え~と...パルスィ。俺、今気づいたんだけどさ。」
パルスィ「なぁに?九郎」
「えっと、周り見てごらん」
パルスィ「えっ?周り?」
パルスィがハッと顔を上げて周りを見ると
そこには、いつしかニヤニヤしながら2人を見つめる妖怪だかりができていた。
その中には、パルスィの知っている3人組の姿もある。
野次馬A「ヒューヒュー!お熱いねお二人!!」
野次馬B「修羅場かと思ったら、激甘空間とはお兄さんやるじゃねぇか~」
野次馬C「いいなぁ~、俺も奥さんとああいう関係になりてぇ~な~」
ヤマメ「キスしちまえよ~キス~」
?「お兄さん~私と一緒に酒飲みながらパルスィの事で語り合おうじゃんか~」
?「ヒューヒュー(コクコク」
どうやら、途中から全てこの野次馬たちに見られていたようだ。
まあ、こんな街の近くで喧嘩していれば、自然と目に留まってしまうだろう。
パルスィ「/////」ブルブルブルブル
パルスィが顔を真っ赤にし
パルスィ「ジェラシー....ジェラシー...///」
嫉妬されるのはむしろこちら側だが、しきりに「ジェラシー」と呟いている。
そして、
パルスィ「うがあああああああああ!!みんな纏めて記憶を消してやる~!!!!////」
抱きしめていた手を離し、周りに向かって弾幕を放つ
野次馬A「おほぉ~逃げろ~」
野次馬B「お兄さんお幸せにな~」
野次馬C「良い物見せてくれてありがとな~」
ヤマメ「(あれ...?私顔割れてるし、マズくない?)」
?「ハッハッハッ~ パルスィ~!!後で酒の肴に聞かせてくれよ~」
?「ガンバレ(ヒョコヒョコ」
野次馬たちは一斉に逃げていく
パルスィは弾幕を止める気配はなさそうだ。
「すまん。パルスィ!!今度また来るから、今日は帰るぞ~!!」
聞こえているかは分からないが、パルスィに向かって叫ぶ。
_____________
地底の落ちてきた穴を霊力の糸で登りながら思う。
幻想郷は「全てを受け入れる楽園」
俺のような"大量無差別殺人鬼"は置いておいて、既に改心したようなパルスィやそんなに凶暴ではないヤマメさんが地上に出ないのは何故か?
「全てを受け入れる」とは何なのか?
そんな事を考えながら登っていると
カタカタカタカタ!!
「ッ!?」
上から黒い影が降ってきた
そのうえ、その影には見覚えがあった。
「コイツは!?」
そう、その影は、自分の師の傀儡
「【水風船】!!」
俺はすぐさま、壁側に避ける。
傀儡【水風船】は名前は童のおもちゃのような名前だが、その実態は凶悪。
球体上の傀儡の中心には縦に刃が回っており、主に相手にぶつける様に使う傀儡である。
しかし、あの傀儡の真の力は、真下にいる敵に対して発揮される。
重力に従って下に落ちる傀儡はスピードが増し、ぶつける時よりも二倍の速度で迫って来る。
一瞬の判断ができない人物では、あの人形に真っ二つにされてしまうだろう。
「(でも、おかしい。この傀儡は...)」
そう。この水風船を作った人物は、九郎の師匠。
他人が持っているというのはおかしい話なのだ。
「(仮に、師匠の傀儡が誰かに盗られたとしても、師匠の傀儡は俺ぐらいしか扱えない。)」
師匠の傀儡は、力の消費が割に合わない。
しかし、師匠はそれを"特殊な力"で補っている。
俺は、自分の体を絡繰化することで、普段の力の消費を抑えている。
師匠や俺の傀儡を扱おうものなら、今の落とした一撃で疲れ果てている筈。
しかし、
カタカタカタカタカタ!!
第二波が来る。
俺は再び対面の壁へ移動し、【水風船】を避ける。
ガゴンッ!!
【水風船】は壁に衝突し、土煙をあげる。
「(これで、【水風船】を使うこと、いやむしろ回収することすら困難なはずだ。)」
俺は、再び壁を使いながら地上へ向かう。
しかし、
カタカタカタカタカタ!!
「なッ!?」
壁に埋まっていた【水風船】が俺の方目掛けて対面の壁から飛んでくる
「クソッ!!」
俺は、急いで斜め上へと糸を伸ばし飛ぶ
ガゴンッ!!
危機一髪。【水風船】は再び壁に埋まった。
この隙を狙い、急いで上へと登る
しばらくすると、上から光が差し込む。
しかし、もう夕暮れ時だ。
オレンジ色の光が俺を照らす。
「やっと出れたか。」
地上に出た俺は先ず、辺りを見回す。
人影も妖怪らしき影も気配もない。
「(あれだけの時間、あれだけの回数【水風船】を使用して、疲れていないのか...?)」
俺は、【絡繰鳥】を取り出し、辺りを偵察させる。
しかし、反応は動物や妖精達だけ。
「どうなってやがる...」
俺がそう呟くと、近くから気配がする!!
「ッ!!」
この気配は間違いない
奴が来た
紫「く~ろ~う~!!」
メンドクサイのが来た!!
紫「夕方には自宅待機する約束でしょ~九郎~?」
「ゆ、紫。これには沼よりも深い訳g『言い訳は結構です!!』はい...」
紫に首根っこを捕まれ、隙間の中へと放り込まれる。
その瞬間、俺は自宅へと尻餅をついた
紫「一週間、依頼以外の外出禁止!!依頼が終わったらさっさと帰る!!寄道厳禁!!以上!!」
「へい...」
暇な1週間が始まりそうだ。
「ところで、紫。帰るとこ悪いんだが。」
紫「何よ。」
俺は、先ほど起きた現象を説明し、紫へ問いかける
「という訳なんだが、強力な霊力を持った人物や妖怪は居たか?」
紫「ん~、私には分からないわね。 そんな気配がこの幻想郷に入れば私が気づく筈だし、何より強力な霊力なんて、"霊夢"ぐらいしか持っていないわ」
「霊夢?」
紫「前に話したでしょ?この幻想郷を守ってる私以外の人物って」
「ああ。前に言ってた巫女さんか。もしかして、紅白巫女ってその"霊夢"って子か?」
紫「紅白なんて、この幻想郷には"霊夢"ぐらいしか居ないわ。 でも、何で紅白巫女って呼ばれているのを..... 九郎。 貴方、地底に入ったわね?」
「あ、ああ。さっきも穴から出たときって言っただろ。」
紫が大きく溜息をつく。
そして
紫「金輪際、地底へ行くのは禁止しますわ、九郎。」
「ッ!?何でだ!!」
いつもに増して真剣な顔つきでそう言う紫。
俺は、禁止する理由が分からなかった。
紫「理由を知る必要は無いわ。 あそこには嫌われ者が住む土地。 この幻想郷の不純物の一つ。 とは言っても、ここは「全てを受け入れる」幻想郷。 "私が"消したりはしませんの」
「意味分かんねぇぞッ!!ちゃんと答えろ紫!!」
紫「言いましたでしょ? 理由を知る必要は無いですの。あそこに地底に繋がる穴があるなんて予想外だったけど、まあいいですの。明日にはあそこは塞いでおきますわ。」
「ッ!!」
俺は、【蠍】と【蜘蛛】を取り出す。
しかし、その瞬間!!
ゴッ!!
「ガハッ!!」
何者かに後頭部を思いっきり殴られた。
脳震盪を起こし、意識が遠のく。
その時、紫は一言、言い残した。
紫「いい、九郎? 世界に100%なんて存在しないですの。 どんなものであれ最高は99%なの。 あの地底は、幻想郷の完全ではない1%のひとつ。 私は、この幻想郷を100%にしたいですの。 100%の無いこの世界で、私は100%を作り出しますの。 その為には、あなたは地底に入れる訳にはいかないですの。 何があってもね...」
その言葉を聞いて俺は意識を失った。
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一方、地底の酒屋。
?「なぁ~ パルスィ~ 私も恋をしてみてぇよ~ なぁ~ 聞いてるのかパルスィ~」ヒック
珍しく酔っ払っている人物を無視しながら、チビチビとお酒を飲むパルスィ。
彼は、いつの間にか居なくなっていたが、「また今度来る。」という言葉だけは聞こえていた。
パルスィ「全く。いつも私の傍には居てくれないんだから...」
?「なぁ~ パルスィ~ あ、おっちゃん、鬼殺し追加1本」ヒック
酒屋のおっちゃん「あいよ~」
彼女は再び待つ。
彼が会いに来てくれるのを。
そして、今度こそ告げる。
「一生、私の傍に居てください」と