早苗「九郎さ~ん! 九郎さんいらっしゃいます~?」ドンドン
この日、東風谷 早苗は矢木野 九郎の仮家を訪ねていた。
ドンドンと戸を叩くが反応は無い。
早苗「ん~? 九郎さ~ん!開けちゃいますよ~?」
早苗は偶に、九郎の家に入っては勝手に中にある絡繰を見たり、晩御飯を作ってあげたりしている。
ソーッとドアを開けて、中を見る。
早苗「あれ?」
その時、早苗は違和感を感じた。
真っ先に感じた違和感は、普段置いてある絡繰がひとつも無いこと。
その次に感じた違和感は、小奇麗にしてある筈の九郎の家の中が乱雑になっていることだ。
早苗「ま、まさか!!空き巣!?」
早苗は急いで、ドアを閉め封印をし、開けれないようにした。
早苗「か、神奈子様と諏訪子様に知らせないと!!」
早苗は、そのまま守矢神社の方へ飛んで行った。
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同時刻。
九郎は、とある廃村に来ていた。
そこは人里で、【マヨイガ】と呼ばれる場所だった。
マヨイガとは、山奥にある人気の無い廃れた村のことで、そこにある日用品などを持ち帰ると幸運になるという逸話がある場所だ。
「どこだ...紫...」
九郎は確証は無いが、このマヨイガを探す。
微かに紫の気配を感じるからだ。
「ん..... そこか!!」
不意に何かの気配を感じた。
その気配は、一番奥にある小屋の中からだ。
「紫ィ!!」
?「ニ゛ャ!?」
中を開けると、たくさんの猫に囲まれた1人の少女が居た。
少女は、普通の人間が着ているような服ではなく橙色に近い赤い服を着て、尻尾からは2つの猫の尻尾が生えていた。
?「な、なんですか!?一体何のようですか!? ハッ!!もしかして、この子達を襲いに来たのですね!! さ、さぁこの私、【八雲 橙】が相手になりますよ!!」
この少女、今何と言ったか
「おい。」
冷たい声で話かける。
橙「ニ゛ャ!?」
少女は、涙目でビクッ!!と体を震わせる。
「今、【八雲】とか言ったか? 答えろ化け猫」
普段は絶対に見せない、冷たく暗い声で問いかける。
それに対して、橙は
橙「や、八雲って言いました...」
彼女は、今にも泣き出しそうな声で答える。
「じゃあ、問うぞ。 【八雲 紫】は何処だ? 答えろ!!」
九郎の声は既に怒号に近くなっている
ついに少女は
橙「ふ、ふぇぇぇん。 らんしゃまぁぁぁ 助けてぇぇぇ」
誰かの名前を呼びながら泣き出してしまった。
「おい、泣き出す前に質問に...?」
しかしその時、どこかしら何か妖怪の気配を感じた。
目の前に居る小さな妖怪とは比較できないほど強力な気配だ。
辺りを警戒していると、
パクッ
突然、空間に亀裂が入る。
「紫...貴様か?」
俺は空きそうな空間の亀裂に問いかける。
「いいえ。 違います。」
亀裂から帰ってきた声は別人だった。
だが、その声には聞き覚えがある。
「お前...まさか...?」
藍「私の式神がご無礼をしました、九郎さん。 そして、お久しぶりです。」
そこには、大妖怪【玉藻前】が居た。
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時は遡り、1000年前ほど
都にはさぞ美しい【玉藻前】という女性が居た。
その女性は天皇陛下の側室であり、側室の中でも屈強の美人だった。
しかし、その女性にはある秘密があった。
九尾の狐
その女性は大妖怪であり、寂しがりで人を愛そうとした妖怪だった。
その女性が幸せに暮らせることは無く、妖怪の気に障った上皇が病に倒れ、ついに陰陽師である【安部 泰成】に正体を見破られてしまう。
玉藻前は、陰陽師の攻撃を受けながら命からがら都から逃げのびた。
玉藻前「ハァハァ...」
玉藻前の体には対妖怪用の符や弓矢が刺さり血だらけであった。
辺りには、今か今かと倒れないか様子を伺う蛆虫のような妖怪たち。
玉藻前「失せろ!!」クワッ
玉藻前が妖気を発すると、辺りに居た妖怪たちは一目散に逃げ出す。
しかし、瀕死の体で力を使ったためか、意識が遠のき始める。
玉藻前「(私は結局...幸せにはなれないのか...)」フラッ
玉藻前が倒れ地面へ伏そうとしたその時、
「おい。大丈夫か?」ガシッ
誰かの腕で玉藻前の体は抱きかかえられた。
「おい、紫!!コイツ...」
そこで玉藻前の意識は途切れた。
玉藻前「ハッ!」パチッ
玉藻前が体を起こすと、辺りは小奇麗にされた小屋の中だった。
「おい。 ここにゴミを捨てるなと言っただろ」
「え~ いいじゃないの~ 私のゴミなんだし~」
「そういう問題じゃなくてだ。」
別の部屋から男女二人の声が聞こえる。
玉藻前が寝ていた部屋のドアを開け外に出ると
「お? 起きたか」
紫「あら? 意外と早く起きたじゃない」
見たことの無い空間で此方を見る男女二人が居た。
その部屋には、蝋燭よりも明るい透明の球体。 女性が寝転がっている物体。 部屋の壁には1~12と見たことの無い記号の書かれた絡繰のようなもの。 どれも、どの国に行っても見たことの無いものだった。
紫「あら、やっぱり見たこと無いわよね? この家具」
「当たり前だろ。 俺ですら初めて見たときは目を疑ったさ」
とりあえず、状況の掴めない玉藻前だった。
九郎説明中...
説明し、状況を飲み込めた玉藻前
玉藻前「これが海の向こうにある西洋と呼ばれる場所の家具というものなんですね」
紫「そうよ~ 私が集めてきたの」
「ほぼ、盗んできたの方が正しいんじゃないか?」
今は、物珍しい西洋の "家具"を見て回っている。
玉藻前「あ、ところで、この度は助けていただきありがとうございます。」
「まあ、血だらけの奴がいたら助けるのは当然だろ?」
玉藻前「しかし、私は...妖怪ですし...」
そう言って俯き悲しそうな顔をする玉藻前
紫「あら? 私だって妖怪よ?」
玉藻前「え? 紫さんもですか...?」
「コイツは"隙間"っていう変なもん使う妖怪だよ。 スキマ妖怪ってな」
九郎がそう説明すると、紫は"隙間"を開ける
玉藻前「.....私が言うのは何ですが、少々不気味ですね」
紫「 (´・ω・`) 」
「不気味だってよ? 紫?」
玉藻前の言葉にしょんぼりとする紫
ニヤニヤしながら煽る九郎
その様子はどこかしら楽しそうな光景だった。
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「その後だっけな? 紫が行く当ての無いお前を式神にするって言い出して」
藍と対峙しながら話す俺。
藍「そうです。 そのお陰で、"今の私"、【八雲 藍】がここに居ます」
俺は藍に対しても殺気をとる事は無かった。
しかし、彼女からは殺気... むしろ、警戒心の一つすら感じられない。
藍「久々の再開で、お茶でも飲みながら話をしたいところですが、そうもいかないみたいです...」
そう言って、彼女は袖に入れていた両手を取り出す。
「んッ!?」
気づいたときには、藍は目の前に接近し片手を突き出す
藍「ハァッ!!」
無数に放たれる弾幕。
「クッ!! あぶねぇ...」
それをギリギリのところで回避する俺
藍「やはり、不意打ちじゃあ九郎さんには当たりませんね」
「伊達に修羅場潜り抜けて来たんじゃねぇからな」
俺も、すかさず弾幕用の傀儡を取り出す。
「来い!! 弾幕傀儡【右門】・【左門】!!」
真っ二つになったような人形が現れた。
藍「紫様の命令で、貴方を止めるように言われています... 橙は離れていなさい!」
橙「は、はい!!」
「じゃあ、弾幕勝負で勝ったら紫のところに案内させてもらうぞ!! 藍!!」
二人の弾幕勝負の幕が切って落とされた