東方操装庫   作:猫仮面

20 / 20
スキマの賢者

紫「......」

 

妖怪の賢者

 

スキマの大妖怪

 

彼女、八雲 紫は1人の人物を頭の片隅で考えながら陣を形成していた。

 

【八雲式大忘却陣】

 

博麗大結界に上書きする形で形成するその陣は、"忘れられた存在の来る"この幻想郷において、「指定した物・人物・あるいは地形そのものを忘れさせる』という代物である

 

もちろん、忘れられた存在が引き込まれるこの幻想郷において、忘れられるとは即ち"死"を意味する。

 

八坂や洩矢、はたまた秋や鍵山の神と同じよう、『信仰がなければ存在できない』と同様、妖怪も『恐怖の対象』でなければ存在はできない。

 

そんな妖怪や神が存在を忘れられてしまったらどうなるのだろうか?

 

_______

 

陣を形成する途中、私は頭痛に悩まされている。

 

これはきっと"彼"のせいであろう。

 

紫「...来たわね。」

 

私を追う為、マヨイガに来るであろう九郎の元に向かわせた藍。

 

あわよくば、藍が返り討ちにしてくれれば幸いですけれど... そうもいかないでしょう。

 

藍を送り出したスキマから1つ気配を感じる。

 

もの凄い殺気だ。

 

紫「九郎... やはり、来ましたのね。」

 

「紫...」

 

そこには、ほぼ無傷で私を睨みつける九郎の姿があった。

 

「なぁ、紫。 幻想郷の管理者としてどうなんだ?」

 

紫「何がですの?」

 

頭がズキズキする。

 

「お前が築きたかった楽園ってのは、"こんなもんなのか"って言ってんだよッ!!!」

 

貴方の一言、一言が私の思考を掻き乱す。

 

紫「ッ... あなたには関係の無いことなのッ!! ここは私のッ!! 私が作り上げた楽園なのよッ!!!!!」

 

私は、頭痛からのイライラと九郎への込み上げる苛立ちから弾幕を放った。

 

________

 

 

紫「ここは私のッ!! 私が作り上げた楽園なのよッ!!!!!」

 

 

紫が弾幕を放つ。

 

「くッ!!」

 

俺の言葉は一切聞き入れるつもりはないらしい。

 

紫が思い描いた『人間と妖怪の共存』とはこんなにも残酷なものなのか

 

「いい加減にしろォッ!!!!」

 

俺は弾幕人形【右門】・【左門】を展開する。

 

藍のとき同様、弾幕を避けながら、紫へ体当たりしようとする。

 

紫「無駄ですわ」

 

紫が体当たりを華麗に避ける。

 

「そこだ!! 傀儡【鬼門解放】!!」

 

右門・左門の間に箱状の物ができ、弾幕を射出しようとする。

 

しかし、妖怪の賢者は動揺の一つすら見せない。

 

紫「言いましたわよね? 無駄ですと。」

 

右門・左門が弾幕を放つ。

 

至近距離で放たれる弾幕は打ち上げ花火のように相手を包み込む。

 

 

 

しかし、紫は弾幕を掠りともしない。

 

そもそも、右門・左門は弾幕を放ったのか?

 

紫「確かに、弾幕は綺麗で優雅でしたわ。 そして、"普通の大妖怪"程度でしたらまともに攻撃を受けていたでしょう。」

 

その言葉に俺は悪寒を感じた。

 

しかし、察した瞬間には既に手遅れだった。

 

紫「でも、私は"妖怪の賢者"と呼ばれるからには、相応の実力を持っていなくてはなりませんの。」

 

俺の背後には、"スキマが開いていた"

 

鈍い痛みが背中を襲い体から空気が抜ける。

 

「カハッ!?」

 

右門・左門の放った弾幕は紫に当たる寸前、スキマに吸収されていた。

 

そして、全ての弾幕は気配を察することさえできなかった、俺の背後のスキマから放たれる。

 

俺は、それを全て直撃した。

 

「(藍は... コイツを受けてなお... 立ち向かったのか...)」

 

敵を一撃で落とすために作った右門・左門の一撃は、まるで岩石をぶつけられたかのような痛みだった。

 

正直、意識を保つので精一杯だ。

 

紫「さぁ、まだ続けますの? 貴方を倒して私は100%の楽園を作る。」

 

心なしか苦しそうな表情の紫がそう言い放つ。

 

しかし、ここで倒れるわけにはいかない。

 

まだ、紫から本心を聞いていないからだ。

 

「なぁ... 紫...」

 

紫「なんですの? 九郎? 降参でも致します?」

 

「お前... 俺と話すときな、癖が出るんだ。」

 

紫「...なんの話ですの?」

 

「お前... なんで俺に他人口調なんだ?」

 

紫は、自分で言うのも恥ずかしいが、俺に心を開いてくれている。

 

彼女は、物心ついたときから俺に対して敬語は一切使ってこなかった。

 

特に、俺と2人っきりの時は必ずだ。

 

「ここには俺とお前の二人しか居ない。 なのにお前は他に誰か居るときのような他人口調になってるんだ。」

 

紫「ッ...!?」

 

紫が驚きの表情をここで初めて見せる。

 

「なぁ、紫。」

 

 

 

 

 

「お前と一緒に行動してるのは誰だ?」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:10文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。