東方操装庫   作:猫仮面

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稗田家の一族

妖怪を倒し終え、紫の髪の少女に近づき声をかけようとするが、

 

足音を聞きつけた少女は顔を見るなり

 

?「嫌ァァァアアアアア!!近づかないでぇ!!!!」

 

随分と嫌われたご様子です。

 

まぁ、あんな光景を作った本人だとしたら普通は近寄らせたくないもんな・・・

 

とりあえず、少女との和解を図る。

 

「なぁ、俺の話を聞いてくれ。 別にお嬢ちゃんをどうこうしようって訳じゃないんだ。 ただ、襲われそうになってたから方法は悪かったけど助けたかったんだ。 この通り、許してくれ。」

 

そう言いながら少女に対して綺麗な土下座を決める。

 

傍から見たら変人だ。

 

?「ほ、ホントですか・・・? 私には何もしませんか?」

 

「ああ。 神にでも仏様にでも誓う。 君に危害は加えない。 今の今までの光景を見せてしまったのは本当に申し訳ない。」

 

土下座中にさらに頭を地面に擦りつけ誠意を表す。

 

すると、少女は少し怯えながらも

 

阿求「わかりました。 貴方様を信じます。 この度は助けて下さり誠にありがとうございます。 私は、人里で9代目阿礼乙女をさせて頂いています。 【稗田 阿求】と申します。」

 

少女は立ち上がり頭を下げながら自己紹介をする。

 

「失礼、人里のお偉い様でしたか。 私は、山の麓で技師をやっております。 【矢木野 九郎】と申します。以後、お見知りおきを稗田様」

 

そう言って俺も頭を下げる。

 

ちゃんと敬語が出きるように都ではお偉いさんの部下に指導されたからな。

 

格上の存在にはなるべく敬語を使うようにしている。

 

阿求「いえいえ、お偉いさんなんてとんでもないです。 それと、私の事は阿求でいいですよ。」

 

「では、お言葉に甘えて。 阿求様」

 

阿求「"様"も要りませんよ?九郎さん。」

 

二人で笑いながら自己紹介を終え、阿求が襲われぬように人里まで送り届ける。

 

人里への道の最中、

 

「そいえば、阿求さんは何故、妖怪の山に足をお運びに?」

 

阿求「私は生まれつき体が弱くて、あまり外へは出れないのですが、どうしても幻想郷の事を纏めた【幻想郷縁起】という本を作り上げたくて、謎の多き妖怪の山へ足を踏み入れたのですが・・・ 連れて行った用心棒さんも・・・」

 

「ふむ・・・ 「幻想郷縁起」ですか・・・」

 

正直、縁起が書かれるほどこの幻想郷は色々なことが起きたりしているのか・・・と少しばかり感心している。

 

すると今度は阿求が

 

阿求「それよりも、あのとても凶暴な人形はやっぱり貴方の物だったんですか・・・?」

 

少し、距離を置いた感じで質問をされる。

 

まぁ、仕方のないことだが。

 

「ああ。一応、護身用にいつも持ち歩いてるんだ。 と言っても、力が強かったりするから、あんな酷い光景を見せてしまったのだが・・・」

 

「いぇ、こちらこそ申し訳ないです。 助けてくださったのですからそんな暗い顔をしないでください。」

 

自分でも気づかなかったが、いつの間にか、暗い顔をしていたようだ。

 

「(俺は・・・やっぱり・・・)」

 

【殺し屋】なんて物は最初はやる気が無かった。

 

"あんな事"が起きるまでは・・・

 

阿求「どうかしましたか?」

 

「あっ、いぇ。 お気になさらず。」

 

また、いつもの考えごとをしてしまった。

 

いや、いつもの後悔を・・・

 

そうこうしている間に、阿求を無事、人里へ送り届けることができた。

 

その際に、阿求に「伝書絡繰鳥」を渡して人里を後にする

 

「伝書絡繰鳥」は「絡繰鳥」と同じく霊力で動く代物だが、「絡繰鳥」とはまた違うもので、主に手紙のやり取りをするようなものだ。

 

但し、元の設計は「絡繰鳥」なので手紙を運ぶ際の速さはハチドリよりも早く。

 

必ず、持ち主のところへ戻っていく。

 

この「伝書絡繰鳥」を使って、阿求の今後の護衛を任されるのだが・・・

 

「あっ・・・」

 

人里の帰り際、見覚えのある人物がそこに立っていた

 

紫「く~ろ~う~・・・アンタ・・・何で外に出てるのかしらぁ~?」

 

目が赤く光ってるよ。紫。

 

その後、九郎が紫の説教を2時間、聞いたあとに弾幕を死ぬほど特訓をさせられたのは、また今度の話・・・

 

 

__________

 

阿求「【矢木野 九郎】さんかぁ・・・」

 

阿求は家で寝ているはずの9時頃に月を見ながら呟いていた。

 

何故か、彼のことを考えると・・・胸が痛む

 

阿求「また、持病が悪化してきたのかしら・・・」

 

阿礼乙女は悲しき一族である。

 

幻想郷創立と共に輪廻転生を繰り返し、1代1冊の【幻想郷縁起】を書かされる定め。

 

その次の代もまたその次の代も

 

永遠と、強制労働のような生活を強いられるのだ。

 

さらに、輪廻転生の為に生きられるのは僅かな間

 

それ故に、稗田阿求はこの感覚に気づいたとしても認めたくないのだ。

 

恋という感覚、愛するという感覚・・・

 

先代も、そのまた先代も、感じたのかもしれない。

 

しかし、この呪われた一族には恋や愛は儚く散る花のようなものだった・・・

 

阿求「駄目ね。 明日もあるんだし、今日は寝ましょうか・・・ハァ・・・」

 

彼女に報われる選択肢はあるのか?

 

彼女に救われる道はあるのか?

 

彼女に恋ができる未来はあるのだろうか?

 

その答えを知るのは誰も居ない・・・

 

_________

 

「え? 輪廻転生?」

 

紫「そうよ。」

 

紫のスーパー弾幕トレーニングの間に阿求の一族。阿礼乙女について聞いた。

 

阿礼乙女は幻想郷が出来た時から【幻想郷縁起】を1代1冊書く使命が背負わされており、完全記憶能力や輪廻転生能力のために短命である事も聞いた。

 

「でも、それは彼女は望んでいないんだろ? 何故そんなことしなきゃ「運命なのよ」

 

俺の言葉を塞き止め、紫が言う。

 

紫「昔から阿礼一族はそういう運命。 稗田家の使命なの。 捻じ曲げることのできない事実なの。」

 

「・・・」

 

俺は言葉を失った。

 

運命。

 

定め、使命。

 

そんな言葉で彼女の人生は決められてしまっている。

 

敷かれた道に沿って歩いていくだけの人生・・・

 

「(間違ってる・・・)」

 

俺は紫の言葉を理解しながらも否定する。

 

「(運命という道に沿っていく人生なんて可笑しすぎる。 彼女にはまだ希望がある・・・)」

 

確かに、人形技師である自分には命を作ることなどできないし、運命を捻じ曲げたりする事もできない。

 

でも、彼女の人生を少しでも良くする方法はあるはず。

 

「(かつて、俺が教えてもらったように、今度は俺が彼女を導くんだ!!)」

 

彼女の支えになる為に

 

青年は、人形を片手に決意する。

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