東方操装庫   作:猫仮面

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不死と不死

翌日、そのまた翌日と俺は阿求から来る「伝書絡繰鳥」によって妖怪の山までの護衛を任される。

 

紫は、「幻想郷縁起の為なら仕方がない」と言って、阿求の護衛のために外に出ることは許してくれた。

 

意外と優しい紫を見て、まだ昔のまんまだな。とつくづく感じるのであった。

 

阿求「で、九郎さん。私はアリスさんの家に密着で泊まらせて頂いたんです。そしたら、彼女ずっと無言で魔法の研究してたり、人形を操ってたりでちょっと不気味なんですよ。」

 

先程から阿求の話は絶え間なく続いている。

 

昨日もそうだが、阿求は幻想郷縁起制作の為に得たこれまでの知識で護衛中は話を振ってくれる。

 

しかし、その話の合間に阿求の顔が少し暗くなるのを俺は見逃さなかった。

 

暗くなる時はいつも、先代の記憶と思われる所から話す時である。

 

阿求自身は隠しているつもりのようだが、どこからどう見ても暗い雰囲気がMAXである。

 

阿求「それで、ですね。 あっ。 もう着いちゃいましたね。」

 

阿求の話を聞きながら歩いていたら、目的地の「妖怪の山・山頂」についた。

 

かつて俺が封印が解けてから初めて行き着いた場所だ。

 

ちなみに俺が封印されていたのは、この山頂の裏側にある祠に封印されていた。

 

御札が老朽化したのか、突然眠りから覚めて外に出れたのだ。

 

懐かしいなぁ~、と感じていると、山頂にあるこの守矢神社という所の社から一人の緑髪の巫女さんが出てきた。

 

?「あら?阿求さんじゃないですか!! こんな所までどうしたのですか?」

 

阿求「こんにちわです。早苗ちゃん。 今日はここの神様に用があって来ました。」

 

どうやら巫女さんの名前は「早苗」というらしい。

 

というか、胸でかい。

 

早苗「所で、後ろにいる方は・・・どなたです?」

 

阿求「あっ、この方は、「矢木野 九郎」さんです。 一昨日、私が妖怪に襲われている所を助けてもらって、その後から、ここに来るまでの用心棒さんとして雇ってるんですよ。」

 

「どうも、紹介にお預かりました。 九郎です。 趣味は、絡繰や傀儡の制作です。 どうぞよろしくお願いいたします。」

 

俺は綺麗な90度のお辞儀を決めた。

 

こんな綺麗にお辞儀を決められるのは、かつての都のお偉いさんの部下の指導と、絡繰の体の所業である。

 

しかし、自己紹介が終わった所で、早苗さんが急に俺のところに近づいてきた

 

そして、両肩をガシッ!! っと掴むと

 

早苗「あの、九郎さん。 絡繰って自動で動くんですか?」

 

「え、ええ。 動きますけど・・・何か?」

 

そう言うと、早苗は下を向きワナワナと震え始め。

 

そして

 

早苗「じゃあ、」マジ○ガーZとか作れるんですよね!?」

 

「・・・はっ?」

 

突然、早苗さんが意味不明な単語を出してきた。

 

何だ?マ○ンガーZって?

 

早苗「じゃ、じゃあ。 ガ○ガイガーとか作れますか!? いえ、イデ○ンとかでも良いんですよ!?」

 

「だから、何なんですか!? そのガオ○イガーとかイ○オンって!?」

 

早苗は狂ったかのように、俺の両肩を掴みながら、ブンブン振り回す。

 

あっ、ヤバイ。

 

カポッ

 

突然、俺の右肩が取れた。 まぁ外れたという方が正しいんだが。

 

俺の体の大半は絡繰でできている。 殆どが霊力で動かしているため中身は空洞だったりする。

 

なので、強い力で腕を引っ張ったりすると、意外と簡単に腕ぐらいなら取れる。

 

阿求は、驚愕の顔をし、早苗はというと

 

「取り外し可能な腕なんですかーーー!! ロ○ットパンチとかサ○コガンとかできるじゃないですかーーー!!」

 

もう、訳わかんないこの子。

 

ギャーギャー早苗が興奮しながら騒いでいると、社の奥から更に二人の人影が近づいてきた。

 

?「どうした、早苗?さっきから騒がしいようだが?」

 

?「全く。 私も寝れないよ早苗~。」

 

奥から出てきたのは、円状の注連縄を後ろにつけた紫色のグラマーな女性と目玉のついた帽子・・・あれ? どっかで見たことある様な・・・?

 

?「あー!!九郎お兄ちゃん!!」

 

「あー!!諏訪子!!」

 

やっぱり、守矢神社は生意気幼女神。諏訪の祟り神こと「洩矢 諏訪子」の神社だった。

 

諏訪子「ねぇ。何で私が寝てる隙に出てったの?何で?どうして?」

 

「そういう性格がメンドくさいんだよお前は!!」

 

諏訪子の性格は相変わらずだ。

 

気に入った人物がいると、祟り神の性質なのか、やたらとしつこい。

 

俺も諏訪子に気に入られてしまった一人で

 

諏訪子「大変だったんだよ~?あの後、神奈子が攻めてきて戦争になって、神奈子の傘下になって、時代が進むにつれて信仰が少なくなって。」

 

「わかった、わかった。ごめん、謝るから。」

 

諏訪子の性格はいつになったら直るのだろうか・・・?

 

神奈子「でも、諏訪子。 私の傘下に加わってた時、よく泣きながら言ってたじゃないか。「九郎お兄ちゃんが居なくて淋しいよ~淋しいよ~」って」

 

諏訪子「ちょっ/// 神奈子!!今そんなこと言わないでよ。」

 

ん? どうやら、諏訪湖にも可愛い一面があったようだ。

 

阿求「あの~・・・お話中スイマセンが九郎さんと神様達はどういったご関係で・・・?」

 

あっ、すっかり本当の目的を忘れていた。

 

とりあえず、ここまで来た経緯を話すと。

 

神奈子「わかった。じゃあ、阿求さんって言ったかな? 社の中でお話を聞こう。」

 

「俺はここで待ってるから、阿求はゆっくり質問してこい。」

 

そう言って阿求を神奈子達に任せて俺は、神社の鳥居で休憩に入る。

 

その間、早苗が、また興奮しながら色々と聞いてきたのは言うまでもない・・・

 

____________

 

阿求が質問を終え、妖怪の山を降りる頃になった。

 

辺りは日が沈み暗くなっている。

 

諏訪子には「また来てよね!!///」と照れながら言われ。

 

神奈子には「今度、一緒に酒を飲もう」と誘われ。

 

早苗には「今度は、サイ○ガンも持ってきてくださいね~!!」と言われた。

 

何なんだよ・・・サイコ○ンって・・・

 

阿求「今日は、何時もよりも賑やかだったですね。」

 

阿求が帰り際にそう言ってきた。

 

「ああ。昔の友人にも会えたしな。」

 

阿求「そう・・・ですか・・・」

 

阿求の顔が少し暗くなる。

 

やべぇ。何か変なこと言ったかな?

 

妖怪の山を下山し、人里までの道を歩いていると

 

?「オイ、貴様。止まれ。」

 

不意に、呼び止められ。通っていた道を振り返る。

 

するとそこには、牛の頭で3m程ある妖怪がこちらを睨んでいた。

 

?「この前は我の手下が世話になったな。 我が名は「牛六(ごろく)」。 今回は我が相手になろうぞ・・・」

 

この前、殺った奴の頭のようだ。

 

巨体からして今回は【鋏】は効かなそうだな。

 

そんなことを考えていると突然。

 

阿求「キャアッ!!」

 

妖怪B「暴れんなよ、お嬢ちゃん!!」

 

「しまった!!」

 

頭が出てくるという事は、前に取り逃がした奴も出て来るということを考えていなかった。

 

阿求が人質に捕られる。

 

牛六「さぁ。 戦いを始めるぞ!!小僧!!」

 

「(多分、アンタよりは生きてるけどな!!)」

 

俺は傀儡人形と絡繰人形を取り出す。

 

「(先ずは、何とかして阿求を取り返さなくては・・・)」

 

俺はそう思い、人質の捕っている妖怪Bへ傀儡人形を向かわせる。

 

「傀儡【蠍】!!」

 

【蠍】は都の時にも愛用した傀儡人形。

 

体内に仕込んだ毒針を口から発射する仕組みの人形だ。

 

妖怪B「うわっ!!」

 

人質で守ろうとするが、俺の傀儡人形はそんなに遅くない。

 

毒針が発射され、妖怪Bへ一直線に飛ぶ。

 

しかし

 

牛六「フンヌッ!!」

 

高速で移動してきた牛六は、毒針を掴んだ。

 

針は返しのようなモノが側面にも付いているので、持とうものなら毒が中に入る仕組みだ。

 

「(自分から死に急いだか!!)」

 

俺は「蠍」を回収する。

 

すると、牛六が膝をつき苦しみ始める

 

牛六「グ、グオオオオオ!!」

 

やはり、毒が体内に回り苦しみだした

 

牛六「なんちゃってな。」

 

「ッ!?」

 

膝をついて苦しんでいた牛六は高速で俺に近づき

 

牛六「ウルァ!!」

 

「ゴホッ!!」

 

俺にボディーブローを決める。

 

守ろうとしていなかった俺には酷く激痛が走る

 

絡繰の体でも霊力を通しながら動いているため、痛みが通ってくる。

 

霊力は、人間の生命力と同じようなものだからだ。

 

牛六は俺に近づきながらこう告げる

 

牛六「どうやら、毒を仕込んでいたようだが残念だな。 我に毒は効かぬ」

 

誤算だった。

 

毒の効かない奴が存在しているのは

 

「ならばっ!! 絡繰【忍】!!」

 

前の「豪鬼」とは違う絡繰を出す。

 

「忍」は絡繰としての軽量化を図り高速での移動を可能とした絡繰である。

 

武器には名前にも相応しく「忍者刀」を持たせている。

 

「忍」が高速で牛六に近づき一突きを入れようとする。

 

忍「・・・!!」

 

牛六は「忍」以上の速さで「忍」に拳を食らわせる。

 

「忍」は視認できない速さの拳を食らい吹き飛ばされる。

 

牛六「ハッハッハッ!!遅いぞ人の子よ!!遅すぎるわい!!」

 

初めて、相対できる相手・・・

 

そう考えた瞬間、吹き飛ばされていた【忍】を回収し、最高傑作の使用に入る。

 

「来い、傀儡「鉄姫」」

 

コイツの使用の為には霊力の糸を20本。

 

つまり、最低でも2人の傀儡師が必要である。

 

しかし、俺には不可能を可能にする力がある。

 

牛六「な、何だお前!!」

 

フシューと音を立てて俺の背中から二つの腕が出てくる。

 

そう。 俺の体には腕が収納されている。

 

俺は第3と第4の腕を出し、傀儡を操る。

 

「行け!!「鉄姫」!!」

 

名前を呼び糸を地面へと通す

 

すると、ガコンッ!!と音を立て牛六の後ろに無慈悲なる傀儡が飛び出す。

 

昔、俺を導いてくれた人物の教えてくれた西洋の装置

 

「アイアンメイデン」がそこに居た。

 

傀儡は霊力で作るため、実体の大きさは決めることができる。

 

故に、この「鉄姫」は完成した。

 

どんな巨体であろうと葬ることのできる「アイアンメイデン」を作り出すことができるため・・・

 

「殺れ!!」

 

この一言で、勝負が決まった。

 

「鉄姫」は牛六を飲み込み、鉄姫の隙間から血が流れ出す。

 

最初は、ガタゴトと動いていた「鉄姫」は次第に動かなくなった。

 

妖怪B「う、うわああああああああああああ!!」

 

またも、妖怪Bは阿求を手放し逃げ出した。

 

しかし

 

ガゴンッ!!

 

その傀儡は妖怪Bの目の前にも姿を現した。

 

___________

 

阿求「うっ・・・ひぐっ・・・怖かったです・・・」

 

「ごめん。ごめんよ・・・」

 

二度も阿求に残酷な光景を見せてしまった俺は罪悪感に囚われていた。

 

しかし、阿求は

 

阿求「どうして・・・どうして、九郎さんは私を助けてくれるんですか!! どうして・・・どうして・・・」

 

俺は紫に言われていた言葉を思い出した

 

紫「彼女は呪われた一族。永遠に記憶を引き継がれ、"忌み嫌われる"存在。私だったら死んでおさらばしたくなるけど、どうせ輪廻転生でまた"記憶を持って蘇る"のでしょうね。」

 

そう。 阿求は自殺を図っていたのかもしれない。

 

妖怪の山に行くのも「幻想郷縁起」のためだと思う。

 

しかし、心の裏腹では、死にたかったのかもしれない。

 

無駄だと分かっていても、輪廻転生してしまうと分かっていても、彼女は死にたかったのかもしれない。

 

そんな中で助けてしまった俺。

 

友人ができようとも恋人ができようとも。

 

"普通の人"であれば寿命が来て、逝ってしまう。

 

しかし、阿求は今後も10代目・11代目と記憶を引き継ぎながら生きていってしまうのだろう。

 

彼女達はある意味、不死の存在なのだ。

 

だから、忌み嫌われる。

 

きっと、人里でも少し薄気味悪く思われていたのでああろう。

 

「阿求、こんな時。どう言って良いのかは分からない。 でも、俺を見てくれればわかっただろ? 俺もある意味、不死の存在だ。 だから、阿求がどんな姿になろうともどんなに変わろうとも俺は、阿礼一族全員を幸せにする。」

 

阿求「えっ・・・?」

 

「阿求がどんなに嫌われようとも、どんなに醜くなろうとも、俺が傍で支えてやる!!幸せにしてやる!! だから泣かないでくれ・・・お願いだ・・・」

 

阿求「幸せに・・・いつまでも・・・永久に・・・?

 

「ああ。」

 

阿求「うぅっ・・・うわあああああああああああん」

 

阿求は泣いた。

 

初めての幸せというものを感じて。

 

そして、阿求は恋というものを実感した。

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