東方操装庫   作:猫仮面

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その者、都の姫なり

「(・・・ファッ!?)」

 

目の前で繰り広げられているのは非殺傷の弾幕ではなく本物の弾幕・・・

 

つまり、霊力で出来た弾ではなく妖術や武器を使用した弾幕である。

 

所謂、殺し合いをしている二人の女性はコチラなど見向きもしない。

 

辺りの竹に5cm程の穴を開ける色鮮やかな弾を放っているのは、黒髪で桜色の上着と竹や花などの刺繍の入ったスカートを穿いた美女。

 

火球を投げつけて地面や辺りの竹を燃やしているのは、銀髪で白い服を着て赤いもんぺを穿いている、こちらも美女。

 

しかし、どちらの美女も顔の形相が凄い。

 

鬼のような形相になっている。

 

すると、銀髪の美女はコチラに気づいたようで

 

?「オイ!!ココに近づくと危険だって看板有っただろうが!!」

 

ん? そんな看板あっただろうか?

 

そいえば、竹林に入る道に倒れた看板があったが・・・それの事かな?

 

銀髪の美女がコチラに気を取られている時、それは起こった。

 

?「隙ありよ!!」

 

?「ッ!!しまっ!!」

 

ドスッ!!

 

辺りに鈍い音が響いた、そして

 

ブシャーーーーー!!

 

銀髪の少女の右胸に開いた風穴から大量の血飛沫が飛び散った。

 

?「ゴフッ!!」

 

銀髪の少女はそのまま地面へ倒れこみピクピクと動いていた指先はついに動かなくなった。

 

そんな様子を見ていた黒髪の少女は

 

「今回は私の勝ちね。 はぁ・・・毎日疲れるわ。」

 

と言葉を残し立ち去ろうとした。

 

しかし、そんな事を俺は許すはずもなく

 

「傀儡【蜘蛛】!!」

 

怒りを露にした俺は【蜘蛛】を出し

 

「拘束せよ!!【蜘蛛】!!」

 

【蜘蛛】を操った

 

【蜘蛛】は殺傷能力は余り無いが、拘束力に関しては一番だ。

 

【蜘蛛】の口から放たれた「鉄製の糸」は黒髪の美女の不意を突き、あっという間に拘束する。

 

?「ちょ、ちょっと!!何するのよ!!離しなさい!!」

 

「寝ぼけたこと言ってんじゃねえぞクソアマがァ!!」

 

いけね。仮にも美女にクソアマとか言っちまった。

 

心の中の俺はいつも冷静だ。

 

ただし、今回に限っては反射的に体が動いてしまっている。

 

何せ、目の前で人を殺された挙句、欠伸をしながら竹の奥へと消えようとしていたからだ。

 

?「何?何なのよ!!あんた妹紅の依頼人か何か、かしら!?」

 

どうやら、銀髪の美女の名前は妹紅と言うらしい。

 

もう、名前を呼ぶことはできないだろうが・・・

 

「ちげぇよ、通りすがりの旅人だ。」

 

輝夜「通りすがりの旅人が、この【蓬来山 輝夜】に何の用よ!!私は家に帰って疲れたから寝たいのだけれど」

 

「テメェ・・・人殺しといて何寝言言ってんだ?」

 

輝夜「人?可笑しな事を言う人ね。」

 

そう言いながら、輝夜はクスクスと笑う。

 

「ハァ?テメェの方が可笑しいだろうが?」

 

輝夜「どうやら、貴方は妹紅が何者なのか知らないようね。」

 

「テメェ・・・何言って「うっ・・・」 」

 

突然、後ろから呻き声が聞こえた。

 

当然、この竹林に、こんな夜中に出歩いている村人など居る訳がない。

 

必然的に、この声の主は

 

「も・・・妹紅・・・?」

 

死んでいたはずの銀髪の美女、【妹紅】という名の女性からの声だ。

 

輝夜「その子はね、私が帝様にあげた「蓬莱の薬」を飲んで不老不死になった哀れな子なのよ」

 

「不老不死・・・?」

 

都でそんな話を耳にした事がある。

 

【富士の山にかぐや姫から授かった「蓬莱の薬」を燃やしに行った岩笠が殺され、「蓬莱の薬」を何者かに強奪された】と

 

まさか、彼女が岩笠を殺害し「蓬莱の薬」を盗んだ本人だと言うのか?

 

というか、【蓬来山 輝夜】ってまさか・・・

 

「お前・・・都に居た「かぐや姫」か?」

 

輝夜「あら?都って事は貴方は妖怪なのかしら?」

 

そう。目の前で【蜘蛛】によって拘束されている人物。

 

彼女こそ、都で名を轟かせた絶世の美女「かぐや姫」本人なのだ。

 

「す、すまないことをしたな。」

 

俺は慌てて輝夜への拘束を解く。

 

輝夜「ハァ・・・今日はついてないわね。散歩に行けば妹紅に会うし、突然見知らぬ人から拘束されるし」

 

「申し訳ない。」

 

俺はご自慢の綺麗な土下座を決める。

 

輝夜「まぁ、ちょっとした暇つぶしにはなったわ。ところで、"都"って単語が出てくるのだから、当然、貴方は妖怪か何かなのよね?」

 

「紹介が遅れて申し訳ない。 俺の名前は【矢木野 九郎】。 かぐや姫が都にいらっしゃった際に人形劇をお披露目させて頂いた者です。」

 

そう言って、俺は都での人形劇の人形を取り出す。

 

名前は絡繰人形の【武蔵】と絡繰人形の【舞姫】だ

 

輝夜「あの時の人形師さんね!!思い出したわ!!貴方の人形劇は素晴らしかったわ。」

 

「お褒めに預かり、恐縮です。」

 

俺は数分前まで拘束していた人物にお辞儀する。

 

「そ、そいえば!!妹紅は!?妹紅は大丈夫ってことですか!?」

 

輝夜「ええ、勿論。何せ、殺し合いも今日が初めてじゃないわ。今の所、420勝390敗120分けぐらいかしらね?」

 

どんだけやってんだ・・・・・

 

どうやら、俺が手を出す場では無かったようだ。

 

輝夜「そこで寝かしておくのも何だし、向こうに妹紅の家があるみたいだから運んであげれば?」

 

「そうだな・・・俺のせいで負けたみたいだし連れて行くよ。」

 

そう言って妹紅に近づき、そのままお姫様抱っこする。

 

先程まで開いていた風穴は既に閉じかかっている

 

故に

 

「(やべぇ・・・見ちまった。)」

 

彼女の右胸の服は破れている為、丸見えになっていたのだ。

 

輝夜「九郎のエッチィ~」

 

「おんぶして連れてくよ」

 

俺は妹紅の運ぶ体勢をおんぶへと変える。

 

輝夜「この先に【永遠亭】っていう私の家があるわ。暇な時にでもいいから遊びに来て頂戴。また人形劇もみたいしね。」

 

「憶えておきますよ」

 

そう言って俺は輝夜の言っていた妹紅の家の方向へと歩き出す。

 

その後ろで、輝夜は

 

「(・・・妹紅の黒歴史が増えたわね。)」

 

と、黒い笑みを浮かべるのであった

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