Infinite Stratos~蒼騎士の軌跡~ 作:ミリオンゴッド
約束
「……オラ……情けねぇ……顔すんな……」
身体が少しずつ冷えていく。
「これから先……お前は……色々あんだろう……」
視界が霞み、色が消えていく。
「……俺は立ち止まっちまった……」
意識が遠退いて行く。
「だがお前は……お前らは……まっすぐ前を向いて歩いていけ……」
治癒術のおかげか、痛みは無い。
「……ただひたすらに……ひたむきに……前へ……」
身体が動く感覚は、最早感じられない。
「へへ……そうすりゃ………きっと…………」
力が抜けていくが、不思議と恐怖は無い。
「────────────────」
――終わったよ、じいさん。
こうして俺の、クロウ・アームブラストの
――はずだった。
さっきまでと違い感覚もある。身体の浮遊感も感じられない。もちろん痛みも無く、ついさっき心臓を貫かれたのがウソみたいだ。
「……どうなってんだ、こりゃ」
目を開けるとそこは先程まで居た城とは似ても似つかない見慣れない廃墟で、薄暗いが僅かに開いた隙間から覗く日光が現在日中であることを連想させる。
自身の状態については何ともいえないが、見たところ正常で外傷も消えており特に動きにも問題は感じられない。服も損傷が元に戻っている。
ダブルセイバーは失っているが、懐の二丁拳銃は無事でアークスもある。しかし、アークスについては機能停止しているようでアーツも通信も不可能みたいだ。
試しに付近の空き瓶に向け発砲すると、弾丸は普段通り射出され、空き瓶は粉々に砕け散った。
「コイツは問題ねぇみたいだな……さて、どうしたもんかね」
俺は現在置かれた状況を理解できずにいた。場所も、時刻も、状況も、すべてが一瞬前とは異なっている。
あの後アイツ等に運ばれて治療されたならこんな廃墟に放置されるとは考えにくい。そもそも自分で言うのも何だがあれは確実に致命傷だ。あの場で僅かな延命は出来ても助かるはずがない。
それに服が同じで損傷が無いのも妙だ。わざわざ全く同じものを着せる理由がない。ダブルセイバーこそないが、拳銃など武装解除されていないのもおかしい。
「まさかあの世……なワケねぇよな」
俺が死んだって言うならこの状況もわかるが、それにしてはずいぶん殺風景な場所だ。こんな場所で死んだ後まで生活したいとはとてもじゃないが思えない。
考え込んでいると、僅かだが殺気を感じた。耳を澄ますと、近づいてくる足音が聞こえる。
「……誰か来やがったか。さっき一発撃ったのが拙かったかねぇ」
だがこれは考えようによってはチャンスだ。近づいてくる足音は二つ。鍛えられているようだが手練れというわけでも無さそうだ。拘束して情報を得られれば状況が進展するかもしれない。
「さて、いっちょやるか!!」
薄暗い部屋の中、足音が近づいてくる唯一の扉に集中し、身構える。
――今度こそ、交わした約束を果たすために。
初投稿です。
プロローグなので短いです。
最近閃の軌跡シリーズを一気にプレイして書きたくなりました。
衝動的に書き始めたので拙い文章ですが、感想やご指摘などあればお願いします。