Infinite Stratos~蒼騎士の軌跡~   作:ミリオンゴッド

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青春

「てなワケで、よろしく頼むわ♪」

 

 教室に入り、とりあえずの挨拶をして教室を見渡す。女子達は全員固まってしまっており、一夏のヤツは唖然とした表情で俺の顔を見ている。そして次の瞬間――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「キャアアアア!!!!!!」」」」」

 

女子達は一斉に歓声を上げ、口々に騒ぎ立てる。

 

「まさかの二人目!?」

 

「織斑君は正統派イケメンって感じだけど、こっちはチョイ悪不良系!!」

 

「大人っぽい見た目だけど、まさか年上!?」

 

「お兄ちゃんって感じするよね!!」

 

「彼女とかいるのかな!?」

 

「一夏×クロウなのかクロウ×一夏なのか、それだけが問題ね!!」

 

(おーおー、黄色い歓声ってのはイイモンだねぇ……若干不審なワードも聞こえた気がすっけど)

 

「静まれ馬鹿共が!!アームブラストは諸君らとは違い本来なら高校に通う年齢ではない。だが何故かISを動かせてしまったからな、特例で学園に入学させた。中には抵抗がある者もいるかもしれんが同じクラスのよしみだ、仲良くしてやれ」

 

「あ、敬語とかはナシでいこうや。堅苦しいのは苦手だからよ」

 

「「「「「はーい!!!!!!」」」」」

 

「アームブラスト、お前の席は一番後ろの空席だ。時間も押しているからさっさと座れ」

 

「了解だぜ、千冬ちゃん♪」

 

 刹那、出席簿が俺の頭上へと接近する。ギリギリで躱し千冬の顔を見ると般若のような形相でこちらを見ている。

 

「織斑先生だ!!ここではその呼び方はやめろ!!というか避けるな!!!!」

 

「危ねぇじゃねーか!!フツー避けんだろそんな危ないの!!!!」

 

「チッ……もういい、さっさと席に座れ。これ以上は疲れるだけだ」

 

「へいへーい」

 

 再度千冬に促され自席に座る。周囲を見ると、ほぼ全員の視線がこちらに集中しざわついている。

 

「アームブラスト君と織斑先生ってもしかして知り合い!?」

 

「どんな関係なんだろ。気になる~」

 

「織斑君も千冬様の弟みたいだし…千冬様関係者、多すぎ……?」

 

 ガンッと大きな音が教室に鳴り響く。見れば千冬が教卓を殴りつけており、そのまま一睨みすると女子達は騒ぐのをやめ、その後は淡々と自己紹介が進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

***

 

 自己紹介タイムが終わり、休憩時間。休憩になった瞬間、一夏が俺の席へとやってきた。

 

「クロウ!!なんでこんなところにいるんだ!!家で寝てたハズだろ!?」

 

「いや~、実は俺もIS使えるみたいなんだわ」

 

「聞いてないぞそんな話!!大体、昨日の夜も俺が行きたくないって愚痴ったら羨ましいとか何とか言ってたじゃないか!!」

 

「ああ、羨ましすぎて俺も入学しちまった♪ま、細かいことは言いっこなしにしようぜ。お前だって、この美少女たちの海の中で男一人よりは気が楽だろ?」

 

「それはそうだけど!!そうならそうと「ちょっといいか?」……箒?」

 

 凛とした容姿の美少女が話しかけてくる。どうやら一夏の知り合いのようだ。

 

「……一夏に話があるのですが、借りても宜しいでしょうか?」

 

「あ、成程ねぇ……いくらでも持っていきな。何なら返さなくてもいいぜ?」

 

「おいクロウ、話はまだ「まーまーいいじゃねーか。知り合いなんだろ?こんな美人のお誘い無視するなんて、男の風上にも置けねぇぞ」……そうだな。箒、屋上でいいか?」

 

「あ、ああ構わない。さっさと行くぞ」

 

「じゃあクロウ、ちょっと行ってくる。後でまた話は聞かせてもらうからな」

 

「あーはいはい、帰って来なくていいぜ」

 

 二人が立ち去る直前、少女の耳元で一夏に聞こえないボリュームで囁く。

 

「(……上手くやれよ?)」

 

「なっ……!?」

 

 少女の顔が真っ赤に染まる。どうやらビンゴみたいだ、コイツ一夏に惚れていやがる。

 

「どうした、箒?」

 

「な、なんでもない!!」

 

「あっ、待てよ!!」

 

 焦って去っていく彼女を、慌てて一夏が追いかけていく。あの少女……確か、箒だったか?ああいう弄りがいのありそうなヤツはいいね。

 

「いやぁ青春だねぇ。スレたお兄さんには眩しいぜ」

 

「くろくろは青春してないのー?」

 

 後ろの方から声が聞こえ、振り返るとなんだかのほほんとした雰囲気の少女が俺に話しかけてきている。制服がダボダボだが、そういう仕様なんだろうか?

 

「ああ、ちょいとあんな甘酸っぱい青春ムードには歳がついていかなくてよ」

 

「おじさんなんだー?」

 

「おじさんはやめてくれや……そこはホラ、経験豊富なおにーさんってことで、な♪」

 

「あーくろくろー、おかし食べるー?」

 

「聞いてねぇし!?……まあ貰うけどよ」

 

 少女は気付くと俺の机に大量の菓子を積み上げていた。その中から美味そうなチョコを一つ摘み、口の中に放り込む。

 

(……おっ美味いな。しかしコイツは何処にそんな菓子なんか持ち歩いてんだ?)

 

 そんな疑問を浮かべつつも少女と一緒に菓子を食べていると、休み時間の終了を告げるチャイムが鳴り、生徒たちもそれぞれ自分の席に戻っていく。

 

「あー、時間だー。くろくろー、またおかし食べながらお話ししようねー」

 

「ああ、いいぜ」

 

 少女は菓子を回収し自席へ戻っていく。やっぱりどこにしまっているのかわからない。

 

 一夏と箒もチャイムを聞いて駆け込んできたようだ。千冬が怖いのか相当焦った様子で、二人とも額に汗を浮かべている。

 

(ま、さっきはああ言ったが……二度目の青春、せいぜい謳歌させてもらいますか)

 

 そんなことを考えながら、教師がやってくるのを待っていた。

 

 他とは明らかに違う、敵意を孕んだ視線を俺に送る一人の少女に気を配りながら――


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