ツバメ   作:シロヴィ

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ついに10話になりました

イベントはただいまE3を攻略中です。決戦瑞鶴マジイケメン


10話

――鎮守府管轄内 第三飛行場

 

 「それでは行きますよ。」

 整備員妖精がプロペラを回し、エンジンがかかった。

 

 乗り込んだ機体は前世では乗ったことのない物だったが、操縦桿やメーターは記憶にある物と大差がなかった。これならある程度動かせるだろう。

 「初飛行がんばれー!落ち着いてー!」

 なにやら彼が私に応援をしてくれている。初飛行という訳ではないので、いささか微妙な気分になったがとりあえず手を振っておく。

 

 一つ深呼吸して、ブレーキを外す。スロットル・レバーを倒すと、エンジンの響かせる爆音が一段と大きく鳴り始めた。

 機体が進み始める。ビリビリと振動が伝わってくる操縦桿を握る手袋に、汗がにじんでいるのが分かった。目に映る周囲の物の速度がどんどん上がってゆく。

 

 そして、突然ふわりとした感覚を覚えた。離陸だ。私はすかさず操縦桿を引き、上昇を開始した。

 

 ああ、この感覚だ。前世と変わらない。私は、ピュウピュウと吹き付ける風を心地よく思いながら機を操っていた。複葉機には昔訓練していた頃に少し乗っただけだったが、まるで慣れ親しんだ機体であるかのように動かせている。これが”反転妖精”の恩恵であろうか?

 

 そうして、機体はいつの間にか目標の高度1,000mへたどり着いた。上昇をやめ、ぐいっと旋回する。

 

 『ザッ‥こちら地上管制。不備はないか?』

 無線機からディードリヒ大尉の声が聞こえた。私は、テストパイロット式に答えた。空軍の正式を知らないのだ。

 「こちら524番、感度良好。機体に異常は認められない。」

 524番というのは、機体に書かれていた番号だ。元々所属していた部隊の番号か何かだろう。

 『そうか、ならいい。燃料はざっと30分ぶん程入っている。弾と爆弾はないがな。まあ、あまり遠くには行くなよ。』

 「了解。」

 

 操縦席から頭を出し、地上を見る。鎮守府が模型のようによく見えた。‥あそこにあるのが妖精宿舎(ドールハウス)だろうか?

 

 飛んでいて気分の良くなった私は、ふと高等飛行術を試してみようかという気になった。テストパイロットとはいえ、機体に負荷をかける術くらいは持っているのである。

 かなり機体を上手く扱えているという事実も手伝って、私はかなり大胆になっていた。要は調子に乗ったのだ。

 

 まずは急横転、操縦桿を思い切り横へ倒し、一度重力がひっくり返った。よし、全く腕は衰えていない。むしろ妖精になった事で上がっているようだ。

 

 ここでふと思った。前の体はあまり強いとは言えず、強いGのかかる機動はできなかった。しかし、頑丈らしいこの体なのでは可能なのではないか、と。

 行ったのは垂直旋回。機を横倒しにし、そのまま操縦桿を引く事で急旋回する機動だ。

 

 「ッ‥!」

 案の定、体に重いGがかかる。だが、私の今の体は「少し苦しい」程度で耐えてしまった。なんと。これは嬉しい。

 

 そこからテンションが高くなった私は、ハンマーヘッドターン、シャンデル、急上昇と急降下(ズームアンドダイブ)等、知っている限りのマニューバを試していた。いくつか怪しい物もあったが、文字通り舞い上がっていた私にはそんなことは関係無かった。

 

 やがて燃料が減り、私は飛行場へ戻った。その後は機を返却し、宿舎へと帰った。

 

 

 しかし、このときの私は浮かれてすっかり忘れてしまっていた。

 これが”適性テスト”であった事に‥




524番というのは何かの伏線‥という訳ではないです
マトリョシカの歌詞の一部です‥
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