13話
――ヴィルヘルムスハーフェン鎮守府
「‥改造案、だと?」
「はい、先日の戦闘結果を鑑みた上での具申です。」
私が具申したのは、スツーカの雷撃機化であった。一晩考えているうちに、前世で聞いた計画を思い出したのだ。確か空母に搭載するために開発されていたが、肝心の空母が建造中止になったため使われなかった、という代物だったはずだ。
少し考えれば思いつきそうといえばそうだが、何故今まで作られていなかったのだろうか。理由の1つは、歪に発展した急降下爆撃の強力さだろう。もう1つは、雷撃機といえば進んでいるイギリスですら複葉のソードフィッシュが主力であるため、被害を受けやすいという風潮があるからだ。
「やはり艦船には、魚雷による攻撃が一番効果的だと考えます。よって――」
中隊長に説明する。前世の記憶を頼りにするのはどうなのだろうとは思ったが、自分のものであるのには変わりないので問題ない、と結論づけていた。
「――以上より、有益であると判断しました。」
どうだろうか?
「‥なるほど、君の意見は理にかなっている。いいだろう。」
中隊長は少し考え込んだ後、そう言った。
案外あっさり通ってしまった事に私は少し驚く。
「い、いいのですか?」
「構わないさ。そもそもここは実験部隊であるし、こういった意見は積極的に取り上げて行くべきだと考えている。・・・しかし、よくこんなすぐに意見を纏められたな。」
しまった、流石に不自然だったか。前日にヤマを張って詰め込んだ知識がたまたま学期試験に出た時のような心境で一気にやってしまった。前日ではなく前世だが。
「は、はっ。恐縮です。」
「うむ。‥ああ、そうだ。改装案は受理するが、君が言い出した事だし君も雷撃隊へ行きたまえ。適性も確かあるにはあったはずだろう?」
そうきたか。私が了解しすると、とたんに周りが騒がしくなった。いつの間にか集まってきていた隊の皆も、この案には乗り気のようだ。
「いいね、面白そうだ!」「あたしも賛成!」「わーい!」
妖精らしい、能天気で明るい反応であった。‥というか、この隊は女性がいたのか。妖精には生物学的な性別は無いようなのだが、精神には男性的、女性的とあるようでその辺りが非常にややこしい。
それはそれとして、事務的な事はほとんど中隊長が決めてくれた。私は第4小隊:雷撃隊の一人と入れ替わる事になった。機体については、1個小隊ぶんのスツーカとフィーゼラーを、ちょうど雷撃隊を増やしたいと考えていたという隣番号の中隊と交換する形となった。
「で、後は、この突飛な改造を請け負ってくれる技師がいるかどうかという事だが‥。」
隊の目が、一人の青髪に注がれた。工廠出身の彼なら何かあてがあるかもしれないという目線である。
「えーっとですね、あ、いや、うーん‥?」
彼は一人で悩んでいた。当然、皆はどうしたんだと尋ねる。
「知ってますよ。でも、少し問題があるんです。」
うp主の都合で来週は休みます