ツバメ   作:シロヴィ

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1話ごとの分量を増やした方がいいような気はする


15話

 ヘルミーナさんが、不意に資料をめくっていた手を止め、私の顔をじっと見る。

 

 「‥設計図もあるじゃない。これ本当にあなたが描いたの?」

 「そうだが。」

 

 正直に答える。彼女は無言で私をしばらく見つめた後、紙面へ目線を戻した。

 

 「随分とまあ細かく描いてあるけど、あなた本当にただのパイロット?‥まあいいわ。要はスツーカに魚雷引っかけられるようにすれば良いのよね?‥というか、なんで私の所には変な依頼ばっかり来るのかしら‥。あー、うん、分かったわ。」

 

 途中で何かボヤキが聞こえたが、どうやら了承してくれたらしい。気分屋と聞いてはいたが、悪い妖精ではなかったようだ。

 

 「ありがとう。機体は後で運び込んでおく。」

 「お礼なんていーわよ別に。丁度この対地攻撃型が終わって暇だったしね。あ、じゃあ君、これを陸軍の所まで持ってってくれる?ハンス大佐って人だったはずよ。」

 「僕ですか‥。」

 

 流れるように青髪に仕事を押しつけるヘルミーナさん。嫌そうにしながらも断れない所を見ると、益々二人の関係が気になる。

 

 「あ、そうだ。お礼はいらないとは言ったけどさ、改造終わったら酒保でビールでも買って持ってきてよ。4機も改造するんだから、その位は貰うわ。」

 

 悪い妖精というより、多少図々しい妖精だったようだ。

 

 

 ――鎮守府近海 数日後

 

 晴れた空の下、3隻の艦娘が飛沫を立てて海面を疾駆する。

 先頭は、軽巡洋艦エムデン。艦隊の中では古参であり装備も旧式だが、長い間に渡って戦闘に貢献し続けた強者である。

 

 「レーダーに感あり!10時の方向、距離11,000!」

 

 彼女の艤装に憑依している乗組員養成より報が入る。

 

 「針路そのまま。全艦、対空警戒態勢に入れ。」

 「Jawohl(了解)!」

 

 その後に続くのは2隻の駆逐艦。Z2:ゲオルグ・ティーレと、Z4:リヒャルト・バイツェンである。

 

 「ねえバイツェン、対空砲は今回禁止なんでしょ?つまんないなぁ。」

 「そうよ、ティーレ。相手は試験機だと聞いているわ。壊しては困るのよ。」

 「う~ん、ま、いっか!避けるのは得意だし。」

 「そうね。でも、これはそもそも回避の演習よ?」

 「あれ、そうだったっけ?」

 

 よく分かっていない様子のティーレに、バイツェンは呆れた顔をした。

 

 「貴様達!陣形が崩れそうになっているぞ。喋っている場合ではない!」

 「「は、はい!」」

 

 ずっと喋っていた2隻に、エムデンの叱責が飛んだ。彼女は今ではほとんど前線に立つことはないが、その経験を活かし練習巡洋艦となって役目を果たしている。

 

 「!!」

 

 そのとき、彼女の鋭い目が機影を捉えた。実験部隊の雷装型スツーカだ。編隊を組んで、左舷より低空で突入する気のようだ。

 

 「ティーレ、バイツェン、遅れるな。両弦一杯ッ!」

 

 彼女は立てる飛沫をより一層激しくし、空を睨んだ。




15話にして初のまともな艦娘シーンである
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