ツバメ   作:シロヴィ

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16話

――数時間前

 

 私達、新第4小隊は完成した機を受け取る為に、ヘルミーナさんのもとへ向かった。

 

 「こっちよ-、こっちー!」

 

 飛行場、ガレージの1つのそばでぴょんぴょんと跳ねながら手を振っている。その隣には、魚雷を腹に抱き、塗装も少し明るいグリーンになった4機のスツーカがいた。

 

 「ふふん、ちゃんと出来上がってるでしょ?じゃあ、ほら。」

 

 少し胸を張った後、そう言って右手を差し出してきた。私がついさっき酒保で買ったばかりのビール(缶)を渡すと、満足そうな笑みを浮かべた。

 

 「さ、みんな揃ったわね。どーにか艦娘と訓練できるタイミングまでに改造したわよ。スツーカD型:雷撃仕様。要求だと爆弾投下用アームをF5航空魚雷に対応のフックに改装するだけだったけど、どうも1回始めちゃうと突き詰めちゃってさー、あはは。エンジンを最新型のユモ211Pに取り替えてみたり、翼内機関砲をMGFFにしたり色々弄っちゃったわ。たぶん性能低下はしてないはずだから、まあ許してね。」

 

 後半は隊の皆のほとんどが頭の上に?マークを浮かべていたが、どうやら予想以上の改造を施されたというのは理解したらしい。

 

 「ちょ、ちょっと待ってくれ。エンジンまで換装したと聞こえたが、その予算はどこから‥?隊から渡した分ではとうてい足りないはずだ。」

 

 私が一番気になった、というか驚いた点を聞いてみる。

 

 「あー、そこは気にしなくていいわよ。私がやりたくてやっただけだし。追加料金の要求なんてしないわよ。」

 

 いや、そういう訳ではなく知りたいのは金の出所なのだが‥。しかし、意図的に隠しているような雰囲気も見受けられたのでここは深く追求しないでおく。

 

 「でも、そのような改造をよくこんな短期間で出来ましたね。」

 

 小隊長がそう言った。確かに、言われてみれば作業量を大幅に増やしてなおかつ納期を遅らせないということはかなりの芸当である。

 

 「まーね。私は好きでやってるから苦にならないのよ。・・・私は、ね。」

 

 声のトーンを落とし、ふいっと横を向く。その先を見ると、疲れ果てた顔の技師妖精達が転がっていた。かなり酷使されたようである。

 

 「まあ、それは、それとして。出来には自信あるし、訓練用の魚雷も積んであるから早速乗ってみたらいいんじゃないかな、うん。」

 

 冷や汗を隠しつつそう言うヘルミーナさん。

 

 「そ、そうですね。」

 

 小隊長もそれに合わせ、死屍累々を強引に見なかったことにした。

 

 

 機を受け取り飛行場に並べに行っている間、小隊の一人からこんな事を言われた。

 

 「気分屋の女技師で、しかも酒好きってところで大体分かってはいたんだが、マジでヘルミーナ技師長に依頼してたなんてな。俺は驚いたぜ。」

 

 「‥何だって?技師長?」

 

 思わず聞き返す。

 

 「え‥まさかマジで知らなかったのかよ!?あの人、鎮守府の空軍工廠における”裏の主任”みたいな人らしいぜ?Ju87本体の設計をしたのも彼女だっていう話もあるから、相当な古株でもあるな。しかも、軍の工廠だけじゃなく、いろんな所にコネがあると聞くぜ‥。なんで依頼できたんだか。」

 

 それは本当かと私が皆の顔を見ると、皆して肯定の意を見せた。冗談ではないらしい。

 

 「たぶん、気にしてたエンジンの案件も、そのコネでどこかから引っ張り出してきあんだと思うっスよ。」

 

 「‥大丈夫なのか、それ?」

 

 しかし、あそこで私の渡したビールを美味しそうに飲んでいるのがそんな大変な人物だったとは、妖精は本当に見た目によらないものである。‥というか、なに昼間から飲んでるんだ。それでいいのか技師長。




ブラック上司ヘルミーナ技師長
上司が超ノリノリでオーバーワークしてるので部下もやめるにやめられない
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