ツバメ   作:シロヴィ

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けっこう時間空いたので、話忘れてる人も多いでしょう。ええ、筆者も忘れていましたとも。


幕間 反撃の狼煙(後編)

 ――20XY年 ライン川

 

 「諸君、これより”ラインの娘(ライントホター)”作戦を開始する。全艦、抜錨!」

 そう叫び、軽巡洋艦エムデンは発進した。後に、駆逐艦Z1(レーベレヒト・マース)とZ3(マックス・シュルツ)が続く。

 

 「‥この作戦、確かに計算上は問題ないのかも知れないけれど、とても正気の沙汰とは言えないわね。」

 「上官を愚弄するような発言は慎め、シュルツ!」

 

 Z3がため息とともにポツリと零した声をエムデンはすかさず拾う。

 

 「正直言っちゃうと、ボクもあんまり乗り気じゃないかな‥。」

 「お前もか、マース!貴様達は司令官の事を信用していないのか!?」

 「もちろん信用してるよ!‥でも、さすがにこれはそういう気分になっちゃうかな。」

 

 狂気の沙汰とまで言われてしまったこの作戦。その内容とは、艦娘3隻によりライン川を遡上、その艦砲にて渡河攻撃の支援を行うというものであった。

 

 ガリガリガリ。

 

 「エムデンさん、こすってる、こすってる!」

 

 艦娘は概念的には艦である。詳しい事はよく解っていないのだが、艦娘として稼働している間は実際にそこに艦があるようにはたらくのだ。

 よって、このように外洋航行用の艦に川を航行させる様な無茶をさせると、底を擦ってしまうこともあるのである。

 

 ドン!ガキン!

 

 当たり前だが、片側は敵である。対戦車砲が打ち抜いてくる事もあったが、幸い相手にとっても予想外の事態であり混乱していたのか、組織的な反撃は受けないまま予定の砲撃地点に辿り着くことができた。

 

 「‥そろそろか。」

 

 手にした時計を見ながらエムデンはそう言った。それを合図に、Z1が無線を開く。

 

 「こちら艦隊。遡上は予定通り成功、現在射撃準備を行いつつあり。だよ。」

 

 

 『こちら陸軍司令部、了解。渡河攻撃の準備に支障なし。射撃は任意のタイミングにて開始されたし。観測はこちらで行う。』

 

 Z1はその内容を皆へ伝える。

 

 「好きなタイミングで撃っていいって。観測もあっちがやってくれるみたい。」

 「‥了解した。艦隊、砲撃用ー意ッ!」

 

 エムデンが右手を前につき出すと、艤装上の主砲がそれに呼応して回転し、ピタリと一点を指して止まった。駆逐艦2隻もそれにならい、手に持った主砲を構える。

 

 「射撃開始ッ!!」

 

 ドン!ドドン!ドドン!

 

 3隻の主砲が一斉に火を噴いた。支援に必要だとされた火力は100ミリ以上の榴弾砲による集中射撃。そう聞いてアルフレート准将はこれを思い至ったのだ。

 

 

 「Feuer(撃て)Feuer(撃て)!!装填急げ!」

 

 8門の128㎜砲と、6門の152㎜砲による一斉射。これらの撃ち込む榴弾は、たちどころに敵陣を耕し、トーチカを粉砕していった。

 

 『よし、渡河を開始する。射撃停止せよ』

 

 砲撃で滅茶苦茶にされた敵陣地へ、海兵隊の妖精たちが渡っていく。その後ろには、人間も多く含まれる工兵隊が後続を送り込むべく架橋作業を開始していた。

 

 

 「‥状況終了。艦隊はこれより帰投する。」

 「どうしようかしら。この状態だと、私達はバックで帰るしかないのよね。」

 「あっ。」

 

 

 

 こうして、 ”ラインの娘(ライントホター)”作戦は成功に終わった。

 

 これにより、ドイツは低地諸国進撃のための橋頭堡を確保。そこから進撃を開始し、オランダの解放、およびドーバー海峡、つまりはイギリスとの打通を果たす。

 

 後に”ライン攻勢”と呼ばれる事になるこの作戦こそ、欧州解放の楔であったのだ。

 

 




 この回の発想の源は劇場版ストパンだったりする。


 番外の過去編、これにて完結です。といっても短い話でしたし、また別の観点から過去編をもう一作出す予定ではありますが。

 次回の本編では、少し話が大きく動き始めます。ご期待くださいね!
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