ツバメ   作:シロヴィ

20 / 30
ついにイベントが始動します。
‥話が盛り上がるのに反比例して主人公の出番減っちゃうんですけど。


4.決戦!オーロラを越えて ~E-1 ドーバー海峡迎撃戦~
18話


 

 ――ドーバー海峡 数週間後 深夜

 

 ―ココガ、奴ラノ‥。

 

 静かに凪ぐ夜の海の上に、ソレはいた。

 巨大な砲のような、しかし生物のようにも見えるモノを体から生やしたソレは、その赤く爛々と光る目で何処かを見つめている。

 

 おもむろに、ソレはほぼ何も纏っていないその体の腹部をさすった。その部分は、その他のように白い肌ではなく、燃えたぎる石炭のようなモノが脈動していた。

 

 ナンダ‥?

 

 ふいに明るく照らされ、砲撃を受ける。胡乱な目でそちらを向くと、ユニオンジャックを掲げた巡洋艦が先頭に立ち、駆逐艦数隻を率いこちらに向かって砲を向けていた。

 

 舐メラレタモノダナァ‥。

 

 ソレは、憂鬱そうにため息を一つつくと、その赤い目をギョロリと艦隊に向けた。

 

 ドドォン!ドドォン!ドドォン!ドドォン!!

 

 ソレから生えた、15インチはあろうかという巨砲から、有り得ない速度で砲弾が飛ぶ。

 直撃を受けた艦は簡単に吹き飛び、瞬く間に艦隊はその機能を失う。

 

 再び静けさを取り戻した海を見て、ソレはもう一度、深いため息をついた。

 

 憎ラシイ‥嗚呼‥

 消エテ無クナレッ!!

 

 「ア”ア”ア”ア”ア”ッ!!!」

 

 ドォン!ドォン!ドォン!

 

 狂ったようなソレの叫び声とともに、砲は火を吹き続ける‥。

 

 

 ――翌日 イギリス ポーツマス鎮守府

 

 「何ですって!?」

 

 提督、ジェーンは朝一番にもたらされた報告にモーニング・ティーを飲む事さえ忘れて、港へ走っていた。

 

 「本当ですわよね!?ウェールズ。」

 「ああ、本当さ。実際に被害を受けた艦がドックに入って緊急修理するんだって。」

 

 しかしやはり信じがたい報告であったため、走りながらも隣を行く秘書艦、巡洋戦艦プリンス・オブ・ウェールズへ確認する。

 

 「‥大変な事になりましたわ。」

 

 彼女が深刻な顔をするのも無理はない。報告は以下の通りであった。

 

 ・昨日二三〇〇、レーダーに反応があったため、索敵撃破のためドーバー駐留中の警戒艦隊が出撃。

 ・二三三〇、轟沈は無し、なれど各艦甚大なる被害を受け撤退。修復のためポーツマス鎮守府へ帰投す。

 ・以上の損害は、通常種の深海棲艦によっては不可能と判断。之を以て新たなる”姫”級の来襲と判断す。

 

 というものであった。

 更に聞くところによれば、ノーフォークやケント、イーストサセックスの一部に沿岸砲撃を受け、対岸のオランダには強襲揚陸を受けているらしい。

 

 彼女達がド港へ駆けつけると、そこには傷だらけになった艦娘、軽巡洋艦リアンダーとその指揮下の駆逐艦娘達がいた。

 

 「貴女達っ!」

 

 その姿に感極まり、ジェーンは叫んだ。

 

 「あ、提督‥。すみません、心配かけて。」

 「貴女が謝る必要はありませんわ‥。無事に帰って来れたんですもの‥。」

 

 今にも泣きそうな表情でリアンダーに抱きつく。が、工廠の妖精に言われ、艦娘達は修復ドックへと向かった。

 

 港には、提督と、その秘書艦が残された。ウェールズは問う。

 

 「で、これからどうするつもりだい?提督。」

 

 ジェーンは、泣きそうな顔から一転、不敵な笑みを浮かべこう告げた。

 

 「決まっていますわ‥。私達に仇為す物は、決して許してはおきません。」

 




一大決戦の予感‥!
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