ツバメ   作:シロヴィ

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この章長かったな‥。でももう終わりですけど


26話

 ――パリジスカヤ・コミューナ

 

 「各砲塔、タイミングをずらして撃ち続けろ!副砲も全力投射を維持!メクラ射撃でいい。レーダー最大出力で照射を継続、煙幕はそのまま霧の中へ突っ込むぞ。

 

 ‥何としても、こちらが1隻だと悟らせるなッ!!」

 

 パリジスカヤ・コミューナは艦隊から離れ、煙幕の中で全力で射撃を行っていた。

 

 ガコォン!

 

 「ぐッ!?」

 

 英、独の航空攻撃が終わったのだろう。敵の砲弾が飛来する。中央部に命中し辛うじて弾いたものの、かなり霊力障壁が軋んだ。

 

 (頼んだぞ‥エミール!)

 

 

 ――深海棲艦 上陸部隊護衛艦隊

 

 ‥妙ダ。

 

 先頭を航行する重巡リ級は、言い様のない違和感を覚えていた。

先ほどから絶え間なく飛んでくる砲弾の雨霰。既に数発の至近または挟叉が出ているが、逆に言えばそれだけ。レーダーもおそらく数隻から照射されているし、普通このような状況下では霧があるにしてももう少し被害が出てもおかしくない。

 

 ・・・。

 

 リ級は考える。こちらは軽巡が2隻とも中破、重巡1が轟沈、さらに艦載機は全滅という大損害を被った。しかし、こちらにはまだ自分を含めた無傷の重巡2がいる。

 どうやら敵は水雷戦隊に旧型戦艦を加えたもののようであるから、戦艦を雷撃などで黙らせる事ができれば勝ち目はあるはずだ。

 

 ソウダ。

 

 違和感の正体にリ級は気づいた。いつもなら、艦娘達は霧を活かし練度がものを言う遭遇戦に持ち込んで来るはずなのだ。

 しかしそれをして来ない事は、もしや練度が低いのか?ならばもう1つの不可解な点、命中精度の低さにも納得がいく。

 

 コノ戦イ‥勝テル!

 

 そう結論づけると、リ級は今まで隠密性を重視しパッシブでしか動かしていなかったレーダーを、こちらから攻撃に出るためアクティブに切り替える。

 

 何ダトッ!?

 

 リ級は愕然とした。砲撃が飛んできている方向に見えたのは、大きな艦影が1つのみ。先ほどからの弾幕はその1隻からのものでしかなかったのだ!

 

 マサカ!

 

 レーダーを急いで360度照射。そして、それに写ったのは左後方すぐ近く(・・・・・・・)の5隻の小さな艦影であった。

 

 

 「全魚雷発射管、Feu(撃て)――ッッ!!」

 

 

 

 

 バカ‥ナ‥

 

 仲間達が、ついさっきまで横を航行していた僚艦が沈んでいく。自身も機関部に命中し、速力が出ない。

 

 回り込まれていたのだ。――いつから?それは分からない。分かったところでどうなる?

 

 本能のままにヨタヨタと進む目の前、霧の中に大きな影が見えた。戦艦だ。

 

 ア‥アア‥

 

 そのリ級は、無意識に膝をついていた。彼女はゆっくりと目の前に立ち、砲を向ける。

 

 「До свидания(さようなら)。」

 

 

 ――露仏合同艦隊

 

 「あぁ痛たたた‥やはり老体には堪えたな。」

 「あれだけ長い間撃ち続けたらそうもなるわよ。オーバーホール前で良かったわね。」

 

 腰に手を当てうめくコミューナを白い目で見るエミール。彼女が更に悪ノリし、駆逐艦達に単独でどのくらい頑張ったかを多少誇張し話し始めたのを尻目に司令部に連絡する。

 

 「こちらエミール・ベルタン。敵艦隊の迎撃を完了しました。被害は、パリジスカヤ・コミューナの多少の被弾のみです。」

 

 腰を駆逐艦達につつかれ悶絶するその戦艦をちらりと見た後そう報告した。

 

 『それは素晴らしい、有難う。此方にはドイツからの敵上陸部隊の掃討が完了した事と、イギリスからの主力艦隊があと8時間以内に帰投する見込みであるとの報告が入っている。

 君たちは鎮守府へ帰投し、補給、整備に入ってくれ。』

 

 「了解しました。」

 

 駆逐艦達にもうその位にして帰投するように指示を出そうとすると、無線がさらに続いた。

 

 『あぁ忘れてた。ロシアからだが、そこの戦艦にダンケルクへ回航し、そこからはドイツのエスコートでキール運河を超えるように伝えてくれ。それとエミール、今夜勝利を祝って一つ、どうだい?』

 

 エミールはため息をついた。命令と同列にしてこういった事を言ってくる、提督のお決まりの手口である。

 

 「・・・了解。」

 




この後エミールとフランソワ提督が何をしたかは読者諸兄のご想像にお任せします。(江戸川乱歩風)
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