ルーントルーパーズ・翠星のマリースア   作:エウロパ

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みなさま、本日はいかがお過ごしですか?
お正月という事で初詣はもうすんだでしょうか?
本日は寒の入りという事で寒いですが風邪を引かないように今年一年も元気でいきましょう!
 
もしかしたら過去の私みたいに1月1日にノロウイルスにかかって苦痛を味わってしまった人もいるかもしれませんが……今年も元気に頑張っていきましょう!
 
それでは中篇をどうぞ!
 


翠星のマリースア【中】アルゲンタビスの夜明け

     

レド「ようやく静かになったな……」

 

レドは若干疲れるように全天球モニターに目を向けながらそう言った。

全天球モニターには外の様子が映し出されているが恒星の光はすっかりと沈みきり夜になっていたがその夜も遅くなり周囲にはもう見張りの人間もかなり少なくなっていた。

 

レド「これぐらいの人数ならば何とかなるだろう……チョインバー行くぞ」

 

チェインバー『了解。少尉の身に危険が及ぶと判断した場合には当機は速やかに援護に入る』

 

レド「ああ……だが、よっぽどでない限りは呼ぶまで来るな」

 

プシューという空気が抜けるような音を立ててチェインバーの頭の部分に設置されているコックピットのハッチがゆっくりと開いた。

レドはコミュニケーターを台座から手に取りパイロットスーツの首元に装着しレドを乗せたシートがアームによって機外の方向に伸びレドを安全に外に出した。

接合部がはずれレドが石で作られた床に下り立つ。

 

レド「重力はきっかり1Gか……空気はどうだ?」

 

チェインバー『主成分は窒素、酸素、二酸化炭素、生存に理想的な比率。また、微細成分もあるが有害物質は検出されず』

 

レド「呼吸可能な空気なら吸っておこう。手持ちの空気は温存したいからな……」

 

レドはそう言うと頭のバイザーを上げると深呼吸をした。

 

レド「不思議な匂いだな……」

 

深呼吸をした簡単な感想を述べるとレドは周囲を見渡した。

 

レド「チェインバー……それにしても先ほどからずっと思っていたんだが、ここの文明は未発達過ぎないか?」

 

チェインバー『同意する。確認できる範囲だがこの惑星の文明は非常に原始的である。しかし、現地住民に見つからないように留意されたし』

 

レド「ああ、分かってる……さて、まずはどうするかだが…………っ!?」

 

レドがチェインバーに答えているとレドはふと城の方を見て咄嗟にチェインバーの影に隠れた。

警戒するレドの視線の先には何らかの施設の入り口らしき場所が見える。

そして、その入り口らしき場所から漏れている施設の灯りに二つの影が現れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜遅く、城の庭園に出てくる二人の少女の姿があった。

 

一人は背が高い草色の髪色をした女性でもう一人は褐色肌の少女。

ハミエーアとカルダだ。

二人はなにやら話している様子で、城から出てくると二人はそのまま壊れた庭園の真ん中に横たわるゴーレムモドキを見ながらゆっくりと近づいていた。

 

カルダ「陛下、明日でもよろしかったのではないですか?この様な夜分遅くに無理をされてはお体に触ります」

 

ハミエーア「昼間は忙しいからのう。それに夜ならば誰かに聞かれることもあるまい」

 

カルダ「わかりました……それで、私に何の用でしょうか?」

 

ハミエーア「他でもない。フィルブルグ継承帝国の事だ」

 

デメテル大陸にあるマリースアは海を挟んだ向こう側にあるルールイエ大陸に近いため敵の侵攻ルートになる重要な地域だ。

〝フィルブルグ継承帝国〟2ヶ月前に神聖プロミニア帝国と呼ばれる大国を滅ぼした国だ。

ルールイエ大陸を僅か五年で支配し次はこのデメテル大陸を狙っているマリースアの敵対国家である。

継承とつくのは自らがこの世界の継承者である事を強調する為のものだ。

そんな国がつい先日、到底受け入れられない条件を突きつけこの国に宣戦布告をしてきていた。

 

ハミエーア「フィルブルグ帝国の最後通牒にはこの国の収入の大半を帝国へ献上……妾や国の重鎮の家族を帝都アガルタに住まわせる事……そして戦時における兵力供与の義務まで要求されておる……」

 

カルダ「そ、そのようなふざけた要求を呑む必要はございません!」

 

カルダが荒い声を上げる。

 

ハミエーア「……妾もこの様な要求を呑むつもりはない……しかし、このままではこの国は滅ぶ……」

 

カルダ「……」

 

ハミエーア「何か策はないものかと思ってな……」

 

ハミエーアがため息をつく。

すると、その時だった。

 

カルダ「……っ」

 

カルダがゴーレムの方を睨みつけた。

 

ハミエーア「どうした?カルダよ」

 

カルダ「……誰かいます」

 

ハミエーア「何?」

 

カルダ「陛下、お下がり下さい」

 

ハミエーア「う、うむ」

 

カルダが目を吊り上げ腰の剣に手を伸ばす。

しかし、その時だった。

ハミエーアがカルダの警告で下がろうとしたその瞬間。

 

ハミエーア「うわっ!?」

 

突き飛ばされる衝撃の後、気がつくとハミエーアは自身が何者かに羽交い絞めにされていた。

ハミエーアが後ろを見ると自身を羽交い絞めしていたのは銀髪の紫色の瞳の少年だった

 

カルダ「陛下!?」

 

カルダが声を上げる。

ここまで僅か数秒間だ。

 

カルダ「貴様!陛下に何をする!?」

 

カルダはすかさず腰の剣を引き抜き襲い掛かろうとする。

だがカルダは動けなくなった。

目の前には身体をピッタリと包むような黒い奇妙な服を着た銀髪で異常に肌の白い15か16歳くらいの少年がその手に奇妙な形状をした謎の道具を持ちその道具をカルダに向けていたからだ。

 

???「エンフィネイエフェッファウ!(武器を捨てろ!)」

 

カルダは謎の少年が言った事を理解する事ができずに唖然とした。

聴いたことのない言語だった。

 

カルダ「な、何を言っている!?」

 

ハミエーア「貴様何者じゃ!?まさか……帝国の手の者か!?」

 

ハミエーアも抵抗をするが腕をガッチリと押さえつけられている為、身動きが取れない。

完全に人質だ。

 

カルダ「くっおのれ!陛下を人質に取るとは!」

 

???「エンイガウバチス!(おとなしくしろ!)」

 

カルダ「くっそおおおお!」

 

カルダはそう言うと剣を振り上げると少年からハミエーアを救い出す為に少年に向かっていく。

 

???「っ!」

 

少年はカルダの足元にめがけて手に持っていた謎の道具の引き金を引いた。

するとその道具の先端から青白い光線が放たれカルダの足元の地面をうねる様になぞり地面を溶かした。

カルダは突然の事に足を止めると攻撃を避けるために後方へとジャンプをし少年から距離をとった。

 

ハミエーア「うわあっ!?」

 

カルダが距離をとったその直後、謎の少年はハミエーアの体を空中に放り上げ肩に担ぐ。

そして、少年は人を担いでいるとは思えないような身軽な速度で走り出しハミエーアとカルダが出てきた城の出入り口の方に向かった。

 

カルダ「しまった!?待って!!」

 

カルダは走り出した少年を追いかける。

 

ハミエーア「目的は何じゃ!?妾か!?」

 

ハミエーアは少年に向かって声を張り上げる。

一方のカルダは城の中を少年を追いかけながら大きな声を出した。

 

カルダ「陛下がさらわれた!急いで陛下をお救いしろ!寝ている者はたたき起こせ!」

 

この声によって城の各所にいた衛兵達が動き始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やけに肌が褐色の少女を抱えたままレドは通路を走っていた。

レドにはこの建物が何の施設かは分からなかったが先ほどの草色の髪色の女が声を上げてから施設内が騒がしくなってきていた。

どうやら女が事態を知らせたようだ。

 

チェインバー『貴官の行動に論理性を見出せない』

 

レド「仕方ないだろ!あの様子では間違いなく俺の位置がバレていた!それに、人質を取ればとりあえずは攻撃はしてこない…………と良いんだがな」

 

ハミエーア「(放せ!放せ!)」

 

人質の少女は何かを騒いでいるがレドはそれを無視してチェインバーに命令をした。

 

レド「チェインバー、ここの構造を解析しろ。勢いで入ってしまったが……出口を探し出すんだ。それにまだろくに調べてもいないのに、ここでお前を稼動させるわけにはいかない」

 

チェインバー『了解、映像を記録し解析する。可能な限り広範囲に移動されたし』

 

レドは施設内を走り回る。

階段を上り廊下を走り刃物で武装した者達に挟まれた時には驚異的なバランス力でベランダの細い手すりの上を走り原住民達を翻弄する。

そのまま走っているとチェインバーからの通信が入る。

 

チェインバー『映像による解析の結果、現時点において当該施設はその構成素材の90%以上が岩石物質で構成されている』

 

レド「石の塊だって言うのか!?」

 

チェインバー『肯定する。全体的な岩石自体の強度は高いと推測されるが問題が多数あり極めて脆弱な施設である』

 

レド「確かに人の住む場所にしては到底信じられないな……こいつら……もしかして科学技術文明が未発達なのか?」

 

レドはここに来てから考えていた事をチェインバーに聞く。

 

チェインバー『現状の解析結果からはその可能性は高い』

 

レド「なんて星に来たんだ……」

 

レドはチェインバーの解析結果に先が思いやられた。

 

ハミエーア「(おのれ!放せ!)」

 

人質の少女はずっと訳の分からない謎の言葉で叫び暴れている。

 

レド「こいつ等の言葉、まだ分からないのか!?」

 

チェインバー『解析新直立は推定40%より多くの語尾のサンプルが必要』

 

レド「そういうわけだ、もっといろいろ喋ってくれ」

 

そういいつつレドは少女の尻をレイガンで軽く叩く。

 

ハミエーア「はっ!?」

 

息を呑んだ後、ハミエーアは顔を赤らめる。

 

ハミエーア「(貴様、それが目的かー!?)」

 

するとその直後、この施設の警備と思われる刃物を持った兵士達がレドの前方の行く手をさえぎった。

後ろを見るが後ろからは草色の女が率いる兵士達が迫ってきている。

前方の通路がふさがった事でレドはとっさに近くの横に入る事ができる通路に曲がり入った。

だが、レドはこの時知らなかったが実はレドはこの施設の兵士達に進路を誘導されておりレドの行く手にあるのはこの施設の上層部にあたるハミエーアの部屋だった。

つまりは王の間だ。

レドはその広い部屋を走るととっさに外の景色が見える広いテラスの方に出る。

テラスからは恒星の日の明かりが昇り始め周囲を照らしていた。

 

レドはテラスの中間あたりまで勢いで走るが、自分の目の前に広がる広大な景色を見た瞬間、唖然とし足を止めた。

 

レド「こ、これは……」

 

少女はレドの異変に気がついた。

逆さまのままだったが少女は少年の表情を少しだが見る事ができた。

 

レドは今まで見た事のない光景に声が出なかったのだ。

目の前には視界を埋め尽くす膨大な液体の水、そして塩の混じった独特の匂い。

普段レドが宇宙で見る暴力的な恒星とは違う暖かい恒星のきらめき。

そして、恒星の光をバックに人を乗せ優雅に空を飛ぶ大きな鳥。

レドは鳥の背中に赤毛の少女の姿を見た気がした……。

 

レド「これが……これが居住可能な惑星……なのか」

 

レドがその光景に目を奪われ一瞬力を抜く。

 

するとその隙を見たハミエーアは一か八か体に力を入れ一気にレドを突き飛ばして脱出を試みた。

レドはバランスを崩し少女を腕の中から放す。

そして少女は急ぎ足でレドから逃れた。

 

レド「っ!しまった……!」

 

レドがもう一度少女を捕まえようと後ろを振り向く。

だがすでに時は遅しだった。

レドが振り向くとそこには草色の髪の女や他の刃物を持った屈強な男達がテラスの入り口を完全にかためていた。

 

カルダ「(諦めろ!お前の負けだ!)」

 

草色の髪女が剣をレドの方に向ける。

 

完全に袋のネズミだった。

 

レド「仕方ない……チェインバー!」

 

レドがチェインバーの名前を声高く呼んだ。

その瞬間、庭園に横たわっていたチェインバーの目が翠色の光を光らせる。

そして、フローターを作動、周囲に起動音を響かせてフローターに自らを牽引させてチェインバーが飛び立ったのだ。

 

建造物よりも高く飛び上がったチェインバーはその後、空中で回転しながら姿勢を戻し落下速度よりも速い速度でレドのいるテラスの直ぐ後ろの空中に降着する。

その衝撃波によって周囲に突風が吹く。

原住民達はそのチェインバーの光景を驚愕の様子で見ていた。

 

 

 

カルダ「な……何だ……あれは……」

 

カルダが自身の目の前で起きている光景に理解できないという声を上げる。

恐らくそれは今この場にいる周囲の者達もそうだ。

 

カルダの隣では少年から自力で逃げてきたハミエーアが目を見開き普段は滅多に見せない驚愕の表情を浮かべている。

 

なんと、少年が何かを叫んだ瞬間。

周囲に聴いたこともないような異様な音が鳴り響き庭園の方から何か大きな物体が飛び上がったかと思うとハミエーアやカルダたちの目の前に、厳密には少年の直ぐ後ろに降りてきたのだ。

そしてそれはハミエーアやカルダたちを見下ろすようにテラスのすぐ向こう側に浮かんでいる。

 

一体何が飛んできたのか。

 

それはあの庭園に落ちてきた謎のゴーレムモドキだったのだ。

あの謎のゴーレムモドキが目を含めた体の各所を翠色や青い色の光を光らせ頭の上にまるで天使の輪の様な光のリングを光らせ空中を浮遊していたのだ。

 

あまりの出来事にあっけにとられていたカルダだったがすぐに周りの兵士に指示を出した。

 

突如、浮遊を開始したゴーレムモドキ……チェインバーの周りに弓矢やバリスタ等で武装した兵士達を招集する。

 

その様子を見ていたチェインバーは状況を危険と判断しレドを守るようにゆっくりと浮上しレドの前に着地した。

 

チェインバー『状況の危険度は167%増大、先制攻撃を提言する』

 

レド「待てチェインバー、翻訳可能な言葉で敵意がない事を伝えろ」

 

 

 

チェインバー『攻撃ヲ、ヤメロ』

 

兵士「しゃ、しゃべってぞ!?」

 

兵士「喋るゴーレムなんて聞いた事ねぇぞ!?」

 

チェインバーの声を聞いた兵士達から動揺が広がる。

レドは何を言っているのか分からなかったが文明度から考えて恐らく喋ったぞ!とか言っているのだろうと思った。

 

チェインバー『コチラ、敵意否定、武器ヲ、オサメルヲ、望ム』

 

その場にいる誰もが目の前の喋るゴーレムモドキに息を呑み兵士達に更なる動揺が広がる。

だが、そんな中ハミエーアはレドとチェインバーを見てある考えが思い浮かんだ。

 

ハミエーア「まさか……このゴーレムモドキはこやつの物なのか?」

 

すると、兵士達の中からカルダが一歩を踏み出してレドとチェインバーの前に対峙した。

そのカルダの頬には緊張からか変な汗が一滴流れる。

 

カルダ「私はマリースア南海連合王国軍、王都守備隊の戦士団長カルダだ!お前は何者だ!」

 

レド「奴は何を言っている?」

 

チェインバー『貴官の姓名、所属の提示を求めている』

 

レド「了解した」

 

レドはそう言うとチェインバーの影から出てカルダに向かって答えた。

 

レド「フェアウイング、スティニバー、インエ、ヒディアーズ、レファ、チェインバー、トアンティリウ、レド」

 

レドが同盟語で話すとチェインバーがそれを現状可能な限り翻訳する。

 

チェインバー『対ヒディアーズ殲滅兵器、チェインバー操縦者、レド少尉』

 

ハミエーア「レド……」

 

カルダは殲滅兵器という言葉に目を吊り上げる。

 

カルダ「殲滅兵器……ヒディアーズとは何だ!」

 

チェインバー『敵、人類の敵、共存不可能、貴君らは人類同胞、同盟に参集セヨ。対話を要求する指揮官は誰か』

 

すると、チェインバーの答えにハミエーアは大きな違和感を覚えた。

 

ハミエーア(こやつら……まさか妾の正体に気がついていない?……いや、そもそも妾の事を知らないのか?)

 

カルダ「武器を捨てろ!ゴーレムに隠れている者も降りろ!」

 

チェインバーがカルダの言った事を翻訳してレドにコミュニケーターのホログラムを利用して翻訳内容を同盟文字で表示し伝える。

 

レド「何を言っている?」

 

チェインバー『不明』

 

そしてチェインバーが現地語で彼らに伝えた。

 

チェインバー『当機に隠れている者はいない。当機は無人である』

 

カルダ「どういう事……」

 

カルダは困惑した表情を浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルダ「ハミエーア様、どう思われますか?」

 

ハミエーアはカルダや数名の側近を連れてあのチェインバーと自らを名乗ったゴーレムモドキとレドと名乗った少年の様子が見える別のテラスでレドの処遇について話し合っていた。

 

ハミエーア「うむ……」

 

側近「今すぐ倒すべきだ!ハミエーア女王陛下にまで手を出したのだぞ!?」

 

カルダ「恐れながら陛下、私もそう思います。陛下、あの少年は帝国の手の者の可能性もあります」

 

ハミエーア「……して、あの者とゴーレム……何の様があって現れたと判断するのじゃカルダよ?」

 

カルダ「恐れ多くも申し上げます陛下」

 

カルダは困った表情でハミエーアの質問に答えた。

 

カルダ「見た事も聞いた事もない空飛ぶゴーレムと魔法を使う以外、まったく見当もつかないというのが本音でございます……」

 

ハミエーアは顔を扇いでいた扇子をたたむ。

 

ハミエーア「ならば、やる事は決まっておる。まずはヤツの正体を暴く事じゃ……妾はヤツともう一度、会って話してみようと考えておる」

 

ハミエーアのその発言に周りがざわめき始めた。

 

側近「陛下自らあの正体不明の者とですか!?」

 

側近「それはなりません陛下!」

 

慌てる側近達にハミエーアは、済ました顔で答える。

 

ハミエーア「なぜじゃ?奴は自分から敵ではないと言っておるのじゃろ?敵ではない者と客人として話すことがおかしいとは妾には思えぬが?まぁ、多少物騒な客人ではあるがの」

 

側近「しかし……あやつはあの得体の知れないゴーレムを持っているのですぞ陛下!」

 

ハミエーア「そうか……つまり御主らはあの者達が敵ではないと語り妾の命を狙おうとした場合、妾を守る事はできぬと申すのじゃな?妾はそんな者達を側においたつもりはないのじゃがのう」

 

側近「…………」

 

側近「…………」

 

誰もハミエーアに言い返すことは出来なかった。

ハミエーアは真剣な表情で皆に語りかける。

 

ハミエーア「よいか?フィルブルグ帝国が敵にまわったのじゃ。プロミアも滅び今、この国には危機が迫ってきておる。正体不明でも良い……敵で無い事を確かめる事が重要なのじゃ。この国には今、少しでも味方が必要じゃ。フィルブルグ帝国には竜までもが戦力として存在しているのじゃ。残念じゃが今の戦力ではフィルブルグ帝国にはとてもかなわん。しかも隣国と足並みがそろわぬ今攻め込まれたら……」

 

ハミエーアはテラスに立てこもるチェインバーを見つめた。

 

ハミエーア「この国は滅ぶ……街は焼かれ民は奴隷にされるじゃろう……じゃが、お主らも見たものはおるじゃろう?あのゴーレムモドキが天高く舞い空を飛ぶ姿を……しかもあのゴーレムは空高く何処からか落ちてきても傷一つつかなかった程の強靭な体を持っている。その空飛ぶゴーレムを味方につけることができれば少しくらいの時間稼ぎくらいにはなるかもしれん」

 

側近「…………」

 

側近「…………」

 

カルダ「…………」

 

ハミエーア(たかがゴーレムごときに今の状況を打開できるとは思えぬが……もし味方につけられれば少しくらいは儲け物になるじゃろう……)

 

ハミエーアはそう心の中で思うとあのレドと名乗った自分を人質にした少年の表情を思い出した。

 

ハミエーア(それにあの顔……嘘をついている人間の顔とは思えんな……)

 

 

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