名探偵コナン〜Small private eye〜   作:桂ヒナギク

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2.北の高校生探偵

 帝丹高校二年B組に二枚目の男子転校生がやってきた。

 黒板の前で自己紹介をしている。

黒崎 浩一(くろさき こういち)です。苫小牧高校から来ました。よろしくお願いします」

「それじゃあ黒崎は……あの空席に座れ」

 教諭が新一の席を指差した。

 浩一は新一の席に座る。隣は毛利 蘭(もうり らん)だ。

「毛利 蘭よ。よろしくね」

「よろしく」

 ホームルームが終わり、教諭が教室を出て行く。

 すると、鈴木 園子(すずき そのこ)が浩一の下にやってくる。

「君は?」

「鈴木 園子よ。よろしくね」

「ああ、よろしく」

「それより、貴方ってどこかで見たような気がするのよねえ」

「それはこれじゃないか」

 浩一は園子に新聞の切り抜きを出して渡した。

「そうよ! 貴方、北の高校生探偵の!」

 他の生徒が一斉に浩一の方を見る。

「どっかで見たことがあると思ったら、そうか!」

 と、男子生徒。

 チャイムが鳴り、数学教師が入ってきた。

 ……。

 …………。

 ………………。

 放課後、帰路に就いた浩一が校門を通ると、「お兄ちゃん」と、待ち伏せしていた麗奈に声をかけられた。

「麗奈、何してるんだ?」

「一緒に帰ろうと思って迎えに来たの」

「そうか。じゃあ一緒に帰ろうか」

 手を繋いで歩き出す二人。

 道中、二人は遭遇した。

 銭湯の前にパトカーが止まっている。

「事件かしら?」

 気になった二人は現場へと進入した。

 中には目暮警部の姿があった。他に高木刑事、佐藤刑事も居る。

 麗奈は目暮警部に声をかけた。

「警部さん」

「ん?」

 振り返る目暮警部。

「おお! 麗奈ちゃんじゃないか! また捜査に協力してくれるのかな?」

「いや、今日は兄が」

「え!?」

 と、驚き戸惑う浩一。

 目暮警部は浩一を見た。

「君はひょっとして北海道で有名な高校生探偵の?」

「あ、はい、黒崎 浩一です」

「道理で麗奈ちゃんの推理力が()けているわけだ」

「それで、今日はどんな事件なんですか?」

「この銭湯で働く番台のお婆さんが女子風呂で遺体で発見されたんだ。名は深山 美子(みやま よしこ)だ」

「どんな格好で亡くなってたの?」

「お掃除姿だよ」

(掃除中に殺されたってところか)

「お兄ちゃん、現場見てこよう?」

「ああ」

 麗奈と浩一は事件現場の女子風呂へと足を踏み入れた。それについてくる目暮警部。

「警部さん、死因は何なの?」

「後頭部を鈍器のようなもので殴られたことによる脳挫傷(のうざしょう)だよ」

「第一発見者は?」

「この銭湯の常連客だよ。彼女の話によると、中に入ったら番台のお婆さんの姿が無かったから変だと思い、女子風呂を覗いたらお婆さんが倒れていたそうなんだ」

「死亡推定時刻は?」

「朝方の午前六時前後だよ」

「凶器は?」

「それが見付からないんだ」

「見付からない?」

「ああ。さっき銭湯の付近を探したんだがね」

「銭湯の中は探したんですか?」

「勿論、探したけど見付からないんだ」

 麗奈は湯船を見た。湯船にはお湯が張られている。

(張られたお湯……見つからない凶器……なるほど)

「麗奈ちゃん、何か気付いたことでもあるのかな?」

「あ、いえ……」

 そこへやってくる二十代の男性。

「誰だね、君は? 部外者は立ち入り禁止だよ」

「先ほど連絡を受けた深山です。祖母が亡くなったって本当ですか?」

「ああ、深山さんですか。お祖母さんは何者かに殺害されたようです」

「そ、そんな……! たった一人の肉親なのに……!」

「深山さん、貴方、午前六時前後はどこに居ましたか?」

「刑事さんは僕を疑ってるんですか!?」

「いえ、これは関係者全員に訊いてるんです」

「そうですか。その時間なら彼女と一緒でしたよ」

「そうですか」

 麗奈は深山の靴下に注目した。

 足首の辺りに血痕が付着している。

 麗奈は浩一の下に移動した。

「お兄ちゃん」

「どうした?」

「口パクして」

「犯人が判ったのか?」

 麗奈は頷くと、浩一の背後に隠れ、彼の声で話を始めた。

 麗奈の浩一ボイスに合わせて口パクする浩一。

「警部さん、犯人が判りました」

「何?」

「犯人は深山さんです」

 目暮警部と深山は浩一を見た。

「ちょっと待ってくれよ。僕が犯人?」

「はい、貴方はお祖母さん殺害のために用意した氷を靴下に入れて即席のブラックジャックを作り、それでお祖母さんを殴り殺したんです」

「面白い推理ですね。でも証拠はあるんですか?」

「証拠は貴方の靴下です。足首のところに血痕が付着しています」

「ちょっと失礼」

 目暮警部が深山の靴下を調べる。

「確かに血痕があるな」

「なっ……!」

「でも氷はどこにあるんだね?」

「湯船の中ですよ。深山さんはお祖母さんを殺害した後、靴下から氷を取り出して湯船に入れ、証拠隠滅をはかったつもりですが、靴下に残った血痕には気付かなかったのです!」

 深山はその場に崩れた。

「くっ……祖母ちゃんが悪いんだ! この銭湯を売るだなんて!」

「どんな理由があれど、殺人はいけませんよ」

「すみませんでした」

 目暮警部は深山に手錠をかけ、外に止まっているパトカーに乗せて警視庁へ連行した。

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