名探偵コナン〜Small private eye〜 作:桂ヒナギク
阿笠邸。
少年探偵団のメンバーが集まっていた。その中には麗奈の姿もある。
「ほう、転校生か。
「黒崎 麗奈です」
「ねえ、博士。麗奈ちゃんにも探偵団バッチ作ってあげて」
「探偵団バッチって?」
吉田 歩美がバッチ型のトランシーバーを取り出す。
「これだよ」
「へえ、これがそうなの?」
「これね、無線になってて、これを持ってる人とお話も出来るんだよ!」
「天才ですね、阿笠博士」
「じゃあワシはバッチを作ってくるからな。大人しく待ってるんじゃぞ」
阿笠博士は地下室へと向かっていった。
……。
…………。
………………。
「バッチが完成したぞい」
阿笠博士がバッチを手にやってきた。
「ほれ」
阿笠博士はバッチを麗奈に渡した。
「ありがとうございます」
麗奈はバッチをしまった。
「なあ、博士、俺、腹が減ったぞ」
と言うのは体の大きな少年、
「そう言えばみんなお昼がまだじゃったな。よし、それじゃあこれからファミレスへ食べに行こうかのう」
阿笠博士はそう言うと、少年探偵団の連中を連れてファミレスへと向かった。
ファミレスに着き、中へ入る七人。
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「七名じゃ」
「禁煙席と喫煙席どちらにしますか?」
「禁煙席で」
ウェイトレスが七人を席に案内する。
七人は席に座り、メニューを開いた。
「みんな、好きなものを頼んでいいぞ」
「私、カレーライス」
と、歩美。
「あ、俺も!」
と、元太。
「光彦くんは何にするんじゃ?」
阿笠博士の問いに
「僕は炒飯を」
「コナンくんは?」
「俺はピラフ」
「哀くんは何にするんじゃ?」
「私はパスタにするわ。カルボナーラね」
「麗奈くんは?」
「私はきつねうどんで」
「ワシはラーメンにしようかのう」
阿笠博士はウェイトレスを呼び、選んだ品を注文した。
「
ウェイトレスは去っていった。
「きゃああああ!」
お手洗いから聞こえてくる女性の悲鳴。
何事かと思った麗奈とコナンは悲鳴の主の下へ駆けつけた。
若い女性が腰を抜かしている。
「お姉さん、どうしたの!?」
女性がトイレの中を指差した。
「し、死体……!」
二人はトイレの中を覗く。そこでは血だらけの男性が便器に座った状態で死んでいた。
「コナンくん、店員に頼んで全ての出入り口を封鎖してもらって。それから警察への通報を」
「うん、分かった」
コナンは駆け足で去っていった。
麗奈は洗面器下部のダストボックスを開けた。そこには血だらけの包丁が捨ててあった。
(なるほど、これが凶器か)
その時、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
サイレンは段々と近付いてきて、店の前で止まった。
捜査員たちが店に入ってくる。
入り口に立っているコナンに、
「やあ、コナンくん、久し振りだね」
「赤峰刑事に志村刑事!」
「コナンくん、殺人事件ということだけど、現場はどこなの?」
「こっちだよ」
コナンは志村刑事と赤峰刑事をお手洗いに案内した。
そこでは麗奈が遺体を調べていた。
「こら、遺体に触るんじゃない!」
そう怒鳴りつける赤峰刑事。
「遺体の硬直具合から見て死後二十分てところですね」
麗奈はそう言いながら振り向いた。
「私は黒崎 麗奈、探偵です」
「探偵? ああ、少年探偵団のメンバーだね? さ、捜査の邪魔になるからあっちへ行ってなさい」
麗奈は志村刑事の言葉を無視してダストボックスを開けた。
「刑事さん、凶器はこの中の包丁ですよ」
「どれどれ?」
赤峰刑事が手袋をはめ、ダストボックスの中から
「第一発見者は彼女です」
麗奈は悲鳴を上げた女性を指し示す。
志村刑事が女性に歩み寄り、警察手帳を見せた。
「警視庁の志村です。お名前を教えていただいてもよろしいですか?」
「
「では、川村さん、遺体を発見した時、何か見ませんてしたか? 怪しい人物とか、何でも結構です」
「いいえ、何も……」
「そうですか。では、被害者と面識は?」
「ありません」
「そうですか。ありがとうございます」
志村刑事は赤峰刑事を見る。
「赤峰くん、店内に被害者と面識のある人物が居ないか聞き込みだ」
「はい」
赤峰刑事と志村刑事は聞き込みに向かった。その結果、男性の容疑者二人が浮上した。
二人とも男性である。
「川村が亡くなるなんて……」
「誠二、どうして死んじまったんだよ!」
二人の言葉から被害者の名が、
「失礼ですが、あなた方のお名前は?」
「
「
「被害者とはどういうご関係で?」
「大学のクラスメイトです」
「ほう」
「俺たち、大学のレポートを書こうと思って、この店にやってきたんです」
「そうでしたか。因に、あなた方は二十分前、何をしてましたか?」
「誠二がトイレに立って、残った二人だけでレポートを書いてました」
「志村さん」
と、赤峰刑事が志村刑事に声をかける。
「どうした?」
「今、店員から話を聞いたんですが、厨房で使ってる包丁が一つ紛失されているそうです」
「何?」
「それってさ、さっき黒崎さんが見付けた包丁なんじゃない?」
そう言うのはコナンだ。
「赤峰くん、確認を取ってきてくれ」
「はい!」
赤峰刑事が鑑識から凶器の包丁を借り、厨房へと入っていった。そして、
「志村さん、凶器の包丁はこの店で使われていた包丁だそうです」
「と言うことは、店員の中にも容疑者がいそうだな」
そう判断した志村刑事が、赤峰刑事と共に厨房へと入っていった。麗奈とコナンもそれを追う。
二人に気付いた赤峰刑事が口を開いた。
「二人も事件の調査かい?」
「うん」
「いいけど、危ないことはしないでね」
「はーい」
「ねえ、コナンくん」
「何、黒崎さん?」
「コナンくんはこの事件どう思ってるの?」
「僕は店員の中に犯人が居ると考えてるんだけど、誰が犯人かはまだ……」
「まあ、取り敢えずは店員の話を聞きましょう?」
赤峰刑事がコックに訊く。
「貴方、被害者と面識があるんですか?」
「高校の時のクラスメイトですよ」
「そうですか。因みに、今から四十分前、貴方は何を?」
「僕はこの厨房で一人で注文の品を作ってましたよ」
「そうですか」
「他のコックさんが見えませんが、どうして?」
「今、お昼休憩です。他の皆さんが戻ってきたら僕も休憩に入る予定です」
「そうですか」
赤峰刑事たちは厨房を出ると、ウェイトレスに声をかけた。
「失礼ですがお名前を教えて下さい」
「
「では緑川さん、被害者の川村さんと面識は?」
「ええ、まあ……」
「どう言ったご関係で?」
「ストーカーだったんです。初めて会った時に一目惚れされて、以来付け回されるようになって……。でも死んで清々します」
「警察には相談されなかったんですか?」
「相談しましたよ。でも何もしてくれなくて……」
「それは申し訳ない。では」
「あ、もう一つ、よろしいですか?」
「はあ」
「遺体が発見される二十分前、貴方はどこに居ましたか?」
「ホールで注文を伺ってました」
「そうですか。では」
赤峰刑事たちは厨房に戻った。
「まだ何か?」
「前川さん、貴方、お付き合いしている女性は居ますか?」
コックの名は
「緑川さんと交際してますが、それが事件と何か関係が?」
「と言うことは、川村さんが緑川さんに何をしていたかご存知ですか?」
「ストーカー行為ですよね。え? もしかして俺、疑われてる?」
「いえ、別にそう言うわけでは……」
「そうですか。よかった」
「忙しいところ申し訳ありません。では」
赤峰刑事たちは厨房を出た。
「さて、それじゃあ事件の整理をしようか。コナンくんたち、手伝ってくれるかな?」
「うん、いいよ」
「任せて下さい」
「それじゃあ始めるよ。まず、被害者の遺体が発見されたのは何時?」
「確か僕たちが入店して直ぐだから、午後十二時二十分頃かな」
「では被害者の死亡推定時刻は? さっき麗奈ちゃんが割り出したね」
「発見時の二十分前……つまり、十二時だ」
「では殺害の凶器に使われたのは何だった?」
「この店の包丁」
「では事件について話を聞いた四人の中で殺害の動機があるのは?」
「緑川さんと前川さん」
「そうだね。取り敢えず、このくらいかな。容疑者が二人に絞り込めたね」
「凶器の指紋はどうなってるの?」
「それなら今、鑑識が分析中だよ」
その時、志村刑事の携帯が鳴った。
「はい、志村。……ああ。……ああ、分かった」
電話を切って仕舞う志村刑事。
「鑑識からの報告で指紋は全て拭き取られていたそうだ」
「そうなんだ」
コナンと麗奈は考えた。
指紋が出なかったとなると、犯人が誰なのか分からない。例え分かったとしても、証拠不十分である
(くそ、一体誰が犯人なんだ?)
「ねえ、コナンくん」
「ん?」
「私、前川さんが怪しいと思うんだけど」
「前川さんか……」
(確かにそうだ。俺も怪しいと考えた。しかしアリバイが無いってだけで犯人と断定してもいいのだろうか?)
「前川さん、証拠を持ってたりして」
「黒崎さん、それどういうこと?」
「白衣の下に返り血を浴びた服を着てるんじゃないかってこと」
「脱がしてみる?」
麗奈とコナンは厨房に入った。
「「前川さん」」
前川は二人を見る。
「何かな、坊やたち?」
「白衣を脱いでいただけますか?」
前川は顔を
「もしかして前川さんが事件の犯人ですか?」
「そ、そんなことないだろ。俺は忙しいんだ。出てってくれ」
麗奈とコナンは厨房を出た。
「赤峰刑事」
「何だい?」
「僕たち犯人分かっちゃった」
「それは本当かい?」
「うん。コックの前川さんだよ。白衣の下に返り血を浴びた服を着てるよ」
「そう。じゃあ確かめてくるよ」
赤峰刑事は厨房に入った。
「前川さん、白衣を脱いでいただけませんか?」
「なぜですか?」
「返り血を浴びてないか確認するためです。ご協力下さい」
前川は脱兎のごとく逃げ出した。
「待て!」
後を追う赤峰刑事。
「志村さん、前川さんが犯人です!」
「何!?」
志村刑事も赤峰刑事と共に前川を追う。
「待つんだ、前川さん!」
逃げる前川。だが、躓いて転んでしまった。
「確保──っ!」
赤峰刑事が前川を取り押さえ、手錠をかけた。
「赤峰くん、よくやった」
赤峰刑事は前川をパトカーに乗せた。
その後、前川は取り調べで犯行を自供したという。