名探偵コナン〜Small private eye〜   作:桂ヒナギク

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5.狙われた麗奈

 北海道、某所。

「礼を言うぞ、オマエ達。北海道でも警備の厳しい帯広(おびひろ)刑務所から、脱獄できるとはな」

「礼には及びません、ボス」

「それで、ボス? 復讐するのでしょう? あの、忌々しい小娘に……」

「フフ……そうだな。では、向かうとするか。黒崎 麗奈の所に」

 

 

 毛利探偵事務所。

 コナンがテレビを見ていると、事務所に麗奈と灰原がやって来た。

「おはよう、コナン君」

「ああ、おはよう2人共」

「江戸川君、何観てたの?」

「ああ、ニュースだよ」

『本日午前1時頃、北海道の帯広刑務所から鬼瓦 茂弘(おにがわら しげひろ)受刑者が脱獄しました。調べによりますと、鬼瓦受刑者は鬼瓦組の組長であり、警察は鬼瓦組の組員が脱獄に関わっているとみて捜査を進めています……』

「鬼瓦 茂弘!?」

「麗奈ちゃん、知ってるのか?」

「鬼瓦 茂弘……以前私が逮捕に協力した、鬼瓦組の組長よ……」

「そうなのか……鬼瓦組といえば、北海道でも有数の暴力団だな……」

「もしかしたらその人達、黒崎さんを恨んでいるかもしれないわね」

「そうね……」

(確かに私を恨んでいるかもしれない……でも、彼らがいるのは北海道……ここまで来れるとは思えないわ……)

 麗奈はそう思い、安堵していた。

 

 

 北海道、某所。

 鬼瓦は、組員達と共にアジトにいた。

「お帰りなさい、ボス!」

「ウム。で? 黒崎麗奈が今どこにいるか調べたのか?」

「はい、今はどうやら東京の米花町にいるようです」

「米花町か……。よし、オマエ達だけでも行って来い」

「ボスは行かないのですか?」

「オレは脱獄中の身だからな。頼んだぞ、瀬波、坪山」

「はい」

 それから1週間後。

 坪山 康治(つぼやま やすじ)瀬波 妖香(せなみ ようか)は、他の組員と共に帝丹小学校の近くに来ていた。

 

「瀬波、本当にこの近くの学校に黒崎麗奈がいるのか?」

「ええ、調べたから間違いないわ。ん?」

「どうした?」

「ホラ、あそこ……」

 瀬波が指差した先には、帝丹小学校に入って行く麗奈の姿があった。

「本当にいたとはな……」

「で、どうするの?」

「下校時間になるまで待とう。そして、人気のない所で決行だ」

「了解」

 

 

 下校時刻。

「じゃあ、オレ達こっちだから」

「黒崎さん、また明日ね」

「ええ」

 麗奈はコナン、灰原と別れる。

 その麗奈を、坪山と瀬波が監視していた。

「良し、もう少ししたら決行するぞ」

「ええ」

 

 

 麗奈は路地裏を歩いている。

(脱獄のニュースからもう1週間か……)

 麗奈はそんな事を考えていた。

 そして、交差点に差し掛かった刹那。

 ガバッ!!

「うっ!?」

 麗奈は後ろから羽交い締めにされ、口をハンカチで塞がれた。

「うう……」

(しまっ……た……)

バタッ!──麗奈は倒れ込む。

 坪山はニヤリと笑うと、麗奈を抱えて連れ去って行った。

 

 

「ん……」

 麗奈はうっすらと目を開ける。

「ん、んんっ!?」

(な、何これ!?)

 気がつくと、麗奈は手足と体を縄で縛られていた。

 口にはガムテープが貼られている。

「んっ、んん~っ!」

 麗奈はジタバタともがいたが、拘束は解けない。

「う……」

(そうだ、アタシあの時後ろから口を塞がれて……)

「目が覚めたようだな」

「!?」

 麗奈が声のした方に振り向くと、そこには坪山と瀬波が立っていた。

「んんっ!!」

(あなた達、誰?)

「オレ達か? オレ達はオマエのせいで逮捕された鬼瓦組組長の部下さ」

(な、何ですって!?)

「一週間前に組長が脱獄したニュース知ってるでしょ? アタシ達がボスの脱獄を手助けしたのよ」

「んんっ!?」

「そうだな。とりあえず、オマエの身内にでも電話をかけるか。携帯電話も持ってたみたいだしな」

「お嬢ちゃん、おとなしくしてなさいね」

 そう言うと、坪山と瀬波は隣の部屋に行った。

(お兄ちゃん……)

 麗奈は俯いた。

 

 

 阿笠邸。

 コナンと灰原が対戦ゲームをしていると、呼び鈴が鳴った。

 ピンポーン!

「誰かしら?」

「オレが出る」

 コナンが玄関のドアを開ける。

 ガチャ!

 そこに立っていたのは、浩一だった。

「お兄さん、誰? 」

「オレは黒沢 浩一。麗奈の兄さ」

「じゃあ、浩一さんも探偵なの?」

「まぁ、オレに推理力はないんだけどな。ほとんど麗奈頼りだよ」

「で、浩一さんはどうしてここに?」

「麗奈が誘拐されたんだ」

「麗奈ちゃんが誘拐された!?」

「本当なの、浩一さん?」

「ああ、間違いない。僕の携帯に麗奈からの電話があったんだが、出てみたら知らないヤツだった」

「電話して来た人は何て?」

「電話して来たヤツは鬼瓦組の組員を名乗ってた。麗奈を返して欲しければ、身代金として五千万用意しろって言ってたよ」

「江戸川君、黒崎さんの探偵団バッジを頼りに追跡メガネで探せないかしら?」

「やってみる」

 コナンは追跡メガネのスイッチを入れる。

 パッ!

「出た! ここは……」

 

 コナンは追跡メガネに記された点を地図に照らし合わせる。

「発信機の反応は、米花中学校の近くにある家みたいだな」

「米花中学校なら近いわね。浩一さん、私達行って来ます」

「気をつけてな」

コナンと灰原は、出かけて行った。

 

 

 米花中学校近くの家。

 麗奈は部屋の中で、おとなしくしていた。

「そろそろ来る頃かしら?」

「瀬波、持って来たヤツも閉じ込めるぞ」

「分かってるわ」

(そ、そんな……お兄ちゃん、来ないで! 来たらお兄ちゃんも捕まっちゃう!)

 ピンポーン!

瀬波がインターホンに出る。

「はい、瀬波です」

「麗奈の兄だ。持って来たぞ」

 浩一の声がした。

「アタシが出るわ」

 瀬波は外に出る。

 パシュ!

「うっ!?」

 バタッ!

「おい、どうした瀬波!?」

 坪山が外に出ようとしたその刹那、

「喰らえええーっ!」

 ドォン!

「グァッ!」

 坪山はサッカーボールを受け、倒れ込む。

「!?」

 麗奈が驚いていると、コナンと灰原が部屋に入って来た。

(コナン君、灰原さん!?)

「麗奈ちゃん、無事か?」

「助けに来たわよ」

 コナンと灰原は、麗奈の拘束を解く。

バサッ!

「あ、ありがとう、2人共……」

 その後、コナンが警察に連絡し、坪山と瀬波は逮捕された。

 

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