VD廃人inマブラヴ   作:重カラサワカラサワ8スナCE盾増弾アウト

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人狼 さんが入室しました

 

  

 

 東ドイツ、ベーバーゼ基地。

 周囲が全て白で埋まる土地の中、緑色を静かに主張する本基地は少しばかり目立った印象を受ける。

 その中に駐屯するは戦術機大隊だ。東ドイツ陸軍に所属する戦術機の幾つかが此処に収容されている。

 基本的に収容されているのはMiG-21 バラライカだ。

 整備性や機動性に優れる本機は現在の東ドイツの主力だ。

 そんな基地に今、新たな戦術機の存在が現れた。

 MiG-23 チボラシュカ。

 東ドイツに少数しか配備されていない精鋭機だ。

 

 

「久しぶりだね、アイリス」

 

 

 そんな精鋭機に囲まれた戦闘ヘリから降り、基地を前に一人の女性に話しかける男。

 ハインツ・アクスマン。

 シュタージの深い所に関わっている、赤髪の高官だ。

 彼に嫌見たらしく挨拶を投げかけられた金髪の女性は無表情で答える。

 

 

「こんな前線になんの御用ですか、シュタージ武装警察軍、ハインツ・アクスマン中佐。

 そして、ヴェアヴォルフ大隊指揮官、ベアトリクス・ブレーメ少佐」

 

「久しぶりの再会だと言うのに、連れないわね。アイリスディーナ」

 

 

 第666戦術機中隊隊長と、ヴェアヴォルフ大隊隊長が二人向かい合い、無言の圧力を掛け合う。

 彼女らは旧友でありながら、その役職と進んだ道から枝を分けてしまった。

 もはやそこには友情というものは形骸化しているのだろう。

 黒髪赤眼の大隊長、ベアトリクスは腰に手を当てながら答える。

 

 

「私たちが用があるのはあなたの後ろに隠れている衛士、カティア・バルトハイム少尉よ。任意同行してもらうわ」

 

「……!」

 

 

 茶髪小柄の女性衛士、カティアは息を飲んだ。

 まさか自分が理由でシュタージが乗り込んで来たことに、驚きを隠せなったのだ。

 

 

「少尉は正式な手続きを踏んで我が中隊に編入した衛士だ。尋問の必要は認められない」

 

 

 アイリスディーナはシュタージに対して対立の意見を述べる。

 確かに彼女は、正式な手順を踏んで中隊に編入した。

 しかしそれはあくまで政治将校の、グレーテル・イェッケルンの力を使ったもので、よく見れば不自然なものだ。

 まあ、シュタージにとっては西側の人間という事でターゲットに絞ったのだろうが。

 

 

「本当にそうかね、アイリス。少尉の亡命は突発的なものだったが、その受け入れと編入は不自然なほど素早く行われた。更に少尉を保護したのが過去に我々の世話になった衛士と聞く。疑うには余りあるとは思わないかね?」

 

 

 アクスマンは帽子に落ちた雪を払いながら、チラリと同じく赤髪の男性衛士、テオドールを見た。

 その時アクスマンは小さく呟く。

 

 

「…私の顔を忘れたか? テオドール・エーベルバッハ」

 

 

 テオドールは目に見えた恐怖を表した。

 彼は思い出したのだ、軍に入る前の、あの地獄の日々を。

 亡命しようとし両親は殺され、妹は奪われ。

 その日から最悪の日々ばかりが続いていた。

 

 

「……何の罪も犯していない部下を、尋問させるわけには行きません」

 

 

 アイリスディーナはチラリと後ろを見て、ハッキリとした声質で言い放った。

 それに続いて、政治将校であるグレーテルが前に出る。

 

 

「シュタージが権利を行使するには、対象が法を犯した国家の敵でなければならない。カティア・バルトハイム少尉は何の法もーー」

 

「へえ、随分と立派な事を言うようになったじゃない? 政治将校グレーテル・イェッケルン中尉殿」

 

 

 淡々と事実を述べるグレーテルに茶々を入れるようにベアトリクスが挑発する。

 これに関しては確かに、事実である為何も言える事はない。

 だが。

 

 

「……あなた方が私を疑うのは分かります。でも、こんなやり方はおかしいです! 私たちの敵はBETAの筈です、全ての人間がお互いを信じて力を合わせないとBETAには……!」

 

 

 瞬間、銀髪の女性がその喋る口を平手打ちした。

 カティアは地に伏せ頬を触りながら、上を見上げる。

 そこには鋭い目つきで此方を睨みつけるシルヴィアがいた。

 シルヴィアはカティアの頭を突かんで自身の顔を近づける。

 

 

「さすが西側の人間は言う事が違うわね。互いを信じて力を合わせる? 本気で言っているの、それ?」

 

「そうです! 二つのドイツが力を合わせれば、BETAなんてーー」

 

 

 ドス。

 カティアの腹にシルヴィアの強烈な蹴りが入った。

 これ以上、彼女を喋らせない為だ。

 

 

「口先だけのガキって嫌いよ。あんたのような危険思想の持主、此処で殺すべきかしら……!」

 

「もうよせシルヴィア!」

 

 

 

 カティアを再度地に叩きつけたシルヴィアは過大な敵意を出し、彼女へ歩み寄る。

 と、その肩を掴んだのはテオドールだ。

 彼女があの役を引き受けたのならば、自分はこの役だ。

 それを理解しての行動だろう。

 

 

「わ、私は……」

 

 

 ガクリ、とカティアは気絶した。

 それを見て、見せてからアイリスディーナがアクスマンに話しかける。

 

 

「今の不敬な発言について、私から謝罪します。ですが、亡命から日が経っていない事を考えれば、むしろ当然の言動かと。

 それでもまだ根拠のない疑惑に基づき、彼女を尋問しようと言うのなら……」

 

 

 アイリスディーナの目は本気だ。

 冷静な表面の内側に、強く燃える炎が見える。

 それを見て、アクスマンとベアトリクスは不敵に笑いながら、

 

 

「ほう?」

 

「どうしてそこまで彼女を庇うのかしら? スパイ容疑に掛けられた者は政治的指導よりも、始末してしまった方が早いわ」

 

「少尉は第666戦術機中隊の衛士であり、私の大切な部下だ」

 

 

 それを聞いてアクスマンはクククと笑って俯き、次の瞬間、大胆な演説を開始する。

 

 

「諸君、いい機会だから教えておいてあげよう。アイリスディーナ・ベルンハルト大尉が血の繋がった兄を密告したのは確固たる事実だ。密告を聞き入れ、彼女を英雄として生き残らせたのはこの私だからね。

 彼女は身の潔白を証明するために、自らの兄をーー」

 

 

 そしてアクスマンは次の言葉を紡ぐ。

 --事は出来なかった。

 

 

「……? 何の音だ?」

 

 

 何か、ヘリのプロペラ音が聞こえる。

 が、何かおかしい。

 東ドイツに配備されているヘリの、どの羽音とも違うのだ。

 しかも、自分たちの持っている情報には今日この基地に訪れるのは自分たち、シュタージだけ。

 となると一体何者が……?

 アクスマンとベアトリクスは思考し、音の方角を向いた。

 

 

「--!?」

 

「あ、あの機体は……!?」

 

 

 シュタージの面々は『ソレ』を見て、驚愕する。

 第666戦術機中隊の隊員は『ソレ』を見て熱が戻る。

 先の戦場に突如現れ、戦場を単騎でかき回し、あまつさえ仲間を奪っていった機体。

 あのパイロットが喋った名称に従えば……その機体の名前は【AC】

 そのACは高高度を飛行する大型ヘリに担架されて、此方を見下ろすように見ている。

 そのヘリはやや特殊な構造で、横並びに付いた二つの回転翼が互いに交差しながら飛行する、シンクロプター構造のヘリだという事だろう。

 だが、あんなヘリがあるなど聞いたことがない。機動力がウリなのがヘリだというのに、なんだあの重装甲は。

 

 

「総員、戦闘態勢に入れ! 奴は危険だ!」

 

「アレを知っているのかね、アイリス!?」

 

 

 アイリスディーナは彼の問いかけを無視し、戦術機中隊の面々と一緒にドックに駆けていく。

 彼女たちは分かっていた。

 奴は近々、何かするのだろうと。

 

 

「だが、なんで今なんだ……!」

 

 

 テオドールはカティアをドックの片隅に寝かせ、自機の方へと駆けていく。

 先の戦場に出現した【AC】は戦術機の半分以下の大きさながら、戦術機では到底出せない速度で移動し、その大きさから考えられない程の高火力武装を所持していた。

 今回現れたのはそれとは違う機体。

 だが、今回は前回と違い二機(・・)だ。

 もしも今回現れたのは前回のよりも強力で、かつ連携攻撃を仕掛けてきたというのならば。

 これ程までに絶望する物はない。

 

 

「クソっ!」

 

 

 テオドールは戦術機のOSを起動し、機体のカメラを起動する。

 先ほどまで訓練していたが、まだ機体は動けるようだ。

 問題はパイロットが持つかどうかだが、そんな事言っていたらあの機体には勝てない。

 あんなイレギュラー、連携して倒すしかないのだ。

 

 視界に戦術機が捉えた情報が映った。

 そのままテオドールは外の景色を見て、驚愕する。

 テオドールがスクリーンを付けたのを見計らったようなタイミングで、航空機は【AC】を地に投下したのだ。

 いや、そうではない。

 普通の機体ならば、落とされれば即スクラップの高度から投下したのだ。

 

 ズドン。

 【AC】二機が地に落とされ、周囲に二つの雪煙が舞った。

 テオドールは目を細める。

 まさか、あの高度から落とされて無事だと言うのか。

 まさか、投下されて大破したのか。

 二つの矛盾した疑問がテオドールの中でかき回され、気持ち悪い色を見せる。

 そして、ついに結果が出る。

 

 

 

「ははっ……おいおい、嘘だろ……」

 

 

 そこには白の中、黒い影と、不気味に光る紅い目が二つ、浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 ****

 

 

 

 

 

 

 ーーENEMY 10

 

 

 ヘリから落とされ、リコンを展開して周囲の敵を確認する。

 画面には相変わらず、此方を見て警戒している細身の戦術機の姿が確認できる。

 スキャンモードで起動している為、撃破対象の機体は薄い青で光っている。

 逆に撃破禁止機体は赤く光っている。

 ヘリ一機と、戦術機が2機。

 あれらは生かしておけという事だろう。

 

 

「聞こえるか、イングヒルト」

 

《はい、聞こえています。なんですか》

 

 

 無線で呼びかけ、彼女の様子を確認する。

 どうやら、先の投下の衝撃で潰れているという事は無さそうだ。

 ならあと心配なのはもう一つの方か。

 

 

「今から奴らを襲撃する。やれるか?」

 

《はい。もう視認されていますが、この機体なら負ける事はないでしょう。突撃のタイミングはまかせます》

 

「……」

 

 

 どうやらもう、元味方を襲撃するという覚悟は決めていたらしい。

 個人的にはもう少し、尻込みすると思っていたのだが。

 まあ、もうやる覚悟があるのならば、十分だろう。

 さっさと撃破して、さっさと帰還する。

 それが今の目標だ。

 

 

「そうか。それじゃ早速……全機、突撃せよ!」

 

《了解!!》

 

 

 イングヒルトは通常ブーストで、お前はグライドブーストで突進する。

 お前の装備は至ってシンプルだ。ガトリング二丁持ち。

 戦術機の耐性のテストを兼ね、まずは自機の最小火力武器を選択した。

 

 

 --システム 戦闘モード

 

 

 敵の一機に接敵し、スキャンを解除してダブルトリガー。

 GBで正面、横、GBHBで真後ろの順番でガトリングを乱射する。

 まず、感じた限りだと前面は比較的装甲が堅かった気がした。反対に横と後ろは柔らかったが。

 しかし、それでもガトリングを跳弾できていない程度の装甲なのは気になる。

 その図体のわりに防御値低いとか、どこの黒栗だよとお前は彼らを嘲笑した。

 そうしている内にガトリングを跳弾出来ていない敵機は爆風を交えて大破し、リコンのエネミーリストから削除される。

 ならば次だとお前はハンガーチェンジでライフルとヒートマシンガンを展開する。

 

 

「あ、グラブ切れた」

 

 

 --システム スキャンモード

 

 

 鈴虫という低容量ジェネレーターでGBすれば当然なのだが、やはり少し厳しい物がある。

 まあ、現行レギュより容量はあるのでマシではあるが。

 仕方ないとお前はスキャンに一瞬入り、爆散した敵機の骸を蹴り、宙に浮く。

 そうしているとジェネレーター容量は回復し、いつでもハイブが吹ける状況が出来上がる。

 ふむふむと自分に降り掛かる負荷を感じながらお前はスキャンを解除する。

 

 

 --システム 戦闘モード

 

 

 ダンダンとライフルを連射し、バババとヒトマシをばら撒く。

 ターゲットに絞られた敵機はライフルを機体内に蓄積させ、表面装甲を大分剥がしながら爆散した。

 これを見てお前は少しあきれ果てる。

 さすがに脆すぎないか、と。

 

 

「ライフルが貫通する程度のKE装甲と、ヒトマシのCE成分で装甲剝がれるって、どんな装甲してんだよ」

 

 

 --システム スキャンモード

 

 

 お前はバックハイブしてリコンを撒き、スキャンに入って敵機のデータを解析する。

 素早いスキャン速度によって即座にデータを手に入れ、それを眺めて、ため息を吐いた。

 

 

『NAME Werwolf04

 CODE MiG-23 チボラシュカ

 AP 9000

 KE 560

 CE 200

 TE 130

 RA machinegun:WS-16C KE:250

 LA machinegun:WS-16C KE:250

 LH machinegun:WS-16C KE:250

 RAB knife:P.B.Knife KE:700

 LAB knife:P.B.Knife KE:700 』

 

 

「おいおいマジかよ、やべえよその機体」

 

 

 もはや産廃とは呼べないその性能に、お前は哀れみを感じた。

 確かに戦術機は対人戦を考慮せず、3次元起動や弾持ちを重視している。

 また、技術がまだまだ未発展なのも認める。

 が、さすがにこの性能ではBETAとやり合うのだってキツイと思う。

 このマシンガンは確かに前回スキャンした戦車級の装甲値を超えているが、あくまで戦車級のだ。

 要撃級や突撃級はこれ以上の装甲値を持っているだろう。

 だとすると確かに、一体に対して何発も使うのも頷ける。

 弾持ちの為に基本攻撃力を捨てているのだから。

 また、KE装甲値も中々に低く、CETEも限りなく低い。

 機動力重視とは言え、もう少し装甲値を稼いで欲しいものだが……。

 

 

「ライフル貫通とか流石にヤバいと思うんだが……」

 

 

 弾数重視のイソノカミの攻撃力ですら貫通するのだから、初期ライの高DPSで撃ったらどうなるのだろう。

 酷いことになるのは間違いない。

 

 

「……考えるのはやめておこう」

 

 

 そう言えばイングヒルトの方はどうかと、お前は意識をずらした。

 敵を目の前にお前は味方の方に視線をずらす。

 今もなおパスパスとマシンガンを乱射しているが、全く以て痛くないので無視。

 

 

「へえ。結構戦えてんじゃん」

 

 

 見ればハイブを左右に振りながら、両手のガトリングで何体かスクラップにしている様子。

 バイタル一個上だから通常ブーストハイブでもある程度戦えている様子。

 相手の装備も跳弾しているので、苦戦する事もないかとお前は考えなおした。

 

 

 --WARNING!!

 

 

「ん、なんだ?」

 

 

 突如アラートと衝撃が走り、お前は機体を再度バックHB。

 見れば敵機はナイフを装備している。マシンガンではラチが明かないと知ったらしい。

 しかも、何故か戦術機が増えている。

 どうやら基地に所属する戦術機が起動したらしい。いや、起動というか出撃準備が整った、という事か。

 だが、お前たちが撃破していいのはあくまでシュタージ機10体のみ。その他を攻撃してはイングヒルトのも、ドイツからの反感も買ってしまう。

 となればどうするか。

 

 

「イングヒルト、聞こえるか。撤退するぞ」

 

《……ッ!? 何故です!?》

 

「ドイツ陸軍機まで出てきた。私たちは無差別殺人者じゃないからな、やることやってさっさと離脱する。お前は先に交代して離脱準備を整えろ」

 

《私はまだ戦えーー!》

 

「足手まといだと言っている。さっさと後退しろ。殿は私が務める」

 

《……了解》

 

 

 無線を切り、イングヒルトの撤退を確認してから、基地を目の前に構えて敵機を威圧する。

 後方にはAC輸送ヘリ『SPECHT A-448/C』が待機している。

 イングヒルトの戦線離脱を確認したらこちらもさっさと担架して撤退すればいいだろう。

 

 

「おっと、先へと行かせないさ」

 

 

 離脱しようとするイングヒルトを追おうとする陸軍機の進行方向にガトリングの弾幕を張り、行かせないようにと再度威圧する。

 その瞬間に別の方から進攻しようとする者がいるが、ソイツもガトリングの威圧で十分。

 正直ガト持ち一機の威圧では無理だと思っていたが、相手にとっては相当の圧力らしい。

 お前はこの程度の脅威に身を屈める戦術機という存在に、再度嘲笑した。

 

 

《離脱準備できました。そちらも離脱を》

 

 

 どうやら担架接続は完了したらしい。

 ならばあとは撤退しつつ、敵機との距離を話して遥か後方でヘリと合流、そのまま離脱という流れになるか。

 そこまで考え、無人ヘリ一機に事前に設定した指定ポイントで待機するよう、オペレーションを変更する。

 

 

「了解。それじゃ空の旅を楽しんでこい」

 

《え、あ、貴方はどうする気ですか!》

 

「しばらくしたら帰還するさ」

 

 

 --システム スキャンモード

 

 

 無線を切って、スキャンに入ってハイブブーストオフで急旋回。

 即座にブーストを起動し、GBを掛けて基地から高速で離れる。

 適度に旋回して後方を確認すると、どうやら戦術機数体がこちらに近付いているらしい。

 面倒だと一瞬だけ戦闘モードに入り、ガトリング速射。

 前方を向き直って、GBHBで速攻で撤退した。

 

 指定ポイントまであと、5キロだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 
 あっちのもこっちのもCETE装甲低いお(qwq)
 
 
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