問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
「ということで、ギフト鑑定をお願いします。」
黒ウサギの要求にゲッ、
と気まずそうな顔になる白夜叉。
「よ、よりにもよってギフト鑑定か。
専門外どころか無関係もいいところなのだがの」
ゲームの褒章として依頼を無償で引き受けるつもりだったのだろう。
白夜叉は困ったように白髪を掻きあげ、
着物の裾を引きずりながら四人の顔を両手で包んで見つめる。
「どれどれ……ふむふむ……うむ、
四人ともに素養が高いのは分かる。
しかしこれではなんとも言えんな。
おんしらは自分のギフトをどの程度に把握している?」
「企業秘密」
「右に同じ」
「以下同文」
「どうでしょうか…」
「うおおおおい?
いやまあ、仮にも対戦相手だったものにギフトを
教えるのが怖いのは分かるが、 それじゃ話が進まんだろうに。」
「別に鑑定なんていらねえよ。
人に値札張られるのは趣味じゃない」
ハッキリと拒絶するような声音の十六夜と、
同意するように頷く飛鳥と耀。
大助は苦笑いでアハハとごまかす
困ったように頭を掻く白夜叉は、
突如妙案が浮かんだとばかりにニヤリと笑った。
「ふむ。何にせよ“主催者”として、星霊のはしくれとして、
試練をクリアしたおんしらには“恩 恵”を与えねばならん。
ちょいと贅沢な代物だが、コミュニティ復興の前祝いとしては丁度良かろう」
白夜叉がパンパンと拍手を打つ。
すると十六夜・飛鳥・耀の
三人の眼前に光り輝くカードが現れた。
カードを見てみるとそれぞれの名前と、
体に宿るギフトを表すネームが記されていた
コバルトブルーのカードに逆廻十六夜
・ギフトネーム“正体不明”(コード・アンノウン)
ワインレッドのカードに久遠飛鳥
・ギフトネーム“威光”
パールエメラルドのカードに春日部耀
・ギフトネーム“生命の目録”(ゲノム・ツリー)“ノー フォーマー”
それぞれの名とギフトが記されたカードを受け取る。
黒ウサギは驚いたような、興奮したような顔で三人のカードを覗き込んだ。
「ギフトカード!」
「お中元?」
「お歳暮?」
「お年玉?」
「ち、違います!
というかなんで皆さんそんなに息が合っているのです!?
このギフトカードは顕現しているギフトを収納できる超高価なカードですよ!
耀さんの“生命の目録”だって収納可能で、
それも好きな時に顕現できるのですよ!」
「つまり素敵アイテムってことでオッケーか?」
「だからなんで適当に聞き流すんですか!
あーもうそうです、超素敵アイテムなんです!」
「我らの双女神の紋のように、
本来はコミュニ ティの名と旗印も記されるのだが、
おんしらは”ノーネーム”だからの。
少々味気ない絵になっているが、文句は黒ウサギに言ってくれ」
白夜叉は自分のカードを取り出し説明を進める。
「ふぅん……もしかして水樹って奴も収納できるのか?」
十六夜は何気なく黒ウサギの持つ水樹にカードを向ける。
すると水樹は光の粒子となってカードの中に呑み込まれた。
見ると十六夜のカードは溢れるほどの水を生み出す樹の絵が差し込まれ、
ギフト欄の“正体不明”の下に“水樹”の名前が並んでいる
「おお?これ面白いな。もしかしてこのまま水を出せるのか?」
「出せるとも。試すか?」
「だ、駄目です!水の無駄遣い反対!
その水はコ ミュニティのために使ってください!」
チッ、とつまらなそうに舌打ちする十六夜。
黒ウサギはまだ安心できないような顔でハラハラと十六夜を監視している。
白夜叉は両者の様子を高らかに笑いながら見つめていた。
「そのギフトカードは、
正式名称を“ラプラスの 紙片”、即ち全知の一端だ。
そこに刻まれるギフトネームとは
おんしらの魂と繋がった”恩恵”の 名称。
鑑定はできずともそれを見れば大体のギフトの正体が分かるというもの」
「へえ?じゃあ俺のはレアケースなわけだ?」
十六夜の声に、ん?と白夜叉が彼のカードを覗き込む。
そこには確かに“正体不明”の文字が刻まれている。
ヤハハと笑う十六夜とは対照的に、白夜叉の表情の変化は劇的だった。
「……いや、そんな馬鹿な」
パシッと、表情を変えた白夜叉がカードを取り上げる。
真剣な眼差しでカードを見る白夜叉は、不可解とばかりに呟く。
「“正体不明”だと……?
いいやありえん、全知たる“ラプラスの紙片”がエラーを起こすはずなど」
「何にせよ、鑑定は出来なかったってことだろ。
俺的にはこの方がありがたいさ」
パシッと十六夜がカードを取り上げる。
だが、白夜叉は納得できないように怪訝な瞳で十六夜を睨む。
それほどギフトネームが”正体不明”とはありえないことだった。
(そういえばこの童……蛇神を倒したと言っていたな。
強大な力を持ってい ることは間違いないわけか。
……しかし“ラプラスの紙片”ほどのギフトが正常に機能しないとはどういう……)
ギフトが正常に動作しない。そこで白夜叉の脳裏に一つの可能性が浮上した。
(ギフトを無効化した……?いや、まさかな)
浮上した可能性を、白夜叉は苦笑と共に切り捨てた。
修羅神仏の集う箱庭で、無効化のギフトは珍しくない。
だが十六夜のように強大な奇跡を身に宿す者が、
奇跡を打ち消す御技を宿しては大きく矛盾する。
それに比べれば、“ラプラスの紙片”に
問題があるという結論の方がまだ納得できる。
だがそこで白夜叉の予想をさらに上回ることが起きる
「ねぇ、白夜叉……
……僕にはそのギフトカードはないのかな??」
「な、なに!!?」
誰もが気づかなかったが大助には
いまだにギフトカードが出てきていない
十六夜達がギフトカードを手にした時のように
大助の眼前にも光り輝くものはあるのだが
その中には何もなくただそこにあるだけ
「これはどういうことじゃ!!!??
゙正体不明゙でも訳が分からぬというのに、
ギフトカードそのものが出てこないなんて」
すでに゙ラプラスの紙片゙やギフトの無効化どころではない
ギフトカードそのものが出現しないなどと
一体どんなイレギュラーが発生しているのか
とりあえずギフトカードを出さないことには原因究明も出来ない
白夜叉はパンパンと柏手を打つがまだ出てこない
二度三度とパンパン、パンパンと鳴らすがいっこうに出ない
「もういいよ白夜叉、別にギフトそのものが使えないわけじゃないし」
「お主がよくてもワシのプライドが許さん!
えぇい、こうなったら出るまで叩いてやるわ!」
やけくそでパンパンと鳴らしまくる白夜叉
しかしギフトカードは出てくることはなく
眼前の光がどんどん肥大化していくのが分かる
「白夜叉様、もうお止めになった方が…」
「えぇい止めるな黒ウサギ!
これはワシとギフトカードの勝負なのじゃ!」
その言葉に呆れ返る黒ウサギ
だが、黒ウサギもまたその異常差に驚いている
白夜叉が柏手を打ち始め3分経過
すると光の奥から何かがうごめき始めた
それを見た白夜叉は出現すると確信し
さらにスピードを上げる
そして光が最高潮に輝いた瞬間、
その光の中からギフトカードが現れた
だが、やはり、普通ではない。
そこに現れたギフトカードは数千と
いや数万、数億といわんばかりに
光の中からギフトカードを出現させ空へと飛ばす
「ば、バカな!!!?」
「景気いいじゃねえか白夜叉
まさかギフトカードの紙吹雪を見せてくれるなんてな」
「そうね、ギフトカードがキラキラと光って幻想的だわ」
「うん、こんなの初めて見る」
「そんなこといっている場合じゃないですよ!!
ギフトカードというものは一人に一枚
それがこんなに出現するなんてありえません!!!」
まだきちんと出現していないためか
ギフトカードの形をしているがそれはただ光が形付いただけ
それが空一杯に広がりゆっくりと舞い落ちる
そしてその中の一枚、大助の元へ落ちてきたギフトカード
そのギフトカードを手に取った刹那、
光がカードの中心へと吸い込まれ始めた
それだけではない、その光と共に周りにあるギフトカードさえも
大助が持つギフトカードへ吸い込まれていく
空一杯に広がったギフトカードは数十秒ですべて吸い付くした
光だけだったカードは少しずつ形を作り始め、そして、
スプリングホワイトカードに君塚大助
・ギフトネーム“一時停止”(サスペンド) ゙空間掌握゙
「これが僕のギフトカード…」
「なんですかさっきのは!」
「ワシにも分からん。
すまぬがギフトカードを貸してくれんか」
大助は躊躇わずにギフトカードを白夜叉に渡した
すると十六夜と同様に驚いた表情を見せる
「これは!?
お主、このギフトはどこで手に入れた!!!?」
「えっ、いや、いつのまにかというか…
多分ですけど生まれた時からだと……」
その言葉に納得はしてないようだが
白夜叉は諦めたような、悟ったような表情をした
「そ、そうか…
出現しなかった原因は恐らくこの゙一時停止゙という
ギフトの影響ではないかの
大量のギフトカードの出現と吸収した理由は分からぬ…」
そういって白夜叉はギフトカードを大助に返した
スプリングホワイトのギフトカード
ありえないことばかり起きる中、白夜叉にはまだ気になることがある
(あの2つのギフト、あれは間違いなく「クロノス」のギフト
なぜあやつが持っているかは知らんが
またそのギフトがこの箱庭を荒らすというのか……)