問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ? 作:ガイドライン
門の開閉がゲームの合図なのか、
生い茂る森が門を絡めるように退路を断つ。
光を遮る程の密度で立ち並ぶ木々、
その木々の下から迫り上がる巨大な根によって
街路と思われる道は人が通れるような道ではなくなってる
ここは人が住んでいた場所とは思えない程ひどい。
ジンと飛鳥はいつ奇襲されるかと緊張した面持ちで
周囲を警戒しているため、心配させないように
「ここでいきなり奇襲してくるなんて
仮にもコミュニティのボスがすることじゃないよね」
「ど、どうかしらあの外道ならやりかねないわ」
「一応その外道なりのプライドというのとあると思うよ
話を聞くかぎりじゃ奇襲をかけてギフトゲームを勝っても
満足するような奴には思えなかったけど」
「確かに…それに指定武具がある以上、それを僕達に見せずに
ゲームを終わらせるなんてそれこそガルドの敗けになる可能性があります
「だから大丈夫だと思うよ、それに…」
それでもまだ緊張する二人を安心させるため
大助は耀に「あとはお願い」とアイコンタクトすると
うん、と頷き二人に話しかける
「大丈夫。近くには誰もいない。匂いでわかる」
「あら、犬にもお友達が?」
「うん。二十匹ぐらい」
それを聞いてホッとしたようだ。
しかし奇妙な木々は家屋を飲み込んで生長したらしく、
住居のほとんどが枝や根に食い破られていた。
この中から武具を見つけガルドを倒す
考えるなら武具はガルドの近くにあると思う
唯一自分を倒せる武具を遠くに奥などしないはず
ならガルドを先に……
そこで空間掌握でガルドを探そうと考えたが
範囲が曖昧で認識することができない
この住居区をまるごと認識すればいいが
それだと時間がかかりすぎる
認識に必要なのは1度視覚に捉えること
さらに範囲に必要な目安となる支点が必要
部屋で使ったときは角を支点して範囲を決めた
要は2つの条件が揃わないと発動しないギフト
人探しのようなことは苦手のようだなこれは
自分のギフトを考えていた大助を余所に
耀達はどのように攻略するか模索していた
「気が乗らないけど、方針を変えましょう。
まずは春日部さんの力でガルドを探して」
「もう見つけている」
その声の先を見てみると耀は樹の上にいた
樹を飛び降りた耀はレンガの残骸が残る街路を指し、
「本拠の中にいる。
影が見えただけだけど、目で確認した」
スゴいな春日部さんは…
そのギフトをうまく使いこなしている
僕と違って何かの為に、自分のために使っている
……僕もそんな風に…僕も……
………………
「見て。館まで呑み込まれてるわよ」
゙フォレス・ガロ゙の本拠に着く。
虎の紋様を施された扉は無惨に取り払われ、
窓ガラスは砕かれている。
豪奢な外観は塗装もろともツタに蝕まられて剥ぎ取られていた
「ガルドは二階に居た。入っても大丈夫」
そういってくれたが館に入ってすぐ空間掌握を発動
視覚と範囲の条件を満たして認識、掌握した。
これならどこから攻撃が来ても対応できる
まぁ、掌握した時点でガルドがいないのは分かっているけど
それにどうやらここには武具はないようだ
ガルドを倒せる唯一の武具いうことは
なにかのギフトが備わっていると思われる
だからそういう「力」みたいなものは見られない
「ここには武具はないみたいだよ
探すなら二階だね。」
「あら、どうしてそんなことが分かるのかしら?」
「春日部さんとは違って条件がいるけど
捜索できるギフトがあってね。」
「だけど瓦礫の下にあるかもしれないし、
それに武具がどういうものか分からないじゃない
針みたいなものだったりしたら…」
「ガルドを倒せる武具ならそれなり力があるはずなんだ
僕はそれ見分けられるから、ここには武具はない」
見分けられる。
それならここには武具はないのだろうが
「まぁ、いいわ。
でもどういう理屈で見分けられるのか教えてくれないかしら」
「簡単だよ。
僕達以外を全て停止させたんだ。」
それを聞いた飛鳥や耀、ジンは驚きを隠せない
それはそうだ、知らない間にこの館は停止していたなんて
全然気づかなかった、そんなことが起きていることに…
「この一時停止はギフトの効果を停止させることはできるけど
ギフトそのものまではできないんだ。
分かりやすくいうなら、
火を停止させても「火」そのものを停止できない
もし停止させたなら火は消滅するから
それは一時停止というギフトではできないんだ。
だからギフトそのもの停止できないなら
それは一時停止にとって異物しかない
だから分かるんだ、ここに武具はないよ」
その言葉に納得は出来たが
出来たが…理解が追い付かない
さっきの言い方だとギフトさえも停止できるのか…
そんな反則的なギフト、ありえるのか…
「春日部さん、ガルドは二階だよね。」
「う、うん…」
「じゃいこうよ。
きっとガルドの近くに武具はあるはず」
そういって先に進もうとする大助
自信満々に言っていた大助だけど
何故だかその背中が悲しそうで
思わず耀が大助の手を取り止めた
「ど、どうしたの春日部さん?」
「…………大丈夫だよ。」
「えっ?」
「私は…大丈夫だよ…」
その言葉がどういう意味か分からなかった
だけどなんだか暖かい感じがした
それは今まで忘れていたものだと…
だから自然に言葉が出てきた……
「ありがとう、耀。」
………………………
二階へ登りその先にあった最後の扉の前にたどり着き
ここで飛鳥がジンに
「ジン君、あなたは此処で待ってなさい。」
「どうしてですか?
僕だってギフトを持ってますから足手まといには」
「違うわ。あなたには退路を守ってほしいの」
ジンは不満そうだったがしぶしぶ待つことに
そして飛鳥と耀は扉の両脇に立ち
飛び込む前に大助が、
「さっきの作戦だけど…
本当にいいの、二人とも危険なのに…」
「ええ、構わないわ。
それに大助君の作戦、
悔しいけど上手い役割分担できてると思うわ」
「うん、それでいいと思う
それに大助のこと、信じてるから」
それを聞いて決意した大助は
勢いよく扉を開けると
「―――………GEEEEEEEYAAAAAa aaaa!!」
昨日とは変わり果てた姿をしたガルドが
白銀の十字剣を背に守りながら立ち塞がった。
目にも留まらぬ突進を仕掛ける虎を受け止めたのは
大助と飛鳥を庇う耀だった
「大助!早く!!!」
「あと少し…」
耀がガルドからの攻撃を防いでいる間に
大助がこの部屋の空間掌握をしていたのだ
この空間掌握は範囲は早く出来るのだが
認識は視覚からの情報が必要
全てを見渡すまで少し時間がいる
そしてこんなことをするにはもちろん理由がある
さらなるガルドの攻撃に耀が苦戦している
このままだと…というとき、
「春日部さん!! 下がって!!!」
ガルドから距離を取る耀
すると今度はガルドの前に飛鳥が立つ
眼の前に立った飛鳥にガルドは攻撃を仕掛けようとするが
「くらえ!!ガルド!!!!!」
大助の叫び声と共にガルドの後ろから物音がした
振り返るガルドが見たのは白銀の十字剣が飛んでくる姿
すでに眼の前に飛んでくる十字剣に対して
とっさに回避したガルドだが、それが悪かった
回避した場所、いやその後ろには飛鳥がいた
そうこれが狙い、これが作戦なのだ。
初めは大助一人で戦おうとしたのだが
正直ガルドが仕掛けた制限が気になっていた
いくら異常なギフトでもガルドには効かない
例え大助が防御に使ったとしても
制限により向こうされたら大怪我を負うだろう
するとここで耀が買ってでたのだ、自分が盾になると
もちろん大助は反対したが
全員がいまできることを話し合った結果、これしかなかった
もっとスマートなやり方があるかもしれない
だけど耀も飛鳥もこの作戦から降りようとしなかった
だから大助も決意した、二人の為に成功させると
この作戦の要は大助の空間掌握
掌握したのち、タイミングよく武具を飛ばし
そして必ずその武具を、飛鳥に渡すこと。
飛んできた白銀の十字剣を受け取った飛鳥は
ギフト・威光の、支配によって
破魔の力を十全に発揮する白銀の十字剣を
方向転換しきれていないガルドへと、
「はあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ガルドのその額を貫く。
十字剣の激しい光と、歯切れの悪い悲鳴。
それが虎の怪物の最後。
最後の抵抗で吹き飛ばされた飛鳥は
先回りした大助に受け止められ停止する
「今さら言ってはアレだけど…
……貴方、虎の姿の方が素敵だったわ」