問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ?   作:ガイドライン

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突然の訪問者は吸血鬼

「ゲームが延期?」

 

「はい…このままだと中止の線もあるそうです」

 

 

 

黒ウサギはウサ耳を萎れさせ、口惜しそうに顔を歪めて落ち込んでいる。

十六夜は肩透かしを食らったようにソファーに寝そべった。

このゲームはこのノーネームの仲間が出品される

そしてその仲間は元・魔王らしい

 

いまは全員が談話室でこれからについて話していたが

まさかそのゲームが中止になるなんて

 

 

「どうにもならないの。

サウザンドアイズが開いたゲームなのでしょう、

白夜叉ならどうにかできるじゃ…」

 

「無理ですよ。

いくらサウザンドアイズ直轄の幹部だとしても

今回のゲームは傘下のコミュニティの幹部

゙ペルセウズが主催したんです。

 

双女神の看板に傷が付くことも気にならないほどの

お金やギフトを得れば、ゲームの撤回ぐらいやるでしょう」

 

 

ふざけている…

だけどそれが箱庭のギフトゲームの絶対の法律

敗者として奪われた時点でそんな文句をいう権限はない

それでも悔しいだろう、折角取り戻すチャンスが

こうも簡単になくなってしまうのだから…

運が悪かったと諦めるには、悔しいじゃないか……

 

 

「ねぇ、黒ウサギ。

その仲間ってどんな人なの?」

 

「そうですね……

一言でいえば、スーパープラチナブロンドの超美人さんです。

指を通すと絹糸みたいに肌触りが良くて、

湯浴みの時に濡れた髪が星の光でキラキラするのです。」

 

「へえ?

よくわからんが見応えはありそうだな」

 

「確かにすごそうだね。」

 

 

 

「それはもう!

加えて思慮深く、黒ウサギより先輩でとても可愛がってくれました

近くにいるのならせめてもう一度お話ししたかったのですけど……」

 

「おや、嬉しい事を言ってくれるじゃないか」

 

 

全員が窓の外を見た。

コンコンと叩くガラスの向こうで、

にこやかに笑う金髪の少女が浮いていた。

飛び上がって驚いた黒ウサギは急いで窓に駆け寄る

 

 

「レ、レティシア様!?」

 

「様はよせ。

今の私は他人が所有される身分。

゙箱庭の貴族゙ともあろうものが、

モノに敬意を払っていては笑われるぞ」

 

 

黒ウサギが錠を開けると、

レティシアと呼ばれた金髪の少女は苦笑しながら談話室へ

美麗な金の髪を特注のリボンで結び、

紅いレザージャケットに拘束具を彷彿させる

ロングスカートを着た彼女は、

黒ウサギの先輩と呼ぶには随分と幼く見えた

 

 

「こんな場所からの入室で済まない。

ジンに見つからず黒ウサギへと思っていたのだが…

君には会わせる顔が無くてな……」

 

「そんなこと……」

 

 

ないです!!と言いたかったようだが

どんな気持ちでここに来たのかと考えると

それ以上はなにも言えなかった

 

 

「ちょっとお待ちを、すぐにお茶を淹れてまいりますので!」

 

 

久しぶりに仲間に会えて嬉しかったのか、

黒ウサギは小躍りするようなステップで茶室に向かう

十六夜の存在に気づいたレティシアは、

彼の奇妙な視線に小首を傾げる。

 

 

「どうした?

私の顔になにか付いているか?」

 

「別に。

前評判通りの美人……いや、美少女だと思って。

目の保養に観賞してた。」

 

「いや観賞してたって……」

 

 

十六夜の真剣な回答だったのだが、

レティシアは心底楽しそうな哄笑で返す

口元を押さえながら笑いを噛み殺し、

なるべく上品に装って席についた

 

 

「ふふ、なるほど。君が十六夜か。

白夜叉の話通り歯に衣着せぬ男だな。

しかし観賞するなら黒ウサギも負けてないと思うのだが。

あれは私と違う方向性の可愛さがあるぞ」

 

 

「あれは愛玩動物なんだから、観賞するより弄ってナンボだろ」

 

「そうね、弄られるための黒ウサギだわ」

 

「うん、それがしっくり来るかも」

 

「ごめん黒ウサギ、否定できないかも…」

 

 

「ふむ。私も否定しない。」

 

「否定してください!」

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば、レティシア様はどうしてここへ?」

 

「いや……用というほどものではない。

新生"ノー ネーム"の実力がどれほどか見に来た。」

 

 

レティシアは黒ウサギが持ってきた紅茶を

上品にカップ口をつける。

 

 

「今回、私が黒ウサギに会いに来たのは

コミュニティを解散するように説得しに来たのだ。

コミュニティの再建など……

それがどれだけ茨の道なのか

お前が分かっていないとは思えなかったからな」

 

 

図星なのか黒ウサギが黙り込む。

 

 

「そこで私は一つ試したくなった。

その新人達がコミュニティを救えるだけの

力を秘めているのかどうかを」

 

「結果は?」

 

 

黒ウサギが真剣な眼差しで問いかける。

レティシアは苦笑しながら微笑する。

 

 

「生憎、ガルドでは当て馬にもならなかったよ。

ゲームに参加した彼女達はまだまだ青い果実で判断に困る。

……が、一人ぐらいは可能性は見えたがそれもまだどうも言えない」

 

 

どこまで見ていたのか知らないが、

戦いだけなら確かに判断に困るかもしれない

 

 

「ならよ、試してみねぇか?」

 

「…………何?」

 

「実に簡単な話だ。

その身で、その力で試せばいい―――どうだい、元・魔王様?」

 

 

スっと立ち上がる十六夜。

その意図に気付いたレティシアは一瞬唖然とするが、

先程より弾けるような笑い声を上げたレティシアは、

涙目になりながらも立ち上がる。

 

 

「ふふ……なるほど。

それは思いつかなんだ。実に分かりやすい。

下手な策を弄さず、初めからそうしていればよかったなあ」

 

 

「ちょ、ちょっと御二人様?」

 

「ゲームのルールはどうする?」

 

「どうせ力試しだ手間暇をかける必要もない。

双方が共に一撃ずつ撃ち合い、そして受け合う」

 

「地に足を着けて立っていたものの勝ち。

いいね、シンプルイズベストって奴?」

 

「あぁ、そうだ。

そして君もやってもらおうか」

 

 

そういって指を指したのは大助だった。

驚きを隠せない大助はテンパりながら

 

 

「いや、なんで僕も!?」

 

「さっきの会話で分かっていると思ったが君には可能性が見えた

しかしそれは決定付けるものではない、なら試すだけだよ。」

 

「………分かりました。」

 

 

これはやらないと納得してくれないだろう。

十六夜とレティシアは笑みを交わし窓から中庭へ

それに追うように大助も飛び下り着地すると

 

 

 

「へえ?箱庭の吸血鬼は翼が生えてるのか?」

 

「ああ。翼で飛んでいるわけではないがな。

………制空権を支配されるのは不満か?」

 

「いいや。ルールにはそんなのなかったしな

それに一人にはその言葉は必要ないぞ」

 

 

そういって十六夜が見る方向を辿るレティシア

そこにはレティシアと同じように宙に浮く大助

ただレティシアとは違い、そこに立っているようだが

 

 

「ほう、私にも分からないギフトで浮いているようだが」

 

「まぁ、そうでしょうね。」

 

 

どことない皮肉と自分に対する嫌味が

レティシアをそれ以上質問させてはくれなかった

どうもまた自分のギフトに嫌気を感じていた

人と違うのは分かっているが

自分のギフトは他とはどうしても違う、異常だから

それでもいまはやるしかない。

 

これで認められるなら、自分自信にも

このギフトを少しは……

 

 

 

「さて、どちらからやる。」

 

 

その言葉に引き戻された大助

レティシアの言葉に十六夜がすぐ名乗り出ると思ったが

 

 

「譲ってやるよ。」

 

「なんだよ十六夜。

昨日といい今日といい、どうして俺に譲るんだよ。」

 

 

「簡単だ、いつかお前と戦うためにだ。

今のうち借りを作っておけば、心やさしいお前でも

その借りを返すために俺と戦うことになる

いま挑んでも本気を出さなかったり

どこかに逃げるだろうからな。

それにだ、俺が面白いことを「本当に」譲ると思うか?」

 

 

「………いい性格してるよ、本当」

 

「最高の誉め言葉だな」

 

 

まさかあの時から十六夜に借りを作っていたなんてな…

これいつかまとめて返すとき、十六夜と戦うのか

………うわぁ、超嫌だ。かなり絶対に嫌だ。

 

だが、いきなり借りを返すことはないだろうし

いつまでも待たせるわけにはいかないか

 

 

 

「と、いうことで僕からお願いします。」

 

「あぁ、よろしく頼むよ。」

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