問題児達と時の人が異世界から来るそうですよ?   作:ガイドライン

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レティシアからの腕試し

「さて、互いにランスを1打投擲する。

受け手は止められねば敗北。悪いが先手は譲ってもらうぞ」

 

「うん、どうぞ。」

 

 

その言葉は余裕の現れか、それとも緊張しているのか

それはレティシアには分からない

分からないが試すことはできる

投擲用に作られたランスを掲げる

 

 

「ふっ――――!」

 

 

レティシアは呼吸を整え、翼を大きく広げる

全身を撓らせた反動で打ち出すと、

その衝撃で空気中に視認できるほど

巨大な波紋が広がった。

 

 

「ハァア!!!」

 

 

怒号と共に放たれた槍は瞬く間に摩擦で熱を帯び、

一直線に大助へと、流星の如く大気を揺らして突き進む

そんな攻撃に大助は焦りも動揺も見せず

ただその手を、大助を貫こうとする槍に向けて伸ばす

その行動に驚きを隠せないレティシアだが

次の瞬間にはこの行動を理解してしまう。

 

熱を帯びた槍は確かに大助に当たったのだが

ただそれだけ、ただそれだけで終わった

ランスは大助の手に触れた瞬間に停止した

スピードも衝撃も熱も音も重力も全てが止められた

 

 

それはレティシアにとって想定外

いや白夜叉には前もって教えてもらっていたが

こうも易々と攻撃を止められるとは思わなかった

だけどここまではレティシアも十六夜もみんな知っていた

 

そうこれからがまだ見せていない力

いや、ちょっと違うか、十六夜と黒ウサギは見ていた

だけどはっきりと見せるのは初めてなのは確かだ

 

 

大助はランスの先をレティシアへと向け

まるでランスを押し出すかのように

それを握る所の先端に掌を添えた

 

 

「次は僕の番だけどいいですか?」

 

「あ、あぁ、構わないがそれで放つというのか?」

 

 

「え~と、はい。そうですね。」

 

「……ふざけているのか」

 

 

レティシアの表情が変わった

元・魔王というだけの殺気が伝わる

そこにいるだけで皮膚が切り裂かれそうなほどの殺気が

いま大助に対して向けられている

 

しかし、その殺気さえも停止させているような

全く動じない大助は声いろ変えずに

 

 

「そんなことはないですよ。

それに貴女なら大丈夫か…と、」

 

「なに!?」

 

「き、機嫌を悪くしたならすみません。

でも……」

 

 

ビクッと体が震えたレティシア

特に殺気もなにもしていないはずの大助から

なぜか恐怖に似たものを感じたのだ

そしてそれ知ったとき、レティシアは見た

大助の掌に集まる「何か」を

視覚では感じれないが直感で分かるのだ

 

それは………ヤバイと。

 

 

「避けなかったら危ないかもですよ?」

 

 

その刹那、大助の掌から槍が消えた

レティシアは考えた、これは自分の知らないギフトにより

その場から消え去りどこからか現れるものだと

だけとそれは頭に過った瞬間に間違いだと分かった

槍は、ランスは消えてはいなかった

ただ見えなかったのだ、速すぎて全く見えなかった

それを捉えたときにはすでに回避不可能な距離まで迫っていた

 

 

 

(……これほどか…)

 

 

もうだめかと目を閉じそのランスを受けるつもりだが

どういうことか、それが、その瞬間が訪れない

ゆっくり目を開けてみると

 

 

「……なっ!!?」

 

 

 

そのランスは止まっていた。

レティシアの眼の前に手があるのだ、大助の手が

それがランスを止めていたのだ

 

 

「ちょっとやり過ぎたね。

まさかあんなに速度が出るとは思わなかったので」

 

「……追い付いたというのか、あのランスに…」

 

 

 

とんでもないことをさらっという大助に

もう驚きを通り越してなにも感じれなくなった

レティシアが逃げ切れない速度で向かってきたランス

それを追い付き止めた大助に、

 

 

「参った、私の負けだ。」

 

「すみません…なんか……」

 

 

「君は…どうも君は謙遜すぎる。

もう少し自信を持った方がいい

さっきのように自信満々に言ってみたらどうだ?」

 

「いや、あれはあまり弱いとこを見せないようというか

まあなんというか……」

 

 

「もういい、もういい。

全くこれでは負けた私がバカらしい…」

 

 

頭を抱えるレティシア

どうしてさっきまで敗北感を感じていたのに

こうもバカバカらしく思えるのか……

 

 

 

 

 

…………………

 

 

 

その後、レティシアは十六夜との勝負を行い

レティシアの放ったランスを殴り付けた

たった一撃で拉げた只の鉄塊と化して

散弾銃のように無数の凶器となってレティシアに向けられた

 

大助と同じくあり得ないことに思考が追い付かず

いや追い付いても意味をなさない

第三宇宙速度に匹敵する凶器を避けることはできない

 

だが、そこで黒ウサギが助け出したのだが

確認したいことがあるのかレティシアのギフトカードを掠め取る。

 

 

「ギフトネーム・゙純潔の吸血鬼゙(ロード・オブ・ヴァンパイヤ)

………やっぱり、ギフトネームが変わっている。

鬼種は残っているものの、神格が残っていない」

 

「ハッ。どうりで歯ごたえが無いわけだ。

他人に所有されたらギフトまで奪われるのかよ」

 

 

十六夜は隠す素振りも見せずに舌打ちをする。

そんな弱りきった状態で相手をされたことが不満だったようだ

 

 

「いいえ……魔王がコミュニティから奪ったのは

人材であってギフトではありません。

武具などの顕現しているギフトと違い、

"恩恵"とは様々な神仏や精霊から受けた奇跡、云わば魂の一部。

隷属させた相手から合意なしにギフトを奪う事は出来ません」

 

 

 

それはつまり、レティシアが自分からギフトを差し出したという事になる。

二人の視線を受けて苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら目を逸らす。

黒ウサギも苦い表情で問いかける。

 

 

「レティシア様は鬼種の純血と神格の両方を備えていたため

"魔王"と自称するほどの力を持てたはず。

今の貴女はかつての十分の一にも満ちません。

どうしてこんなことに……!」

 

「……それは」

 

言葉を口にしようとして呑み込む仕草を幾度か繰り返す。

しかし打ち明けるには至らず、口を閉ざしてしまった。

話にならないと十六夜は 頭を掻きながら鬱陶しそうに提案する。

 

 

「まあ、あれだ。話があるならとりあえず屋敷に戻ろうぜ」

 

「………そう、ですね」

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